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相続税の税務調査事前対策のポイント8つ!追徴課税されないために

相続税の税務調査事前対策のポイント8つ!追徴課税されないために

税務調査は所得税や法人税でおこなわれる印象がありますが、相続税においても実施されます。また、相続税の税務調査では8割以上の人に追徴金が課せられています。

本記事では、調査官が確認するポイント、相続税の税務調査が入りやすい人の特徴、追徴課税を指摘されないための事前対策方法などをチェックしていきましょう。突然の税務調査にも焦らず対応できるようになるはずです。

この記事の目次 [非表示]

1.相続税の税務調査は約88%の割合で追徴金が課せられる

相続税に関して必要な知識は、各家庭の状況によって異なります。特に財産が一箇所にまとまっていない場合や、海外に資産がある場合など、個人では対処できない複雑なケースもあるでしょう。そのため、税務調査で申告の誤りが見つかり追徴金が課せられるケースは少なくありません。

国税庁の調査によると、相続税の税務調査を受けた家庭の約88%は追徴金が課せられています

参考:令和3事務年度における相続税の調査等の状況|国税庁

具体的には、不足していた相続税の税額(無申告の場合は本来納めるべきであった相続税の税額)に加えて、以下の追徴金が課せられます。

税務調査で課せられる可能性がある追徴金の種類と割合
追徴金の種類条件割合
延滞税納付期限の翌日から2ヵ月以内に納付した場合年7.3%
または延滞税特例基準割合+1.0%のどちらか低いほう
納付期限の翌日から2ヵ月を超えた場合年14.6%
または延滞税特例基準割合+7.3%のどちらか低いほう
過少申告加算税 自らミスに気付き、申告し直した場合非課税
税務調査の事前通知を受けて申告し直した場合 5.0%
追加納税額のうち『期限内申告税額』または『50万円』のどちらか多いほうを超える部分は10.0%
税務調査で指摘されたあとに修正申告した場合 10.0%
追加納税額のうち『期限内申告税額』または『50万円』のどちらか多いほうを超える部分は15.0%
無申告加算税自主的に期日後申告した場合5.0%
税務調査の事前通知を受けて申告した場合 納税額のうち50万円まで:10.0%
50万円を超える部分:15.0%
300万円を超える部分:25.0%(※)
(※申告期限が令和6年1月1日以降の場合)
税務調査で指摘されたあとに申告した場合納税額のうち50万円まで:15.0%
50万円を超える部分:20.0%
300万円を超える部分:30.0%(※)
(※申告期限が令和6年1月1日以降の場合)
重加算税財産を故意に隠したり証拠書類を隠蔽したりして申告した場合35.0%
財産を故意に隠したり証拠書類を隠蔽したうえで相続税の申告もしなかった場合40.0%

例えば相続税を申告したあとに新たな財産が見つかった場合、税務調査の事前通知が入る前に正しく申告し直せば過少申告加算税は課せられません。しかし税務調査が入ったあとで新たな財産が見つかった場合や、修正申告が間に合わなかった場合は、納税額に対し10.0%または15.0%の過少申告加算税が課せられます。

また無申告や故意に財産を隠した場合は、より多い割合で追徴金が課せられるため注意が必要です。このように、追徴課税が課せられた場合は本来納税すべき額よりも多額の出費が必要になります。

追徴課税を回避するためにも、税務調査のポイントを把握して対策しておきましょう。

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2.相続税の税務調査ポイント8つと対策-狙われるのはこんな家庭

税務調査の対象として選ばれる家庭は、決して多額の財産を所有しているとは限りません。基礎控除限度内として、相続税の申告をしなかった家庭への調査もおこなわれています

特に税務調査に選ばれるのは、以下のような特徴がある人です。

相続税の税務調査で狙われやすいポイントと対策
ポイント対策
相続税の申告が必要であるにもかかわらず未申告
  • 相続財産が基礎控除以上なら相続税の申告
  • 相続財産が基礎控除額ギリギリの場合、ほかの財産がないか慎重に調査
相続人の財産が不自然に多い
  • 生前に多額の贈与を受けた場合は申告
  • 生前贈与について説明できるよう記録を残す
みなし財産がある
  • 死亡保険金、死亡前3年以内(※)の贈与は見落とさず申告
    (※令和6年以降に贈与される財産は順次「7年以内」まで延長)
  • 生前贈与について説明できるよう記録を残す
死亡直前に多額の預金が引き出されている
  • 生前の預金の振り込みや引き出しは、税務調査や相続税申告で困らないように記録を残す
名義預金がある
  • 預金を生前贈与した記録を残す
生命保険に加入している
  • 非課税限度額までの保険に加入
  • 生前贈与を受けた預金で、相続人が保険に加入
外国口座を保有している
  • 国外財産の評価額を正確に計算
自己申告で内容に誤りがある
  • 相続税に詳しい税理士に依頼

このように、調査する側の事情も踏まえ、万が一税務調査に選ばれても適切な対応ができるよう、しっかり準備しておきましょう。

2-1.相続税の申告が必要であるにもかかわらず未申告

必要があるにもかかわらず相続税が未申告の場合、税務調査が入る可能性があります。相続財産が基礎控除額を超える場合、相続税の申告が必要です。相続した財産が基礎控除額に収まっていると思っていても、実は財産の見落としや計算間違いなどで基礎控除額を超えている場合があります。

こうした場合、申告が必要だったのに申告していなかったことで、相続税に加えて無申告加算税や延滞税といった追徴課税を課せられてしまいます。つまり本来よりも多額の税金を課せられてしまうことになるのです。

税務署はこうした無申告を発見するため、控除内ぎりぎりの家庭に注目します。そして控除額を上回る財産の可能性があると考えて、税務調査を進めています。

2-1-1.相続財産が基礎控除以上なら相続税の申告

相続財産が基礎控除以上であれば、相続税を申告しましょう。基礎控除額は、以下の計算式で算出します。

3000万円 +( 600万円 × 法定相続人の数 )
(参考:財産を相続したとき|国税庁

例えば相続人が3人ならば、基礎控除額の計算式は以下のとおりです。

相続人が3人の場合の基礎控除額
3000万円+(600万円×3人)=4800万円

上記の相続人3人は、相続財産が4800万円以内だった場合、申告は必要ありません。ただし相続財産が4500万円や4700万円といった基礎控除額ギリギリの場合、新たな財産が見つかったときに申告が必要になる可能性があります。

税務調査で今まで知らなかった財産が見つかり、相続財産の総額が基礎控除を超えるとわかれば追徴金が課せられます。こうした事態にならないよう、相続財産の総額が基礎控除額に近い人ほどほかに財産がないか慎重に調査しましょう。

2-2.相続人の財産が不自然に多い

相続人の財産が不自然に多い場合も、税務調査の対象になりやすい傾向があります。例えば、相続人はパートやアルバイトのみで収入を得ているにもかかわらず高額の貯金がある場合、預金の出所がどこなのかを調査される可能性があります。

税務署がチェックするのは、亡くなった人の財産だけではありません。遺族も含め、預金の動きや勤務形態および収入などの情報を確認しています。そのため、ある人が亡くなる少し前から家族の収入が急激に増えた場合、相続税対策で生前贈与がおこなわれた可能性を疑います。

そして生前贈与では、法律の規定に沿って税金が支払われているか、チェックするのです。このように税務調査では相続した財産だけでなく、生前の贈与や取引までさかのぼって脱税がないか確認されます。

2-2-1.生前に多額の贈与を受けた場合は申告

生前に多額の贈与を受けた場合は、相続税でなく贈与税が発生する可能性があります。被相続人からの生前贈与は年間110万円までは非課税です。年間110万円を超える生前贈与を受けた場合には、忘れず申告しておきましょう。

また不当に安く不動産を譲り受けた場合には、たとえ売買という形態をとっていても贈与とみなされる場合があります。この場合、適正価格との差額が贈与とみなされます。

なお贈与税の申告と納税は、贈与を受けた翌年の2月1日から3月15日までです。期限を過ぎると相続税と同様に延滞税や無申告加算税などがかかるため、忘れずに申告しましょう。またきちんと贈与税を支払っていても、税務調査のときに贈与の明細を説明できなければ怪しまれてしまいます。

税務調査に備えて、日頃からお金の流れを説明できるような対策を取っておきましょう。具体的には贈与契約書を残すことや、贈与時のお金のやり取りを預金通帳に記帳するなどの対策が効果的です。

2-3.みなし相続財産がある

みなし財産がある場合も、税務調査が入りやすくなります。みなし財産とは、民法上相続財産に分類されないものの、相続税法上は相続財産とみなされるものです。具体的には以下のようなものを指します。

みなし財産の例

  • 死亡退職金
  • 死亡保険金
  • 死亡前3年以内の贈与(令和6年以降に贈与される財産は順次「7年以内」まで延長) など

例えば死亡退職金や生命保険金は、もともと被相続人の所有財産ではありません。しかし亡くなることによって退職金や保険金が発生し、相続人の手に渡ることで相続と同様の効果を持ちます。そのため、相続財産とみなされて相続税が課税されるのです。

ほかにも死亡前3年以内の贈与は、贈与がなかったとみなされて相続税が課税されます。なお、税制改正により、令和6年以降に贈与される財産については、相続税の対象になる期間が順次「7年以内」まで延長されます。

税務署は亡くなった人の勤務情報や保険の加入形態なども把握しています。そのため上記のようなみなし財産がある場合は「申告をしていない可能性がある」とにらみ、慎重に調査するのです。

2-3-1.死亡前3年以内の贈与は見落とさず申告しよう

みなし相続財産のなかでも、特に死亡前3年以内の贈与は申告を忘れるケースがほとんどです。贈与契約書の日付を確認し、死亡日からさかのぼって3年以内であればみなし財産として相続財産にカウントする必要があります。また贈与額が年間110万円以内で、贈与した当初は贈与税がかからなかった場合でも、そこから3年以内に贈与者が亡くなってしまった場合はみなし財産として扱われます。

こうした贈与は日頃からきちんと記録を取っておかなくては、忘れてしまうものです。また贈与が完了したからといって、贈与契約書や取引の記録を破棄してしまうと、税務調査で説明ができません。相続税を申告する際に見直してスムーズに計算できるよう、贈与の記録はきちんと保管しておきましょう。

参考:みなし相続財産とは?死亡保険金と死亡退職金に相続税がかかるって本当?|相続税のチェスター

2-4.死亡直前に多額の預金が引き出されている

故人が亡くなる直前に多額の預金を引き出すと、税務調査に当たりやすくなります。引き出し自体が問題ではなく、相続人が引き出した理由を説明できない場合に問題となるのです。税務署は、故人の預金通帳に記載された預け入れや引き出しの内容を把握しています。

そのため、亡くなる直前に100万円以上の預金が一度に引き出されていると不審に思われ、税務調査が入るのです。

税務調査では、正当な預金の用途を説明できれば問題ありません。しかし引き出した本人も何に使ったか忘れてしまい説明できない場合、税務署が引き出されたお金の流れを追い、相続人への贈与だと判断されることもあります。この場合、みなし相続財産(亡くなる直前の贈与)として相続税が課税される場合があります。

理不尽に課税されないためにも、それぞれの出金について、どのような用途で引き出されたものかを確認し記載しておきましょう。

2-4-1.生前引き出した預金も記録をつける

過去の出金理由は時間が経つと忘れやすくなるため、一つひとつ記録しておきましょう。特に100万円単位の大きな出金額の場合は注意が必要です。例えば以下のような理由が考えられます。

預金を引き出す理由の例

  • 生活費
  • 保険や証券など他の財産を購入
  • 被相続人個人のために使用
  • 他の人への貸与もしくは贈与

お金の流れを通帳やノートに記録して使用用途を明確にし、相続税申告や税務調査のとき困らないように準備しておきましょう。

2-5.名義預金がある

名義預金がある場合も、税務調査が入る可能性があります。名義預金とは、親や祖父母が子や孫の名義で作った預金のことです。税務調査が入ると、名義預金については必ずといってよいほど確認されます。具体的には口座の開設者は誰か、誰の印鑑が使われているかが調査されます。

預金がきちんと子や孫に贈与されており、受贈者も預金が自分のものになったことを認識していれば問題ありません。名義預金ではなく贈与になり、相続の対象にはならないのです。

一方、例えば祖父が内緒で孫の名義で預金口座を作っていたとしましょう。この場合、自分名義の口座がある事実を孫が知らないため、口座および預金は名義預金として祖父の相続財産に含まれます。

つまりわざわざ孫のために積み立てていても、名義預金と判断されると、相続財産として相続の対象になってしまうのです。

参考:名義預金の基礎知識と相続税が追加で発生する条件を解説|相続税のチェスター

2-5-1.名義預金ではなく生前贈与であることを明確にする

預金を相続の対象から外すためには、名義預金ではなく生前贈与であることを明確にしておきましょう。そのためには贈与契約書の作成が必要です。贈与契約書は、預金金額分を作り、被相続人と受贈者の間で捺印して保管しておきましょう。

参考:残された預金が名義預金として相続税の対象になるかどうかの見分け方|税理士法人チェスター

2-6.生命保険を契約している

被相続人が亡くなったときに支払われた保険金も、相続税の対象です。生命保険には非課税枠が設けられていますが、非課税枠を超過した場合は相続税が発生します。特に「生命保険は相続税が非課税になるから」と複数の保険に加入していた場合、結果的に非課税限度額を超えてしまうこともあるでしょう。

また契約者は相続人(子)であっても、保険料は被相続人(親)が支払っている場合、相続税の課税対象となります。税務署は預金や収入だけでなく、保険の加入状況や誰が保険料を払っているのかも調査します。そのため、税務調査で保険金の申告漏れを指摘される場合があるのです。

2-6-1.非課税限度額までの保険に加入

保険金を非課税にするには、受け取れる保険金が非課税限度額に収まる保険を選びましょう。非課税限度額は、以下のとおりです。

500万円 × 法定相続人の数 = 非課税限度額
(引用:No.4114 相続税の課税対象になる死亡保険金|国税庁

例えば法定相続人が配偶者と子2人の場合、非課税限度額は1500万円(500万円×3人)です。複数の保険に入る場合は、受取額が合計1500万円以内に収まるように加入しましょう。

また被相続人(親)から贈与を受けた預金で、保険契約の保険料を相続人(子)が支払っている場合の保険金は、相続税が課税されません。この場合、贈与されたお金で保険料が払われているため、保険金の相続ではなく現金の生前贈与とみなされます。

2-7.外国口座を保有している

外国口座を保有している場合も、税務調査が入りやすい傾向にあります。なぜなら海外財産の相続税評価は非常に複雑なためです。申告するうえで漏れやミスが起こりやすいため、慎重に調査します。

国税庁は、CRSというしくみを使って国外口座情報を把握しています。CRSとは、非居住者の口座情報を各国の税務当局間で自動的に交換するしくみのことです。そのため口座が海外にあっても、ほとんどの情報が国税庁に提供されています。

令和4年10月時点の海外在留邦人の数は130万人を超えており(出典:外務省「海外在留邦人数調査統計」)、国外に財産を保有する人は多くなっています。このような状況下で、税務署はよりいっそう外国口座の情報把握に力を入れています。

2-7-1.国外財産の評価額算定は正確に

脱税行為と指摘されないためにも、国外財産の評価額算定は正確におこないましょう。海外財産に対する相続税の評価は複雑です。把握するだけでも時間がかかるため、被相続人となる人は対象国の相続に関する税金や法律、手続方法など事前に調べておく必要があります。

また事前に、財産を保有している国の方式に合わせた遺言書を用意しておく必要もあります。必要な準備がされていない、もしくは準備されているかわからない場合には、国際相続に詳しい税理士や法律事務所などに相談しましょう。

2-8.自己申告で内容に誤りがある

自分では正しい申告をしたつもりでも、結果的に内容の誤りがあれば、再度正しい申告内容の確認が必要です。むしろ、被相続人のすべての財産を把握している人のほうが少ない可能性があります。

すべての相続財産を明らかにする、明らかにした相続財産の権利関係も確認するなど、申告のための必要な注意点は数多くあります。そして、注意すべき事情はケースによって異なるため、非常に複雑な場合も多いものです。何度も申告のやり直しをすることは手間がかかり、追徴課税が発生する可能性もあります。

2-8-1.相続税に詳しい税理士に依頼

相続税に詳しい税理士に依頼すれば、自分で申告する手間がかからないうえに、申告内容の誤りを指摘されることもありません。特に相続税に関する知識がない人は申告の手間だけでなく、申告ミスのリスクもあるため、専門家への依頼をおすすめします。

自分で申告すると把握していなかった財産があったり、正しい申告をしたつもりでも結果的に内容の誤りが生じたりするケースもあるでしょう。

正しく申告するにはすべての相続財産を明らかにし、相続財産の権利関係を確認するなど、注意点が数多くあります。また注意すべき事情はそれぞれのケースで異なるため、複雑な場合も多いものです。

こうした手間を考えると、相続税の専門家に依頼したほうがスムーズでしょう。

3.家庭内で簡単にできる!税務調査で狙われにくくするためのチェックポイント

税務調査の際に具体的にどの程度まで調べられるのか、という調査内容について事前に確認しましょう。税務調査を受ける家庭は決して多くありませんが、多額の財産をもつ家庭だけが調査されるわけではありません。具体的にシミュレーションすることによって、どのような点が問題になり、何をすべきなのかを落ち着いて考えられるはずです。

3-1.通帳の管理者や保管場所-名義預金や申告漏れ財産の有無をチェック

被相続人の財産がわかりやすくひとまとめにされていれば、相続内容の確認も難しくはないでしょう。しかし、相続財産はひとまとめではなく、むしろバラバラに保管されていることがほとんどです

例えば被相続人が施設に入居していた場合には、通帳は家族に管理されていることも考えられます。たまたま管理をまかされた家族の名義で作られた通帳を、その家族自身が管理することになった場合、特に注意が必要です。

管理しているのはあくまでも「名義預金」であり、家族のものではありません。管理を任された時点で速やかに贈与契約書を作成し、相続財産に含まれないようにしておくことが重要です。しかし、被相続人がすでに亡くなっている場合には、速やかに名義預金として相続財産に含める必要があります。

3-2.ハンコの保管場所や印影-贈与契約書がいつ作成されたものかチェック

安全上の理由から、通帳や証券などハンコの保管場所を変えていることもあるでしょう。

とくに不動産の証書には印鑑証明が必要ですが、印鑑証明用のハンコは別の場所へ保管することもあります。ハンコが見当たらない場合は喪失手続きが発生し、さらに煩雑になるので、保管先を事前に確認しておいてください

また、贈与財産についても注意が必要です。死亡前の一定期間に行われた贈与は相続財産とみなされてしまうので、贈与契約書がいつ作成されたものかは必ず確認できるようにしておきましょう。

名義預金は、名義人と被相続人との贈与契約書を作成することで、相続財産に含まれることを避けられます。しかし、わざわざ契約書を作っても日付が入っていない場合には相続財産とみなされる可能性があります。インターネットでも贈与契約書のひな型をダウンロードできるので、ひな型を参考に作成すると記入漏れを減らせるはずです。

»贈与契約書のメリットとは?書き方【保存版】ポイント・注意点を記載例付きで解説|相続税のチェスター

3-3.貸金庫や自宅金庫の中身-タンス預金など隠された財産がないかチェック

通帳や証券の他にも、さまざまな形で財産は存在します。自宅では自宅金庫に、自宅外では貸金庫を利用して現金や貴金属など貴重品を入れている可能性もあります。見知らぬ鍵や金融機関のメモ、暗証番号のようなものが見つかった場合には、どのような用途に使用するものかを確認しておきましょう。もしかすると、貸金庫の鍵かもしれません。

金庫以外にも、いわゆるタンス預金として自宅に現金がまとめて保管されている可能性もあります。家族に内緒のへそくりや、金融危機がおこったときに銀行破綻を心配して引き出した現金が残っていることもあるでしょう。

わざと探さず申告後に現金が見つかった場合は、故意の隠ぺいとして追徴金の金額が増える可能性があります。特に、税務官はわざと隠していないかという点に注目しています

タンスの奥、本棚、押入れの天袋など、なるべく家の隅々までチェックしてみてください。

4.相続税の税務調査に関する4つのQ&A

実際に税務調査対象の家庭に選ばれることを念頭に、税務調査の具体的な進め方を見ていきましょう。

はじめて相続を経験する人にとって、事前にどのようなことがおこなわれるかを知っておけば、無用な心配を減らせます

4-1.税務調査が来るのはいつ頃?

税務調査は夏から秋頃が多いと言われています。

相続税は、被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10ヵ月以内に申告する必要がありますが、すぐに調査が入るとは限りません。

参考:No.4205 相続税の申告と納税|国税庁

税務署は相続税業務だけを行っているわけではありません。会社や個人の確定申告への対応など、繁忙期には相続税の税務調査へ人員を割くことが困難です。このような人手の問題があり、税務調査は税務署の業務が比較的落ち着く夏から秋頃が多いと言われています

ただし、例えば申告が2016年8月に終了し、2016年の秋に税務調査が来なかったとしても、その後の調査がないとは限りません。8月以前の申告調査に忙しく、たまたまその年に手が回らなかっただけの可能性もあります。申告から1年が経過してから調査が来ることもあるのです。実際に相続税の時効は5年(故意の無申告では7年)のため、必要書類などを破棄することがないようにしましょう。

(例)

・相続発生 2015年10月1日

・相続税の申告期限 2016年8月1日

・税務調査の入る可能性が高い時期 ⇒ 2017年8月~2019年7月

・税務調査が入るかもしれない時期 ⇒ 2019年8月~2021年7月

・税務調査が入る可能性がない時期 ⇒ 2021年8月~

引用:相続税の税務調査はいつくる?1年後、2年後?|相続税のチェスター

4-2.税務調査を拒否することはできる?

税務調査は拒否できません

税務調査には、強制調査と任意調査の2種類があります。

▲任意調査と強制調査ではやり方が異なる

任意調査であっても、税務職員は「質問検査権」という権利を持っていて、この権限を使って調査できます。

税務職員は税務調査のために相続財産の関係書類、帳簿などの検査、提示、提出などを求めることが可能です。

参考:国税通則法第7章の2(国税の調査)等関係通達の制定について(法令解釈通達)|国税庁

このように税務職員は、納税者に対して強い権限を持っています。

相続税申告を税理士にお願いしていた場合、任意調査の場合は代理で対応してくれる税理士に連絡がいきます。そして申告内容に誤りがないことを、税理士が税務署で説明することになるのです。

4-3.税務調査の期間はどれくらい?

▲日程調整が終われば調査自体は1日で終了

調査自体は通常、丸1日で終了します。長くても2〜3日でしょう。ただし、税務調査員からなんらかの指摘を受けた場合は、さらに延長する可能性もあります。

指摘を受けた事項について、相続人側であらためて調べるよう求められることもあるでしょう。その結果に対して、さらに税務署で追加調査が必要になる場合もあるのです。

相続人と調査員がやりとりする期間によって、終了までの期間は左右します。このようなやりとりが続いたとしても、通常であれば調査開始から1~3ヵ月ほどで終了するでしょう

4-4.相続税の税務調査って何年さかのぼるの?

結論からいえば、税務調査員は5年から10年分の入出金記録などを確認できます。税務調査員が相続財産のお金の流れを把握する際には、金融機関のさまざまな取引履歴を確認します。

被相続人の財産は、相続開始直前に作られたものではなく、長期間に渡って作られていることがほとんどでしょう。被相続人が土地を所有していた場合、その土地は被相続人本人が購入したか、相続や遺贈によって手に入れた可能性もあります。

こういった長期間に渡るお金・財産の流れを確認されるのです。

5.税務調査で追徴課税を命じられたら修正申告書を提出するか更正・決定通知を待つ

税務調査の結果、当初の申告財産に対する相続税額では不十分だったとして、追徴課税を命じられたときには、修正申告書を作成します。申告漏れ財産が見つかった場合には、再度遺産分割をやりなおす必要も出てくるでしょう。一度相続人同士で確定した相続財産を確定しなおすため、多くの手間と時間がかかります。

万が一修正申告が指定期限に遅れてしまうと、延滞税がさらに高くなってしまいます。このような事態を避けるためにも、これまで見てきた相続税に関するポイントを確認し、個人で対応できるのか、専門家に任せた方がよいのかを判断しましょう。

参考:No.9205 延滞税について|国税庁

税務調査の結果に納得がいかなかった場合は、修正申告書を提出せず、更正・決定通知を受けて、再調査の請求または審査請求を行うことができます。
詳しくは下記記事を参考にしてください。
調査結果に納得がいかなかった場合

6.税務調査を回避したいなら書面添付制度を検討

税務調査を回避したい場合、税理士に依頼して書面添付制度を利用する方法もあります。書面添付制度とは、税理士が相続税の申告書に対して「適正です」とお墨付きを与える制度です。

書面添付制度を利用すると税務署からの信頼度が増し、税務調査がおこなわれる確率は低くなります。また税務署側で気になる点があっても税理士に対して意見聴取するだけで、本格的な税務調査はおこなわれないケースがほとんどです。さらに書面添付制度を利用すれば、申告漏れのペナルティがありません。

ただし書面添付制度は税理士側の豊富な知識と細かい作業が必要です。そのため、書面添付制度を依頼者にすすめない税理士が多いのが現状です。事実、相続税申告において書面を添付しているのは、以下のとおり令和元年度でも全体の18.4%と少ない割合となっています。

相続税申告における書面添付の割合
▲相続税申告における書面の添付割合

裏を返せば、書面添付制度に快く対応する税理士は信頼しやすいともいえます。相続税の申告においても間違いないでしょう。

参考:相続税申告の書面添付制度とは?メリットは大きいがデメリットも?!|税理士法人チェスター

7.相続税の税務調査を避けるために疑わしい部分をなくすなら税理士に相談を

十分に検討した結果、やはり専門家に相談したい場合には、ぜひ自分の相続状況に合った税理士へ相談しましょう。

例えば、海外勤務の長かった父親の財産を相続する場合には、海外資産の相続に精通している税理士に相談できるとスムーズです。不動産投資をしていた母親の財産を相続する場合には、不動産相続に精通している税理士を選びましょう。

しかし、どのような分野に強い専門家を選べばいいのかわからない、そもそもどこへ連絡すればいいのかわからない、といった場合もあるはずです。こうした場合には、相続を専門に扱っている税理士法人チェスターにご相談ください。相続を専門としているだけでなく、それぞれに得意分野をもつ税理士が在籍しているため、自分に合った税理士を見つけやすくなります。悩みや疑問に寄り添い、スムーズに解決できるようサポートいたします。

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※この記事は専門家監修のもと慎重に執筆を行っておりますが、万が一記事内容に誤りがあり読者に損害が生じた場合でも当法人は一切責任を負いません。なお、ご指摘がある場合にはお手数おかけ致しますが、「お問合せフォーム→掲載記事に関するご指摘等」よりお問合せ下さい。但し、記事内容に関するご質問にはお答えできませんので予めご了承下さい。

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