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不動産の贈与税計算方法-計算シミュレーションや贈与税がかからない方法

不動産の贈与税計算方法-計算シミュレーションや贈与税がかからない方法

不動産の贈与税は、暦年贈与するか相続時精算課税制度を適用するかによって、計算式が異なります。贈与税を計算するには、家や土地の価額を知る必要があります。それぞれの贈与にどのような違いがあるか把握しましょう。

加えて、贈与税を抑えられる特例制度について知っておくと便利です。本記事で不動産にかかる贈与税の計算に必要な情報を知ることで、課税の少ない贈与をおこなえます。

具体的な贈与税の計算式やシミュレーションをいち早く確認したい人は、以下のリンクからジャンプしてみてください。

不動産の贈与税計算式は主に2種類

1,000万円以上の土地・建物の贈与税をシミュレーション

この記事の目次

1.贈与税計算の前に不動産の価額を知ろう

不動産の贈与税を計算する前に、贈与の対象となる不動産の価値を調べます。

贈与税は、不動産の価額から一定の控除額を差し引いた分に税率をかけて計算します。そのため、土地や家にいくらの価値があるかわからなければ、贈与税を計算できません。

不動産の価額を調べる方法は以下のとおり、建物と土地でそれぞれ異なります。

不動産の価額を調べる方法

不動産の種類 価額を調べる方法
建物
  • 課税証明書や固定資産課税台帳などの資料から固定資産評価額を確認する
  • 固定資産税から逆算する
土地
  • 課税証明書や固定資産課税台帳などの資料から固定資産評価額を確認する
  • 固定資産税から逆算する
  • 路線価方式または倍率方式で計算する

土地や建物の価額を、固定資産評価額と呼びます。固定資産評価額は、各自治体が計算し3年に1度更新されるため、過去に確認してから3年以上経過している場合は計算し直しましょう。固定資産評価額の計算に使う資料は、最新のものを用意してください。

1-1.建物は課税明細書から固定資産評価額を確認

建物の固定資産評価額は、毎年送られてくる課税明細書の評価額、または価格と記載された欄を確認してみてください。

課税明細書は、固定資産税を通知する納税通知書に同封されている書類です。納税通知書は、各市区町村から毎年5月の連休から6月の上旬頃に発送され、土地や建物にかかる税金の算出根拠として、課税明細書が添付されます。

ただし、建物の評価額が安く課税されない場合や、建物の所有者が引越したあと届け先を変更していない場合は、納税通知書が手もとに届かない可能性があります。

1-1-1.固定資産課税台帳や固定資産評価証明書でも確認可能

課税明細書がない場合、固定資産課税台帳や固定資産評価証明書などの資料からも、建物の固定資産評価額を確認できます。固定資産課税台帳とは、各市区町村に保管されている建物や土地の台帳です。誰がどこの不動産を所有し、不動産の価額はいくらなのかが記録されています。

固定資産課税台帳は、建物のある市区町村の窓口へ行けば無料で閲覧可能です。自治体によって対応する窓口や閲覧できる時間が異なるため、あらかじめホームページや電話で問い合わせて確認しましょう。

固定資産評価証明書は、建物のある市区町村の窓口で交付を受けられる証明書です。価格の欄を見ると、不動産の固定資産評価額が確認できます。ただし、交付を受けるには以下の書類が必要です。

固定資産評価証明書の取得に必要な書類

  • 申請書
  • 本人確認ができるもの
  • 建物の所有者との関係を証明するもの(本人や同居の家族以外が申請する場合)
  • 手数料

申請書は、建物のある市区町村のホームページでダウンロード、または窓口で受け取れます。本人確認書類は運転免許証やパスポート、マイナンバーカードなどで問題ありません。

本人や同居の家族以外が申請する場合は、住民票や戸籍謄本などの書類で家族関係にあることを証明する必要があります。手数料は自治体により異なり、1通あたり200〜400円かかります。

参考:固定資産税評価証明の取得方法|税理士法人チェスター

1-1-2.固定資産税から概算も可能

固定資産税だけがわかっている場合、逆算して固定資産評価額を確認するのも1つの手段です。固定資産税は以下の式で算出されます。

固定資産税の計算式

固定資産評価額×標準税率1.4%=固定資産税

固定資産税を1.4%で割れば、大まかな固定資産評価額がわかります。ただし、上記の計算式は概算です。減税制度を利用している場合は、実際の固定資産評価額と大きく異なる計算結果になる可能性があるため、あくまで目安として用いましょう。

1-2.土地は路線価方式か倍率方式で固定資産評価額を計算

土地の固定資産評価額を調べる場合、建物の固定資産評価額の算出方法以外にも、路線価図や固定資産税から計算する方法があります。方法はやや複雑になりますが、自分で計算してみたい人は、チャレンジしてみてください。

路線価とは、その土地1平方メートルあたりの平均価額を指します。路線価は、国税庁の財産評価基準書で調べられます。次に、登記簿を確認し土地の面積を調べましょう。路線価と面積をかけて、固定資産評価額を計算します。

固定資産評価額を路線価で計算する方法

路線価×土地の面積(平方メートル)

ただし、路線価がなく倍率地域と記載されている地域では、上記の計算方法が使えません。また、地域や土地の形状によっては、上記の計算に加えて一定の補正率をかける必要があります。詳しくは、以下の記事をご覧ください。

参考:路線価と地積から土地評価額を算出する方法|税理士法人チェスター

2.不動産の贈与税計算式は主に2種類

不動産の贈与税は、以下のとおり贈与する方法によって異なります。

不動産の贈与方法の違い

  暦年贈与 相続時精算課税制度
特徴 年間110万円までの贈与が非課税になる 累計2,500万円までの贈与が非課税になる
メリット 毎年、少しずつ贈与すれば価額の高い不動産も非課税で贈与できる可能性がある 不動産を一度に贈与しても非課税になる場合がある(2,500万円まで)
デメリット 不動産の贈与税を非課税にするには、持ち分を毎年、小分けにして贈与する必要がある 贈与額が2,500万円を超えると一律20%の贈与税がかかる

暦年贈与とは、年間110万円の控除額内であれば、毎年非課税で贈与できる方法です。不動産を非課税で贈与したい場合は、年間110万円ずつ土地建物の持ち分を贈与していくことになります。贈与が完了するまで、対象の不動産は贈与する人とされる人の共有財産です。

一方の相続時精算課税制度を利用すると、累計2,500万円までの贈与が非課税になります。年間の控除額は決まっておらず、合計2,500万円を超えない限りは課税されません。例えば1,000万円の土地を贈与する場合、相続時精算課税制度を利用したほうが一度で贈与の手続が済むため、手間がかかりません。

ただし、相続時精算課税制度では、不動産だけでなく預金や証券などの財産も計算に含まれます。贈与する財産が2,500万円を超えると、一律20.0%の贈与税が課されるため慎重に検討する必要があります。なお暦年贈与と相続時精算課税制度の併用や、途中からの変更はできません

参考:相続時精算課税制度とは何か?メリットやデメリットも全て解説!|税理士法人チェスター

参考:No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)|国税庁
参考:No.4402 贈与税がかかる場合|国税庁

2-1.暦年贈与で贈与税を計算する方法

暦年贈与は以下のとおり、一般贈与と特例贈与の2種類に分けられます。

不動産の贈与税計算方法-計算シミュレーションや贈与税がかからない方法

特例贈与・一般贈与で税率や控除額が異なる|税理士法人チェスター

どちらに該当するかで、計算に用いる税率や控除額が異なります。税率が低く控除額も高いのは特例贈与のほうです。

例えば、不動産を父から20歳以上の子へ贈与した場合や、祖父から20歳以上の孫へ贈与した場合は特例贈与に該当します。一方で、叔父から姪や、曾祖父からひ孫への贈与は特例贈与には該当しないため、一般贈与で税金を計算しましょう。贈与する人とされる人に家族関係がない場合も、一般贈与に該当します。

参考:暦年贈与に関する5つのポイント。みなし贈与と判定されてしまうリスクとは?|税理士法人チェスター

2-1-1.一般贈与財産を暦年贈与した場合の計算

一般贈与の場合は、以下の計算式で贈与税を計算します。

不動産の贈与税計算方法-計算シミュレーションや贈与税がかからない方法

一般贈与財産を暦年贈与した場合の贈与税計算式

一般贈与財産を暦年贈与した場合の税率と控除額は、以下のとおりです。

一般贈与財産を暦年贈与した場合の税率と控除額

基礎控除後の課税価格 税率 控除額
200万円以下 10%
300万円以下 15% 10万円
400万円以下 20% 25万円
600万円以下 30% 65万円
1,000万円以下 40% 125万円
1,500万円以下 45% 175万円
3,000万円以下 50% 250万円
3,000万円超 55% 400万円

参考:No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)|国税庁

贈与する建物の固定資産評価額が800万円の場合、基礎控除額を差し引くと690万円となります。上記の場合、1,000万円以下の税率や控除額が適用となるため、税率40%と控除額125万円を計算に用いましょう。

2-1-2.特例贈与財産を暦年贈与した場合の計算

特例贈与の場合は、以下の計算式で贈与税を計算します。

不動産の贈与税計算方法-計算シミュレーションや贈与税がかからない方法

特例贈与財産を暦年贈与した場合の贈与税計算式

特例贈与財産を暦年贈与した場合の税率と控除額は、以下のとおりです。

特例贈与財産を暦年贈与した場合の税率と控除額

基礎控除後の課税価格 税率 控除額
200万円以下 10%
400万円以下 15% 10万円
600万円以下 20% 30万円
1,000万円以下 30% 90万円
1,500万円以下 40% 190万円
3,000万円以下 45% 265万円
4,500万円以下 50% 415万円
4,500万円超 55% 640万円

参考:No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)|国税庁

贈与する土地の固定資産評価額が3,000万円の場合、基礎控除額を差し引くと2,890万円となります。上記の場合、3,000万円以下の税率や控除額が適用となるため、税率45%と控除額265万円を計算に用いましょう。

参考:贈与税の計算方法が簡単にわかる!? 贈与に絡む7つのポイント|税理士法人チェスター

2-2.相続時精算課税制度で贈与税を計算する方法

相続時精算課税制度を利用する場合は、以下の計算式で贈与税を計算します。

不動産の贈与税計算方法-計算シミュレーションや贈与税がかからない方法

▲相続時精算課税制度を利用した場合の相続税計算式

相続時精算課税制度を利用する場合、税率と控除額は以下のとおりです。

相続時精算課税制度を利用した場合の税率と控除額

基礎控除後の課税価格 2500万円以下 2500万円超
税率 20.0%
控除額

例えば、3,000万円の土地を贈与する場合、相続時精算課税制度を活用すれば2,500万円までは非課税で、2,500万円を超過した500万円には20%の相続税がかかります。

ただし、相続時精算課税制度は、贈与する人が生涯に贈与した財産の合計額が税金の対象となります。不動産以外にも預金やほかの財産も贈与している場合、2,500万円を超過した分すべてが課税対象となる仕組みです。

相続時精算課税制度を利用すると、毎年贈与税を支払う暦年贈与とは異なり、贈与した人が亡くなったあとに一度に税金がかかります。贈与税の支払い負担が大きいため、利用は慎重に検討しましょう。

3.土地の贈与税がかからないまたは安く抑えるための方法

土地の贈与税を抑えるための方法は、主に以下のとおりです。

土地の贈与税を抑えるための方法

  • 贈与に関する特例制度を利用する
  • 不動産の評価額が下がるのを待つ
  • 贈与に強い税理士に相談する

暦年贈与や相続時精算課税制度を活用するほかにも、贈与税を抑える方法があります。知らないと余計に贈与税を払うことになりかねないため、把握しておきましょう。

3-1.贈与に関する特例制度を利用する

贈与に関する以下の特例制度を利用すると、贈与税を抑えられます。

贈与に関する特例制度

  • 住宅取得等資金の非課税制度
  • 配偶者控除

特例制度には、一定の限度額や要件が設けられています。状況によっては利用できない場合もあるため、どのような人が適用対象となるのか確認しましょう。また、こうした特例制度を利用できるように贈与するのも、贈与税軽減のポイントです。

3-1-1.最大1,000万円まで非課税になる住宅取得等資金の非課税制度

住宅を贈与する際に、住宅取得等資金の非課税制度を適用できる場合があります。住宅取得等資金の非課税制度は、父母や祖父母から子どもまたは孫に対し住宅資金を贈与した場合、最大1,000万円までの贈与が非課税となる制度です。贈与した資金で新築、または増改築する家が省エネ基準に適合していれば最大1,000万円まで、適合していない場合は最大500万円までが非課税となります。

所有者が家を売却し、子どもや孫が新たに家を建てるために現金を贈与する場合に便利な制度です。また、増改築用の資金贈与にも適用できるため、家を贈与したあとにリフォームする場合も、住宅取得等資金の非課税制度を適用できる可能性があります。

適用条件は、以下のとおりです。

住宅取得等資金の非課税制度の適用条件

  適用条件
贈与する人 受贈者の父母または祖父母(直系尊属)
贈与を受ける人
  • 贈与者の子どもまたは孫(直系尊属)
  • 贈与を受けた年の1月1日で、18歳以上

※令和4年3月31日以前の贈与は20歳

  • 住宅取得等資金の非課税を今まで受けたことがない
  • 贈与を受けた年の合計所得金額が2,000万円以下

※新築する家の床面積が40~50平方メートル未満の場合は、1,000万円以下

  • 自分の配偶者や親族など一定の特別の関係がある人から住宅用の家屋の取得をしたものではない
  • またはこれらの人との請負契約などにより、新築もしくは増改築などをしたものではないこと。
  • 贈与時に日本国内に住んでいること

※贈与を受けたときに、日本国内に住所がない人であっても、一定の場合には、特例を適用できます。

  • 贈与を受けた年の翌年3月15日までに、住宅取得等資金の全額を充てて住宅用の家を新築または増築・改築すること
  • 贈与を受けた年の翌年3月15日までに対象の家を所有し、住むこと

上記の条件には、一部例外もあります。詳しくは以下国税庁のサイトでご確認ください。

参考:No.4508 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税|国税庁

特例を受けるには贈与のあった年の翌年2月1日から3月15日までの間に、所轄の税務署への申告が必要です。必要書類や申告書の記入方法は、近くの税務署へ問い合わせましょう。

参考:住宅資金贈与は最大3,000万円(※)が非課税に!贈与税の特例をわかりやすく解説|税理士法人チェスター

3-1-2.最大2,000万円までの配偶者控除

結婚して20年以上経過した夫婦間で居住用の家を贈与する場合、配偶者控除を適用できる可能性があります。

配偶者控除の申請に必要な書類

  • 贈与が完了したあと、10日以上経過してから作成された戸籍謄本または抄本
  • 贈与が完了したあと、10日以上経過してから作成された戸籍の附票の写し
  • 登記事項証明書または贈与を証明する書類

上記の書類を持参し、贈与の対象となった家を管轄する税務署へ申告しましょう。

参考:おしどり贈与で自宅を妻に贈る際の注意点と活用方法|税理士法人チェスター

参考:No.4452 夫婦の間で居住用の不動産を贈与したときの配偶者控除|国税庁

3-2.不動産の評価額が下がるのを待つ

不動産は築年数や環境の変化とともに、固定資産税評価額が下がるため、贈与税を抑えることが可能です。固定資産評価額は土地と建物どちらも、3年ごとに見直されます。

そのため、急いで贈与する必要がない場合は、ある程度年数を置いてから贈与するのも1つの方法です。しかし、ここ数年で固定資産税が高くなっている場合は、早めに贈与したほうが贈与税を抑えられる可能性が高くなります。

3-3.贈与に強い税理士に相談する

贈与に強い税理士に、節税の方法を相談するのもおすすめです。贈与税を最大限に抑える方法は、贈与の対象となる不動産の状況や家族構成、所有者の状況、資産などにより異なります。

例えば、相続時精算課税制度を活用すれば、非課税で不動産の贈与が可能です。しかし贈与した人が亡くなってからほかの財産が発見されて、課税対象が2,500万円以上あった場合、超過分には一律20%の贈与税が発生します。結果的に「暦年贈与したほうが贈与税を抑えられた」と後悔することは珍しくありません。

贈与税に強い税理士に相談すれば、将来的な贈与や相続も含めて最適な贈与方法を提案してもらえます。

4.1,000万円以上の土地・建物の贈与税をシミュレーション

実際に1,000万円以上の土地や建物を贈与したときに発生する税金をシミュレーションしてみましょう。状況別にどのような贈与方法が節税になるかも、ご自身で考えている贈与と照らし合わせて、参考にしてみてください。

4-1.合計1,800万円の土地を親からもらう場合の贈与税

合計1,800万円の土地を親から子どもへ贈与する場合、相続時精算課税制度を利用すると非課税で贈与可能です。相続時精算課税制度は2,500万円まで非課税となるため、土地以外にもあと700万円分の贈与は非課税となります。

暦年贈与をする場合は、1,800万円の土地を毎年110万円未満に分けて、持ち分を贈与し続ければ非課税です。ただしこの場合、1人の子どもに対して贈与が完了するまでに17年かかります。

一方、6年間300万円ずつ贈与することで手間を省けます。

その場合の計算式は以下のとおりです。

1,800万円の土地を300万円ずつ暦年贈与した場合の1年間の贈与税

(300万円ー110万円)×10%=19万円

※直系尊属間の贈与は以下のとおり特例贈与の税率が適用可能です。

特例贈与財産を暦年贈与した場合の税率と控除額

基礎控除後の課税価格

税率 控除額
200万円以下 10%
400万円以下 15% 10万円
600万円以下 20% 30万円
1,000万円以下 30% 90万円
1,500万円以下 40% 190万円
3,000万円以下 45% 265万円
4,500万円以下 50% 415万円
4,500万円超 55% 640万円

参考:No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)|国税庁

19万円が6年間続くため、合計114万円の贈与税となります。

なお贈与税の特例制度を利用せず、1,800万円の土地を一度に贈与した場合の贈与税は以下のとおりです。

1,800万円の土地を一度に贈与した場合の贈与税

(1,800万円ー110万円)×45%=760万円

760万円ー265万円(控除額)=495万円

6年間に分割して暦年贈与するよりも、贈与税が495万円も高くなるとわかります。

4-2.合計3,500万円の不動産を親戚からもらう場合の贈与税

合計3,500万円の不動産を親戚からもらう場合、相続時精算課税制度を利用すると2,500万円を超えた1,000万円分に20%の贈与税がかかります。

合計3,500万円の不動産に相続時精算課税制度を利用した場合の贈与税

1,000万円×20%=200万円

贈与税は200万円となりました。暦年贈与する場合は、3,500万円の土地を毎年110万円未満に分けて持ち分を贈与し続ければ非課税です。ただし、1人の子どもに対して贈与が完了するまでに32年もの歳月がかかります。

一方、700万円ずつ5年間贈与することで手間を省けます。

その場合の計算式は以下のとおりです。

3,500万円の不動産を700万円ずつ暦年贈与した場合の1年間の贈与税

(700万円ー110万円)×30%=177万円

177万円ー65万円(控除額)=112万円

※直系尊属間以外の贈与は以下のとおり一般贈与の税率を適用します。

一般贈与財産を暦年贈与した場合の税率と控除額

基礎控除後の課税価格 税率 控除額
200万円以下 10%
300万円以下 15% 10万円
400万円以下 20% 25万円
600万円以下 30% 65万円
1,000万円以下 40% 125万円
1,500万円以下 45% 175万円
3,000万円以下 50% 250万円
3,000万円超 55% 400万円

参考:No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)|国税庁

上記の場合、贈与完了までに5年かかるため贈与税の合計額は560万円(112万円×5年)です。仮に3,500万円の不動産を一度に暦年贈与する場合、贈与税は以下のとおりです。

3,500万円の土地を一度に贈与した場合の贈与税

(3,500万円ー110万円)×55%=1,864万5,000円

1,864万5,000円ー400万円(控除額)=1,465万5,000円

5年間にわけて暦年贈与するよりも、贈与税が905万5,000円も高くなるとわかります。

4-3.合計2,300万円の不動産を他人からもらう場合の贈与税

合計2,300万円の不動産を他人間で贈与する場合、相続時精算課税制度を利用すると非課税で贈与可能です。相続時精算課税制度は2,500万円まで非課税となるため、土地以外にもあと200万円分の贈与は非課税となります。贈与する人とされる人の間で今後贈与が発生せず、相続関係もない場合は、相続時精算課税制度の利用がより税金を抑えられる方法です。

一方、暦年贈与で非課税にする場合、2,300万円を21年に分けて110万円ずつ贈与する必要があります。仮に2,300万円を一度に暦年贈与した場合、計算式は以下のとおりです。

2,300万円の土地を一度に贈与した場合の贈与税

(2,300万円ー110万円)×50%=1,095万円

1,095万円ー250万円(控除額)=845万円

一度に贈与すると、不動産の35%以上の価額を支払う必要があります。相続時精算課税制度または暦年贈与の非課税枠をうまく活用して、相続税を抑えましょう。

※直系尊属間以外の贈与は以下のとおり一般贈与の税率を適用します。

一般贈与財産を暦年贈与した場合の税率と控除額

基礎控除後の課税価格 税率 控除額
200万円以下 10%
300万円以下 15% 10万円
400万円以下 20% 25万円
600万円以下 30% 65万円
1,000万円以下 40% 125万円
1,500万円以下 45% 175万円
3,000万円以下 50% 250万円
3,000万円超 55% 400万円

参考:No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)|国税庁

5.不動産を贈与・相続する際に気を付けるポイント

不動産を贈与・相続する際に気を付けるポイントは、主に以下のとおりです。

不動産を贈与・相続する際に気を付けるポイント

  • 贈与税の申告と支払いには期限がある
  • 贈与でない取引でも贈与税が発生する可能性あり
  • 共有財産の場合、不動産の取り扱いに注意

贈与が無事に完了したと思っても、あとで思わぬトラブルに見舞われることは少なくありません。贈与する前には、上記のような落とし穴となるポイントも押さえておきましょう。

5-1.贈与税の申告と支払いには期限がある

贈与税の申告と支払いは、贈与を受けた翌年の2月1日から3月15日の間に済ませましょう。上記期間を経過すると、申告がなかったとして、無申告加算税が発生します。無申告加算税は50万円まで15%、50万円以上の贈与には20%の割合で課されます。

無申告加算税が発生すると、贈与税がかからない特例も意味がありません。贈与税の申告方法を詳しく知りたい人は、以下の記事をご覧ください。

参考:贈与税申告書の書式・様式の入手場所と書き方のポイント|税理士法人チェスター

参考:相続税、贈与税の過少申告加算税及び無申告加算税の取扱いについて(事務運営指針)|国税庁

5-2.贈与でない取引でも贈与税が発生する可能性がある

贈与契約書を交わさず、形式上贈与ではない取引でも、贈与と判断される場合があります。代表的な例が、みなし贈与に該当する場合です。みなし贈与は、相続税法で以下のとおり定義されています。

相続税法

(贈与又は遺贈により取得したものとみなす場合)

第7条 著しく低い価額の対価で財産の譲渡を受けた場合においては、当該財産の譲渡があつた時において、当該財産の譲渡を受けた者が、当該対価と当該譲渡があつた時における当該財産の時価(当該財産の評価について第三章に特別の定めがある場合には、その規定により評価した価額)との差額に相当する金額を当該財産を譲渡した者から贈与(当該財産の譲渡が遺言によりなされた場合には、遺贈)により取得したものとみなす。

(引用:相続税法第7条及び第9条の適用範囲に関する一考察「2 研究の概要」|国税庁

わかりやすい例でいうと、親子間で不動産を固定資産評価額よりも極端に低い価格で売買した場合です。取引は売買の形を取っているものの、実際の取引価格と固定資産評価額の差額にはみなし贈与税が発生します。

また、贈与契約をせずに不動産を名義変更しただけの場合や、不動産が購入資金を出した人と異なる人の名義に変更された場合も、みなし贈与とされることがあります。

参考:親族間売買の注意点~売買が贈与税の対象になることも|税理士法人チェスター

5-3.共有財産の場合は取り扱いに注意

不動産を共有財産として複数の人が保有している場合は、取り扱いに注意しましょう。土地や家は2人以上に分割して贈与できます。また、暦年贈与の非課税枠を利用して少しずつ贈与していく場合、贈与が完了するまで不動産は贈与する人と受贈者の共有財産です。

さらに、贈与する土地が元々複数の人によって所有されている場合もあります。こうした場合は、不動産の持ち主が複数いるため、1人で勝手に売買したり贈与したりするとトラブルが起こり得ます。贈与をスムーズに完了させるためにも、共有財産の扱いに注意しましょう。

参考:共有名義の土地(共有財産)の相続について知っておきたいこと|税理士法人チェスター

5-3-1.自分の持ち分しか贈与はできない

元々土地や建物が複数人の所有物である場合、贈与できるのは自分の持ち分だけです。自分の所有割合がどのくらいあるのかは、登記簿謄本を確認しましょう。誤って自分が所有する割合を超えて贈与契約書を結んだり、勝手に不動産全体を贈与したりするとトラブルの原因になります。

契約が無効となった場合、贈与が白紙に返るため、不動産の名義と割合は事前によく確認しておきましょう。

5-3-2.2人以上に贈与する場合は持分を定めておく

2人以上に贈与する場合は、それぞれの持分をあらかじめ決めておきましょう。例えば、親から子ども2人に、暦年贈与で不動産を贈与すると仮定します。あらかじめそれぞれがどのくらいの割合を所有するのか決めておかないと、いざ家に住むとなった場合や贈与税を支払うときにトラブルの原因になってしまいます。

贈与をする人が一方的に割合を決めるのではなく、贈与される側の同意も得たうえで手続しましょう。

5-4.不動産の贈与時にかかるのは贈与税だけではない

不動産を贈与する際、かかるのは贈与税だけではありません。以下の税金も発生すると把握しておきましょう。

不動産を贈与する際にかかる税金

  • 不動産取得税
  • 登録免許税

不動産取得税は固定資産評価額に対して原則4.0%ですが、2024年3月31日の取得までは3.0%の軽減措置が取られています。また、登録免許税は固定資産評価額に対して0.4〜2.0%課されます。詳しくは以下の記事をご覧ください。

参考:相続登記に必要な登録免許税の計算方法・納付方法を解説|税理士法人チェスター

参考:不動産取得税|東京都主税局

6.不動産の贈与税計算が複雑で不安が残るなら税理士へ相談

不動産の贈与税は、状況によって計算方法が異なります。自分で計算するのに不安のある人は、ぜひ税理士法人チェスターへご相談ください。相続税に関するお悩みがある人は、相続問題に特化した税理士が、さまざまな疑問にお答えします。

不動産の登記移転や名義変更などの手続は、司法書士法人チェスターへ。あわせて遺言書の作成や遺産分割協議などのご相談も可能です。

万が一相続人同士でトラブルが起きてしまった場合は、CST法律事務所へご相談ください。このように、チェスターグループであれば、相続の疑問や不安をさまざまな形で解決可能です。まずはお気軽にお問い合わせください。

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