相続税の申告・相談なら年間申告実績3,000件超の
相続専門集団におまかせ

ロゴ

相続税の税理士法人チェスター

相続税の税理士法人チェスター

年間相続税申告件数 3,076件(令和7年実績) 業界トップクラス

年間相続税
申告件数

3076

業界トップ
クラス

【全国21拠点】
各事務所アクセス»

初回面談ご希望のお客様

0120-888-145

電話受付時間:9〜20時(土日祝も対応可)

全国21拠点

アクセスはこちら

土地の相続税を節税する方法一覧|相続開始後でも使える特例も解説

土地の相続税を節税する方法一覧|相続開始後でも使える特例も解説

土地を相続することになったとき、気になるのが「相続税の負担が重くならないか」ではないでしょうか。

相続税の負担を軽減する方法として代表的なのが「生前贈与」です。贈与税の非課税枠(年間110万円)や特例措置を活用して生前に財産を移転することで、相続財産が減り、相続税の負担を軽減する効果が期待できます。

すでに相続が開始されている場合でも諦める必要はありません。小規模宅地等の特例や減額補正を適用することで相続税を抑えられる可能性があるためです。

この記事では、土地の相続が開始されたあとでも間に合う節税の方法や生前にできる対策などを、相続税専門の税理士が解説します。

この記事の目次 [表示]

1.土地にかかる相続税の節税を考える際の基礎知識

通常、相続税を計算する際は、相続開始時点の時価で相続財産を評価して「相続税評価額」を求めます。

しかし、土地などの不動産は時価を把握することが難しい財産です。そこで、土地の時価を統一的に算出するため、路線価方式や倍率方式による評価が認められています

土地にかかる相続税の負担を軽くするには、この相続税評価額を適切に下げることが重要です。そのためには、土地の評価方法や相続税の計算方法を理解しておくことが欠かせません。

以下では、土地の評価方法と、相続税が発生するケースを解説します。

なお、相続税の計算の全体像について詳しくは下記記事で解説していますので、あわせてご覧ください。

参考:相続税の計算方法を解説!具体例・シミュレーションソフト付き!

1-1.土地の評価方法には路線価方式と倍率方式の2種類がある

土地の相続税評価額は「路線価方式」または「倍率方式」で算出します。それぞれの計算方法と対象となる土地は、以下のとおりです。

 計算方法対象となる土地
路線価方式路線価×各種補正率×地積路線価が定められた市街地(都市部の住宅地・商業地など)
倍率方式固定資産税評価額×評価倍率路線価が定められていない地域(郊外や農村部など)

路線価方式で用いる「路線価」は、国税庁が毎年7月に公表しており、「財産評価基準書(路線価図・評価倍率表)」で確認できます。

この路線価図には、路線価が1㎡あたり1,000円単位で表示されています。たとえば、ある道路に「800C」と記載されている場合、1㎡あたりの路線価は「800×1,000円=80万円」です。

数字の後ろのアルファベット(AやCなど)は、借地権割合(土地を借りて利用する権利に相当する割合)を示しています。

また、路線価方式では、土地の奥行や形状などに応じた各種の補正率をかけて評価額を調整します。使いにくい土地は補正により評価額が下がり、反対に利便性が高い場合は引き上げられる仕組みです

一方、倍率方式で用いる「固定資産税評価額」は、毎年市区町村から送られる「固定資産税納税通知書(課税明細書)」で確認できます。評価倍率は、路線価と同様に国税庁の「財産評価基準書(路線価図・評価倍率表)」で調べられます。

土地の評価を自分で計算する方法について詳しくは以下で解説していますので、あわせてご覧ください。

参考:相続税の土地評価を自分で計算する方法を解説【初心者向け】

1-2.遺産総額が基礎控除以下であれば相続税はかからない

相続税には「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で計算される基礎控除があります。正味の遺産総額が基礎控除額の範囲内であれば相続税はかからず、申告も原則として不要です

それぞれの用語の意味は、以下のとおりです。

  • 法定相続人:配偶者は常に相続人となり、血族は子、直系尊属、兄弟姉妹の順で相続人となる
  • 正味の遺産総額:預貯金や不動産、課税対象の死亡保険金などを合計し、非課税財産、借入金などの債務、葬式費用を差し引いたうえで一定期間内の生前贈与などを加えた金額

基礎控除額は、法定相続人の数によって変わります。たとえば、法定相続人が配偶者と子2人の合計3人であれば、基礎控除額は「3,000万円+600万円×3人=4,800万円」です。

法定相続人の数と基礎控除額の計算方法

遺産総額が基礎控除額を上回った場合、超えた部分に対してのみ相続税が課税されます。相続税対策の検討が必要になるのは、土地を含む遺産総額が基礎控除を超えそうな人といえます

ただし、「小規模宅地等の特例」や「配偶者の税額軽減」といった相続税の負担を軽減する特例・税額控除を適用して税額がゼロになる場合は申告が必要です。

2.相続開始後でもできる土地の相続税の節税方法

被相続人が亡くなったあとでも、申告期限までに土地の評価方法を見直したり特例を適用したりすることで、相続税を抑えられる余地があります。

相続開始後でもできる主な節税方法は、以下のとおりです。

〇相続開始後でもできる主な節税方法

  • 土地の形状や状況に応じて適切に評価する
  • 小規模宅地等の特例を適用する
  • 配偶者の税額軽減など各種の税額控除を適用する
  • 土地の分け方を工夫する
  • 土地の取得者を工夫する

以下では、それぞれの方法を詳しく解説します。

2-1.土地の形状や状況に応じて適切に評価する

土地の形状や利用状況に応じた補正を反映することで、相続税評価額を下げられる可能性があります。減額補正が適用されやすい土地の例は、以下のとおりです。

〇評価額を下げられる可能性がある土地の例

  • 不整形地(正方形や長方形ではないいびつな形の土地)
  • 間口が狭い土地や奥行が長い土地
  • がけ地・傾斜地
  • 道路に面していない土地
  • 前面道路の幅が4m未満でセットバック(道路用地の後退)が必要な土地
  • 地積規模の大きな宅地
  • 高圧線の下にある土地
  • 騒音・振動・土壌汚染・墓地への隣接など環境要因のある土地

同じ土地でも、減額要因を反映するかどうかで、評価額が数百万円単位で変わる場合もあります

ただし、減額補正の適用可否を判断するには、税理士による現地調査や役所での調査が必要となるケースも少なくありません。

土地の評価に専門知識がないと、本来使える減額補正を見落とし、必要以上に相続税を納める可能性があります。反対に、誤った補正を適用して過少申告となると、ペナルティの対象になる可能性もあります。

そのため、土地の形状や状況に応じた補正を用いて適切に評価したいときは、相続税専門の税理士に相談するのがよいでしょう。

税理士法人チェスターでは、相続発生後の相続税申告に関する初回面談を無料で受け付けています。お気軽にお問い合わせください

2-2.小規模宅地等の特例を適用する

亡くなった人の自宅や事業に利用していた建物がある土地を相続した場合は、「小規模宅地等の特例」を適用できると相続税評価額を最大80%減額できます

小規模宅地等の特例とは、一定の要件を満たす宅地等の相続税評価額を区分に応じた割合で減額できる制度のことです。区分ごとの限度面積と減額割合は、以下のとおりです。

区分限度面積減額割合
特定居住用宅地等330㎡80%
特定事業用宅地等400㎡80%
貸付事業用宅地等200㎡50%

出典:国税庁「No.4124 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)

亡くなった人の自宅の土地(特定居住用宅地等)を配偶者が取得する場合は、取得者ごとの要件がありません。対象となる宅地等の要件を満たし、所定の申告手続きを行うことで適用を受けられます。

一方、同居していた親族や別居していた親族が取得する場合は、以下の要件を満たす必要があります。

〇同居・別居していた親族が特例を適用するための主な要件

  • 同居していた親族:相続開始の直前から相続税の申告期限まで引き続きその建物に居住し、かつ、その宅地等を相続開始時から相続税の申告期限まで保有している場合
  • 別居していた親族(家なき子特例):亡くなった人に配偶者がおらず、その自宅に同居していた相続人もいない、相続開始前3年以内に自分・配偶者・3親等内の親族などが所有する国内の家屋に住んでいない、などの所定の要件をすべて満たす場合

なお、被相続人が老人ホームなどに入居していた場合でも、一定の要件を満たすと特例を適用できます。

小規模宅地等の特例について詳しくは以下で解説していますので、あわせてご覧ください。

参考:【小規模宅地等の特例】相続税評価額を最大80%減額!適用要件・計算方法を解説

2-3.配偶者の税額軽減など各種の税額控除を適用する

算出された相続税額から直接一定額を差し引ける「税額控除」を適用して、税負担を軽減できる場合もあります。主な税額控除は、以下のとおりです。

控除の種類内容
配偶者の税額軽減配偶者が取得した財産のうち「1億6,000万円」または「配偶者の法定相続分相当額」のいずれか多い金額まで相続税がかからない制度
未成年者控除相続人が18歳未満の未成年者である場合に、18歳に達するまでの年数1年につき10万円を相続税額から控除する制度
障害者控除相続人が障害者である場合に、85歳に達するまでの年数1年につき一般障害者は10万円、特別障害者は20万円を相続税額から控除する制度
相次相続控除今回の相続開始前10年以内に、今回の被相続人が前回の相続で財産を取得し、相続税を課されていた場合に適用できる制度。今回の被相続人の相続人は、一定額を今回の相続税額から控除できる
贈与税額控除生前贈与加算(相続開始前3年以内の贈与を相続財産に加算する扱い)の対象財産について、贈与時に支払済みの贈与税を相続税額から控除し、二重課税を調整する制度

とくに、亡くなった人の配偶者は「配偶者の税額軽減」を適用することで、最低1億6,000万円までの遺産に相続税がかからなくなるため、税負担を大幅に軽減する効果が期待できます。

ただし、配偶者に財産を集中させすぎると、その配偶者が亡くなったときの二次相続で税負担が増える可能性があります。配偶者と子が相続したあと、子だけが二次相続する一般的なケースでは、法定相続人が1人減って基礎控除額が下がるうえ、配偶者の税額軽減も使えないためです。

相続税対策を進める際は、税理士にも相談のうえ、一次相続と二次相続の合計税額をシミュレーションしてから遺産の分割方法を検討しましょう。

二次相続を見据えた対策について詳しくは以下で解説していますので、あわせてご覧ください。

参考:二次相続対策とは?3つの具体例と節税シミュレーションで解説

2-4.土地の分け方を工夫する

遺産分割における土地の分け方によって、相続税評価額が変わる場合があります。宅地の相続税評価額は、「一筆(土地登記の1単位)」ではなく、実際の利用単位である「1画地」ごとに算出するためです。

複数の相続人が土地の異なる部分を取得した場合は、原則として各部分を別の画地として評価します。

そこで、相続の際に土地を物理的に分けてそれぞれを登記する「分筆」をするのも1つの方法です。

たとえば、宅地を2筆に分筆したことで一方がいびつな形になった場合は、不整形地補正を適用して、分筆前より全体の評価額を下げられる可能性があります。

ただし、分筆をしても評価額や相続税額が必ずしも下げられるわけではありません。また、節税のみを目的とした不合理な分割は、税務署に否認されるリスクがあります。

土地の使い勝手や将来の売却のしやすさにも影響する判断が難しい領域であるため、事前に土地の評価に詳しい税理士へ相談しましょう。

2-5.土地の取得者を工夫する

土地を取得する人によっても相続税の総額は変わり得ます。取得者に応じて、適用できる特例や税額控除に違いがあるためです。

被相続人の配偶者が宅地を相続する場合、小規模宅地等の特例には取得者ごとの要件が設けられていません。そのため、比較的容易に適用できるでしょう。

しかし、配偶者の税額軽減により相続税がかからなくなるケースが多く、特例をあわせて適用しても節税効果はあまり得られない可能性があります。

また、配偶者が亡くなって二次相続が発生した際は一次相続で承継された土地も課税対象となります。土地を引き継ぐ相続人が小規模宅地等の特例を適用できない場合、一次相続と二次相続を合計した税負担が過大になりかねません。

そこで、一次相続であえて配偶者ではなく同居していた子が自宅の土地を取得し、小規模宅地等の特例を適用するのも1つの方法です。

配偶者が一次相続で取得する財産が少なくなる分だけ二次相続の課税対象も減り、特例も効果的に活用されることで、トータルでの税負担を軽減する効果が期待できます。

とはいえ、特例を適用できるかどうかを適切に判断し、二次相続まで含めた税額を試算するには、税務に関する専門知識と資格が必要です。誰に土地を取得させるかを決める際も、税理士に相談するのがよいでしょう。

3.生前にできる土地の相続税対策

相続税対策は相続が開始されたあとでもできますが、選択肢が限られるため、可能であれば生前から進めておくのがよいでしょう。

生前にできる主な対策は、以下のとおりです。

〇生前にできる主な相続税対策

  • 小規模宅地等の特例の要件を満たせるようにする
  • 賃貸物件を建てて貸家建付地として評価を下げる
  • 土地を貸して貸宅地として評価を下げる
  • 生前贈与で計画的に財産を移転する
  • 相続時精算課税制度を利用して贈与する
  • 利用する予定のない土地は売却して資産を組み替える

以下では、それぞれの対策を詳しく解説します。

3-1.小規模宅地等の特例の要件を満たせるようにする

小規模宅地等の特例を適用するためには、所定の要件を満たさなければなりません。生前に要件を確認して満たせる状態にしておくことで、相続時に特例を適用しやすくなります

たとえば、生前に子が親と同居するのも1つの方法です。特定居住用宅地等の要件は、別居していた親族よりも同居していた親族のほうが満たしやすいためです。

別居していた親族が特例を適用する場合は、自己が所有する家屋に住んでいないなど、いわゆる「家なき子特例」の厳しい要件を満たさなければなりません。

一方、同居していた親族であれば、相続の開始前から住宅に住んでおり、相続税の申告期限まで居住と保有を継続していれば、取得者ごとの要件を満たすことができます。

ただし、住民票を移すのみの形式的な同居は、同居親族として認められません。同居の実態は個別に判断されるため、特例の適用要件を満たせるかどうかは相続税専門の税理士に相談しましょう。

3-2.賃貸物件を建てて貸家建付地として評価を下げる

同じ土地でも、更地のまま相続するより、アパートやマンションなどを建てて相続開始時に実際に賃貸していると、評価額が低くなる可能性があります。借家権の目的となっている貸家の敷地は「貸家建付地」として評価されるためです。

貸家建付地には借家人(部屋を借りている人)がいるため、所有者であっても建物の取り壊しや土地の売却を自由にはできません。

利用が制限される分、貸家建付地は自用地(所有者自身が利用する土地)よりも低く評価されます。評価額の計算式は、以下のとおりです。

  • 貸家建付地の評価額=自用地評価額×(1-借地権割合×借家権割合×賃貸割合)

自用地評価額に乗じる3種類の割合は、それぞれ以下の内容を指します。

〇計算式で用いる3種類の割合

  • 借地権割合:土地を借りて利用する権利に相当する割合。路線価図で確認できる
  • 借家権割合:建物を借りて利用する権利に相当する割合。全国一律30%
  • 賃貸割合:建物の全床面積のうち、実際に賃貸している部分の割合

仮に借地権割合が70%、賃貸割合が100%の場合、貸家建付地の評価額は、自用地評価額の8割弱となります

建物についても、貸家にした場合は評価額が下がります。評価の計算式は、以下のとおりです。

  • 貸家の建物の評価額=固定資産税評価額×(1-借家権割合×賃貸割合)

固定資産税評価額は、建築費の5~7割程度になるのが一般的です。

たとえば、手持ちの資金を賃貸物件の建築費にあてたとしましょう。借家権割合が30%で賃貸割合が100%の場合、相続税評価額を4割程度まで圧縮できる可能性があります

ただし、一時的な空室として賃貸中と扱われる部分を除き、空室が多いと賃貸割合が下がるため、税負担の軽減効果が薄れてしまうでしょう。また、家賃収入を得ると現金が貯まり、相続財産がかえって増える可能性があるなど、さまざまな注意点があります。

貸家建付地の評価について詳しくは以下で解説していますので、あわせてご覧ください。

参考:貸家建付地の相続税評価とは?計算方法と併用できる特例を解説

3-3.土地を貸して貸宅地として評価を下げる

賃貸物件を建てずに、土地そのものを第三者に貸すことでも評価額を下げる効果が期待できます。借地権が設定された土地は「貸宅地」として評価され、「自用地評価額」から借地権割合の分が控除されるためです。計算式は以下のとおりです。

  • 貸宅地の評価額=自用地評価額×(1-借地権割合)

借地権割合は60~70%に設定されるケースが多く、該当する場合は評価額が自用地評価額の3~4割程度まで下がる傾向にあります。

ただし、土地を無償で貸す「使用貸借」の場合は自用地として評価されるため評価減は受けられません。また、一度土地を貸したあとは返還が容易ではなくなり、売却や建て替えなどの自由な処分ができなくなる点にも注意が必要です。

貸宅地の評価について詳しくは以下で解説していますので、あわせてご覧ください。

参考:貸宅地の相続税評価

3-4.生前贈与で計画的に財産を移転する

相続財産そのものを生前に減らしていく「暦年贈与」をする方法もあります。暦年贈与は、贈与税の基礎控除である年110万円の範囲内で、毎年財産を贈与していく方法です。

預貯金や評価額が低い土地などの財産を毎年少しずつ移転することで、相続財産を着実に減らしていき、相続税の負担を軽減する効果が期待できます

ただし、相続開始前の一定期間内の贈与は「生前贈与加算」として相続財産に足し戻される場合があります。

そこで、一定の要件を満たす場合にまとまった金額を非課税で贈与できる特例を利用することも検討しましょう。令和8年(2026年)7月現在で利用できる主な特例は、以下のとおりです。

特例の種類内容
住宅取得等資金の贈与子や孫が父母や祖父母から、自分が住む住宅の新築・購入・増改築に充てる資金の贈与を受けた場合に、省エネ等住宅は1,000万円、それ以外の住宅は500万円まで非課税になる制度
※令和8年(2026年)12月末まで
結婚・子育て資金の一括贈与18歳以上50歳未満の子や孫が父母や祖父母から結婚や子育てのための資金の一括贈与を受けた場合に、1,000万円(結婚資金は300万円)まで非課税になる制度
※令和9年(2027年)3月末まで
贈与税の配偶者控除(おしどり贈与)婚姻期間20年以上の夫婦間で居住用不動産や購入資金を贈与した場合に、基礎控除の年110万円とは別に最高2,000万円まで控除できる制度

なお、子や孫への教育資金の一括贈与が1,500万円まで非課税になる「教育資金の一括贈与の非課税措置」もありましたが、新規の適用は令和8年(2026年)3月末で終了しました。

各特例の非課税限度額や適用期限は税制改正で変わるため、利用前に最新の制度内容を確認しましょう。

生前贈与加算について詳しくは以下で解説していますので、あわせてご覧ください。

参考:【2023年】生前贈与が税制改正!3年から7年へ加算期間が延長。その内容とは?

3-5.相続時精算課税制度を利用して贈与する

「相続時精算課税制度」を利用した場合、特別控除額2,500万円まで贈与税が課されることなく何度でも財産を生前贈与できます

令和6年(2024年)からは、相続時精算課税制度にも年110万円の基礎控除が新設されました。基礎控除内の贈与は生前贈与加算の対象になりません

相続時精算課税制度の仕組み

贈与者が亡くなったときは、原則として年110万円の基礎控除後の贈与財産の価額を相続財産に加算して相続税を計算します。

加算される金額は、財産が贈与された時点での価額で判定される仕組みです。この制度を利用して値上がりが見込まれる土地を早めに贈与すると、値上がり分は相続税の課税対象外となり、そのまま相続した場合よりも税負担を軽減できる可能性があります。

アパートなどがある貸家建付地や貸宅地、駐車場がある土地などを移転することで、受け取った人が賃料収入を得られるようにすることも可能です。

ただし、相続時精算課税制度を一度選択したあとは、同じ贈与者からの贈与を暦年贈与に戻せません。土地の贈与には登録免許税や不動産取得税がかかるほか、相続税を計算する際に小規模宅地等の特例が適用できなくなる点にも注意が必要です。

相続時精算課税制度について詳しくは以下で解説していますので、あわせてご覧ください。

参考:相続時精算課税制度とは?仕組み・メリット・デメリットも解説

3-6.利用する予定のない土地は売却して資産を組み替える

利用する予定のない土地でも、所有している間は固定資産税が毎年かかり、草刈りなどの管理の手間も続きます。加えて、居住や事業に利用していない土地は、相続発生時に小規模宅地等の特例や、貸家建付地・貸宅地としての評価減も受けられません。

そこで、利用していない土地を生前に売却して現金化したり資産を組み替えたりすることも検討するとよいでしょう

たとえば、土地の売却代金と手持ちの資金をもとに新たに賃貸物件を取得し、相続開始時に実際に賃貸していれば、その敷地を貸家建付地として評価でき、税負担を軽減できる可能性があります。

売却代金のまま置いておき、相続税の納税資金を確保するのも1つの方法です。

注意したいのは、売却益が出た場合はその譲渡所得に所得税・復興特別所得税・住民税(いわゆる譲渡所得税)がかかる点です。

土地を売却するか持ち続けるかは、相続税のみでなく譲渡所得税なども含めた総額で判断しましょう。

4.1億2,000万円の土地を相続した場合の節税効果をシミュレーション

ここで、土地を相続した場合の節税効果をシミュレーションで確認してみましょう。

以下では、1億2,000万円の自宅の土地を相続したケースを例に、小規模宅地等の特例を適用した場合と適用しない場合の税額を試算します。

【例】父と同居していた長男が自宅の土地・建物を、長女が預貯金3,000万円を取得するケースを考えます。

前提条件は、以下のとおりです。

〇試算の前提条件

  • 被相続人:父(母はすでに他界)
  • 法定相続人:長男と長女の2人
  • 相続財産:自宅の土地1億2,000万円、自宅の建物5,000万円、預貯金3,000万円(遺産総額2億円)

自宅の土地は330㎡以内であり、同居していた長男が建物とあわせて取得するため、特定居住用宅地等として小規模宅地等の特例の要件を満たすものとします。預貯金3,000万円はすべて長女が取得します。

特例を適用したあとの土地の評価額を算出
まず、小規模宅地等の特例を適用したあとの土地の評価額を求めます。特定居住用宅地等は評価額が80%減額されるため、計算は次のとおりです。

  • 土地の評価額(特例適用後):1億2,000万円×(1-0.8)=2,400万円

基礎控除額と課税される遺産総額を算出
次に「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で基礎控除額を求め、課税価格の合計額から差し引いて課税遺産総額を求めます。

  • 課税価格の合計額:2,400万円+5,000万円+3,000万円=1億400万円
  • 基礎控除額:3,000万円+600万円×2人=4,200万円
  • 課税遺産総額:1億400万円-4,200万円=6,200万円

よって、6,200万円を基準として相続税が計算されます。

相続税の総額を算出
相続税の計算では、課税遺産総額を各相続人が法定相続分どおりに取得したと仮定して税額を求め、それらを合計して総額を算出します。

今回の例では、課税遺産総額6,200万円を法定相続分(各2分の1)で分けた場合、各人の取得金額は1人あたり3,100万円です。この取得金額に税率をかけ、控除額を差し引いて各人の税額を算出します。

取得金額3,100万円に対する相続税率は20%、控除額は200万円です。したがって、各相続人の仮の税額と相続税の総額は次のように計算されます。

  • 長男:3,100万円×20%-200万円=420万円
  • 長女:3,100万円×20%-200万円=420万円
  • 相続税の総額:長男420万円+長女420万円=840万円

各人の納税額を算出
相続税の総額840万円を、実際の取得割合(長男:土地2,400万円+建物5,000万円=7,400万円・長女:預貯金3,000万円)で按分します。

  • 長男の納付税額:840万円×(7,400万円÷1億400万円)=597万6,900円(100円未満切り捨て)
  • 長女の納付税額:840万円×(3,000万円÷1億400万円)=242万3,000円(100円未満切り捨て)

長男と長女をあわせた納付税額は839万9,900円です。

特例を適用しない場合の税額を算出
次に、小規模宅地等の特例を適用しない場合の税額を計算します。土地を減額前の1億2,000万円のまま課税価格に含めるほかは、特例を適用した場合と同じ手順です。

  • 課税価格の合計額:1億2,000万円+5,000万円+3,000万円=2億円
  • 基礎控除額:3,000万円+600万円×2人=4,200万円
  • 課税遺産総額:2億円-4,200万円=1億5,800万円

課税遺産総額1億5,800万円を法定相続分(各2分の1)で仮に分けた場合、1人あたり7,900万円になります。

この取得金額7,900万円に対する相続税率は30%、控除額は700万円のため、各相続人の仮の税額と相続税の総額は次のように計算されます。

  • 長男:7,900万円×30%-700万円=1,670万円
  • 長女:7,900万円×30%-700万円=1,670万円
  • 相続税の総額:長男1,670万円+長女1,670万円=3,340万円

相続税の総額3,340万円を、実際の取得割合(長男:土地1億2,000万円+建物5,000万円=1億7,000万円・長女:預貯金3,000万円)で按分すると、各人の納税額は次のとおりです。

  • 長男の税額:3,340万円×(1億7,000万円÷2億円)=2,839万円
  • 長女の税額:3,340万円×(3,000万円÷2億円)=501万円

小規模宅地等の特例を適用した場合の相続税の総額は840万円、適用しない場合は3,340万円で、差額は2,500万円にのぼります。

1人ずつ比較すると、特例を適用できると長男の納税額は約2,241万3,000円、長女は約258万7,000円も軽減できる計算です。

同じ土地を相続しても、特例を適用することができれば税負担を大幅に軽減できる可能性があります。

不動産の相続税の計算方法について詳しくは以下で解説していますので、あわせてご覧ください。

参考:不動産の相続税はいくら?計算方法や手続き・相続税対策を解説

5.土地の相続税対策で注意すべきポイント

土地の相続税対策には税負担を軽減する効果が期待できる一方で、以下のような注意点があります。

〇土地の相続税対策で注意すべきポイント

  • 行き過ぎた節税は税務署から否認されるリスクがある
  • 賃貸経営には空室や修繕費などの事業リスクがある
  • 節税のみを優先すると遺産分割や納税資金に支障が出る場合がある

以下では、それぞれの注意点を解説します。

5-1.行き過ぎた節税は否認されるリスクがある

「相続税の裏ワザ」と呼べるような、魔法のように税額を減らす方法は存在しません。節税目的の行き過ぎた対策は、税務署から否認され、追徴課税を受けるおそれがあります

令和4年(2022年)には、多額の借入金で賃貸用不動産を購入し、相続税負担を大きく減らした事例について、「財産評価基本通達6項」(総則6項)にもとづき、路線価方式での評価が著しく不当であるとされた最高裁判決が出ています。

この判決により、税務署側が主張した不動産鑑定評価額が課税価格の基礎として採用され、2億円以上もの追徴課税が課せられました。

また、前述のとおり、現実の利用状況を無視した著しい細分化など節税のみを目的とした不合理な分割も否認の対象になり得ます。

そのため、相続税対策を進める際は、適切な減額補正の反映や小規模宅地等の特例の適用など、堅実な方法を重ねることが重要です

補正の有無や特例の要件、否認されるリスクの有無などを税理士へ確認しておくことで、追徴課税を受ける事態も避けやすくなるでしょう。

5-2.賃貸経営にはリスクがある

アパートやマンションの建築による節税は、評価額の圧縮効果が期待できる一方で、以下のような賃貸経営そのものの事業リスクをともないます

 内容
空室リスク
  • 空室が発生して家賃収入が減ると、管理費や固定資産税などの支出がそれを上回り、持ち出しが発生して相続財産が目減りするおそれがある
  • 一時的な空室として賃貸中と扱われる部分を除き、相続時の空室状況によっては、賃貸割合が下がり、評価額の軽減効果も小さくなる可能性がある
修繕・老朽化リスク
  • 築年数の経過にともない、大規模修繕や設備交換の費用が増える場合がある
  • 十分な資金を残さず相続すると、相続人が多額の修繕費を負担することも
借入金返済リスク
  • 金利上昇や家賃収入の減少により、ローン返済が経営を圧迫するおそれがある
  • 相続人が不動産と借入金も相続する場合、返済負担が引き継いだ人の家計を圧迫しかねない

節税できた金額を上回る経営の損失が出てしまっては本末転倒です。賃貸経営である以上、安定した家賃収入を得られる物件を選ぶことが重要である点に変わりはありません。

そのためには、エリアの人口や人口増加率、周辺の空室率や家賃相場などを踏まえて、物件を取得するかどうかを慎重に検討する必要があります

また、アパートやマンションなどを建てたあとは、家賃収入を得たことで現金・預貯金が増えて、相続財産が増加する可能性があります。

生前に子や孫などへ資産を移転する方法や、相続時精算課税制度で値上がり益が期待できる物件を贈与する方法も検討しましょう。

5-3.節税のみを優先すると遺産分割や納税資金に支障が出ることも

評価額を下げることのみを目的に対策を進めた場合、分けにくい財産が増えることで遺産分割のトラブルや納税資金の不足を招きかねません

たとえば、相続人が複数いるなかで相続財産の大半を不動産が占めることになった場合、遺産を公平に分割するのが難しくなる可能性があります。

不動産を取得する人がほかの相続人へ代償金を支払って清算する方法もありますが、実行するには引き継ぐ人に相応の資金力が必要です。

やむを得ず土地を共有で相続した結果、売却や活用の方針をめぐって相続人同士が対立する場合もあります。

また、相続税は原則として現金での一括納付です。財産の大半が不動産であると納税資金が不足し、相続した土地の売却を迫られるかもしれません。

節税効果だけでなく、遺産の分け方や納税資金の準備まで考えて相続対策を進めるためにも、検討の際は相続税専門の税理士に相談しましょう

6.土地の相続税に関するQ&A

最後に、土地にかかる相続税についてよく寄せられる質問に回答します。

6-1.相続するなら土地と現金のどちらが有利ですか?

土地と現金のどちらが有利かは、一概には言えません。税負担の軽減効果では土地が有利になりやすい一方、納税資金の準備や遺産分割のしやすさといった面では現金に利点があるためです

土地を路線価方式で評価する場合、相続税評価額は時価の8割程度となります。形状や状況に応じた減額補正、小規模宅地等の特例などを適用すると、評価額をさらに抑えることが可能です。

一方で換金性が低く、相続人の間で分けにくい点はデメリットといえます。納税資金を準備したいときや、より公平に遺産分割をしたいときは、現金で相続するほうがよいといえます。

税負担の軽減と納税や分割のしやすさのどちらを優先するのかを考え、どのような形で遺産を相続するのか、専門家にも相談のうえ慎重に検討しましょう。

土地と現金の相続の比較について詳しくは以下で解説していますので、あわせてご覧ください。

参考:相続は現金と不動産(土地)のどっちが得?メリット・デメリットを解説

6-2.申告したあとでも土地の評価を見直して相続税の還付を受けられますか?

相続税を多く申告していた場合、法定申告期限(相続の開始があったことを知った日の翌日から10か月以内)から5年以内であれば「更正の請求」によって税額の減額を求めることができます

更正の請求は、申告した税額が本来よりも過大だった場合に、税額の減額を税務署へ求める手続きです。請求内容が認められると納めすぎた相続税の還付を受けられます。

すでに相続税を申告したあとで評価額が高すぎると感じたときは、土地の評価に強い税理士に再評価を依頼し、必要に応じて更正の請求をしてもらう方法もあります。

相続税還付について詳しくは以下で解説していますので、あわせてご覧ください。

参考:【相続税還付とは】期限は5年以内!払いすぎる原因・デメリットも解説

6-3.相続した土地を売却する予定がある場合も小規模宅地等の特例は適用できますか?

相続人が申告期限前に土地を売却した場合、取得者や土地の区分によっては小規模宅地等の特例を適用できなくなります

たとえば、被相続人の自宅の土地を配偶者以外の同居親族が取得する場合は、申告期限までの間に売却すると、要件を満たせなくなり特例の対象外となってしまいます。

相続した土地の売却を予定している場合は、事前に相続税専門の税理士に相談し、特例を適用できるかどうかを確認しましょう。

7.土地の相続税の節税は相続税専門の税理士に相談を

土地にかかる相続税は、減額補正を適切に反映したうえで、小規模宅地等の特例を適用したり分け方を工夫したりすることで、負担を軽減できる可能性があります。

一方で、税務の専門知識がない人が、減額補正や特例などを適切に反映して相続税の申告をするのは容易ではありません。相続税対策を検討している場合は、相続税専門の税理士に相談することをおすすめします。

税理士法人チェスターは、相続税申告を専門とする税理士法人です。令和7年度(2025年度)の年間申告実績は3,076件、累計申告件数は19,000件超と業界トップクラスを誇ります。

また、国税OBが率いる審査部による申告前の確認に加え、税理士がお墨付きを与える「書面添付制度」もすべての申告書へ標準で適用しています。これにより、申告ミスが起きにくくなり、税務調査を受けるリスクも抑えられるため、安心してご利用いただけます。

土地の評価や節税でお悩みの方は、税理士法人チェスターへお問い合わせください

※この記事は専門家監修のもと慎重に執筆を行っておりますが、万が一記事内容に誤りがあり読者に損害が生じた場合でも当法人は一切責任を負いません。なお、ご指摘がある場合にはお手数おかけ致しますが、「お問合せフォーム→掲載記事に関するご指摘等」よりお問合せ下さい。但し、記事内容に関するご質問にはお答えできませんので予めご了承下さい。

相続対策は「今」できることから始められます

「相続税の納税額が大きくなりそう」・「将来相続することになる配偶者や子どもたちが困ることが出てきたらどうしよう」という不安な思いを抱えていませんか?

相続専門の税理士法人だからこそできる相続税の対策があります。
何から始めていいか分からない方もどうぞご安心ください。
様々な状況をご納得いく形で提案してきた相続のプロフェッショナル集団がお客様にとっての最善策をご提案致します。

まずはチェスターが提案する生前・相続対策プランをご覧ください。

今まで見たページ(最大5件)

関連性が高い記事

カテゴリから他の記事を探す

お約束いたします

チェスターの相続税申告は、税金をただ計算するだけではありません。
1円でも相続税を低く、そして税務署に指摘を受けないように、
また円滑な相続手続きを親身にサポートします。

アイコン

資料請求

お電話

問合せ

アイコン

0120-888-145

既存のお客様はこちら

受付時間
9:00-20:00

土日祝も
対応可

お電話

【無料面談予約】

全国
共通

0120-888-145

0120-888-145
※ 既存のお客様はコチラから▼
ページトップへ戻る