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相続税控除と特例一覧。税金を安くするために使い倒すべき制度。

相続税の支払いをもっと安くすることはできないか?
そのような便利な制度があるのか?
結論からいうと相続税を安くする制度はあります。
安くするというと語弊がありますが、
・相続をしたものの支払ができない
・その後の生活が著しく困難になる
ということがないように「控除」と「特例」という制度があります。
ただ、これらの制度を利用するにも注意が必要です。
それは配偶者なのか孫なのかなどの身分や引き継ぐ財産によって適用できる制度は異なり減額できる額が人によって異なることがあるからです。
しかし、控除と特例で相続税の支払いがなくなる方も多くいますので「控除を適用したいけど、どんな名称かわからないので調べられない」と専門用語の壁にはじかれ、大切な方からの財産を失ってしまうことのないように控除と特例について知りましょう。
1.基礎控除:全員が使うことができる控除
基礎控除とは誰もが使える控除です。
以下の計算式で求められた額は相続税の課税対象から外れます。
3000万円+(600万円×法定相続人の人数)
▼参考記事
「【相続税の基礎控除】カンタン!計算方法と申告要否判断の注意点も解説」
「相続税が平成27年から増税!基礎控除の変更点と計算方法【2015年4月版】 」
2.控除一覧:身分によって使える制度
あなたはどのような控除と特例を利用でき、いくら減額されるのか。
各控除について一つ一つを詳しく説明すると細かくなりすぎるため、あえて最低限の概要だけを説明しています。
ここでは一通りをおさえ、詳しくは参考記事からご覧ください。
①贈与税額控除
【控除を使える人】
相続発生より3年以内に贈与財産を受け取った人
【制度の概要】
相続が始まる前より3年以内に受け取った贈与財産は相続税の課税対象となります。
しかし、贈与を行ったときに支払った贈与税を2重で支払うわけにはいきませんので、相続税から差し引くという制度です。
②配偶者控除
【控除を使える人】
配偶者(夫・妻)
*婚姻関係にない方は不可(内縁の夫・妻)
【制度の概要】
配偶者は特別に1億6,000万円もしくは法定相続分のどちらか高い方までの控除を受けることができます。
なぜこのように配偶者が優遇されているかというと、財産は夫婦の協力のもと築き上げられるものであること、また、残された配偶者が死亡した場合には、同一時代に2回課税することから、税負担を軽減させる必要があると考えられるためです。
今後の生活に困らないようにとの考慮もされています。
▼参考記事
■配偶者控除の詳細と落とし穴とは?
「相続税の配偶者の税額軽減の特例(配偶者控除)とは?」
■法定相続分とは?
「法定相続分」
「法定相続分の調べ方」
■婚姻関係のない夫婦はどうなる?
「内縁の妻と相続」
③未成年者控除
【控除を使える人】
未成年(満20歳未満の方。2022年4月1日以後の相続では満18歳未満の方)
【制度の概要】
10万円×(20−当時の年齢) (2022年4月1日以後の相続では、10万円×(18−当時の年齢))
で求められる額を控除できます。
未成年は学生であったり、自活できるほどの稼ぎを得てないなど、生活費や教育費は頼らざるを得ない状況です。
未成年が相続した財産は主に生活費や教育費を相続しますが、それらに多額の税金がかけられてしまうと生活に困ります。
そのために支払う税金の額を少なくする控除が認められています。
▼参考記事
未成年控除の具体的な計算方法が知りたい
「相続人が未成年の場合の注意点と未成年者控除について」
④障害者控除
【控除を使える人】
障害者の方
【制度の概要】
受けられる控除は障害の区分によって変わります。
・一般障害者:(その障害者が85才になるまでの年数)×10万円
・特別障害者:(その障害者が85才になるまでの年数)×20万円
▼参考記事
“障害者”とは?手帳をもっているだけで大丈夫なのか?障害者の定義と控除の計算方法
「相続税の障害者控除とは?利用する要件や控除額計算方法をご紹介」
⑤相次相続控除
【控除を使える人】
10年以内に2回相続が発生した方
【制度の概要】
相続が続いた場合、短い期間で同じ財産に相続税を2回分払うことになります。
つまり、税の負担が大きくなることを避けるために設けられた制度です。
相次相続控除の計算方法は複雑で少し長くなりますので、
詳しくは参考記事をご覧ください。
▼参考記事
「相次相続控除とカンタン計算方法。あなたの納税額が減る特別制度」
3.特例
①小規模宅地等の特例
【特例を受けられる人】
土地を相続する人
*すべての人が受けられるわけではありません。
土地・建物の面積など、特例を受けるための条件があります。
【特例の概要】
土地の評価額を最大80%減額することができます。
例えば、1億円の土地を相続した場合を考えます。
具体的な計算ではないのであくまでイメージですが
特例なしですと1億円に相続税がかかるので、約3000万円の相続税を支払うことになります。
一方、小規模宅地の特例を使うと80%を減額した2000万円に相続税がかかりますので、100万円の相続税を支払えばいいだけになります。
土地や家を相続した場合、住んでいるのにも関わらず相続税が払えずに土地と家を売却するということを避けるために小規模宅地の特例は定められています。
肝心の“あなたは小規模宅地の特例を使えるのかどうか”ですが、使える要件をここで説明すると長くなるので、参考記事をご覧ください。
▼参考記事
■私は小規模宅地の特例を使える?
「小規模宅地等の特例とは~概要・要件・よくあるQ&Aなどすべて解説~」
■小規模宅地の特例を使える土地・建物とは何があるか知りたい
「私道における小規模宅地の特例の適用可否」
「青空駐車場への小規模宅地の特例の適用可否」
「特別養護老人ホームと小規模宅地の特例の関係」
4、基礎控除とその他の控除・特例は同時に使えるか?(併用可能か?)
基礎控除とその他の控除・特例の併用について、イメージがわかりづらい部分もあると思うので、まずは下記の例を見てください。
例えば、2億円の相続財産があり、配偶者の税額軽減を受けるとき。
・基礎控除 : 5400万円(基礎控除3,000万円+法定相続人4人×600万円)
・配偶者控除 : 1億6000万円
二つ合わせて2億1400万円の控除が受けられる、というわけではありません。
①基礎控除を引いた相続財産の税金額を計算する
ここでいうところの
2億円 - 5400万円 = 1億4600万円(相続財産)
1億4600万円の相続税 = 約2,500万円
② ①で求めた税金額にたいして、各控除・特例を当てはめる
さきほどの2500万円に、配偶者控除の1億6000万円までの控除が適用される。
結果的には基礎控除も各種控除・特例も使いますが、単純に基礎控除と配偶者の税額軽減とを合算するわけではありません。
5.特例を受ける人が陥りやすい間違い
控除、特例を受けようとする人が陥りやすい間違いがあります。
それは
「控除、特例で相続税の支払いが不要になったから申告を行わない」
ということです。
控除、特例を受けて相続税の支払いが不要になった場合でも、申告書の提出が必要になることもあります。
・配偶者控除
・小規模宅地等の特例
これらの控除を受けて計算した相続税の支払いが不必要になった人についても、申告書の提出が必要なので、注意してください。
6.まとめ
あなたはどの控除と特例を使えるのかが、おおよそイメージが掴めたかと思います。
控除を受けるには各申告書類に必要事項を記入の上提出します。
申告書類の全体像がまだ把握できていない方は、「相続税申告で提出しなければいけない15の書類」から提出するべき書類をチェックしてください。
※本記事は記事投稿時点(2015年6月5日)の法令・情報に基づき作成されたものです。
現在の状況とは異なる可能性があることを予めご了承ください。
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