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相続で確定申告は必要?所得税・相続税がかかるケースを解説

相続で確定申告は必要?所得税・相続税がかかるケースを解説

相続により、現金や預貯金などの財産を取得しても、それらは所得税の課税対象ではなく確定申告や年末調整は不要です。相続した財産は年収に含まれず、基本的に相続税の対象であるためです。

ただし、相続した遺産を売却したり活用したりするなどの理由で、相続人自身の所得が生じたときは原則として確定申告が必要です。また、亡くなった人が確定申告をせずに亡くなった場合、相続人が代わりに準確定申告をするケースがあります。

この記事では、遺産を相続して「所得税の確定申告」が必要になるケースと、その場合の確定申告の方法について相続税専門の税理士が詳しく解説します。

この記事の目次 [表示]

1.遺産相続時の確定申告は2種類ある

遺産相続が発生したとき、手続きが必要になる可能性があるのは被相続人の「準確定申告」と、相続人自身の「確定申告」の2種類です。それぞれの主な違いは以下のとおりです。

 確定申告準確定申告
誰の申告か相続人自身亡くなった方
対象となる所得相続財産から生じる所得(不動産や株式の売却益など)亡くなった年の1月1日から死亡日までの所得
申告する人相続人本人相続人全員(または包括受遺者)
申告期限所得があった年の翌年3月15日※相続の開始を知った日の翌日から4ヶ月以内

※土日祝日によって前後します。

まずは、それぞれの申告がどのようなものかを解説します。

1-1.相続人自身の所得税申告「確定申告」

確定申告は、相続した財産によって相続人に新たな所得が発生した場合に必要となる手続きです。

たとえば、相続した不動産を売却して利益が出た場合や賃貸アパートを相続して家賃収入を得るようになった場合などは確定申告が必要です。

また、被相続人の死亡により死亡保険金を受け取ったときも、確定申告が必要となる場合があります。

確定申告が必要な場合は、原則として翌年の2月16日〜3月15日※のあいだに申告手続きをします。この期間内に所得税の納付も済ませなければなりません。※土日祝日によって前後します。

1-2.亡くなった方の所得税申告「準確定申告」

準確定申告とは、亡くなった方に代わって相続人が所得とそれに課せられる所得税を申告する手続きのことです。申告の対象となるのは、亡くなった年の1月1日から死亡日までの所得です。

申告先は、亡くなった方の死亡時の住所地を管轄する税務署です。納税の期限は、相続の開始があったことを知った日(通常は被相続人が亡くなった日)の翌日から4ヶ月以内です。

準確定申告の期限

準確定申告について、詳しくは下記の記事もあわせてご覧ください。

(参考)【準確定申告とは】必要・不要の判断方法、記入例などを解説

2.相続人自身の所得税の確定申告が必要なケース

遺産を相続したのちに相続人自身の所得税の確定申告が必要になるケースを、具体的に見ていきましょう。

2-1.相続した財産(不動産や株式など)を売却して利益が生じたとき

不動産や株式など相続した財産を売却した場合には、売却益(譲渡所得)が所得税の対象となるため、確定申告が必要です。

譲渡所得にかかる税金は、所得税のほかにも住民税があり、令和19年までは復興特別所得税も課税されます。これらは「譲渡所得税」と呼ばれます。

2-1-1.譲渡所得とは

譲渡所得とは、不動産や株式などの財産を譲渡することによって生じる所得のことです。売却額から購入額を引いた売却益と考えるとわかりやすいでしょう。

所得税の課税対象となる譲渡所得の金額(課税譲渡所得金額)は、次の算式で計算します。

課税譲渡所得金額=総収入金額-(取得費+譲渡費用)-特別控除額
譲渡所得の計算式

総収入金額は、基本的に不動産や株式を売却して得た代金を指します。

取得費は、譲渡した財産を購入した金額のほか購入するためにかかった諸費用も含めます。詳しい解説は、下記の記事をご覧ください。

(参考)不動産を譲渡した時の税金はいくら?所得税計算に必要な取得費とは?
(参考)相続で取得した上場株式を譲渡!譲渡所得等に係る取得費の計算方法

譲渡費用とは、財産を譲渡するために直接かかった費用のことです。たとえば、不動産を売却するときの仲介手数料や登記費用、土地の測量費などが該当します。

特別控除額は、一定の要件を満たした場合に譲渡所得から控除できる金額を指します。

たとえば、自宅を譲渡した場合には「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」を適用することで、譲渡所得から最高3,000万円まで控除することができます。令和9年までの時限措置として、空き家になった被相続人の自宅を譲渡した場合にも3,000万円の特別控除があります。

不動産、株式など以外の財産を譲渡した場合は、最大50万円の特別控除があります。

株式の譲渡では、特別控除額はありません。

2-1-2.譲渡所得税の計算方法

譲渡所得税の計算方法には、分離課税と総合課税があります。

分離課税は、不動産、株式の譲渡に適用されます。給与所得などほかの所得とは合算せず、不動産、株式それぞれの譲渡所得に個別に税率をかけて税額を計算します。

(参考)分離課税は相続税とは別!譲渡所得にかかる税金を解説

総合課税は、不動産、株式以外の財産の譲渡に適用されます。給与所得などほかの所得と合算した金額に税率をかけて税額を計算します。

なお、総合課税の対象になる譲渡所得のうち、所有期間が5年を超える財産を譲渡した場合の長期譲渡所得は、その金額の2分の1が税額計算の対象になります。

2-1-3.譲渡所得税の税率表

譲渡所得に対する税率は下記のとおりです。所得税のほか、復興特別所得税、住民税の税率もあわせてご紹介します。

譲渡所得の区分税率
不動産長期譲渡所得20.315%
(所得税15%、復興特別所得税0.315%、住民税5%)
不動産長期譲渡所得(軽減税率)14.21%
(所得税10%、復興特別所得税0.21%、住民税4%)
不動産短期譲渡所得39.63%
(所得税30%、復興特別所得税0.63%、住民税9%)
株式20.315%
(所得税15%、復興特別所得税0.315%、住民税5%)
不動産、株式以外の財産の譲渡所得(総合課税)所得税の税率は所得の額に応じて変動(5%~45%)
復興特別所得税は所得税額の2.1%
住民税の税率は10%

不動産の譲渡所得は、売却した年の1月1日時点で所有期間が5年を超えているかどうかで長期譲渡所得と短期譲渡所得に分けられ、税率が異なります。なお、相続した財産の所有期間は、被相続人がその不動産を取得した日から通算できます。

所有期間が10年を超える自宅を売却した場合は、一定の要件を満たすことで長期譲渡所得のうち6,000万円以下の部分について軽減税率を適用することができます。

2-1-4.相続した不動産の売却益は二重課税にならないか?

少し税金に詳しい人であれば、「遺産を相続したときに相続税が課税されて、次にその財産を売ったときに所得税が課税されるのは二重課税ではないか」と思われるかもしれません。

税務上は、「遺産の承継」と「承継した遺産の売却益」は異なるものであり、二重課税にはあたらないとされています。

しかし、相続税を納めてすぐそのあとに譲渡所得税を納めると負担が大きいため、こうした負担を軽減する「取得費加算の特例」が設けられています。

譲渡所得の計算式

取得費加算の特例では、相続した財産を3年10ヶ月以内に売却した場合に、相続税の一部を取得費に加算して譲渡所得を求めることができます。詳しくは、下記の記事をご覧ください。

(参考)【取得費加算の特例】計算方法や注意点は?併用可能な特例も解説

2-2.死亡保険金を受け取った

被相続人が亡くなったときに相続人が受け取った死亡保険金は、多くの場合、相続税の課税対象です。これは、被相続人が契約者(保険料負担者)であり、かつ被保険者(保険の対象となる人)である生命保険の死亡保険金は、相続税の課税対象になると定められているためです。

しかし、保険料を負担した人と死亡保険金の受取人が同一である場合は、相続税ではなく所得税の課税対象になります。

たとえば、妻が夫を被保険者とする保険に加入して自分で保険料を負担し、夫の死亡時に死亡保険金を受け取った場合、その死亡保険金は所得税の課税対象になるため、妻は確定申告をしなければなりません。

死亡保険金を受け取った場合

このように、死亡保険金に課税される税金は、生命保険の契約関係によって異なります。ほかにも、保険料負担者、被保険者、保険金受取人がすべて異なるケースでは、贈与税の課税対象になります。

少し複雑なので、下記の図を参考にしてみてください。

生命保険の関係者とかかる税金

死亡保険金を受け取ったときに確定申告が必要となるかどうかは、以下の記事で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。

(参考)死亡保険金は確定申告が必要か不要か?かかる税金や申告期限について

2-2-1.死亡保険金を一時金で受け取った場合

一時金で受け取った死亡保険金に所得税がかかる場合は、一時所得として課税されます。

一時所得の金額は、次の算式で計算します。

一時所得=総収入金額-収入を得るために支出した金額-特別控除額(50万円)

死亡保険金以外に一時所得がないとすれば、受け取った死亡保険金からすでに支払った保険料を差し引き、特別控除額を引いた金額が一時所得となります。特別控除額を引く前の金額が50万円未満の場合は、その残額を差し引きます。

一時所得は、その金額の2分の1を給与所得などほかの所得と合算して税額を計算します。

2-2-2.死亡保険金を年金として受け取った場合

年金として受け取った死亡保険金に所得税がかかる場合は、雑所得として課税されます。

雑所得の金額は、次の算式で計算します。

雑所得=総収入金額-必要経費

年金として受け取った死亡保険金については、1年の間に受け取った年金の額からその金額に対応する保険料を差し引いた金額が雑所得となります。

2-2-3.年金形式の保険金は二重課税にならないか?

年金形式の保険金については、二重課税が問題となったケースがありました。

一定期間年金が支給される保険に加入した人が死亡した場合は、年金受給権に相続税が課税され、年金を受け取るときに所得税が課税されます。これが二重課税にあたるとして問題になり、最高裁判所において二重課税を認めない旨の判決がありました。

現在は、年金の雑所得の計算で収入金額を非課税部分と課税部分に分けることで、二重課税の問題は解消されています。

2-3.収益物件を相続した

賃貸アパートや駐車場など収益物件を相続した場合は、賃料収入が不動産所得となり、所得税の確定申告が必要です。

不動産所得の金額は、次の算式で計算します。

不動産所得=総収入金額-必要経費

なお、被相続人が死亡してから収益物件の所有者が決まるまでの間は、相続人が全員で収益物件を共有していることになります。賃料収入は法定相続分に応じて相続人全員に分配されるため、相続人は全員確定申告を行う必要があります。

2-3-1.被相続人が青色申告をしていた場合

被相続人が青色申告をしていた場合は、収益物件を相続した相続人は改めて青色申告の承認申請をする必要があります。被相続人が受けていた青色申告の適用が、自動的に相続人に引き継がれるわけではありません。

申請の期限は、原則として死亡の日から4ヶ月以内です。ただし、被相続人が9月、10月に死亡した場合はその年の12月31日まで、11月、12月に死亡した場合は翌年の2月15日までとなります。

2-4.未支給年金を受け取った場合

被相続人が年金を受け取っていた場合は、死亡した時点でまだ受け取っていない未支給年金が発生します。被相続人の遺族は一定の要件のもと、未支給年金を受け取ることができます。

未支給年金を受け取った場合

公的年金と企業年金(死亡月までの分)の未支給分は遺族に支給されるものであり、相続税は課税されません。ただし、遺族の一時所得として確定申告が必要になる場合があります。

一時所得の金額は、次の算式で計算します。下記の金額の2分の1が税額計算の対象になります。

一時所得=総収入金額-収入を得るために支出した金額-特別控除額(50万円)

未支給年金を受け取る遺族は年金の保険料を支払っていないため経費は考慮せず、総収入から特別控除額を引いて一時所得を計算します。

未支給年金については、下記の記事もあわせてご覧ください。

(参考)未支給年金は相続の対象?かかる税金や請求方法も解説

3.所得税が生じた場合の確定申告の方法

確定申告が必要な場合は、所得が発生した年の翌年の2月16日から3月15日までの間に税務署に申告書を提出して納税します

この章では、所得税の確定申告の方法をご紹介します。

3-1.税務署の相談窓口で手続きをする

例年、確定申告の時期になると、各地の税務署などで確定申告の相談窓口が設けられます。相談窓口では、職員のアドバイスを受けてその場で申告書を作成することができます。所得の計算に必要な資料を持っていくようにしましょう。

なお、所得金額が大きい場合や内容が複雑な場合は、税理士に依頼するよう勧められることがあります。

3-2.「確定申告書等作成コーナー」で作成した申告書を提出する

税務署や相談窓口が遠い場合は、インターネットの「確定申告書等作成コーナー」で申告書を作成することができます。

「確定申告書等作成コーナー」では、所得に関する必要事項を入力するだけで自動的に申告書が作成されます。作成された申告書は、印刷して税務署の窓口に提出するほか、郵送による提出もできます。

国税庁「確定申告書等作成コーナー

3-3.国税電子申告・納税システム「e-Tax」で申告する

国税電子申告・納税システム「e-Tax」を利用して、インターネットで確定申告をすることもできます。

「確定申告書等作成コーナー」や「e-Taxソフト」で、所得に関する必要事項を入力するだけで自動的に申告書が作成されます。なお、「e-Tax」の利用には、利用者識別番号や電子証明書(マイナンバーカードなど)の取得が必要です。

e-Tax国税電子申告・納税システム「個人でご利用の方

3-4.税理士に確定申告を依頼する

確定申告を税理士に依頼すると、報酬として少なくとも5万円程度かかります。しかし、手続きとしては手間がかからず確実です。

自分で確定申告ができない場合や、手続きを行う時間が取れない場合、所得の金額が大きい場合などでは、報酬を支払ってでも税理士に依頼することをおすすめします。

4.被相続人の所得税の準確定申告が必要なケース

準確定申告は、すべての遺産相続で行わなければならない手続きではなく、実際に申告が必要となるケースもあまり多くありません。

しかし、準確定申告は期限が「相続の開始を知った日の翌日から4ヶ月」と比較的短く設定されており、期限を過ぎてしまうと加算税や延滞税が課される可能性があります。

相続が発生したときは準確定申告が必要かどうかを早急に判断し、必要な場合は期限内に手続きを済ませることが大切です。

また、準確定申告をすることで還付金を受け取れることもあります。

ここでは、準確定申告の義務があるケースと、義務はないものの申告した方が有利になるケースについて詳しく解説します。

詳しくは、「【準確定申告とは】必要・不要の判断方法、記入例などを解説」もご覧ください。

4-1.所得税の準確定申告が必要となる主なケース

亡くなった方が生前に確定申告をすべき状況にあった場合、原則として相続人には準確定申告を行う義務が発生します。代表的なケースは以下のとおりです。

〇準確定申告が必要となる代表的なケース

  • 被相続人が個人事業主やフリーランスで事業所得や不動産所得などがあった
  • 被相続人の給与収入が年間2,000万円を超えていた
  • 被相続人が2か所以上から給与を受け取っていた
  • 被相続人が源泉徴収の対象となる給与所得のほかにも、不動産所得や株の売却益などが合計で年間20万円を超えていた
  • 被相続人の公的年金などの収入が400万円を超え、かつそれ以外の所得が20万円を超えていた

準確定申告に使用する書類は、通常の確定申告と同じです。

一方、「公的年金などの収入が400万円以下で、かつそれ以外の所得が20万円以下の方」や「勤務先が1か所で年末調整が完了しており、ほかの所得が20万円以下の給与所得者」などの場合、準確定申告は不要です。

4-2.申告義務はないがした方が得なケース(還付申告)

準確定申告の義務がない場合でも、申告をすることで納め過ぎた所得税が戻ってくることがあります。これを「還付申告」と呼びます。

還付申告で還付金を受けられる可能性があるケースは以下のとおりです。

〇還付が受けられる可能性がある代表的なケース

  • 給与所得者で年末調整を受ける前に亡くなっており、天引きされている概算の所得税が本来よりも多い場合
  • 被相続人が個人事業主や副業収入を得ており、報酬の支払時に所得税が源泉徴収されている場合
  • 生命保険料控除や地震保険料控除、医療費控除など適用できる所得控除がある場合
  • ふるさと納税などの寄付金控除が適用できる場合

還付申告の期限は、亡くなった年の翌年1月1日から5年間です。還付申告の手続きをする際の必要書類も、通常の確定申告と同様です。

還付申告で支払われた還付金は相続財産の一部とみなされ、相続税の課税対象となります。

5.相続に関する確定申告の注意点

相続における確定申告や準確定申告については、以下の点に注意が必要です。

それぞれの注意点について、詳しく解説します。

5-1.申告・納税の期限を守る

相続発生時の確定申告と準確定申告には、それぞれ異なる期限が定められており、どちらも厳守しなくてはなりません。

相続財産の売却などによって相続人自身が確定申告をする場合の期限は、原則として翌年の3月15日です。※土日祝日によって前後します。

一方、亡くなった方のための準確定申告の期限は、通常の確定申告よりも短く、相続の開始があったことを知った日の翌日から4ヶ月です。

確定申告と準確定申告のどちらも申告期限までに申告手続きだけでなく、必要に応じて納税も済ませなければなりません。

期限を過ぎてしまうと、本来納めるべき税金に加えて以下の税金が課される可能性があります。

相続税の申告・納付期限
  • 無申告加算税:期限内に申告をしなかった場合に課される税金
  • 延滞税:納付が遅れた日数に応じて課される利息に相当する税金

相続が発生したときは、確定申告と準確定申告の手続きを期限内に適切に済ませることが大切です。

5-2.相続人が複数いる場合は連署が原則

法定相続人が2人以上いる場合、準確定申告をする際は原則として全員の連署による準確定申告書を提出します。通常の申告書類に加えて、各相続人の氏名や住所、相続分などを記載した「確定申告書付表」の添付が必要です。

ただし、ほかの相続人と連絡が取れないなどの事情がある場合は、各相続人が個別に申告書を提出することも認められています。その際は、ご自身が提出する申告書にほかの相続人の氏名を書き、申告した内容をほかの相続人へ通知しなくてはなりません。

5-3.相続放棄をしても準確定申告の義務は残る可能性がある

準確定申告を行う義務があるのは「相続人」です。そのため、家庭裁判所で相続放棄の手続きを済ませた人は、申告の義務を負いません

相続放棄をすると、その人は法律上「初めから相続人ではなかった」とみなされます。万が一、税務署から準確定申告に関する通知が届いた場合でも、家庭裁判所が発行する「相続放棄申述受理通知書」のコピーを提示するなどして相続放棄をした事実を伝えれば問題ありません。

なお、相続放棄が成立する前に準確定申告や納税、還付金の受け取りなどを行うと相続を承認したとみなされる「単純承認」が成立する可能性があります。

単純承認が成立すると、後から相続放棄が認められなくなる場合があるため、相続放棄を検討している段階では準確定申告の手続きに関与しないようにしましょう

6.相続の際の確定申告についてよくある質問

相続後の確定申告について、よくある質問に回答します。

6-1.相続税を申告したら、絶対に確定申告も必要?

「遺産相続」と給与・事業などの「収入」は、財産をもらうという点で共通しています。

そのため両者が混同され、遺産を相続したら所得になるのではないかと思う人もいます。

しかし、遺産を相続しただけでは所得税は課税されません。

相続税を申告した場合も、ほかに申告が必要な所得がないのであれば、重ねて所得税の確定申告をする必要はありません

6-2.遺産を相続すると翌年の住民税に影響する?

住民税は、都道府県や市区町村に納める税金で、基本的に所得に応じて課税されます。

遺産を相続しただけでは所得税が課税されないのと同様に、住民税も課税されません。

そのため、遺産を相続したことが原因で、翌年の住民税が大きく増加するということはありません

ただし、賃貸アパートを相続して家賃をもらうようになったことで、住民税が増加する場合があります。これは所得が増えたことが原因であり、遺産を相続したことで住民税が増えたわけではありません。

6-3.賃貸アパートを相続した際は相続税?所得税?

相続税は相続した財産に課税される税金であり、所得税は年間の収入から必要経費を引いた所得に課税される税金です。

そのため、遺産を相続した場合には相続税が課税され、所得税は課税されません

賃貸アパートを相続して家賃をもらうようになった場合は、賃貸物件の相続について相続税が課税され、受け取った家賃には所得税が課税されます

6-4.相続税、所得税以外で相続の際にかかる税金はある?

相続税、相続人の所得税、被相続人の所得税のほかには、登録免許税が挙げられます。

登録免許税は、登記などに課税される税金です。相続では、不動産の相続登記のときに課税されます。

税額は、登記する不動産の固定資産税評価額の0.4%です。ただし、相続人以外の人への遺贈では固定資産税評価額の2.0%となります。

(参考)【相続登記の登録免許税】計算シミュレーション・免除措置も解説

6-5.会社員の場合、財産を相続したら年末調整は必要?

相続しただけでは、年末調整は不要です。相続財産は、年収には含まれません。年末調整は給与所得の精算手続きであり、相続財産は所得ではないためです。

6-6.相続で受け取った財産は年収に含まれますか?

含まれません。相続で受け取る財産は「所得」ではなく「相続財産」として課税されます。給与所得や事業所得のように確定申告の対象になる“年収”とは区別されます。

7.まとめ

遺産を相続したときは、相続税だけでなく相続人自身の確定申告や被相続人の準確定申告をして所得税の納税が必要になる場合があります。

とはいえ、確定申告や準確定申告が必要になるかどうかを判断したり、税額の計算や申告手続きを適切に行ったりするためには税金に関する専門知識が必要です。

そこで、相続に関する所得税の確定申告・準確定申告でお困りの方は、税理士にご相談ください。

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