相続税評価額とは?土地や株式の調べ方や計算方法をわかりやすく解説

「相続税評価額はどうやって計算するの?」
「相続税評価額はどこで確認できるの?」
この記事をご覧の皆さんは、このような疑問を抱えているのではないでしょうか。
相続税評価額とは、相続税や贈与税を計算する際に前提となる評価額のことで、国税庁「財産評価基本通達」においてルールが定められています。
財産の種類によって評価方法が異なりますが、中には「時価」や「固定資産税評価額」を用いて相続税評価額を計算する財産もあるため、これらの違いも知っておかなくてはなりません。
この記事では、相続税評価額の調べ方や計算方法を、相続専門の税理士がわかりやすく解説します。
この記事の目次 [表示]
1.相続税評価額とは相続税や贈与税を計算するための評価額
相続税評価額とは、国税庁「財産評価基本通達」で定められたルールによって算出される、相続税や贈与税を計算する際の前提となる評価額のことです。
引用:国税庁「財産評価基本通達」※下線部分は筆者による
不動産(土地や建物)や有価証券などの財産は、現金や預貯金のように客観的な価値を知ることが容易ではありません。
もし納税者間で評価額がバラバラになれば、課税の公平性が保てなくなってしまいます。
そこで納税者間での財産の評価方法が公平になるよう、国税庁は「財産評価基本通達」において、相続・遺贈・贈与によって取得した財産の評価方法を定めています。
この通達に沿って計算された評価額のことを「相続税評価額」と呼びます。
参考:【簡単解説】財産評価基本通達とは?見方や評価方法・総則6項についても解説
1-1.相続税は「評価→基礎控除→税率」の3ステップで計算される
相続税は「遺産〇〇万円だから納税額は△万円」という単純な計算はできず、以下のような手順で計算をしなくてはなりません。

相続税評価額を用いるのは、この一連の計算の流れの「①課税価格」の計算です。
相続税の計算の前提である相続税評価額の計算ミスは、その後の税額すべてに影響を与えてしまうため、より慎重に評価額を計算しなくてはなりません。
参考:相続税はいくらかかる?自分で計算するための仕組みと手順【税理士監修】
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土地や非上場株式などの相続税評価額の計算は特に難易度が高く、評価方法の誤りや特例の適用漏れがあると、過少申告・申告漏れ・過大申告に直結します。
正確な税務処理をするためには、相続税に強い税理士に相続税評価額を計算してもらうことが大切です。
税理士法人チェスターは、すでに相続が発生しているお客様でしたら初回面談が無料となりますので、まずはお気軽にご相談ください。
2.相続税評価額と他の評価額との違い
遺産相続では、相続税評価額・時価(実勢価格)・固定資産税評価額という3つの評価額が用いられることが多いです。
それぞれ利用目的や評価方法が異なるため、まずは違いを整理しておくことが重要です。
| 時価(実勢価格) | 固定資産税評価額 | 相続税評価額 | |
|---|---|---|---|
| 利用目的 | 市場の取引価格 | 固定資産税の課税 | 相続税や贈与税の課税 |
| 評価決定 | 当事者間 | 市区町村 | 国税庁 |
| 見直し頻度 | その都度 | 3年毎 | 毎年※ |
| 確認方法 | 査定や取引事例 | 課税明細書 | 財産評価基本通達+路線価図・評価倍率表 |
| 土地の評価目安 | 需要で変動 | 公示価格の約70% | 公示価格の約80% |
※路線価・倍率表は毎年7月初旬に公表
公示価格とは「土地取引の目安」となる価格のことで、国土交通省が毎年1月1日に公表する「公示地価」と、都道府県が毎年7月1日に公表する「基準地価」の2種類があります。
固定資産税評価額は公示価格(公示地価)の約70%、相続税評価額は公示価格(公示地価)の約80%を目安として評価されます。
そのため、同じ土地であっても「固定資産税評価額<相続税評価額<時価」と、評価額が高くなるのが特徴です。
2-1.相続税評価額と時価(実勢価格)との違い
相続税評価額と時価は混同されやすいですが、両者は相続シーンにおける利用目的に違いがあります。
相続税評価額は、相続税を計算するために用いられる評価額です。
一方で、時価は市場で実際に売買される価格であり、遺産分割協議における財産の評価額や、代償分割における代償金の算定において用いられるのは「時価」が原則です。
しかし、土地を取得する相続人は低い「相続税評価額」を主張し、代償金を受け取る相続人は高い「時価」を主張して意見が対立しやすくなるため注意が必要です。
なお、自家用車・骨董品・美術品などの相続税評価額は、専門家による時価(鑑定額)を採用することとなります。
2-2.相続税評価額と固定資産税評価額との違い
相続税評価額と固定資産税評価額も混同されやすいですが、両者は計算する税金の種類に違いがあります。
相続税評価額は「相続税・贈与税」を、固定資産税評価額は「固定資産税・都市計画税」を計算するために用いられる評価額です。
ただし、「建物」や「倍率地域の土地」の相続税評価額は、固定資産税評価額を基準として計算することとなります。
なお、固定資産税評価額は、課税明細書で確認することができます。
参考:相続税評価額と固定資産税評価額の違いとは│調べ方・計算方法も解説
3.相続税評価額の調べ方と計算方法【財産別】
相続税評価額は、財産の種類によって調べ方や計算方法が大きく異なります。
以下は、相続財産に含まれることが多い財産の種類です。
この章では、財産別で「どうやって相続税評価額を計算するのか」をわかりやすく解説します。
なお、相続税評価額は財産ごとに調べ方が異なりますので、「どこで確認できるか」もあわせて解説します。
3-1.土地の相続税評価額
土地の相続税評価額は、「路線価方式」または「倍率方式」のいずれかで計算します。
具体的には、国税庁「財産評価基準書 路線価図・評価倍率表」に記載されている路線価や評価倍率を確認し、評価対象となる土地が該当する方式を適用します。
=(1㎡あたりの路線価×各種補正率)×地積
=固定資産税評価額×評価倍率
上記の計算式は、自用地(自宅用の宅地)であるとした場合の、「自用地評価額」の計算方法です。
賃貸不動産の土地などは、この「自用地評価額」を基礎として、借地権割合や賃貸割合などの減額要素を適用して評価します。
路線価図や倍率表は誰でも無料で確認できますが、土地は評価方法が複雑で、減額要素の見落としが税額に直結するため、専門家による確認が有効です。
参考:【土地の相続税はいくら?評価額の計算方法や控除を解説】
3-2.建物の相続税評価額
建物の相続税評価額は、固定資産税評価額をそのまま利用するシンプルな方式です。
固定資産税評価額は、市区町村から届く「課税明細書」に記載されているので確認しましょう。
=固定資産税評価額×1.0
賃貸不動産の場合は、この評価額を基礎として賃貸割合などの減額要素を適用します。
また、固定資産税評価額は3年ごとに評価替えが行われるため、大規模リフォームが反映されていない場合は評価の見直しが必要です。
建物は評価方法こそ単純ですが、減額要素の適用判断が税額に影響するため注意が必要です。
参考:家屋・建物の相続税はいくら?評価の方法と節税対策も解説
3-3.マンションの相続税評価額
マンションの相続税評価額は、一戸建て不動産と同様に「土地(敷地権)」と「建物」に分けて計算します。
=マンション敷地の相続税評価額×持分割合(敷地権)
=固定資産税評価額×1.0
なお、令和6年1月1日以降に相続等で取得したマンションの評価額は、上記の相続税評価額に「区分所有補正率」を乗じなくてはなりません。
区分所有補正率は、築年数・総階数・所在階・専有部分の面積などをもとに物件ごとに算出され、市場価格と評価額の乖離が大きい物件(主にタワーマンションの高層階)ほど、この補正率が高くなり評価額が引き上げられる仕組みです。
マンションの評価は物件ごとの個別計算が必須で、区分所有補正率の算出を誤ると評価額に大きなズレが生じるため、専門家による確認がおすすめです。
参考:マンションの相続税はいくら?相続税評価額の計算方法と相続手続き
3-4.上場株式の相続税評価額
上場株式の相続税評価額は、市場価格の変動を考慮して納税者に不利にならないようにするため、以下の4つの価格のうち最も低い金額を採用することとなります。
- ①相続開始日の終値
- ②相続開始日の月の取引日ごとの終値の平均額
- ③相続開始日の月の前月の取引日ごとの終値の平均額
- ④相続開始日の月の前々月の取引日ごとの終値の平均額
なお、非上場株式は市場価格が存在しないため、会社の財務状況(純資産価額方式・類似業種比準方式など)から株価を評価します。
株式は評価方法が明確ですが、銘柄数が多い場合は計算量が増えるため、早めの準備が必要です。
参考:相続した株式の評価を解説!上場株式・非上場株式の評価額の計算方法と注意点
3-5.投資信託の相続税評価額
一般的な投資信託は、相続開始日に解約した場合に受け取れる価額を基準に評価します。
基準価額だけでなく、解約時に差し引かれる費用も考慮する点が特徴です。
=1口あたりの基準価額×口数-源泉徴収税額-信託財産留保額・解約手数料
ただし、中期国債ファンドやMMF等の日々決算型の投資信託は、上記とは異なる計算方法となりますのでご注意ください。
また上場されている投資信託については、上場株式の相続税評価額を採用することとなります。
投資信託は種類によって評価方法が異なるため、商品ごとの確認が欠かせません。
参考:【投資信託の相続税評価方法】種類別3パターンをプロが解説
3-6.預貯金の相続税評価額
預貯金の相続税評価額は、相続開始日の残高に既経過利息を加算した金額です。
=相続開始日の残高+既経過利息の手取額
普通預金であれば、相続開始時の口座残高がそのまま評価額になるケースが多いです。
なお、口座残高を確認するためには、金融機関の残高証明書を取得することとなります。
3-7.その他の財産の相続税評価額
土地・建物・株式・預貯金以外にも、相続税評価額の対象となる財産は多数あります。
財産ごとに評価方法をまとめた一覧表を作成したので参考にしてください。
| 基本の計算方法 | |
|---|---|
| 借地権 | 自用地評価額×借地権割合 |
| 貸宅地 | 自用地評価額×(1-借地権割合) |
| 貸家建付地 | 自用地評価額×(1-借地権割合×借家権割合×賃貸割合) |
| 貸家 | 自用家屋の評価額×(1-借家権割合×賃貸割合) |
| 農地 | 固定資産税評価額×倍率など |
| 死亡保険金 | 受取金額(非課税枠の適用は別途) |
| 死亡退職金 | 受取金額(非課税枠の適用は別途) |
| 自家用車 | 中古市場の売買実例価格 |
| 骨董品・美術品 | 専門家による鑑定価額等 |
| ゴルフ会員権 | 取引相場×0.7(預託金なしの場合) |
財産の性質によって、相続税評価額の計算方法が大きく異なります。
特に借地権・貸家・農地などは評価が複雑で、減額要素の見落としが税額に直結するため、専門家の確認が有効です。
4.相続税評価額は特例・非課税枠の適用で下がる可能性あり
相続税評価額は、原則の評価方法で計算した金額がそのまま課税対象になるわけではありません。
土地の評価額を大幅に減額できる「小規模宅地等の特例」や、課税対象から除外できる「死亡保険金・死亡退職金の非課税枠」を適用すれば、相続税評価額を下げることに繋がります。
相続税額そのものを左右する重要な制度ですので、相続税に強い税理士に相談した上で、適用要件を必ず確認されることをおすすめします。
4-1.小規模宅地等の特例
小規模宅地等の特例とは、被相続人の自宅や事業用の宅地等について一定の要件を満たす場合は、相続税評価額を最大80%減額できる制度です。
土地の評価額は相続財産の中でも大きな割合を占めるため、この特例の有無で相続税額が大きく変わります。

小規模宅地等の特例は、相続税の節税効果が非常に大きい一方、要件が複雑で誤解しやすい制度です。
利用区分によって適用要件が変わりますが、併用できる場合もありますので、必ず税理士に確認しましょう。
参考:【小規模宅地等の特例】相続税評価額を最大80%減額!適用要件・計算方法を解説
4-2.死亡保険金・死亡退職金の非課税枠
死亡保険金と死亡退職金は、民法上の相続財産ではありませんが、被相続人の死亡を事由に支払われる金銭であるため、みなし相続財産として相続税が課税されます。
しかし、死亡保険金や死亡退職金には、遺族の生活を守るという目的もあるため、それぞれに相続税の非課税枠が設けられています(受取人が法定相続人である場合のみ適用)。

例えば、法定相続人が3人である場合、死亡保険金の非課税枠1,500万円、死亡退職金の非課税枠1,500万円となり、合計3,000万円まで相続税が非課税となります。
ただし、受取人の設定や契約内容によって課税関係が変わるため、必ず税理士に確認をしましょう。
参考:【相続税の非課税枠】いくらまで申告不要?基礎控除の計算方法をシミュレーション付きで解説
5.相続税評価額を使った相続税の計算シミュレーション【モデルケース】
ここまで解説した相続税評価額の考え方などを踏まえ、実際に相続税がどのように計算されるか、モデルケースを元にシミュレーションしてみましょう。
シミュレーションモデルの前提条件は、以下の通りとします。
■法定相続人
配偶者・長男・次男(合計3人)
■財産内訳
自宅(土地):路線価40万円(真四角の100㎡)
自宅(建物):固定資産税評価額は1,200万円
預貯金:1,000万円
死亡保険金:1,000万円(配偶者が受取人)
葬儀費用:▲200万円
なお、被相続人の自宅(土地と建物)は同居していた長男が相続し、死亡保険金の受取人は配偶者であると仮定します。
5-1.相続税評価額を計算する(原則の評価額)
まずは、各種財産の情報を基に、原則となる相続税評価額を計算します。ここが相続税計算のスタート地点です。
| 計算方法 | |
|---|---|
| 自宅(土地) | 路線価40万円×地積100㎡=4,000万円 |
| 自宅(建物) | 固定資産税評価額1,200万円×1.0=1,200万円 |
| 預貯金 | 1,000万円 |
| 死亡保険金 | 1,000万円 |
| 葬儀費用 | ▲200万円 |
原則となる相続税評価額は、4,000万円+1,200万円+1,000万円+1,000万円-200万円で、合計7,000万円となります。
5-2.相続税評価額に特例や非課税枠を適用する
次に、相続税の節税効果が大きい「小規模宅地等の特例」や「死亡保険金の非課税枠」を適用します。
今回は、同居していた長男が自宅の土地・建物を取得し、配偶者が死亡保険金の受取人であったと仮定していますので、相続税評価額は以下のように変動します。
| 計算方法 | |
|---|---|
| 自宅(土地) | 800万円まで減額(小規模宅地等の特例を適用) |
| 自宅(建物) | 1,200万円 |
| 預貯金 | 1,000万円 |
| 死亡保険金 | 0円(非課税枠を適用) |
| 葬儀費用 | ▲200万円 |
結果として、各種特例や非課税枠を適用した相続税評価額は、800万円+1,200万円+1,000万円+0円-200万円で、合計2,800万円となります。
小規模宅地等の特例と非課税枠を適用することで、相続税評価額は7,000万円→2,800万円まで大幅に減額されました(4,200万円減額)。
5-3.基礎控除額を差し引いて課税対象額を計算する
最後に、相続税の基礎控除と比較して、相続税の課税対象額を判定します。
相続税の基礎控除とは、すべての相続において適用できる控除のことで、相続税がかかるか否かのボーダーラインのような役割を担っています。

今回のシミュレーションモデルの法定相続人の数は3名ですので、相続税の基礎控除額は4,800万円です。そして特例適用後の遺産総額は2,800万円まで減額されています。
結果として「遺産総額2,800万円<基礎控除4,800万円」となり、基礎控除以下のため相続税はかからないこととなります(小規模宅地等の特例適用のため相続税申告は必須)。
なお、特例や非課税枠を適用した後の相続税評価額が基礎控除を超える場合は、超えた部分に税率をかけて相続税額を計算することとなります。
6.正確な相続税評価額は相続に強い税理士に計算してもらおう
相続税評価額は、財産の種類ごとに評価方法が異なり、土地のように複雑な財産では「税理士10人いれば10通りの評価額が出る」と言われるほど難易度が高い分野です。
特に土地は「減額要素をどれだけ見つけられるか」「特例や控除をどこまで適用できるか」が評価額に直結し、最終的な相続税額が数百万円単位で変わることも珍しくありません。
相続税評価額は、自己判断での誤りが起こりやすい領域です。
正確な評価と適切な節税のためには、相続専門の税理士による確認が不可欠です。
6-1.税理士法人チェスターにご相談を
税理士法人チェスターは、年間3,000件超えの申告実績を誇る、相続税専門の税理士法人です。
難易度が高い土地・マンション・非上場株式などは、1円でも相続税評価額が低くなるよう減額要素を見つけ出し、各種特例や非課税枠を適用して評価させていただきます。
また、相続税の節税に繋がる遺産分割や、不動産の売却タイミングについてもアドバイスさせていただきます。
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※この記事は専門家監修のもと慎重に執筆を行っておりますが、万が一記事内容に誤りがあり読者に損害が生じた場合でも当法人は一切責任を負いません。なお、ご指摘がある場合にはお手数おかけ致しますが、「お問合せフォーム→掲載記事に関するご指摘等」よりお問合せ下さい。但し、記事内容に関するご質問にはお答えできませんので予めご了承下さい。
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