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一般動産の相続税評価

一般動産の相続税評価

財産は法律的には、不動産・動産・債権・無体財産に分けられます。
このうち、不動産は土地及びその定着物をいいます。

土地と建物は別の不動産として認識されます。
無体財産は、著作権などの知的財産権を意味します。
無体財産については民法には規定がなく、著作権法などに定められ特別な財産権としての扱いを受けます。

また、債権は他者に一定の行為を請求する権利であり、民法に詳細な規定があります。
そして、動産は、それ以外のすべての有体物を指して意味する言葉です。

動産というのは不動産(土地とその定着物)以外のテレビやパソコン、車やガソリン、衣類や食品など主に一般的な「物」についての財産のことを指します。

身の回りにある家財などで手に触れることができるものはすべて動産です。
動産も財産ですので、当然相続の対象となります。
その結果、動産は相続税の対象となります。

動産の相続税評価の方法

ただ、動産は日常利用するコーヒーカップから高価な宝石・美術品、自動車や事業用の機器まですべて動産として取り扱われることから相続税の計算においては、1世帯・1農家・1旅館ごとに評価することが認められます。

動産の評価額の計算方法は、『調達価格』を基準とします。
『調達価格』とは課税時期において財産を現況により取得する際の価格を意味し、原則的には、その物の実際の取引価格である売買実例価額、専門家の意見を参考に求めた精通者意見価額を参酌して、一般動産の評価額を算出します。

ただ、調達価格が不明の場合には、新品小売価格から経過年数による減価の額で算出します。
この場合の減価方法は定率法によります。

動産であっても、仏壇仏具や神具、その他の祭祀財産については課税はされません。
これらについては国民感情上、課税することがなじまないと判断されるためです。

また、歴史的価値のある美術品などで相続税の申告期限(被相続人の死亡の翌日から起算して10ヶ月以内)に国や地方公共団体・特定の公益法人に寄付を済ませた財産も課税されることがありません。

このように動産は、一括して評価されたり、目的物の性質によって課税されなかったり、寄付により課税を免れるなど不動産とは異なり様々な特殊な扱いがされることとなります。

売買実例価額、精通者意見価額が明らかでないとき

しかし、売買実例価額、精通者意見価額が明らかになっていない、不明な時の動産の場合、その動産と同じ規格の商品、同規格の商品の小売価額から、課税時期までの償却費又は減価をマイナスしたものになります。
これを数式で表すと「小売価額-(償却費又は減価)」となります。
この時、償却費、減価を計算する期間は動産が製造された時から課税時期(相続人が死亡した時)までの期間を一年単位であらわしたものを用います。ただし、一年未満の端数がある時はそれを繰り上げて一年として用います(例:2年と六ヶ月→三年として扱う)

償却費

さきほどあげた償却費は、「継続して使うものを使う年数に応じて少しずつ費用を支払うべき」と考えられた支払い方法で、毎年少しずつ費用を支払う形式になっているものです。償却費には様々な支払い法がありますがここでは、定率法で算出したものを用いて計算を行います。定率法とは毎年ごとに未償却の残高に一定の率を乗じて償却する償却法で、加速度的な減価償却の一つです。

【財産評価基本通達129】(一般動産の評価)
一般動産の価額は、原則として、売買実例価額、精通者意見価格等を参酌して評価する。ただし、売買実例価額、精通者意見価格等が明らかでない動産については、その動産と同種及び同規格の新品の課税時期における小売価額から、その動産の製造の時から課税時期までの期間(その期間に1年未満の端数があるときは、その端数は1年とする。)の償却費の額の合計額又は減価の額を控除した金額によって評価する。(昭41直資3-19・平20課評2-5外改正)

株式の評価方法

なお、法律的には債権などに該当しそうですが、相続税等の算定にあたっては、特別なカテゴリーに分類されるものとして株式があります。

株式は会社法改正や保管振替制度により、新規で株券として発行されることは少なくなり、理論上は会社に対する地位として特殊な財産権ということになりそうですが、相続税法では、上場株式と気配相場等のある株式、取引価格のない株式に分類され、それぞれ異なった評価算定をされることとなっています。

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