まさかの役員借入金も課税対象!?相続発生前にすべき解消法4選
会社の業績が思わしくないから、代表が会社にお金を貸しているというケースでは、会社に貸しているお金、すなわち会社にある「役員借入金」も相続財産に含まれることをご存知でしたか??
貸しているお金があるまま相続が発生したらどうしたら良いのでしょうか?
この記事の目次 [表示]
1.役員借入金とは?
役員借入金とは、会社(法人)が役員(主に社長)から借りているお金のことです。役員から見れば、会社に対して貸しているお金をさします。
会社の資金繰りが悪く一時的に役員がお金を払ったり、会社の経費の立替えをしていたりする場合に発生します。
また、毎月支払う役員報酬を「今月は資金繰りが悪いからとりあえずもらわないでおこう」と未払いにしてしまった場合なども役員借入金となります。
2.役員借入金は相続財産になる!?
相続税は被相続人が保有していた財産に対して課税されます。相続財産にはプラスの財産とマイナスの財産があります。
会社の「役員借入金」は被相続人の「貸付金」という扱いになります。貸付金は「いずれは返ってくるお金」となり、プラスの財産に含まれます。
つまり、被相続人が会社に1億円貸している状態で亡くなった場合、被相続人が貸している1億円も相続財産に含まれることになります。
さらに、貸付金は元本に利息分を足して計算するという決まりがあります。そのため、元本すら受け取っていないにも関わらず、もらっていない利息分まで相続財産になってしまうということです!!
3.役員借入金の解消方法は?
役員借入金があるまま、相続が発生すると相続税の課税対象になります。つまり、相続開始前に役員借入金をなんとかしておく必要があります。
(1)資本金に振り替える
Debt Equity Swap(デット・エクイティ・スワップ)という方法で役員借入金を資本金に振り替えることが出来ます。
Debt Equity Swap(デット・エクイティ・スワップ)とはDebt(債務)とEquity(資本)をSwap(交換)するという意味で、役員借入金と株式を交換するという方法です。
ただし、会社側は資本が増えることになるため、軽減税率の適用ができなくなる等のデメリットもあるため慎重に検討する必要があります。
また、債務超過の場合にはこの方法が出来ないことがあります。
(2)役員報酬を減らして返済を行う
役員報酬を減額し、減額分を役員借入金の返済という形で役員へ支払います。
ただし、役員報酬は期中に変更することが出来ません。変更する場合には事業年度開始時に行ないましょう。
(3)役員が債権放棄をする
会社にお金を貸している役員が債権放棄を行うことで、会社の役員借入金を消滅させることが出来ます。債権放棄をすると、会社は役員借入金返済の必要はなくなりますが、債務免除益が計上されるため、役員借入金と同じだけの繰越欠損金が無い場合には税金が発生します。
(4)会社への貸付金を贈与する
役員が会社への貸付金を推定相続人に贈与します。この場合、贈与税の基礎控除110万円以内になるように贈与を行ないましょう。110万円を超えてしまうと贈与税が課税されます。
相続開始前3年以内の贈与は相続財産に含まれるというルールがありますので、会社への貸付金を贈与する場合には、なるべく早く、長い期間かけて贈与をしていくようにしましょう。
(上記の「3年以内」という期間は令和9年以降段階的に延長され、令和13年以降は「7年以内」となります。)
贈与税についての詳細は下記をご確認ください。
贈与税の計算方法が簡単にわかる!?税額を0にできる4つの特例を解説
相続開始前3年~7年以内の贈与は相続税の対象になる!? 相続時加算される贈与とは?
4.役員借入金があるまま相続が発生したら?
役員借入金は原則、相続税の課税対象となる財産ですが、財産評価基本通達では、以下のように定められています。
つまり、どうみても破綻している状態であれば、役員借入金は相続財産に含まないということになります。
しかし、赤字や債務超過という状態というだけでは債権の回収見込みが全くないとは言い切れないということから、上記に該当するとはいえないという判断が多いようです。
結論としては、法的整理の状態でなければ認めてもらえないと言えます。
まとめ
会社に役員借入金がある場合、役員に相続が発生してからでは対処が難しくなってしまいます。
できるだけ早く、役員借入金を解消しておくことが一番の相続対策と言えるのではないでしょうか?会社が金融機関から融資を受ける場合にも、「役員貸付金」や「役員借入金」はマイナスのイメージとなります。
知らないうちに役員借入金が増えていた!という事のないように日頃から注意してください。
※この記事は専門家監修のもと慎重に執筆を行っておりますが、万が一記事内容に誤りがあり読者に損害が生じた場合でも当法人は一切責任を負いません。なお、ご指摘がある場合にはお手数おかけ致しますが、「お問合せフォーム→掲載記事に関するご指摘等」よりお問合せ下さい。但し、記事内容に関するご質問にはお答えできませんので予めご了承下さい。
相続対策も相続税申告もチェスターにおまかせ。
「相続税の納税額が大きくなりそう」・「将来相続することになる配偶者や子どもたちが困ることが出てきたらどうしよう」という不安な思いを抱えていませんか?
相続専門の税理士法人だからこそできる相続税の対策があります。
そしてすでに相続が起きてしまい、何から始めていいか分からない方もどうぞご安心ください。
様々な状況をご納得いく形で提案してきた相続のプロフェッショナル集団がお客様にとっての最善策をご提案致します。
DVDとガイドブックの無料資料請求はこちらへ
各種サービスをチェック!
\ご相談をされたい方はこちら!/
今まで見たページ(最大5件)
関連性が高い記事
カテゴリから他の記事を探す
財産評価編