基準年利率の使い方を税理士が解説!
相続税の評価において、市場での評価が難しい財産では、客観的な判断のため、基準年利率を割り出したうえで、評価に必要となる複利年金原価率などを確認することがあります。
それでは、そもそも基準年利率とはなんなのか。基準年利率の考え方と実際に評価で利用されるケースについて解説していきます。
1.基準年利率とは
基準年利率とは、財産相続などの際にかかる相続税の割引率のようなもので、日本証券業協会によって公表されている利付国債の複利利回りをもとにして算出されています。区分としては、1~2年の短期、3~6年の中期、7年以上の長期の3つに分けられ、国債の複利利回りからも推測できるように、一定期間収入等が見込まれるものにおける相続税の計算などで使用される利率です。
例として挙げられるのが、著作権。毎年収入が見込まれるものであり、金融機関に収入で得た額を預け入れることで利息が発生することから、利息分を割り引くために、基準年利率を用いたうえで評価を行います。
基準年利率は、毎年その年によって違う数字が国税庁から発表されています。その数字は近年においては年々大幅に引き下げられており、各方面の相続財産の評価額算出に大きく影響を与えています。
ちなみにこの基準年利率は、平成16年に法改正があるまでは固定の数字でした。
法改正までは、基準年利率は一律3%と定められており、計算も簡単でした。
しかし先の法改正において、この基準年利率を用いて評価を行う財産の中には、長期的にその財産による利益を得るもの(会員権など)が多いことから、長期金利を設定する方が適切であるという指摘をうけ、長期国債の応募者利回りならびに最近10年間の長期プライムレートを基準として、これらの平均値をその時点での基準年利率として、定めるようになりました。
本来であれば日々新しいレートを公開するのが一番適切であるとも言われていますが、そうすることによって混乱が生じる恐れもあり、月ごとに発表されることになっています。
2.相続税で基準年利率を使用するケース
相続税のうち、一定の財産の評価においては、基準年利率が重要になります。基準年利率から相続税の財産評価に必要な、複利年金原価率、複利原価率、年賦償還率、複利終価率が明らかになるためです。
つまり、こうした複利年金原価率を算出しなければならない財産では基本年利率をまず確認することが必要になります。
基準年利率を確認する必要がある財産について見てみましょう。
●定期借地等
決められた契約期間に限った借地権のことです。定期借地等の評価では基準年利率に基づいた複利年金原価率が用いられるほか、設定時の経済的利益の総額算出においても、複利年金原価率と複利原価率が必要になってきます。
●特許権や著作権
特許権や著作権というのは、長期的に収入が発生する可能性のある財産です。特許権では基準年利率で割り出した複利原価率、著作権では複利年金原価率を用いて評価を行います。
●鉱業権
鉱業権は鉱物の採取における権利ですが、著作権同様長期的な利益を生み出す財産であることから、基準年利率をもとにした複利年金原価率によって評価します。
●営業権
事業を相続した際の営業権とは、客観的な評価が難しい会社としての力、影響力などのことです。財産として考えられ、評価では基準年利率を用いた複利年金原価率を計算に取り入れます。
●その他の基準年利率が必要な財産の評価
ほかにも、基準年利率で算出される複利原価率は、清算中の会社における株式、信託受益権、ゴルフ会員権の評価で取り入れられています。
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