電子マネーと仮想通貨も相続財産?日本では相続税の対象になり得るのか?
SUICAやPASMOを始め、ICカードによる電子マネーはもはや当たり前の生活になっています。また、デジタル通貨であるビットコインやビットキャッシュなども活用の場が広がりつつあります。
紙幣と異なるこれらの電子マネーや仮想通貨は被相続人が亡くなった後、どのような扱いになるのでしょうか?相続税の課税対象となるのでしょうか?
この記事の目次 [表示]
1.仮想通貨とは
仮想通貨はデジタル通貨を言います。仮想通貨売買、仮想通貨FXなどの投資に使用されたり、海外への送金の際に仮想通貨を使用するという方法があります。
(1)仮想通貨のメリット
海外送金で仮想通貨を利用すると、簡単かつ低い手数料で送金ができるというメリットがあります。
匿名でお金を集めることなども可能で、2013年にはアメリカの学生が軽い冗談のつもりでフットボールの試合中に、母親にビットコインでお金を送ってというメッセージとQRコードを記載したボードを掲げていたところ、この映像をテレビで見ていた人がビットコインを送り、2万ドル以上のビットコインが集まったという事例があります。
このように、ビットコインは匿名で送金することが可能なため、募金や寄付を募る場合にも使いやすいというメリットがあります。
(2)仮想通貨のデメリット
盗難など何か事件があった場合、すべて自己責任になってしまうという点が大きなデメリットではないでしょうか?
国や企業による安全対策等の担保が存在せず、また、損害補償的なものもありません。そのため、ご自身でセキュリティをしっかりとしておく必要があります。
ネット上でのやりとりがメインとなるためハッキングなどに対する対策も必要です。また、インターネットが使用できる環境が無いと使用することができません。
2.仮想通貨は相続税の対象となるのか
2016年に金融庁が仮想通貨も貨幣と定義しており、2017年には仮想通貨関連法案等の施行されましたが、現段階では相続税の課税対象とするかどうかという具体的な決定は無いようです。
これには、仮想通貨を相続税の課税対象とする場合に、問題となる点があるからと考えられます。
(1)相続人が仮想通貨を使用できない可能性がある
仮想通貨を使用する場合には、パスワード等が必要となります。ビットコインの場合には、秘密鍵と呼ばれる公開鍵暗号によって保有者の証明を行います。
この方法が唯一、所有者の証明ができる方法です。被相続人はすでに亡くなっていますので、この秘密鍵についてをきちんと伝えていない場合には相続人がビットコインを回収するということは不可能となります。
相続することができなければ、相続財産にはなりませんので相続税がかかるということはありません。
(2)仮想通貨の相続税評価
仮想通貨を引き継ぐことが出来た場合、相続税がかかるかというと、現段階では相続税の評価額に対する取扱の方法に正式な決まりはありません。
仮に、相続税の課税対象となる場合には仮想通貨の価値を円で計算する必要があります。
しかし、ビットコインなどの仮想通貨の場合、1ビットが1円という訳ではありません。仮想通貨の場合、相場に変動があります。
原則としては、相続開始時の時点における時価によって相続税評価額を算出するということになるでしょう。仮想通貨の場合、通常の貨幣と異なり、法的な強制力がありません。
そのため、課税対象となるかどうかは状況等により判断が異なると言えるでしょう。
3.仮想通貨を相続させるためには
上記でご説明したように、仮想通貨を相続させる場合には、パスワードとなる秘密鍵の所在についてを明確にしておく必要があります。
パスワードに限らず、取引に必要となる情報は全てわかるようにしておきましょう。
遺言等に記載しておくなど何らかの形をとる必要があります。ご自身が亡くなった後に仮想通貨がどのようになるかをしっかりと確認し、引き継げる状況を作っておく必要があります。
4.電子マネーはどうなるの?
電子マネーに関しては、仮想通貨とは異なり、現金をカード内にチャージして使用する方法です。そのため、資産価値は現金と同等になります。
現金と同じ扱いということになりますから、当然、相続税の課税対象となり、遺産分割も必要になります。ただし、電子マネーの場合にはチャージの上限がありますので、
ものすごく高額になるということはありません。ちなみに、ネット上のゲームなどで使用する課金は基本的には資産価値が無いと判断され相続税の課税対象とはなりません。
しかし、払い戻しなどが行われ現金化された場合には相続税の課税対象となりますので注意してください。
まとめ
電子マネーに関しては現金と同様の扱いということで相続税の課税対象となりますが、仮想通貨に関しては、具体的に課税されるという決まりは現段階ではありません。
しかし、今後、仮想通貨の普及に伴い法整備等がされる可能性は十分に考えられます。
また、仮想通貨のシステム上でも、保有者が亡くなった後にスムーズに引き継げるようになる可能性もあります。そうなると相続税の課税対象となる可能性は高くなります。
現段階でも場合によっては相続税の課税対象になるということもあり得ます。高額な仮想通貨を所有されている場合には専門家に相談するなど、相続に関する対策を考えておく必要があります。
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