相続が争族に。遺産相続のトラブル原因を知ることで争族を回避しよう!
相続争いと聞くと、遺産がたくさんある場合に起こると思われがちですが、実はごく一般的なご家庭に多く発生しています。遺産総額で表すと5,000万円以下が最もトラブル件数が多いというデータもあります。
とはいえうちはみんな仲が良いし、相続で揉めることなんてないよ!という方もいらっしゃるでしょう。しかし、実際には仲が良かった親族ほど相続争いに発展しているケースが多いという現実もあります。遺産相続はお金に関わることになるため、予期せぬところで相続争いが発生してしまうのです。遺産相続が「争族」にならないために、トラブルの原因や対処方法を理解して争族を回避しましょう。
この記事の目次 [表示]
1.相続が争族になるトラブル原因
相続争いには原因があります。争族が生じる原因を理解しておくことで対処することができます。そのために、相続争いが起こりやすい原因やトラブルの事例をご紹介しておきます。
(1)不動産の相続に関するトラブル
相続争いは誰が何を相続するかという相続分で揉める場合がほとんどです。相続する財産が現金のみであれば、分割もそう難しくありません。しかし、不動産の場合には簡単に分割することが出来ず相続争いに発展するというケースが考えられます。
例えば、被相続人の財産が自宅5,000万円と預貯金1,000万円だったとします。長男は被相続人と同居していました。遺産総額は6,000万円となり、相続人が兄弟のみであれば3,000万円ずつの相続が見込まれます。
しかし、きっちり分けるとなれば自宅を売却する必要があります。長男としては自分の住んでいる家を売却するわけには行きません。
次男が預貯金を相続することで納得してくれれば解決ですが、もし、次男が自分の方が相続分が少ないからきっちり相続分をもらいたい!と主張してきた場合には、自宅を売却するか、足りない分を現金で支払う必要があります。住居の問題から自宅の売却が出来ず、次男に支払えるだけの現金が手元にない場合は自宅を共有名義にするしかありませんが、不動産を共有名義で相続することは次のトラブルの元となることもあります。
さらに預貯金が全く無い場合となればより難しくなります。このように、不動産のような分割が難しい遺産の場合にはトラブルになる可能性が非常に高いです。
(2)認知などのトラブル
被相続人に離婚歴があり、前妻との間に子がいる場合や、被相続人が認知している子がいる場合など、全く会ったこともない人が相続人として現れるというケースも相続争いに発展しやすくなります。
子の場合は、被相続人の第1順位の相続人となります。もし、被相続人に配偶者がおり、子がいない場合、本来であれば配偶者と第2順位の相続人(直系尊属)が相続します。しかし、認知した子や前妻の子など第1順位が現れると配偶者と第1順位となる子が相続することになります。
結果的に、第2順位の父母は相続できず、会ったこともない人が相続することになるのです。第2順位の父母にとっては、孫が相続するということになるので良いかもしれませんが、配偶者からすれば、想定していた相続分よりも少なくなる可能性がありますから、納得できない気持ちになることでしょう。
(3)子どもがいない場合もトラブルになりやすい
意外なことに子どもがいない場合も相続トラブルに発展しやすいと言われています。これは、子どもがいない場合、配偶者と第2順位または第3順位が相続人となり、被相続人の兄弟姉妹や場合によっては甥姪が相続に関わってくるためです。
認知などの場合と同様に、関係性が薄い人間同士の相続はトラブルに発展しやすいのです。
2.相続争いの回避方法とは
上記でご説明したような原因による相続争いを回避するためには「遺言の作成」が重要となります。遺言では、相続分を指定する、財産の遺贈するなどができます。
事前に誰に何を相続させるかをしっかりと検討し、遺言に記載しておくことで揉めずに遺産を分けることが可能になります。上記の相続争いの原因になるようなこと以外にも、内縁の妻など相続人ではない人に財産を遺してあげることも可能です。
しかし、注意しておきたい点もあります。
第3順位の相続人以外の相続人(配偶者、第1順位、第2順位)の場合、遺留分というものがあります。遺留分は相続人が最低限取得できる財産の取り分です。
この遺留分を考えずに相続分の指定を行うと、結果的にトラブルに発展してしまう可能性があります。
3.遺言があってもトラブルになる可能性も十分ある
遺言の注意点でも触れましたが、遺言を作成したにも関わらずトラブルになってしまう可能性もあります。
(1)遺留分の侵害
先にもご説明したように、第3順位の相続人以外の相続人には遺留分があります。
遺留分を侵害された相続人が遺留分減殺請求を行い、結果的には争うことになってしまったというケースもあります。遺言を遺す際には、遺留分を侵害しないように遺産を分けておくことがポイントになります。
(2)遺言が認められない
遺言内容に不備があった場合など、遺言が認められないケースがあります。このようなケースは主に自筆証書遺言や秘密証書遺言で起こりやすいと言われています。そのため、遺言を作成する場合には公正証書遺言の作成をおすすめします。
公正証書遺言は公証役場で遺言を作成してもらうため、不備なく作成することが可能です。公正証書遺言の場合、保管も公証役場で行ってくれるため、偽造されるというリスクも回避できます。
遺言を遺すなら公正証書遺言がおすすめ!メリットや作成方法を解説
上記以外にも遺言が実行されないといったトラブルも考えられます。
遺言を作成する際には遺言執行者を指定しておくことで、遺言内容をスムーズに実行することが可能です。また、遺言執行者の権限についても明記しておきましょう。もし、遺言に遺言執行者が指定されていない場合には、家庭裁判所で遺言執行者を選任してもらう手続きを行うことも出来ます。この場合には遺言執行候補者を事前に決めておく必要があります。
遺言執行者は選任すべき?遺言執行者が必要な場合と解任の方法について
遺言執行者になったら何をするの?遺言執行者の業務内容を説明します!
まとめ
遺産相続が争族となってしまう大きなポイントは、どれだけ財産を取得できるのかにあるのではないでしょうか?
本来相続できる分が相続できない、分け方が平等になりづらいという場合ほど争いが生まれてしまいます。
そうならないためには、遺言の作成等で極力平等に財産を分け合えるようにしておくことや、明確な理由などを記載しておくことが重要になります。身内同士で争いになることの無いように、相続対策と同様に争族対策も行いましょう。
【相続争いの関連記事】
相続争いで兄弟の関係が泥沼化!兄弟が相続でもめる原因とは?
遺言が招く悲しいトラブル!具体的な事例と避けるために気をつけたい点
※この記事は専門家監修のもと慎重に執筆を行っておりますが、万が一記事内容に誤りがあり読者に損害が生じた場合でも当法人は一切責任を負いません。なお、ご指摘がある場合にはお手数おかけ致しますが、「お問合せフォーム→掲載記事に関するご指摘等」よりお問合せ下さい。但し、記事内容に関するご質問にはお答えできませんので予めご了承下さい。
相続対策も相続税申告もチェスターにおまかせ。
「相続税の納税額が大きくなりそう」・「将来相続することになる配偶者や子どもたちが困ることが出てきたらどうしよう」という不安な思いを抱えていませんか?
相続専門の税理士法人だからこそできる相続税の対策があります。
そしてすでに相続が起きてしまい、何から始めていいか分からない方もどうぞご安心ください。
様々な状況をご納得いく形で提案してきた相続のプロフェッショナル集団がお客様にとっての最善策をご提案致します。
DVDとガイドブックの無料資料請求はこちらへ
各種サービスをチェック!
\ご相談をされたい方はこちら!/
今まで見たページ(最大5件)
関連性が高い記事
カテゴリから他の記事を探す
相続法務編