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漁業権の相続税評価

漁業権の相続税評価

魚介類などの水産物を取得することは元来的には自由であったはずです。

しかし、水産物は大きな利益を生むことから、早くから権利化(近代以前においては独占権・利権と呼んだほうが実態に即しているということができるかもしれません)され、現代では漁業で生きる方の生活の糧として利権となっているとともに、適切な水産資源の確保のため、魚介類の取得を業とする権利は漁業権として権利化されています。

つまり、漁業権とは、海や川など一定の場所で、独占的に魚介類の取得や養殖をして、その成果物を売却し利益を得ることができる権利をいいます(漁業法)。

密漁はもとより、一般のダイバーなどが魚介類を取得したような場合にも漁業権侵害の可能性はあり、この場合には、一般の利用者と漁業権者の利益調和が難しい課題となります。本来的に海や川などで漁をすることは自由であったはずであるためです。

ただ、漁業権は、現在の資本主義社会においては漁業に携わる方の生活の糧であるとともに、水産資源の確保という環境的な問題も絡んできています。そのため、水産庁においては漁業権の啓蒙・周知を促進しています。漁業権は相続された場合には、財産的価値がある資産として相続税評価の対象となります。

漁業権の評価方法

そして漁業権の評価方法は、国税庁の財産評価基本通達163によって営業権の計算方法が適用されます。

具体的な計算式は営業権の部分を漁業権と置き換えて以下の通りとなります。

【営業権の価額】=超過利益金額×営業権の持続年数(原則10年としています)に応ずる基準年利率による複利年金現価率超過利益金額=平均利益金額×0.5−標準企業者報酬額−総資産価額×0.05

このようにして算定された価格が漁業権の算定基準となります。

漁業に携わる方の相続税課税の可能性

漁業を行う方は、漁業権以外にも船舶の所有権や土地家屋の所有権などをお持ちの場合が多く、相続税の負担が生じる可能性が高いということになります。

そのため、漁業権や船舶などの保有状況から相続税発生の可能性がある場合には早めに税理士へ相談されるこをおすすめできます。

とりわけ、平成27年1月1日以降は、相続税の基礎控除額の引き下げにより相続税発生の可能性が著しく高まります。

次の世代が相続税の支払いに悩まずに安心して漁業に取り組むことができるよう、相続税対策は早めに行うことが重要です。

また、漁業権については、目に見えない権利であるため相続税の課税対象として把握されていない場合もあります。

このような場合には、ご子息などから漁業権を含めた相続税の可能性について示唆して相続税対策を意識させることも資産を守る上でとても重要なこととなります。

※この記事は専門家監修のもと慎重に執筆を行っておりますが、万が一記事内容に誤りがあり読者に損害が生じた場合でも当法人は一切責任を負いません。なお、ご指摘がある場合にはお手数おかけ致しますが、「お問合せフォーム→掲載記事に関するご指摘等」よりお問合せ下さい。但し、記事内容に関するご質問にはお答えできませんので予めご了承下さい。

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