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特別縁故者とは?認められる要件から手続きの流れ、受け取れる金額まで解説

特別縁故者とは?認められる要件から手続きの流れ、受け取れる金額まで解説

被相続人(亡くなった人)に法定相続人がいない場合、被相続人の財産は最終的に国のものとなります。

しかし、内縁関係にある配偶者や被相続人を献身的に看護した人などがいた場合、家庭裁判所に「特別縁故者」と認められることで遺産の一部または全部の取得が可能です

特別縁故者に該当するかどうかや取得できる遺産の額などは、家庭裁判所の判断により決定されます。

この記事では、特別縁故者になれる人や家庭裁判所への申立て手続きの流れ、相続税計算における注意点などを相続税専門の税理士が解説します。

この記事の目次 [表示]

1.特別縁故者とは?相続人以外でも遺産を受け取れる制度

特別縁故者(とくべつえんこしゃ)とは、被相続人(亡くなった人)に法定相続人がおらず、遺言書も残されていない場合に、家庭裁判所の審判を経て遺産の分与を受けられる人のことです

法定相続人でも遺言による受遺者でもないものの、被相続人と生前に特別に親密な関係にあったと家庭裁判所が認めた人が対象となります(民法第958条の2)。

まずは、特別縁故者の制度がなぜ設けられているのか、また遺言書がある場合にどちらが優先されるのかについて、以下で詳しく解説します。

1-1.遺産を国庫に帰属させないための制度

相続が発生したとき、亡くなった方が所有していた財産は以下の順序で処理され、最終的には国のものとなります

  1. 遺言による遺贈(遺言書で指定された人への財産の引き渡し)
  2. 法定相続人による相続
  3. 特別縁故者への財産分与
  4. 国庫帰属(国のものになること)

法定相続人がいない場合、被相続人(亡くなった人)の相続財産は、国のものとして国庫に帰属することになります。

しかし、被相続人と家族同然のように暮らしてきた人や一緒に住んで故人の世話をしていた人にとっては、「法定相続人ではない」「遺言書がない」という理由だけで、遺産がすべて国に渡ってしまうのは不条理に思えるでしょう。

被相続人としても、「国に遺産を渡すよりは、生前お世話になった人に譲りたい」などと思っていた可能性はあります。さらに、被相続人の財産で生計を立てていた方は、遺産を相続できないと、生活が立ち行かなくなってしまいかねません。

そのため民法では、一定の要件を満たす人に対して家庭裁判所の審判を通じて財産を分与できる仕組みを設けています。特別縁故者として遺産の分与を受けられる可能性があるのは、たとえば以下のような人です。

〇特別縁故者と認められる可能性がある人の例

  • 内縁の配偶者
  • 献身的に介護をした友人や親族(いとこ等を含む)
  • 故人が深く関わっていた法人(介護施設・宗教法人など)

特別縁故者として認められるかどうかは、家庭裁判所への申立てと審判によって決まります。また、法定相続人に該当する人物が1人でも存在している場合は、特別縁故者の制度は利用できない点には注意が必要です。

1-2.遺言書がある場合は遺言が優先される

被相続人が法的に有効な遺言書を残しており、財産の受取人(受遺者)が指定されている場合は、特別縁故者の制度よりも遺言が優先されます

遺言は被相続人の最終的な意思を法的に実現するものです。そのため、民法では遺言により法定相続人ではない人物に遺産を贈る「遺贈」は、法定相続や特別縁故者への分与よりも優先されるとされています。

一方、遺言書があっても、遺贈の対象外となっている財産(遺言で処分されなかった残余財産)については、特別縁故者への分与が認められることもあります。そのため、特別縁故者として亡くなった方の遺産をもらいたいと考えている場合は、まず遺言書の有無を確認しましょう。

遺言書を探索する方法は次のとおりです。

遺言書を探索する方法

  • 自筆証書遺言(本人が手書きで作成した遺言書):金庫、仏壇、机の引き出し、本棚などの心当たりのある場所を探す。自筆証書遺言書保管制度を利用している場合は、法務局に保管されている場合があるためあわせて照会する
  • 公正証書遺言(公証人が作成した遺言書):公証役場の遺言検索システムを利用して検索する

法定相続人がいない上に法的に有効な遺言書もなかった場合、被相続人の財産はそのままでは国庫に帰属、つまり国のものとなってしまいます。

亡くなった方が遺言書を残しておらず、法定相続人に該当する人物もいないと思われる場合は、家庭裁判所に対して特別縁故者に対する相続財産分与の申立てをすることを検討しましょう。

2.特別縁故者として認められる3つの要件

民法第958条の2によれば、特別縁故者として家庭裁判所に認められるのは、以下の人物であると定められています。

  • 被相続人と生計を同じくしていた者
  • 被相続人の療養看護に努めた者
  • その他被相続人と特別の縁故があった者

参考:e-GOV法令検索「民法 令和8年4月1日施行

ただし、上記3つに該当するために満たすべき詳細な要件が民法で定められているわけではなく、家庭裁判所が総合的に判断します。

ここでは、各要件の具体的な内容と該当するケースについて詳しく解説します。

2-1.要件① 被相続人と生計を同じくしていた人(内縁の配偶者など)

特別縁故者として認められる1つ目の要件は、「被相続人と生計を同じくしていた人」に該当することです。

要件にある「生計を同じくしていた」とは、生活費を共有し、実質的に同一の家計で日常生活を送っていた状態を指します

婚姻届の有無にかかわらず、実態として亡くなった人と共同生活をしており家計を共有していた以下のような人物が対象です。

  • 内縁の夫や妻
  • 法律上の養子縁組の手続きを経ていないものの被相続人に扶養されていた事実上の養子
  • 共同生活をしていた独身のいとこ
  • 被相続人と一緒に生活したり面倒を見ていたりした人 など

ほかにも、実質上の養親、故人の配偶者の先妻あるいは先夫の子、故人の長男の妻、結婚していない男女間に生まれた子供などが、特別縁故者として認められた判例もあります。

一方で、単に同居していた場合や家賃の一部のみを負担していた場合では、生計を同じくしていたとは認められない可能性があります。裁判所へ申立てをする際は、「亡くなった方と生活費をしっかりと共有し、ひとつの家計(お財布)で生活していた」と証明できる客観的な証拠を準備しましょう。

たとえば、共同で管理していた預金口座の取引履歴や家賃や光熱費の領収書、同居年数が分かる住民票などが有効な資料となりえます。

2-2.要件② 被相続人の療養看護に努めた人(献身的な介護をした親族など)

特別縁故者として認められる2つ目の要件は、「被相続人の療養看護に努めた人」に該当することです。

具体的には、病気や加齢によって身体的に衰えた被相続人に対し、無償またはそれに近い形で継続的かつ献身的に介護や療養の世話をした人が該当します。

たとえば、以下のようなケースです。

  • 法定相続人ではないいとこや友人などが、数年にわたり食事の準備・入浴の介助・通院の付き添いなどの日常的な介護を担っていた
  • 近隣に住む知人が、被相続人の晩年に毎日のように訪問して身の回りの世話をしていた

介護ヘルパーや訪問看護師、訪問介護士のように報酬を受け取って職業として介護をしていた方は原則として対象外です。このような方々が特別縁故者として認められるのは、「業務の範囲を著しく超えて家族のように愛情をもって献身的な看護をしていた」など限られたケースです。

被相続人の療養看護に努めていたとして特別縁故者と認められるためには、申立ての際に介護日誌や医療機関への付き添いの記録のほか、医療費や介護費用、交通費の領収書などを用意しましょう。

2-3.要件③ その他、被相続人と特別な縁故があった人(法人なども対象)

特別縁故者として認められる3つ目の要件は、要件①と②には当てはまらないものの、被相続人と特別の縁故があったと家庭裁判所が認めた人に該当することです。この要件の特徴は、個人に限らず法人も申立てが可能な点です。

この3つ目の要件に該当する可能性がある個人、法人の例は以下のとおりです。

  • 個人:被相続人に生活資金や事業資金を援助していた親しい友人や、長年にわたり経済的・生活的に援助してきた知人など、通常の交際の範囲を超えて密接に関わっていた人物
  • 法人:被相続人が長年入居していた介護施設や特別養護老人ホーム、生前に深く関わっていた学校法人・宗教法人・社会福祉法人など

法人が申立てをする場合、施設として被相続人を受け入れていたという事実のみでは基本的に認められません。通常業務の範囲を超えて、無償・献身的な支援を行っていたなどの特別性が必要とされています。

被相続人と縁故の関係性を証明する資料が不十分であると申立てが認められない場合もあるため、メールや手紙などのやり取り、日記などの記録、財産を譲る意思が読み取れる文書など、証拠資料を準備することが大切です。

3.特別縁故者として認められない・財産をもらえないケース

特別縁故者の要件を満たしていても、そもそも制度を利用できないケースや申立てをしても家庭裁判所に認められないケースがあります。以下では各ケースについて詳しく解説します。

3-1.法定相続人がいる場合

特別縁故者の制度は、法定相続人が存在していないことが大前提となります。どんなに疎遠であったとしても、相続開始の時点で法定相続人がいる場合は、特別縁故者の制度をそもそも利用できません

通常、亡くなった方の相続財産は、民法で相続権があると決まっている「法定相続人」が相続します。法定相続人の範囲は以下のとおりです。

〇法定相続人の範囲

  • 常に相続人:配偶者
  • 第1順位:直系卑属(子など。子がすでに亡くなっている場合は、その子どもである孫などが代襲相続をする)
  • 第2順位:直系尊属(父母や祖父母など)
  • 第3順位:兄弟姉妹(すでに亡くなっている場合は、その子どもである甥や姪が代襲相続をする)

たとえば「何十年も連絡を取っていない兄弟がいる」「子どもがいるが行方不明である」といった事情で法定相続人が存在していると、特別縁故者の申立てはできません。

連絡がつかないからといって相続人がいないとは解釈されないため、特別縁故者に該当する可能性がある人がいても、そのままでは財産分与請求を行うことはできないのです。

ただし、法定相続人の全員が相続放棄をした場合は相続人不存在の状態になるため、特別縁故者の申立てができるようになります

3-2.遺産より借金が多いなど、財産が残らない場合

特別縁故者への財産分与の対象となるのは、借入金や未払いの税金など故人の債務の返済・支払い、および受遺者への遺贈が完了した後に残った財産です

前提として、特別縁故者となるためには、最初に家庭裁判所に対して「相続財産清算人」の選任を申立てます。家庭裁判所により選任された相続財産清算人は、債権者や受遺者からの申出があった場合、債務や遺贈の清算を行います。

清算の結果、被相続人の財産が0円になった場合は、その時点で手続きが終了するため、特別縁故者への分与も行われません。

また、プラスの財産が残ったとしても、官報公告費や予納金など清算手続きの費用がかかる分、手元に残る金額が当初の見込みよりも少なくなるケースもあります。

財産と負債の状況は、基本的に相続財産清算人が調査・整理するため、申立ての段階では全容が把握できていないケースも少なくありません。

3-3.申立てをしても家庭裁判所に認められない場合【判例あり】

要件に該当しそうな場合でも、関係性の希薄さや背信行為があると判断されれば、申立てが却下されたり分与額が減額されたりすることがあります。実際に「特別縁故者」であるかどうかは家庭裁判所による判断が重要となってきます。

以下に、過去の審判で参考になる2つの事例を紹介します。

〇関係性の薄さが問題となった判例(東京高裁平成26年5月21日)
被相続人のいとこは、生前の安否確認や自宅の修理などをし、亡くなった際には遺体の引き取りや葬儀の執り行いなどを担ったため、特別縁故者として申立てをした。しかし、生前の交流が限定的であり継続的な関わりや貢献の実態が乏しいと判断され、縁故の程度が濃密ではなかったものとして遺産全額(約3億8,000万円)の一部(300万円程度)の分与にとどまった。

〇不正行為が発覚した事例(東京高裁平成25年4月8日)
被相続人と長年にわたり同居していた内縁の夫が、特別縁故者の申立てをしたものの、その内縁の夫は自分に全財産を渡すという内容に遺言書を偽造していたことが明らかになり、重大な背信行為として申立てが全額却下。

4.特別縁故者が遺産を受け取るまでの全手順と期間

特別縁故者として被相続人の遺産を引き継ぐためには、複数の法的手続きを経る必要があり、完了まで1年以上かかるのが一般的です。具体的な流れは以下のとおりです。

  • STEP1:相続財産清算人の選任を申し立てる
  • STEP2:相続財産清算人による相続人の捜索・公告
  • STEP3:債権者・受遺者への弁済
  • STEP4:相続人不存在の確定後、3ヶ月以内に財産分与を申し立てる

ここでは、各手続きの内容について詳しく解説します。

4-1.STEP1:相続財産清算人の選任を申し立てる

まずは被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に、「相続財産清算人の選任の申立て」を行います。これは、特別縁故者に該当する可能性がある人が申立てをするのが一般的です。

相続財産清算人とは、相続人が存在しない場合(または全員が相続放棄した場合)に家庭裁判所が選任する、故人の財産を管理・清算する専門家のことです。この相続財産清算人には、弁護士や司法書士といった専門家が選ばれるのが一般的です。

令和5年に民法が改正される以前は「相続財産管理人」と呼ばれていました。

申立て時には、必要に応じて「予納金」を納付します。この予納金は、清算人の報酬や手続き費用に充てられます。金額は遺産の規模や内容によって異なりますが、数十万円〜100万円程度が目安です。

また、相続財産清算人が選任されるまでには数週間〜1ヶ月程度かかることが多く、選任後は清算人が財産の調査と管理を開始します。

相続財産管理人の選任の申立ての必要書類や費用などは、家庭裁判所「相続財産清算人の選任」よりご確認ください。

選任手続きの流れや方法などについて詳しくは下記の記事で解説していますので、あわせてご覧ください。

参考:相続財産清算人とは?いつ必要になる?役割や選任の流れ、費用を解説

4-2.STEP2:相続財産清算人による相続人の捜索・公告

家庭裁判所が相続財産清算人を選任すると、官報と呼ばれる国が発行する機関紙に「相続人がいれば名乗り出るように」といった内容の公告が掲載されます

この官報公告の満了期間内(6ヶ月)に法定相続人が名乗り出た場合、手続きはその時点で終了となり、特別縁故者への分与は行われません。

また、相続財産清算人は相続債権者や受遺者に対して一定期間内(2ヶ月以上)に請求の申出をするよう官報に公告を出します。

4-3.STEP3:債権者・受遺者への弁済

相続財産清算人は、公告期間中に申し出のあった債権者や受遺者に対して、遺産から順次弁済・清算を行います

具体的には、申告された債務(借金・未払い税金・医療費など)を確認・精査したうえで、遺産の中から該当する金額を債権者へ弁済します。弁済に必要な現金が不足している場合は、不動産などを売却して弁済のための資金が捻出されます。

遺言による遺贈がある場合は、受遺者へも財産を引き渡します。

なお、この時点で被相続人の財産が0円になった場合は手続きが終了します。

4-4.STEP4:相続人不存在の確定後、3ヶ月以内に財産分与を申し立てる

法定相続人の捜索の官報公告から6ヶ月が経過しても見つからない場合は、法定相続人の不存在が確定します。

ここで初めて、「特別縁故者に対する相続財産分与の申立て」ができるようになります

なお、特別縁故者に対する相続財産分与の申立ては、官報公告の満了期限から3ヶ月以内に行う必要があるため注意をしましょう。期限の延長はできません。1日でも過ぎると申立てはできなくなります。

申立ての後に家庭裁判所が特別縁故者として認めれば、被相続人の相続財産は特別縁故者が相続することとなります。

4-5.申立てに必要な書類と費用一覧

特別縁故者が遺産を受け取るまでの手続きでは、「相続財産清算人の選任申立て」と「特別縁故者に対する相続財産分与の申立て」のそれぞれで書類と費用が必要となります

各申立てそれぞれに必要な書類と費用について、以下で詳しく解説します。

4-5-1.相続財産清算人の選任申立て

相続財産清算人の選任申立ての際は、以下の書類を被相続人の最後の住所地の家庭裁判所に提出します。

  • 申立書(裁判所所定の書式)
  • 被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本・除籍謄本・改製原戸籍
  • 被相続人の父母の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本
  • 被相続人の直系尊属の死亡の記載のある戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本
  • 被相続人の住民票除票または戸籍附票
  • 被相続人の財産に関する資料(不動産登記事項証明書・預貯金通帳の写し・固定資産評価証明書など) など

選任申立ての際には、以下のような費用がかかります。

  • 収入印紙:800円
  • 郵便切手:数千円程度(裁判所によって異なる)
  • 官報公告料:5,582円(令和8年4月1日以降の金額)
  • 予納金:清算人への報酬・手続き費用に充当(遺産の規模・内容により異なるが数十万円〜100万円程度が目安)

4-5-2.特別縁故者の選任申立て

特別縁故者に対する相続財産分与の申立てには、必要書類と関係性を証明する証拠書類を、被相続人の最後の住所地を管轄している家庭裁判所に提出します。

法定の必須書類は以下のとおりです。

  • 申立書(裁判所所定の書式)
  • 標準的な申立添付書類:申立人(特別縁故者)の戸籍謄本・住民票
  • 被相続人との関係を具体的に示す資料:住民票・賃貸契約書・共同口座の通帳写し・介護記録・医療機関への付き添い記録 など
    ※審理のために必要な場合は、追加書類の提出を求められることがあります。

申立書のダウンロードや書式の記入例について、詳しくは裁判所「特別縁故者に対する相続財産分与」をご覧ください。

財産分与の申立てに必要な費用は以下のとおりです。

  • 収入印紙:800円
  • 郵便切手:数千円程度(裁判所によって異なる)

5.特別縁故者が受け取れる財産の金額は?

特別縁故者が受け取れるのは、亡くなった方が残した財産から債権者や受遺者への弁済などの清算手続きをした後に残る額のすべてまたは一部です。

受け取れる金額の決まり方と、全額分与されないケースについて、以下で詳しく解説します。

5-1.遺産の全てをもらえるとは限らない

特別縁故者の分与額や割合は、家庭裁判所が関係性の深さや貢献度などを考慮したうえで決定します

申立人が請求した金額がそのまま認められるわけではありません。

また、複数の特別縁故者が申立てを行った場合、遺産は各申立人の貢献度・関係性に応じて按分されます。

なお、特別縁故者への財産分与を行ってもなお余った相続財産については、最終的に国庫に帰属することになります。

5-2.家庭裁判所が分与額を決定する

家庭裁判所は、以下のような要素をもとに分与額を総合的に考慮して決定します。

  • 被相続人との関係性の密接さ(同居期間・交流頻度・精神的な絆の深さ)
  • 介護・療養看護の期間・内容・献身性
  • 生計の共有または経済的な援助の実態
  • 残余財産の総額と内訳 など

たとえば、長年にわたり献身的に介護を行い、同居・生計共有の実態も明確な内縁の配偶者には遺産全額が認められる可能性があります。

その一方で、被相続人との生前の交流が限定的であるなどの理由で、遺産の一部のみの分与が認められるケースもあります。

6.特別縁故者が遺産を受け取った場合の相続税と注意点

特別縁故者が財産を引き継ぐ場合は「遺贈」という形になりますが、受け取った相続財産は相続税の課税対象となります。

この場合、通常の相続税とは少し考え方が異なりますのでご注意ください。

6-1.注意点① 使える基礎控除は3,000万円のみ

相続税は「相続や遺贈で取得した遺産総額」から、「基礎控除額」を差し引いた金額に対して課税される税金です。

通常、相続税の基礎控除額は「3,000万円+(法定相続人×人数)」で計算をします。

しかし「特別縁故者として認められた」ということは、「法定相続人がいないことが確定している」ということですので、基礎控除額は3,000万円となります。

遺産総額が3,000万円以下であれば相続税は課税されませんが、3,000万円を超える場合は相続税が課税され、相続税の申告義務が課せられます。

6-2.注意点② 配偶者控除などは利用できない

特別縁故者が財産を受け継いだ場合、法定相続人のみが適用される特例や税額控除の対象にはなりません。

具体的には、「小規模宅地等の特例」や「配偶者控除(配偶者の税額軽減)」、「未成年者控除(未成年者の税額軽減)」などを適用できないため、法定相続人が相続するよりも相続税の負担が重くなる可能性があります。各制度の概要は以下をご覧ください。

制度名制度の内容
配偶者の税額軽減(配偶者控除)法律上の配偶者であれば、1億6,000万円または法定相続分まで相続税が非課税となる制度
未成年者控除18歳未満の法定相続人が相続する場合、「10万円 ×(18歳 − 相続時の年齢)」を相続税から控除できる制度
障害者控除85歳未満の障害者である法定相続人が相続する場合、「10万円×(85歳 − 相続時の年齢)」を相続税から控除できる制度。特別障害者は「20万円×(85歳 − 相続時の年齢)」の控除が可能
相次相続控除10年以内に相次いで相続が発生した場合に税負担を軽減する制度
小規模宅地等の特例被相続人が居住用・事業用などで使用していた宅地を相続した際に、土地部分の評価額を最大80%減額できる制度

これらの税額控除を適用させたいのであれば、被相続人と特別縁故者に該当する方が、被相続人の生前に「婚姻届を出す」「養子縁組をする」などの対策をし、法律的に家族になっておく必要があります。

6-3.注意点③ 相続税額は2割加算される

特別縁故者が財産を引き継ぎ、なおかつ相続税が課税される場合、相続税の「2割加算」が適用されます。

この相続税の2割加算とは、被相続人の配偶者・子供・両親以外の人が遺産を相続した時に、相続税が2割加算される制度のことです。

特別縁故者は「遺贈」によって財産を取得することとなり、法律上の配偶者でも1親等の血族でもないため、算出された相続税額に対して一律2割の金額が加算されます。

相続税の2割加算について、詳しくは以下の記事で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。

参考:相続税の2割加算とは?対象者は誰?相続税の計算方法や注意点【税理士解説】

6-4.注意点④ 相続税の申告期限は審判確定から10ヶ月以内

特別縁故者が財産を引き継ぎ、なおかつ相続税が課税される場合、相続税の申告義務が課せられます。

相続税には申告期限が設けられておりますが、特別縁故者であれば「特別縁故者の財産分与額が確定したことを知った日の翌日から10ヶ月以内」が申告期限となります

通常の相続税の申告期限は被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10ヶ月以内ですが、特別縁故者の場合は審判が確定するまで遺産の受取額が確定しないため、起算日が異なります。

たとえば、被相続人が「2024年1月10日」に死亡し、特別縁故者に対する分与の審判が「2025年6月15日」に確定し、同日にその事実を知ったとしましょう。

この場合、相続税の申告期限は、確定の事実を知った日の翌日から10ヶ月後である「2026年4月15日」です。

被相続人の死亡日を基準とすると本来の申告期限(2024年11月10日)をすでに過ぎていますが、特別縁故者の場合は「審判確定を知った日」が基準となるため、2026年4月15日までの申告であれば期限内として適法に扱われます。

一方、相続税の申告期限から1日でも経過すると延滞税が課税され、申告が遅れた理由によっては加算税も課税されます。

相続税の申告期限について、詳しくは以下の記事で解説していますので、あわせてご覧ください。

参考:相続税の申告期限を過ぎたらどうなる?ペナルティ・デメリット・対処法を解説

7.特別縁故者について困ったら専門家へ相談を

様々な事情で亡くなった人に法定相続人がいない場合、遺産の分与を受けられる可能性があります。ただし、特別縁故者の手続きは法的手続きと税務申告の両面で専門的な知識が必要です。

そのため、特別縁故者の制度を利用する場合は弁護士や司法書士といった専門家に相談するとよいでしょう。

7-1.手続きをスムーズに進めたいなら弁護士へ

特別縁故者になるためには、段階的に申立てを行う必要がありますので、なるべく早く弁護士に相談をし、家庭裁判所へ各種申立ての手続きをされることをおすすめします。

被相続人がお亡くなりになり、特別縁故者に該当される方は、相続業務に特化した弁護士に相談されることをおすすめします。

相続業務に特化したチェスターグループでは、遺産相続の各業務に特化した法律事務所と協力・連携関係にあり、あらゆる相続ニーズにワンストップで対応させていただきます。

初回面談まで無料となりますので、まずはお気軽にお問合せください。

7-2.生前にお世話になった人へ財産を遺したい場合は遺言書の作成を

特別縁故者は法的に有効な遺言書がないケースで、なおかつ法定相続人もいない場合の最終手段です。

もしご自身に法定相続人がおらず、お世話になった人に財産を残したいとお考えの場合は、法的に有効な遺言書を残しておくのがベストではないでしょうか?

ご自身に法定相続人がおらず、内縁の妻や夫、いつもお世話になっている人に財産を遺されたいとお考えであれば、遺言書を作成されると良いでしょう。

遺言書には「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」がありますが、ご意思を確実に実現されたいのであれば「公正証書遺言」の作成をおすすめします。

相続手続き専門の司法書士法人チェスターでは、公正証書遺言作成サポートを行っており、遺言執行者として司法書士法人チェスターを指定していただくことも可能です。

公正証書遺言の作成をお考えの方は、司法書士法人チェスターへお気軽にご相談ください。

※この記事は専門家監修のもと慎重に執筆を行っておりますが、万が一記事内容に誤りがあり読者に損害が生じた場合でも当法人は一切責任を負いません。なお、ご指摘がある場合にはお手数おかけ致しますが、「お問合せフォーム→掲載記事に関するご指摘等」よりお問合せ下さい。但し、記事内容に関するご質問にはお答えできませんので予めご了承下さい。

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