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事業承継で考えられるトラブルを回避するために保険を活用する方法とは?

法人を経営するに当たっては、来るべき事業承継も重要視すべき大切な事柄となります。これが円滑に進むと進まないとでは、それに絡んで起こるトラブルの規模が変わります。

事業承継をスムーズにするための対策にはいくつかのやり方がありますが、ここでは保険を使う方法について説明します。

1.なぜ、事業継承に保険を活用するべきなのか

社長の存在感が圧倒的で、その個性が会社の経営に多大な影響を与えている会社があったとします。

社長あっての取引や契約を行っている取引先が多い中で、もしその社長が急にいなくなった場合にはどうなるでしょうか。

予期せぬ事態はいつ何時おこるかわかりません。

そのような時に、頼もしい後継者が育っていれば良いのですが、社長が現在まさに会社の顔であるなら、経営の譲渡を急ぐ必要はないと考えていたとしてもおかしくありません。

(1)突然の社長交代時に備える

対外的にも社内においても社長の存在が大きい会社の場合、突然の社長交代は会社の業績を大きく左右する出来事となります。

ましてや、後継者の育成が進んでいない状態となれば、業績が急速に悪化し、会社の存続に関わることになります。

このように、社長に頼る割合が高く、ひとたび何かあれば困ってしまうという状況を緩和する対策に、保険があります。

(2)契約者も受取人も会社の保険を活用する

上記のような状況の際に困らないようにするという目的で法人が保険に加入する場合には、契約者と受取人の両方が会社となります。

保険契約を行う際に、受け取り方法を一括にしたほうが良いのか、それとも分割にするかということも考えておかなければなりません。

分割で受け取った場合のほうが、長期的に赤字になる時でも税金面では有利になり、保険金の使用用途も時間を掛けて考えることができるでしょう。

(3)社長の退職金の準備金としても活用できる

長年企業の経営に尽力した社長の退職金は、貢献度に合わせて高くなるものです。

ですが会社の業績が右肩上がりというわけにはいかず、退職金の金額をその時に間に合うように工面できないという場合もあります。

その際には、会社の資産に手を付ける必要が出てくるかもしれません。しかし保険金を活用することで退職金の元手にできれば、トラブルを起こさずに経営譲渡ができます。

社長や会社役員の退職金として活用する場合には「長期平準定期保険」がオススメです。長期平準定期保険については下記に詳しく記載しています。参考にしてください。

長期平準定期保険と逓増定期保険はどこが違う?終身保険との違い

2.資産承継の際に起こるもろもろのトラブルを避けられる

(1)相続税が支払えないというトラブルを避ける

法人の経営権のスムーズな移行と、その資産の行方は、切り離せない大きな問題です。社長である経営者が亡くなった場合に相続する財産は、会社の土地や建物などの不動産が多く、お金として持っていない可能性が高いからです。そのような場合では、相続税の支払いには、その不動産の売却が不可避になりかねません。

後継者への事業継承を考えた時には、法人の持つ資産の内訳を確かめておくのが大切です。現金や預金の割合が足りなくて、相続税を納める際に必要な現金が用意できなさそうだと感じるなら、経営者が生命保険に加入しておくのは効果的な方法です。保険金は現金としてそのまま支払いに回せるので、やむなく会社の不動産などの資産を取り崩す必要がなくなります。

保険活用ポイント1

(2)遺産分割協議で揉めないように代償金を準備する

経営者が亡くなって後継者が立つと、経営者の残した財産が法人関係のものばかりだった場合、相続に関するトラブルが発生しやすくなります。相続財産の大半が、会社の事務所や工場のように後継者が受け継ぐしかないようなものでは、他の兄弟などの相続権がある人には得られる財産がほとんどなくなってしまいます。その不公平感から遺産分配の話し合いが滞れば、企業の運営に支障をきたしかねません。

この場合に、不動産のように換金できないものしか相続財産がなければ問題は簡単には収まりませんが、別に分配できる現金があれば話は変わります。兄弟達に、相応の取り分の金額を後継者が支払えれば、無理に不動産を分け合う理由はなくなるのです。

前任の経営者が生命保険に加入し後継者を受取人にしていれば、相続の際に他の相続人に支払う資金を作れ、相続格差をなくせます。また保険金は、前任者の預貯金と違って受取人の固有の財産という扱いになるのも利点です。同じ現金でも故人の預貯金を移動させるためには相続人の総意がいりますが、保険金は受け取った後継者の意のままに使用できるためです。

保険活用ポイント2

代償分割についての詳細は下記をご確認ください。

不動産などの分割しずらい相続財産は代償分割を利用するべき?代償分割を利用するための7つのポイント

(3)遺留分減殺請求に備える

後継者が先代社長の遺産の大半を相続することになった場合、分配でもめるだけではなく、相続した後に他の相続権を持つ相続人に遺留分滅殺請求をされるかもしれません。財産の相続に関しては、その権利を持つ人に最低限保証された取り分というものがあります。それを遺留分といい、それに満たない取り分しか得られなかった相続人は、取り過ぎた相続人にその分を返すよう要求できるのです。これが遺留分滅殺請求です。この場合にも、後継者が先代社長の加入による生命保険の保険金を受け取っていれば、それで請求に応じることができます。

保険金活用ポイント3

遺留分減殺請求についての詳細は下記をご確認ください。

相続前に知っておきたい遺留分の知識!遺留分減殺請求って何!?

(4)保険金の非課税限度額を利用して節税する

保険の加入は節税にも関係してきます。生命保険による保険金も相続される財産のひとつですが、設けられている控除額によって相続税の減額が可能になります。民法では、法定相続人の数に500万円を掛けた金額が、生命保険の保険金の非課税限度額と定められているのです。保険金にはこの金額までは、相続税が掛かりません。預金などの形のままでは控除の対象にはならないので、保険金として受け継ぐことで可能になる節税方法です。生命保険は節税に関しても役立ちます。

保険活用ポイント4

(5)自社株確保のための資金調達をしやすくする

後継者問題は、株主についても起こります。中小や零細企業の株式は、好ましくない人物の手に渡ると会社の経営にとってかなりのダメージになることがあります。会社の意思決定を大きく左右する株式の持ち主が亡くなった時に、そのような相手に相続されることや、分散してしまう可能性は否定できません。

そのようなリスクを避けるためには、相続人から自社の株式を買い取るのが有効な回避策になりますが、買い取れるだけの十分な資金が用意できなければそれもままなりません。業績が良い会社の株式ならなおさらです。保険を活用すればそのような時に、買い取るための資金を用意するのがたやすくなるのです。

保険活用ポイント5

(6)自社株評価を下げておく

自社株式が高評価だと、買取価格が高くなる以外に、株主の相続税が上がることも考えておかなければなりません。株式の相続税評価額が上がることが理由なので、こと事業継承や相続関連においては、自社株の評価は下げておきたいものです。その対策のためにも、保険の利用ができます。

保険料を支払うと、その金額は損金として処理できます。会社の所得からマイナスできる金額が増えるため、毎年損金になる保険料を払えば、支払額の分、利益は圧縮されます。利益が下がれば株式の評価も下げられるのです。こうして保険によって、株式の買取価格や相続税のコストを抑えることが可能になります。

保険活用ポイント6

まとめ

事業継承をスムーズにするための対策として、保険を使う方法についてまとめてみました。事業継承は今日明日ですぐにできる事ではありません、早い段階からしっかりと準備をしておくことが重要です。事業継承をスムーズに行うための対策の一つとして生命保険の活用という方法もご検討ください。

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