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遺産分割協議書を作成できる人は?専門家に頼むメリット、デメリットを解説

遺産分割協議書の作成は誰に頼むべきかフローチャートでチェック

複数の相続人がいる相続で、遺言書が残されていない場合には、通常、「遺産分割協議書」が作成されます。

遺産分割協議書は、相続人自らが作成することもできますが、遺産分割協議書作成に慣れている専門家に依頼するほうが安心であり、後のトラブルの予防にもなります。

ただし、遺産分割協議書を作成できる専門家にも種類があるので、相続の状況に適した専門家に依頼することが大切です。

本記事では、誰が遺産分割協議書を作成できるのか、どんな状況時に、誰に遺産分割協議書の作成を依頼するのがよいか解説します。

この記事の目次 [非表示]

1.遺産分割協議書を誰に頼むべきかわかる|適切な専門家をフローチャートで確認

遺産分割協議の合意内容をまとめた書類が、「遺産分割協議書」です。

遺産分割協議書は、相続人が自分で作成することも可能です。しかし、遺産分割をめぐってトラブルが生じている場合や、遺産額金額・種類が多い場合、遺産に不動産が含まれる場合など、複雑な要素のある相続では、専門の士業者に遺産分割協議書作成を任せるほうが安心です。

遺産分割協議書の作成を依頼できる士業者、およびその特徴は、下記のとおりです。

弁護士相続人同士で遺産分割のトラブルがある場合などに、交渉や代理人として解決を依頼できる。またその内容を反映した遺産分割協議書の作成を依頼できる。
税理士相続税の計算や税務署への申告を依頼できる。また、税務署への提出の必要がある遺産分割協議書の作成を依頼できる。
司法書士相続した不動産の名義変更(相続登記)手続きを依頼できる。あわせて、遺産分割協議書の作成を依頼できる。
行政書士遺産分割協議書の作成を依頼できる。
信託銀行相続手続き全般の相談窓口として利用できる(上記の士業者を紹介してもらえる)

どのような状況の時に、どのような専門家への依頼を検討するべきか、以下のフローチャートでご確認ください。

▼相続の状況からわかる、遺産分割協議書作成を依頼したい専門家

2.遺産分割協議書作成を任せられる専門家の選び方

士業者は、それぞれ担当できる業務の範囲が定められています。

そこで以下では、各士業者の特徴、および、どんなケースで遺産分割協議書の作成を依頼するのがよいのかを確認していきます。

2-1.相続人間の法的トラブルを解決したい場合、弁護士に依頼する

弁護士は、相続人の調査、相続財産の調査、遺産分割協議での交渉、遺産分割協議書の作成、不動産の相続登記、相続税の申告など、基本的に相続に関する業務をすべておこなうことができます。(ただし、相続税の申告は税理士業務に属していますので、弁護士がおこなうには一定の手続きが必要とされています)。

しかし、弁護士に相談、依頼を検討したほうがよいケースは、遺産分割をめぐって、相続人間においてトラブルが生じている場合や、相続人の法的権利などをめぐる争いが生じている場合などです。

なお、専門家の中で、報酬を得る目的で(=業務として)法律事件に関して鑑定、代理、仲裁もしくは和解その他の法律事務を取り扱うことができるのは、弁護士だけです(弁護士法72条)。

相続人間で訴訟になりそうなトラブルが生じている場合に、弁護士以外の専門家に、自分の代理人としての交渉を依頼したりすることはできないので、注意してください。

【弁護士に相談・依頼するのがよいケース】

  • 遺産の範囲や分け方について、相続人同士で意見が割れている場合
  • 特定の相続人に、亡くなった人からの特別受益があったと推定される場合
    (特定の相続人だけが生活費をもらっていた、など)
  • 特定の相続人が寄与分を主張する場合
    (亡くなった人の生前に介護をしていた場合など)
  • 被相続人から認知されていない婚外子がいる場合
  • など

2-2.相続税対策や相続税申告を任せたい場合、税理士に依頼する

税理士は税金の計算や申告に関する専門家です。遺産分割協議書作成に関しては、税務署に提出する相続税申告書に遺産分割協議書を添付する場合、税理士がこれを作成することができます。

遺産分割に関して、税理士に相談したほうがいいのは、まず、相続財産が多額な場合です。特に相続財産に不動産がいくつもあるような場合、不動産の相続財産としての価格評価は難しいため、税理士に依頼するほうがベターです。相続人が多く分割割合を細かく設定したい場合なども同様です。

あわせて、どのように遺産分割をすれば、相続税などの税負担が少ない形で分割できるのかといったシミュレーション等も、相続にくわしい税理士は相談に乗ってくれます。

さらに、相続税の申告が必要となる場合には、相続税申告書の作成も依頼できます。

反面、遺産分割協議での代理交渉や交渉をまとめた遺産分割協議書を作成することは、弁護士にしかできません。また、不動産の相続登記は、司法書士のみが可能な業務で、税理士はおこなうことができません。

【税理士に相談・依頼するのがよいケース】

  • 遺産額が多額で、相続税の申告が必要
  • 遺産に不動産が多く評価額を正しく求めたい
  • 相続人の数が多く、遺産分割の割合を細かく計算しなければならない
  • 相続税のシミュレーションをしてもらい、税負担が少ない遺産分割をしたい
  • など

2-3.相続登記が必要な場合、司法書士に依頼する

司法書士は、不動産登記や商業登記の専門家です。相続や遺産分割の場面においては、主に、相続財産に含まれる不動産の相続登記に関与します。

相続財産に不動産が含まれる場合、相続により承継した人への名変更手続きが必要になります。これを「相続登記」といいます。相続登記は、相続人が自分で手続きをするか、司法書士に依頼して代行してもらいます。

相続登記には、相続人の登記簿謄本や家系図といった各種書類のほか、相続する不動産の建物図面の作成、添付なども必要です。そのため、特に自宅以外に不動産を所有しているような場合には、司法書士に手続きを一任するケースが多いでしょう。

ちなみに、不動産登記に関して、登記手続きの一部分は、「土地家屋調査士」でもおこなうことができます。しかし、土地家屋調査士は遺産分割協議書の作成はできないため、本記事では詳細は割愛します。

【司法書士に相談・依頼するのがよいケース】

  • 遺産に不動産があり、相続登記が必要

2-4.遺産分割協議書の作成代行だけ依頼したい場合は行政書士に頼む

行政書士とは、他人の依頼を受け報酬を得て、官公署に提出する許認可等の申請書類の作成並びに提出手続き代理、遺言書等の権利義務、事実証明および契約書の作成等をおこなう士業者です。

相続や遺産分割の場面において、相続人の調査、相続財産の調査、遺産分割協議書の作成、預貯金・有価証券の名義変更、自動車の名義変更などをおこなうことができます。

それに対して、遺産分割協議での交渉や代理、相続税の申告、不動産の相続登記等はおこなうことができません。

業務には制限がありますが、その代わり、弁護士、税理士、司法書士に遺産分割協議書の作成を依頼する場合より、低額な報酬で依頼できることが一般的です。

【行政書士に相談・依頼するのがよいケース】

  • 遺産分割の話し合い内容はまとまっており、トラブルはない
  • 相続税の申告書作成を依頼する必要がない
  • 相続登記は必要ない
  • 上記のすべてを満たしているが、自分で書類を作成するのは不安なので、必要となる戸籍の収集や、書類作成だけを頼みたい

2-5.資産管理も含め相続手続き全般について相談したい場合は信託銀行に頼む

信託銀行は、これまでに見てきた士業者とは、少し毛色が違います。

相続手続きのサポートや相続した財産の運用などを含めて、1つの窓口で相続に関する相談をすべておこないたい場合、信託銀行がその窓口になります。

信託銀行に相談すると、遺産分割協議での交渉、相続税の申告、不動産の相続登記などの各場面において、提携している弁護士、税理士などの士業者を紹介してくれます。ワンストップの相談窓口になるため、手間がかかりません。その代わり費用は高くなります。

【信託に相談・依頼するのがよいケース】

  • 遺産分割手続き、遺産管理を含め、相続全般を1つの窓口で相談したい
  • 遺産の資産運用もおこないたい

3.遺産分割協議書がないとできないこと

相続人が複数いる場合、相続財産(遺産)は、いったん相続人の共有財産となります(民法898条)。そして、遺言が残されていれば、原則的に遺言通りに遺産が分割されます。

遺言がなければ、通常は、すべての相続人が参加する遺産分割協議を開催して、相続人間の話し合いで相続財産の分割方法を決めることになります(民法907条1項)。

民法 第907条

共同相続人は、次条第1項の規定により被相続人が遺言で禁じた場合又は同条第2項

の規定により分割をしない旨の契約をした場合を除き、いつでも、その協議で、遺産の

全部又は一部の分割をすることができる。

引用元:民法 第907条|e-Gov法令検索

この遺産分割協議において合意に至った内容を書面にとりまとめたものが遺産分割協議書です。

いわば、相続人全員が相続内容に合意したことを証明する証明書となるのが遺産分割協議書なのです。

3-1.遺産分割協議書の作成は義務ではない

上記の条文の「分割をすることができる」という表現からもわかるとおり、遺産分割協議の開催、および遺産分割協議書の作成は、民法上の義務ではありません。

そのため、たとえば、遺産が現預金だけであり、かつ分割割合をめぐる相続人間のトラブルも生じないと思われる場合は、遺産分割協議書が作成されないこともあります。

ただし、遺言書がない場合に、遺産分割協議書を提示、提出しないとできない相続手続きもあります。下記のようなケースに該当する場合は、なるべく速やかに遺産分割協議書を作成したほうがいいでしょう(遺言書があれば、遺言書で手続き可能です)。

3-2.相続税申告をする場合で、「配偶者の税額軽減」「小規模宅地等の特例」を利用したい場合

相続税の申告が必要となる場合で、「配偶者の税額軽減」「小規模宅地等の特例」等の特例の適用を受けるには、遺言書または遺産分割協議書の提出が要件とされています。これらの特例が適用できれば、相続税額を大きく圧縮できるのでで、遺産分割協議書を作っていないという理由で適用できないことになるのは、とてももったいない話です。特例を受けたい場合は、遺産分割協議書を作成しましょう。

なお、もし相続税の申告期限(相続の開始を知った日の翌日から10か月以内)までに、遺産分割協議書の作成が間に合わない場合には、申告時に「申告期限後3年以内の分割見込書」を提出すれば、後日(3年以内)に遺産分割協議書が作成された際、相続税の修正申告をすれば、特例の適用を受けることができます。

※ 「配偶者の税額軽減」「小規模宅地等の特例」などの特例を適用しない相続税申告を行う場合、相続税申告書への遺産分割協議書の添付は義務とはされておらず、添付を「お願いする」とされています。ただ、「遺産分割協議書」の添付がない相続税申告書が提出された場合、後日、税務署からの確認があることも想定されますので、特例を適用しない相続税申告を行う場合においても、「遺産分割協議書」を添付することが好ましいでしょう。

3-3.不動産を特定の相続人に相続させて相続登記(名義変更)をする場合

不動産を特定の相続人に相続させて相続登記(相続人への名義変更)をするには、遺産分割協議書を法務局に提出しなければなりません。現在は、相続登記は任意であるため、おこなわない人もいますが、2024年4月からは義務化されるので、相続財産に不動産がある場合は注意してください。

なお、特定の相続人に相続させるのではなく、相続人全員が法定相続分で共有取得する場合は、遺産分割協議書がなくても登記は可能です。

3-4.相続の過程で、相続人間のトラブルなどがあった場合

遺産分割協議の際、あるいはその他相続の過程において、相続人間のトラブルが一切なくスムーズにまとまった場合は別ですが、なにかトラブルや、トラブルまではいかないまでも意見の対立などがあった場合には、遺産分割協議書を作成しておいたほうがよいでしょう。

遺産分割協議書がないと、後から他の相続人が協議で決まった内容に「そんなことは言っていない」などなどと主張してきて、トラブルが再燃することもありえます。

遺産分割協議書は、相続人全員で遺産分割協議に合意したことの証明書なので、これを作成しておけば、後のトラブル回避につながります。

3-5.遺産分割協議書を作成しなくてよい場合相続税申告をする場合で、法定相続分と異なる割合で遺産分割する場合

次に掲げる場合においては、遺産分割協議書の作成は不要と考えられます。

  • ①相続人が1名のみの場合
  • ②遺言書の内容に沿って遺産分割する場合
  • ③遺産が現金及び預金のみで、かつ、法定相続分の割合で分割する場合

民法では、相続人の立場によって、どれくらいの割合で遺産が分割されるのかの目安として「法定相続分」を定めています(民法900条)。たとえば、配偶者と子が相続人になる場合は、それぞれ2分の1ずつ、などです。

遺産が現金及び預金のみである場合には、この法定相続分での分割も可能です。

物理的に分けることが不可能な不動産などは、法定相続分の割合に基づき共有持分を設定するということができますが、共有持分にすると後々の手間やトラブルにもつながりかねないため、おすすめできません。

なお、金融機関によっては、預金の解約において遺産分割協議書が必要とされているところもあります。この場合、法定相続人全員が手続きに協力する前提で、その金融機関に相談することによって、預金の解約・分割が可能になると考えられます。

4.遺産分割協議書は自分で作成できる

遺産分割協議書は、相続人が自分で作成することもできます。

遺産が比較的少ない、相続人間に不協和がないといった場合であれば、作成はさほど難しくないので、自分で遺産分割協議書を作成すれば、費用は安く抑えられます。

ただし、作成された遺産分割協議書の内容に不備があると、上記のような各種手続きの際や、後のトラブル防止のために、役立たないものとなってしまうことがあります。作成の際は、下記のポイントを押さえて、正しい遺産分割協議書を自分で作成してください。

5.遺産分割協議書を自分で作成する際のポイント

遺産分割協議書に定められた書式はありません。ただし、記載すべき内容は決まっており、内容に不備があれば遺産分割協議書として認められないことがあります。

5-1.遺産分割協議書に記載すべき内容

遺産分割の内容を特定するために、遺産分割協議書には少なくとも次の事項を記載しなければなりません。

  • 被相続人の情報として、氏名、生年月日、死亡日、本籍地、最終の住所地
  • 相続人全員が遺産分割内容に合意している旨の文言
  • 相続財産の内容と、各相続人が承継する相続財産の内容
  • 後日判明した遺産があった際の取扱いの内容
  • 遺産分割協議が成立し、遺産分割協議書を相続人の人数分作成した旨の文言
  • 遺産分割協議書の作成年月日
  • 相続人全員の住所、氏名(署名)、実印の押印

5-2.遺産分割協議書の作成例

以下が、遺産分割協議書の作成例です。


5-3.作成時の注意点とポイント

遺産分割協議書の作成にあたっては、次のことに注意をしてください。

(1)相続財産の種類別の書き方の注意

遺産分割協議書には、相続する遺産を特定できるように、次の要領で記載してください。

【財産の記載に関する注意点】

  • 預貯金は、通帳に照らして、銀行名、支店名、預金種目、口座番号を記載する
  • 不動産は、土地と建物に分けた上で登記簿謄本の記載事項とまったく同じように記載する
  • 有価証券などは、証券などに照らしてその内容を記載する
  • 自動車は、車検証に照らして、名義人、自動車登録番号、車台番号を記載する
  • 債権、債務は、借用証などに照らしてその内容を記載する

(2)手書きでもパソコンでも可
遺産分割協議書は手書きでの作成はもちろん、パソコンで作成しても構いません。

(3)後で発見された遺産の取扱いについて
遺産分割協議の時点では判明していなかった相続財産が、後で発見されることもあります。その場合の対処方法を事前に決めておいて、遺産分割協議書にその内容を記載しておくとよいでしょう。

相続財産は一部の分割もできるため、遺産分割協議全体をやり直すのではなく、後で発見された相続財産だけについて、改めて遺産分割協議をおこなうという対処方法も可能です。

(4)複数ページの場合には契印するなど
遺産分割協議書が複数ページになる場合には、それが一体のものであることを示すために、ページとページの見開き部分にまたがるように相続人全員が契印をしてください。また、枚数が多いため製本にした場合には、製本テープと表紙にまたがるように相続人全員が契印をしてください。

(5)遺産分割協議書は人数分用意する
遺産分割協議書は、相続人の数と同じ通数を作成し、相続人全員が各自一通ずつ原本を所持するようにしてください。この場合、すべての遺産分割協議書が同一のものであることを示すために、すべてのページに相続人全員が割印をしてください。

6.遺産分割協議書の作成を専門家に依頼したほうがよいケース

遺産分割協議書は自分でも作れますが、以下のような場合は、正しい遺産分割協議書を作成し、トラブルを防止するために、その状況に適した専門家に遺産分割協議書の作成を依頼するほうがよいでしょう。

6-1.相続財産が多額で財産種類が多いとき

遺産分割協議実施の際には、その前提として、相続財産の価額がいくらなのかを確定しなければなりません。現預金だけなら簡単ですが、資産が多いご家庭の場合は、不動産、株式、債券、ゴルフ会員権、貴金属など、多種多様な資産が遺産として残されていることが一般的です。それらを正しい価額で評価するには専門知識が必要となるため、税理士に依頼したほうがいいでしょう。

また、相続財産が一定金額以上ある場合、相続財産の申告・納付が必要になります。これを税理士に依頼する場合、税務署に申告書と一緒に提出する遺産分割協議書の作成も税理士に依頼しておけば、手間が省けます。

また、後の資産管理・運用まで見据えるのであれば、信託銀行に相談することも一法です。

6-2.相続人が多いときや、トラブルがすでに発生しているとき

遺産分割協議が成立するには、相続人全員の意見や希望を調整した上で、全員がその内容に納得して合意しなければなりません。

相続人が多ければ多いほど、様々な意見が対立して遺産分割協議が円滑に進まないことも生じがちです。遺産分割協議を円滑に進めるためにも、経験豊富な専門家の手を借りることは有効です。特に、法律的なトラブルが予測される場合は、弁護士に相談の上、トラブルのタネを残さない遺産分割協議書を作成しましょう。

また、相続人の数は少なくても、過去の事情により相続人間の人間関係に信頼関係が失われている場合、相続前からすでにトラブルが生じているなども同様です。

6-3.兄弟姉妹での相続や代襲相続が発生するとき

ご家庭にもよりますが、一般的に兄弟姉妹の間では、コミュニケーションが頻繁にはとられておらず、またお互いの家族状況や保有財産などの情報が細部にわたって共有されていないことがあります。

また、本来の相続人である子が、被相続人より先に亡くなっていた場合などに、子の子(被相続人の孫)が、代わりに相続人になることがあります。これを代襲相続と呼びます。代襲相続人が未成年の場合なども遺産分割協議の場でのトラブルにつながることもあります。

こういった場合も、専門家が介在して遺産分割協議書をまとめたほうがよいでしょう。

6-4.被相続人に複雑な親族関係があった場合

相続人の範囲と順位は法律に定められていますので、これに従って相続人を確定することになります。たとえば、相続の第1順位となる「子」は、「実子」のほかに、「養子」、「認知している婚外子」、「養子縁組をしている、再婚した配偶者の連れ子」が対象となります。さらには、認知していない婚外子の場合にも、相続権が認められることがあります。

こういった複雑な人間関係があると、遺産分割協議書がまとまりにくかったり、将来トラブルが生じる恐れが大きくなったりします。専門家である弁護士に介在してもらうほうが無難でしょう。

6-5.不動産の相続登記を依頼したいとき

不動産の相続登記は、弁護士と、一定範囲の不動産登記ができる土地家屋調査士を除き、司法書士だけがおこなうことができます。ただし、司法書士にもそれぞれ専門としている分野があり、すべての司法書士が相続登記の実務に精通しているとは限りません。

不動産の相続登記を依頼したいときは、相続登記にくわしい司法書士を探すか、信託銀行に依頼することも検討しましょう。

6-6.相続税申告を依頼したいときや相続税対策を講じたいとき

相続税の申告は、一定の弁護士を除いて税理士だけがおこなうことができます。ただし、税理士にもそれぞれ専門としている分野があり、すべての税理士が相続税の実務に精通しているとは限りません。特に不動産がからむ相続税申告は、評価が難しいことから、相続専門の税理士に頼んだほうが安心です。相続税は金額が多額となることもあるため、申告書作成ノウハウの違いが、大きな税額の差になることもあります。

また、相続開始後においても、相続人の構成や相続財産の種類によって各種の控除や特例を適用することで、相続税を圧縮することができるケースもあります。これらの控除や特例が適用することを考慮した、遺産分割をしたいのであれば、やはり相続実務に精通した税理士に遺産分割協議書の作成も依頼すべきでしょう。

6-7.代償分割や換価分割を利用するとき

たとえば、相続財産の中心が不動産で、現預金が少ない場合などは、相続人間で分割することが難しいことがあります。そういったケースで、不動産を相続する人がその代償として他の相続人に現金を支払う方法が「代償分割」です。また、不動産を売却して、現金化してから遺産分割をする方法が「換価分割」です。

これらの方法を利用する場合、不動産の財産評価や、代償・換価の金額をどうするかといった問題が生じますし、また、相続税以外に贈与税や譲渡所得税も考慮しなければならないという問題もあります。高度なタックスプランニングが必要となるため、税理士に依頼するべきでしょう。

6-8.名義変更がされていない放置状態の不動産などがあるとき

現在は、不動産の所有権移転の登記は義務とはされていませんので、相続、売買などがあって所有者が変更になっていても不動産の名義変更がされていないことがあります。

2世代前くらいから名義変更がされていない放置状態の不動産などがあるときは、相続を経て関係者増え、権利関係が非常に複雑になっていることがよくあります。こういった不動産が相続財産に含まれている場合は、登記の専門家である司法書士に依頼しましょう。

7.まとめ:遺産分割協議書の作成は適切な専門家に依頼を

遺産分割協議書の作成は、相続人が自分でおこなうこともできますが、これは、相続財産が少ない場合や、相続人間にトラブルの可能性がないケースに限られるでしょう。多くの場合、多少の費用を支払ってでも、専門家に依頼するほうが安心です。相続は、一生のうちに何度も遭遇するものではありません。だからこそ、専門家を適宜活用して適切な対応を心がけ、後悔を残さないようにしましょう。

※この記事は専門家監修のもと慎重に執筆を行っておりますが、万が一記事内容に誤りがあり読者に損害が生じた場合でも当法人は一切責任を負いません。なお、ご指摘がある場合にはお手数おかけ致しますが、「お問合せフォーム→掲載記事に関するご指摘等」よりお問合せ下さい。但し、記事内容に関するご質問にはお答えできませんので予めご了承下さい。

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