相続税の金額はいくら?【早見表あり】平均や計算方法も解説

相続税は、遺産の総額や相続人の人数などによって金額が変わる税金です。
納税額が0円の場合もあれば、相続した遺産の半分の相続税がかかる場合もあります。
誰がどれだけ払うのかといったことや、基礎控除や計算方法をしっかり押さえることは、正しく納税をするためにも、節税対策のためにも重要です。
本記事では、相続税の金額の確認方法をわかりやすく解説します。すぐに大体の目安がわかるよう、家族構成別の早見表も用意しましたので、参考にしてください。
この記事の目次 [表示]
1.相続税の金額はどう決まる?計算方法と基礎知識
相続税の金額は、以下のような計算方法で算出します。

このように、相続税の金額は、遺産の総額×税率のみで計算するわけではありません。誰がどれだけ相続するか、控除や特例があるかなど、いくつかの要素が関わってきます。
本章では、金額を左右する主なポイントを整理します。
なお、詳しい計算方法については、下記の記事も参考にしてください。
参考:相続税の計算方法を解説【シミュレーションソフト付き】
参考:相続税の税率(割合)は10~55%!【税率表付】税額の計算方法も解説
1-1.遺産総額
相続税の対象となるのは、被相続人(亡くなった人)のすべての財産です。
現金・預貯金・不動産・株式などのプラスの財産の他に、借金などのマイナスの財産も含みます。

まずは、これらの相続財産を正確に把握しましょう。
参考:相続財産とは?具体例で相続財産に含まれるもの含まれないものを解説
なお、日本は超過累進税率が適用されるので、遺産総額が大きいほど税率も高くなるため、相続税の金額も高くなります。
1-2.基礎控除の仕組み
相続税には、「基礎控除」という非課税枠があります。これは、すべての相続に適用されます。
基礎控除額の計算式は以下のとおりです。
この控除を差し引いた額が課税対象となるため、法定相続人の数が多いほど、控除額も大きくなります。

課税額に影響するため、まずは法定相続人を正確に把握することが大切です。
参考:戸籍調査で相続人を確定させる方法・手順をご紹介!
1-3.相続人の人数と法定相続分
法律で定められた相続分(法定相続分)に基づき、各々の相続税の金額が決まります。
相続人が多い場合、1人あたりの取得額は少なくなるため、結果として税率も低くなり、支払う相続税の金額が減る仕組みになっています。
1-4.課税対象財産と特例
課税対象となる財産は現金や不動産などが含まれますが、相続税がかからない「非課税財産」があります。
特定の非課税財産を活用するほか、特例を適用できれば、課税対象額を減らし、相続税の金額を抑えられる可能性があります。
参考:【相続税の非課税枠】控除・特例・財産をプロがわかりやすく解説
2.遺産総額別:相続税の金額を早見表でチェック
では、遺産総額に対して相続税の金額はどれくらいになるのでしょうか。
一般的に多い家族構成「配偶者のみ」「配偶者+子1人」「配偶者+子2人」「子のみ1人」「子のみ2人」について、早見表で確認してみましょう。
【前提条件】
- 法定相続分で分割
- 配偶者は「配偶者控除(配偶者の税額軽減)」を適用した後の相続税額
- 「障害者控除」などの税額控除は考慮しない
なお、各々の状況により実際の相続税額とは異なります。正確な相続税額の計算は、必ず税理士に依頼してください。
2-1.遺産総額1,000万円から5,000万円の場合
遺産総額が1,000万円から3,600万円の場合、相続税の金額は0円です。
すべての相続には、「3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数」の基礎控除があります。1人でも相続人がいれば3,600万円以下は基礎控除額内になるため、相続税はかかりません。
遺産総額4,000万円以上の相続税の金額は、下記になります。
| 遺産総額 | 配偶者のみ | 配偶者+ 子1人 | 配偶者+ 子2人 | 子のみ1人 | 子のみ2人 |
|---|---|---|---|---|---|
| 4,000万円 | 0円 | 0円 | 0円 | 0円 | 0円 |
| 4,500万円 | 0円 | 15万円 | 0円 | 90万円 | 30万円 |
| 5,000万円 | 0円 | 15万円 | 0万円 | 160万円 | 70万円 |
2-2.遺産総額5,000万円から1億円の場合
遺産総額5,000万円から1億円の相続税の金額は、下記になります。
| 遺産総額 | 配偶者のみ | 配偶者+ 子1人 | 配偶者+ 子2人 | 子のみ1人 | 子のみ2人 |
|---|---|---|---|---|---|
| 5,500万円 | 0円 | 65万円 | 35万円 | 235万円 | 130万円 |
| 6,000万円 | 0円 | 90万円 | 60万円 | 310万円 | 180万円 |
| 6,500万円 | 0円 | 123万円 | 85万円 | 385万円 | 245万円 |
| 7,000万円 | 0円 | 160万円 | 113万円 | 480万円 | 320万円 |
| 7,500万円 | 0円 | 198万円 | 135万円 | 580万円 | 395万円 |
| 8,000万円 | 0円 | 235万円 | 175万円 | 680万円 | 470万円 |
| 8,500万円 | 0円 | 273万円 | 185万円 | 780万円 | 545万円 |
| 9,000万円 | 0円 | 310万円 | 240万円 | 920万円 | 620万円 |
| 9,500万円 | 0円 | 348万円 | 235万円 | 1,070万円 | 695万円 |
| 1億円 | 0円 | 385万円 | 315万円 | 1,220万円 | 770万円 |
2-3.遺産総額1億円から5億円の場合
遺産総額1億円から5億円の相続税の金額は、下記になります。
| 遺産総額 | 配偶者のみ | 配偶者+ 子1人 | 配偶者+ 子2人 | 子のみ1人 | 子のみ2人 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1億円 | 0円 | 385万円 | 315万円 | 1,220万円 | 770万円 |
| 1.5億円 | 0円 | 920万円 | 747万円 | 2,860万円 | 1,840万円 |
| 2億円 | 0円 | 1,670万円 | 1,350万円 | 4,860万円 | 3,340万円 |
| 2.5億円 | 0円 | 2,460万円 | 1,630万円 | 6,930万円 | 4,840万円 |
| 3億円 | 0円 | 3,460万円 | 2,860万円 | 9,180万円 | 6,920万円 |
| 4億円 | 0円 | 5,460万円 | 4,610万円 | 1億4,000万円 | 1億920万円 |
| 5億円 | 0円 | 7,605万円 | 6,555万円 | 1億9,000万円 | 1億5,210万円 |
2-4.自分の相続税の金額を知るためには、シミュレーションツールが便利
今挙げたのは、あくまで法定相続分で分割した際の相続税額です。家族構成や分割方法が異なれば、当然相続税の金額も異なってきます。
個別の相続税の金額を確認したい場合は、税理士法人チェスターの「相続税額シミュレーションツール」(無料)が便利です。
大まかな遺産総額と法定相続人の人数を入力するだけで、概算の相続税額をご確認いただけます。

ぜひ、ご活用ください。
3.相続税の金額の平均値は約1,930万円
遺産総額や相続人の人数によって、相続税の金額は変動します。平均はどれくらいなのかというと、令和5年度の被相続人1人あたりの相続税の課税価格の平均は、約1,930万円でした。
参考:国税庁「令和5年度 相続税の申告実績の概要」
日本の相続税には超過累進税率が適用されるうえ、一部の富裕層による非常に高額な相続事例も含まれています。
そのため平均値は引き上げられやすい傾向にありますが、相続税は高額になりやすい税金だといえるでしょう。
4.相続税の金額は下げられる?節税のポイント
「相続税って思ったより高い」と感じた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
この章では、適法の範囲で相続税の金額を下げる方法を解説します。
4-1.各種控除・特例の活用
相続税の金額を減らすには、控除や特例を活用することが重要です。
代表的なものを下記に挙げますので、参考にしてください。
主な特例や税額控除 ※詳細は各項目をクリックしてください
- 小規模宅地等の特例 ≫
土地の評価を最大80%下げることで、土地にかかる税金を大幅に減らすことができる制度 - 配偶者控除(配偶者の税額軽減)≫
配偶者が遺産を相続する場合、遺産額が1億6,000万円または法定相続分までであれば、相続税が非課税になる制度 - 未成年者控除 ≫
相続人が18歳未満の未成年者の場合に、一定額の控除が受けられる制度 - 障害者控除 ≫
相続人が障害者の場合に、一定額の控除が受けられる制度 - 相次相続控除 ≫
10年以内に連続して一次相続、二次相続が発生した場合に、相続開始前10年間のうちに被相続人が支払った相続税のうち、一定額が控除できる制度
詳しくは「【相続税の控除・特例一覧】税理士がわかりやすく解説」でも解説しておりますので、あわせてご覧ください。
4-2.生前贈与による対策
生前から贈与を行うことで、相続時の財産を減らし、相続税の金額を抑えることができます。
毎年110万円までの贈与は非課税となる「暦年贈与」のほか、「相続時精算課税制度」を使えばまとまった贈与も可能です。
参考:暦年贈与とは?改正点と相続税を減らすためのポイントを解説
参考:【相続時精算課税制度とは】メリット&デメリット、手続きまで解説
4-3.税理士に相談する
相続税は計算が複雑で、控除や特例の適用漏れが金額に大きく影響します。
相続税に強い税理士に相談することで、正確な計算や最適な節税方法の提案を受けられ、結果的に納める相続税の金額を減らせる可能性があります。
不動産を含む相続では、特に金額が上下しやすいので注意が必要です。土地の評価方法は複雑で、条件次第で評価額を適正に下げられるケースがあります。評価額が下がれば遺産総額も減少し、結果として相続税の金額も抑えられる可能性があります。
こうした判断には専門的な知識が欠かせないため、早めに税理士へ相談することが有効です。
5.まとめ
相続税の金額は、遺産総額や相続人の人数など、複数の要素で決まります。相続税額の平均は約1,930万円ですが、個別の事情によって大きく変わる点に注意が必要です。
専門家のアドバイスを受けることで適正に見直し、遺産総額を抑えられる可能性もあります。
正確に相続税の金額を知りたい、そして適正に節税したいという場合は、相続専門の税理士に相談することをおすすめします。
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