配偶者が死亡した後の『手続き』と『お金』。今あなたにできることとは。

突然の配偶者の死。悲しみに暮れる中、多くの手続きが押し寄せます。死亡届、年金・保険、遺産分割、相続税…期限付きのものも。
この記事では、煩雑な手続きの流れと注意点を分かりやすく解説します。
この記事の目次 [表示]
- 1 1.配偶者が死亡した際の手続きをまず一覧でチェック!
- 2 2.死亡当日から7日までにやるべき手続き
- 3 3.死亡当日から2週間以内にやるべき手続き
- 4 4.10か月以内にやるべき手続き
- 5 5.配偶者が退職前に亡くなった場合
- 6 6.時効に注意!遺族が受け取れる給付金
- 7 7.名義預金の取り扱いに注意
- 8 8.まとめ
1.配偶者が死亡した際の手続きをまず一覧でチェック!
下記が、配偶者が死亡した際に必要な主な手続きの一覧です。
手続きの目安:死亡当日から7日
| 期限 | 手続き内容 | 詳細 |
|---|---|---|
| 死亡当日 | 病院での手続き | 死亡診断書の受け取り、退院手続き、精算、親族・関係者への連絡。 |
| – | 葬儀の手配 | 速やかに葬儀社を手配し、搬送先(自宅、葬儀場、専門施設など)を決定。 |
| ~3日目 | 火葬許可証の交付申請 | 医師の死亡診断書を添えて、市区町村役場に死亡届と火葬許可申請書を提出。提出先は①死亡者の本籍地、②死亡地、③届出人の住所地。 |
| – | お通夜・お葬式・初七日 | 葬儀社と日程、サービス、料金を相談。参列者への通知や会場・僧侶の手配、香典返し・供花の準備。初七日は葬儀と同日が一般的。 |
| ~7日目 | 死亡届の提出 | 死亡から7日以内。火葬許可証の交付申請と同時に行うのが望ましい。 |
| – | 葬儀代の支払い | 葬儀後7~10日程度が期限。手持ち資金が不足する場合、葬儀ローンやクレジットカードの一時増額も検討。預金が凍結されているときは「相続同意書」や「払戻制度」を活用。 |
手続きの目安:死亡当日から2週間
| 期限 | 手続き内容 | 詳細 |
|---|---|---|
| ~10日目 | 本籍地の役所で行う手続き | 被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本を取得する。相続人全員の現在の戸籍謄本も必要。預金・不動産・保険・自動車等の名義変更や解約、相続税申告などに使用。 |
| – | 住所地の役所で行う手続き | 世帯主変更の届出、住民異動届書を提出。 国民健康保険・後期高齢者医療・介護保険の資格喪失手続き。 マイナンバーカードは死亡届提出で自動失効(返却不要) |
| – | 年金事務所で行う手続き | 金受給者の死亡届(国民年金は14日以内、厚生年金は10日以内)。 未支給年金は同居家族が請求可能。 条件を満たせば遺族年金(基礎・厚生)を受給可能(時効5年) |
| ~2週間 | 公共料金の名義変更 | 電気・ガス・水道・電話など各サービス提供会社に連絡。 |
| – | 携帯電話・インターネット・サブスクリプションの解約または名義変更 | 各サービス提供会社に連絡し、必要書類を準備して手続き。 |
| – | クレジットカードの解約 | カード会社に連絡。残債がある場合は相続人が支払い義務を負う。家族カードやETCカード、公共料金等の支払いも確認・変更。 |
| – | 生命保険の手続き | 保険会社に連絡し、必要書類を準備して手続き。生活費や相続税の納税に充てるため、早めの手続きが推奨される。 |
手続きの目安:死亡当日から3~4か月
| 期限 | 手続き内容 | 詳細 |
|---|---|---|
| ~3か月 | 相続放棄の判断 | プラス(預金、不動産等)・マイナス(借金等)の財産を調査。 信用情報機関から情報開示を検討。 相続放棄する場合は「死亡を知った日から3ヶ月以内」に家庭裁判所へ申述。 |
| ~4か月 | 準確定申告 | 所得税の申告・納税は「死亡翌日から4ヶ月以内」。 源泉徴収票などの準備が必要。 故人の住所地を管轄する税務署で申告。 |
| ~10か月 | 相続税申告 | 相続税申告が必要な場合、期限は「故人の死亡日の翌日から10ヵ月」。 故人の住所地を所轄する税務署で申告。 |
| 期限なし | 姻族関係終了届 | 配偶者の血族との親族関係を終了させたい場合は届出を提出。 姻族関係終了後、希望すれば婚姻前の姓に戻すことが可能(復氏届) |
2.死亡当日から7日までにやるべき手続き
死後の手続きは、死亡後すぐに行わなければならないものもあれば、葬儀後に落ち着いてから行えばよいものもあります。まずは死亡直後に必要な手続きから一つずつ進めていくのがポイントです。
2-1.死亡当日 退院手続きと葬儀社の手配

2-1-1.病院での手続き
配偶者が病院で死亡した当日は、医師から死亡診断書を受け取り、退院手続きと精算を行い、親族や関係者への連絡をする必要があります。
2-1-2.葬儀社の手配
多くの場合、病院に長時間ご遺体を安置することはできません。退院手続きと同時に葬儀社を手配し、搬送先(自宅や葬儀場、専門施設など)を決める必要があります。葬儀社が決まっていない場合、病院スタッフに相談すれば紹介してもらえることが一般的です。
2-2.~3日目 火葬許可証の取得と葬儀

2-2-1.火葬許可証の交付申請
火葬許可証は、医師の死亡診断書を添えて市区町村役場に死亡届と火葬許可申請書を提出することで発行されます。
火葬許可申請書には故人の情報や火葬場名、火葬予定日などを記入し、提出後に不備がなければその場で許可証が交付されます。火葬許可申請書の用紙は役所の窓口で受け取ることができるほか、自治体のHPからダウンロードすることもできます。
なお、提出先は①死亡者の本籍地、②死亡地(亡くなった場所や病院等)、③届出人の住所地に所在する役所となります。死亡者の住所地は提出先にならないため、同居の配偶者でなく別居の親族が手続きを行う場合には注意が必要です。
2-2-2.お通夜・お葬式・初七日
お通夜は、まず葬儀社と相談してサービス内容や料金などを確認し日程を決めます。その後、遺族や参列者への通知、会場や僧侶の手配、香典返しや供花の準備を行います。
お葬式では祭壇や遺影、位牌、遺骨の準備、進行の確認が必要です。初七日の法要は、多くの場合は葬儀と同日に繰り上げて実施されますので、個別に手配する必要はないでしょう。
2-3.~7日目 死亡届の提出と葬儀代の支払い

2-3-1.死亡届の提出
死亡届の提出は、死亡から7日以内に行うこととされていますが、前述の火葬許可証の交付申請と同時に提出するのが望ましいでしょう。火葬許可申請と死亡届は同一人物が行うべきものとされているためです。
【記入例】
引用:法務省「死亡届」
2-3-2.葬儀代の支払い
一般に、葬儀代の支払いは一括で行い、葬儀後7~10日程度が期限とされています。手持ちの資金が不足している場合は、葬儀社が提携する信販会社の「葬儀ローン」を利用するほか、クレジットカードの限度額を一時的に増額する方法もあります。
2-3-2-1.被相続人の預金口座から葬儀代を支払う場合
被相続人が死亡して相続が開始すると、被相続人の預金口座は凍結されてしまいます。預金口座の凍結を解除するには原則として遺産分割協議書の作成が必要になりますが、遺産分割協議が成立する前でも、被相続人の口座から預金を引き出す方法として「相続同意書」の活用があります。
相続同意書は相続人全員が署名・実印を押印し、預金引き出しへの同意を証明する書類です。これにより、誰が預金を受け取るかが決まれば凍結口座からの引き出しが可能になります。
また「遺産分割前の相続預金の払戻制度」を利用すると、特定の相続人が単独で預金を引き出すこともできます。金融機関での手続きでは、(残高×1/3×法定相続分)で計算された金額を、同一金融機関から最大150万円まで引き出せます。
被相続人の預金の凍結解除については、「名義人の死亡による口座凍結はいつ?解除方法は?プロが解説」をご覧ください。
3.死亡当日から2週間以内にやるべき手続き
3-1.~10日 市町村役場・年金事務所での手続き

3-1-1.本籍地の役所で行う手続き:戸籍謄本等の取得
被相続人の本籍地の役所では、遺産の整理等の相続手続きのため、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本と相続人全員の現在の戸籍謄本を取得します。
死亡した配偶者が外国籍の場合は、存命している配偶者の本籍地の自治体に死亡診断書と戸籍変更のための申出書を提出すると、戸籍に配偶者死亡の旨を付記してもらうことができます。
3-1-1-1.戸籍謄本等が必要になる手続き一覧
相続手続きにおいて、戸籍謄本等が必要になる主な手続きは以下の通りです。通常、被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本、相続人全員の戸籍謄本のほか、戸籍の附票などの提出を求められます。
| 金融関係 |
|
|---|---|
| 不動産関係 |
|
| その他の財産関係 |
|
| 遺産分割協議関連 |
|
| 相続税の申告 |
|
詳しくは、「相続手続きに必要な戸籍謄本の種類と取り方から申請までを徹底解説!」をご覧ください。
3-1-2.住所地の役所で行う手続き:世帯主変更や公的な保険の手続き等
配偶者が亡くなった場合には、死亡届や火葬許可申請のほかにも、住所地の役所で様々な手続きが必要になります。
3-1-2-1.世帯主変更の届出
配偶者が世帯主だった場合、新たな世帯主を役所に届け出なければなりません。住所地の市町村役場に用意されている住民異動届書に必要事項を記入して提出します。
詳しくは、「世帯主変更届とは?親から子の変更方法・手続きの流れ・書き方を解説」をご覧ください。
3-1-2-2.国民健康保険の資格喪失・資格取得の手続き
被相続人が「世帯主」として国民健康保険に加入していた場合には、世帯主の資格喪失届とともに、その世帯全員の保険証を返却します。世帯主と被保険者証番号の変更が完了すると、残された家族に新しい保険証が発行されます。
3-1-2-3.後期高齢者医療保険や介護保険の資格喪失届
亡くなった配偶者の年齢によっては、後期高齢者医療保険や介護保険の被保険者である可能性があります。その場合には、それぞれ加入している保険の資格喪失届の提出と、保険証の返却が必要になります。
3-1-2-4.マイナンバーカードの処分
マイナンバーカードや通知カードは死亡届の提出により自動的に失効するため、役所に返納する必要はありません。ただ、保険金の支払いなどの場面で提示を求められることがありますので、しばらくは保管しておくとよいでしょう。(一定期間が過ぎたらICチップ部分にハサミを入れて処分します)
3-1-3.年金事務所で行う手続き
公的年金を受給していた配偶者が亡くなると、当然年金の受給権は消滅します。その場合の手続きは、年金事務所のほか、街角の年金相談センターで行うことができます。
3-1-3-1.年金受給権者死亡届
年金を受給していた配偶者が亡くなった場合、年金受給権者死亡届(報告書)の提出が必要になります。
引用:日本年金機構「年金を受けている方が亡くなったとき」
なお、国民年金は死亡した日から14日以内、厚生年金は10日以内と、それぞれ手続きの期限が異なるため注意が必要です。
ただし、日本年金機構にマイナンバーが登録されている場合には、原則として年金受給権者死亡届の提出を省略できます。登録状況は日本年金機構の本部に問い合わせれば、本人確認のうえ知らせてもらえます。
3-1-3-2.未支給年金の受給
死亡月までに本来支給されるはずだった年金(未支給年金)がある場合、同居の家族や生計を同じくしていた方が、未支給年金・未支払給付金請求書を提出すると受け取ることができます。
3-1-3-3.遺族年金の受給
死亡した配偶者の遺族が一定の要件を満たす場合、遺族年金を受け取ることができます。
遺族基礎年金は、死亡した配偶者が国民年金の加入者であった場合に、子のある配偶者と子が受け取ることができます。(ここで言う「子」とは基本的に未成年の子を意味します)
一方、遺族厚生年金配偶者は死亡した配偶者が厚生年金加入者であった場合、遺された配偶者が受給することができるため、遺族基礎年金よりも対象者の範囲が広くなっています。
なお、遺族年金については、5年間の時効があったり、男女で受給できる条件や金額が異なるなど、その受給に当たって複雑な要件が設けられています。
遺族年金を受給するための要件や金額の算定については、「遺族年金とは?誰がいくらもらえる?条件・手続き方法も解説」をご覧ください。
3-2.~2週間 公共料金等の名義変更や各種契約の解約手続き

3-2-1.公共料金の名義変更
配偶者が亡くなった場合には、電気・ガス・水道・電話など各サービスの提供会社に連絡し、配偶者の死亡の事実と名義変更の希望を伝えましょう。
必要書類は会社により異なりますが、一般的に本人確認書類(運転免許証など)、契約者の死亡を証明する書類(戸籍謄本など)、新契約者との関係を示す書類が求められます。多くの場合、電話での連絡後に書類提出が必要となります。
詳しくは、「【公共料金の相続ガイド】解約・名義変更の方法をプロが解説」をご覧ください。
3-2-2.携帯電話・インターネット・サブスクリプションの解約または名義変更
配偶者が死亡した場合、携帯電話・インターネット・サブスクリプションの解約や名義変更の手続きが必要になります。各サービス提供会社に連絡し、契約者の死亡を証明する書類(死亡診断書や戸籍謄本など)と手続きを行う方の本人確認書類を準備します。
事前に必要書類や手続き方法を公式サイトで確認すると、スムーズに解約が進みます。
3-2-3.クレジットカードの解約
配偶者が亡くなった場合、クレジットカードの解約は遺族がカード会社に連絡して行います。まず亡くなった方が所有していたクレジットカードを特定し、カード会社へ電話や指定フォームで解約の申し出をします。
多くの場合、死亡を証明する書類(戸籍謄本・死亡診断書など)や手続きをする人の本人確認書類が必要です。カードに紐づく家族カードやETCカード、公共料金等の支払いも同時に確認・変更しましょう。なお、残債がある場合には、相続人がカード会社に支払う必要があります。
3-2-4.相続放棄を検討する場合は注意!賃貸アパートの解約等
配偶者の死亡に当たって相続放棄を検討中の場合は、「財産の処分行為」に注意が必要です。
例えば、配偶者が住んでいた賃貸アパートの解約は避けるべきです。賃貸契約の解約は「財産の処分行為」とみなされ、民法上の単純承認事由に該当する可能性があります。
単純承認となれば、債務も含めたすべての相続財産を引き継ぐことになり、相続放棄の申立てが認められなくなります。同様の理由で、携帯電話やサブスクリプションなどの契約解除も避けるのが無難です。
相続放棄の手続きについては後述します。
3-2-5.生命保険の手続き
配偶者が亡くなった場合の生命保険手続きでは、まず保険会社へ連絡し、案内に従って必要書類(保険証券、死亡診断書、受取人の本人確認書類、戸籍抄本、印鑑証明書、預貯金通帳など)を準備します。受取人が指定されていない場合は、相続人であることを証明する書類も必要になります。
期限が定められているわけではありませんが、配偶者が死亡した後の生活費や相続税の納税に充てるためにも、手続きはできるだけ早く行いましょう。
4.10か月以内にやるべき手続き
続いて、10か月以内にやるべき手続きについて解説します。
4-1.~3か月 相続放棄の判断

4-1-1.被相続人の財産・借金・ローンの確認
配偶者が亡くなった場合に相続放棄を検討する際は、まず被相続人の財産調査が重要です。
プラスの財産は預貯金・株式の残高証明書(金融機関で発行)や不動産の固定資産税納税通知書で確認できます。マイナスの財産(借金やローン等の債務)については、故人宛の郵便物を確認し、借用書や督促状など借金に関する書類が届いていないか調べます。
その他、故人の通帳を確認し、定期的な返済や借入の履歴がないかをチェックしたり、手続きに手間はかかりますが、信用情報機関(CIC、JICC、全国銀行個人信用情報センター)に情報開示請求をする方法もあります。
相続放棄は一度承認されると原則撤回できません。「借金があるから」と安易に相続放棄すると、後から大きな財産が見つかっても取り戻せないため、十分な調査が必須です。
4-1-2.相続放棄の手続き
相続放棄することを決めた場合、被相続人が死亡したことを知った日から3ヶ月以内に、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に「相続放棄申述書」と必要書類(被相続人の戸籍謄本、住民票除票、申述人の戸籍謄本など)を提出します。

提出後、家庭裁判所から照会書が届くので、内容を確認して返送します。問題がなければ、正式に相続放棄が受理され、「相続放棄申述受理通知書」が発行されます。
相続放棄の手続き方法や注意点については、「【相続放棄とは】費用・流れ・注意点をわかりやすく解説!」をご覧ください。
4-2.~4か月 準確定申告と相続税の申告要否の検討

4-2-1.準確定申告の必要書類
配偶者が死亡した場合の準確定申告は、相続開始(死亡)を知った日の翌日から4ヶ月以内に行います。
一般的に、申告には故人の給与や年金に係る源泉徴収票、生命保険料や地震保険料支払いに係る控除証明書などが必要です。申告先は故人が住んでいた住所地を管轄する税務署で、1月1日から死亡日までの所得と税額を計算して申告・納税します。
準確定申告について、詳しくは「【準確定申告とは】必要・不要の判断方法、記入例などを解説」をご覧ください。
4-2-2.被相続人の主要な財産を把握する
配偶者が亡くなった場合、相続手続きの手始めとして、故人の主要な財産を把握する必要があります。(財産には預貯金、不動産、有価証券、生命保険金、退職金、未収給与、車、貴金属、骨とう品や美術品などがあります)
故人の財産は、主に預金通帳や残高証明書、証券会社の取引残高報告書、固定資産税の納税通知書、保険金の支払通知書等で確認できます。
4-2-3.相続税申告が必要か検討する
故人のプラスの財産を把握できたら、そこからマイナスの財産(借金やローン等)を控除します。そのうえで、故人の財産の合計額と基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を比較し、相続税申告が必要かどうかを判断します。

4-3.~10か月 相続税申告

相続税申告が必要な場合、期限は故人の死亡日から10ヵ月です。 相続税申告の流れと必要書類については、「相続税申告は自分でできる!手順や必要書類を税理士が解説」をご覧ください。
4-3-1.姻族関係終了届と復姓
配偶者が亡くなった場合、姻族関係終了届を提出することで、配偶者の血族との親族関係を終わらせることができます。手続きは届出人の本籍地または住所地の市区町村役場で行います。
復姓については、姻族関係終了届とは関係なく、配偶者の死亡届を提出した後であれば、復氏届を提出することで婚姻前の姓に戻ることができます。
姻族関係終了届等について、詳しくは「姻族関係終了届の効果・メリット・提出期限など徹底解説」をご覧ください。
5.配偶者が退職前に亡くなった場合
5-1.最終給与の受け取り
最終給与は、通常、故人の口座に振り込まれます。ただし、給与の振り込みを受ける前に故人の口座が凍結されていたり、勤め先の取り扱いによっては、遺族の口座に振り込まれたりすることもあります。
未払給与は相続財産となり、相続税の課税対象となります。
また、死亡した年分の源泉徴収票も忘れずに受け取ってください。準確定申告などの場面で必要になります。
5-2.死亡退職金・弔慰金の受け取り
死亡退職金は、受取人として指定された遺族が受け取ります。多くの企業の退職金規定では、労働基準法施行規則の規定に準じて、配偶者が第1順位の受取人に指定されています。
受取人の指定がない場合は、相続人が協議して決定します。
死亡退職金について、詳しくは「死亡退職金に相続税はいくらかかる?非課税枠や受取人の違いも解説」をご覧ください。

弔慰金は、会社の規定により支給されるもので、相続税の対象となる場合があります。死亡退職金と弔慰金は、税法上の取り扱いが異なるため、勤務先に詳細を確認する必要があります。
弔慰金について、詳しくは「弔慰金の読み方は「ちょういきん」│非課税の範囲や限度額を解説」をご覧ください。
5-3.企業年金等の受給手続き
配偶者が死亡した場合の企業年金受取手続きは、まず加入していた企業年金基金や元勤務先の年金担当窓口に連絡することから始まります。企業や基金によって手続きが異なるため、その後の流れや必要書類などの案内を受けましょう。
手続き完了後、規定に基づいて未支給年金や死亡一時金が、指定された受取人に支払われます。受取人の指定がない場合は、労働基準法施行規則の順位に従って、配偶者に支給されることが一般的です。
5-4.従業員持株会等の清算
配偶者が従業員持株会を通じて勤務先等の株式を所有していた場合、まず持株会事務局に死亡の連絡と保有状況確認をします。株式の相続には原則として遺産分割協議が必要ですが、持株会の規定により、配偶者が第1順位の受取人としてすでに指定されているケースも多く、この点も持株会に確認しておく必要があるでしょう。
5-4-1.相続人が確定申告しなければならない場合がある
死亡した配偶者が持株会で保有していた株式を、受取人となった相続人が売却した場合、相続人自身の確定申告が必要になる可能性があります。相続した株式を売却して利益が出た場合、その利益に対して所得税と住民税がかかるため、売却した年の翌年の3月15日までに確定申告をする必要があります。
詳しくは「相続した株の売却時には税金が発生-具体的な税額シミュレーション付き」をご覧ください。
6.時効に注意!遺族が受け取れる給付金
配偶者の死亡後、遺族が受け取れる可能性のある給付金は複数存在しますが、多くは申請期限(時効)が定められています。葬祭費や埋葬料、高額療養費、介護サービス費、そして遺族年金など、その種類と申請手続き、時効について正しく理解していなければ、受け取る権利を失ってしまうこともあります。
| 給付金の種類 | 時効 | 詳細 |
|---|---|---|
| 葬祭費・埋葬料 | 2年 | 故人の葬儀にかかる費用の一部を援助する制度。自治体や加入保険によって給付額・申請期限が異なる。死亡診断書や葬儀の領収書などが必要。 |
| 高額療養費 高額介護 サービス費 | 2年 | 医療費等の自己負担額が一定額を超えた分は払い戻し対象。 保険証、死亡診断書、領収書などが必要。 |
| 遺族年金 | 5年 | 故人が国民年金や厚生年金に加入していた場合、残された家族が受給できる可能性がある。 |
6-1.葬祭費・埋葬料(2年で時効)
故人の葬儀にかかる費用の一部を援助する制度が葬祭費(国民健康保険・後期高齢者医療制度加入者)または埋葬料(健康保険加入者)です。

自治体や加入している保険によって給付額や申請期限が異なり、葬儀後2年以内が時効とされています。申請には死亡診断書や葬儀の領収書などが必要になります。
詳しくは、「埋葬料の申請方法│給付額や葬祭費との違いもわかりやすく解説」をご覧ください。
6-2.高額療養費・高額介護サービス費(2年で時効)
医療費や介護サービスの自己負担額が一定額を超えた場合に、超過分が払い戻されるのが高額療養費・高額介護サービス費制度です。
こちらも診療を受けた日の翌月から2年という申請期限が設けられています。
特に、入院や高額な治療、介護サービスを受けた場合は、申請を忘れないように注意が必要です。加入されていた保険の種類によって異なりますが、申請に当たっては故人の被保険者場や死亡診断書、医療機関の領収書等が必要になります。
6-3.遺族年金(5年で時効)
年金事務所で行うべき手続きの項目でも触れましたが、亡くなった配偶者が国民年金や厚生年金に加入していた場合には、残された家族が遺族年金を受給できる可能性があります。
受給要件や金額は、加入期間や家族構成によって異なりますが、厚生年金の方が対象者の範囲が広く、受給しやすくなっています。
ただし、死亡した日から5年の時効が設けられていて、この期間を経過した分の遺族年金は受け取ることができなくなるため注意が必要です。
遺族年金について、詳しくは「遺族年金とは?誰がいくらもらえる?条件・手続き方法も解説」をご覧ください。
7.名義預金の取り扱いに注意
7-1.名義預金とは
名義預金とは、たとえば妻名義の口座であっても、そのお金の出どころが全て夫であり、妻でなく夫がその口座を管理していなかった場合などに成立します。このような場合、名義上は妻の預金であっても、実質的には故人の財産と見なされる可能性があります。

7-2.故人の死亡後に使ってもよい?
配偶者が亡くなった後、残された名義預金を「自分名義の口座だから問題ない」と思って引き出して使ってしまうと、トラブルの原因になることがあります。
たとえ自分名義の口座にあっても、実質的に故人の財産と判断されれば、それは「相続財産」とみなされます。無断で引き出して使用すると、他の相続人との間でトラブルに発展する可能性があります。
7-3.名義預金は相続税申告の対象になる
さらに注意すべきなのは、名義預金が相続税の課税対象になる点です。名義預金の存在を見落として申告しなかった場合、税務調査で発覚し、加算税や延滞税が課されることもあるため注意が必要です。
名義預金について、詳しくは「名義預金は誰のもの?相続税が追加で発生する条件を解説」をご覧ください。
8.まとめ
配偶者死亡後の手続きは多岐に渡り、期限があるものも多いです。死亡当日からの2週間以内には、死亡診断書受取、葬儀社手配、火葬許可証取得、葬儀、死亡届、葬儀代支払いを済ませ、本籍地・住所地の役所や年金事務所で戸籍謄本取得、世帯主変更、年金受給権消滅・未支給年金・遺族年金の手続き、公共料金・契約の名義変更・解約が必要です。
その後3ヶ月~4ヶ月の間に、相続財産・債務調査に基づいた相続放棄の判断、準確定申告、相続税申告が必要かどうかの判断を行います。退職前に死亡した場合は、最終給与、死亡退職金・弔慰金、企業年金、従業員持株会の手続きも必要です。
また、遺族が受け取れる給付金には時効があり、葬祭費・埋葬料、高額療養費・高額介護サービス費は2年、遺族年金は5年以内が申請期限です。
大切なパートナーを亡くした悲しみと不安の中で、これらの手続きを進めることは大きな精神的負担になることと思われますが、残念ながら手続きは待ってはくれません。各段階で必要な手続きを把握し、期限内に進めることが重要です。
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