アパート相続で兄弟が揉める理由|分割方法・相続手続き・相続税

「兄弟で賃貸アパートを相続したらどうなる?」
「アパート相続で兄弟で揉めることはある?」
親が経営していた賃貸アパートを兄弟で相続することになると、みなさんが抱かれる疑問です。
結論を言うと、賃貸アパートが相続財産に含まれる場合、評価額・分割方法・家賃収入や債務で揉めやすく、遺産分割協議が難航しやすいです。
兄弟トラブルを回避するためには、賃貸アパート特有の評価方法や分割方法を理解した上で、冷静に対応を行うことが重要です。
この記事では、「親が経営していた賃貸アパート一棟」を兄弟(被相続人の子)で相続するケースを想定して、相続専門の税理士が注意ポイントを解説します。
「親が所有していたマンション」を兄弟で相続される場合は、「マンション相続で兄弟が揉める理由|分割方法・争点・手続き・相続税」をご覧ください。
この記事の目次 [表示]
1.アパート相続で兄弟トラブルが起きやすい3つの争点
被相続人が経営していたアパートを第一順位の法定相続人である子(兄弟)が相続する場合、遺産分割の過程で兄弟間の対立が生じやすくなります。
この理由は、賃貸アパートは「評価額が大きい」「分割が難しい」「家賃収入や債務が絡む」という特徴があり、現金や預貯金の相続と比べて複雑さが増すためです。
まずはアパート相続において、よくある兄弟トラブルの争点を確認していきましょう。
1-1.争点①アパートの評価額は「時価」か「相続税評価額」か
遺産分割を行うためには、まずアパートの評価額を決める必要があります。
しかし、不動産は「一物五価」と呼ばれるように評価額が数種類あるため、どの評価額を使うかで兄弟間の意見が割れやすくなります。
| 概要 | |
|---|---|
| 時価(実勢価格) | 実際に市場で売買される価格 |
| 公示地価 | 土地取引の目安となる価格 |
| 基準地価 | 土地取引の目安となる価格 |
| 相続税路線価 | 相続税の計算の基準となる価格 |
| 固定資産税評価額 | 固定資産税の計算の基準となる価格 |
遺産分割では「相続開始時の時価(実勢価格)」を用いるのが原則ですが、法定相続人全員が合意すれば別の評価額を使うことも可能です。
アパートの相続税評価額は「相続税路線価」や「固定資産税評価額」を使用しますが、貸家建付地や貸家として評価額が減額されるため、時価との差が大きくなりやすいという特徴があります。
そのため、アパートを取得したい相続人は「相続税評価額」を主張し、アパートを取得しない相続人は「時価」を主張することで、兄弟間の対立につながりやすくなります。
参考:賃貸不動産(賃貸物件)の相続税評価は下がるって本当?節税方法を知ろう
1-2.争点②アパートの分割方法はどれを選んでも一長一短
アパートのような不動産は、現金のように物理的に分割することができません。
そのため、法定相続人全員が合意できる分割方法を選ぶ必要がありますが、どの方法にもメリット・デメリットがあり、兄弟間で意見が割れやすい点が争点になります。
| 特徴 | |
|---|---|
| 現物分割 | 相続手続きは簡単だが公平性を保ちにくい |
| 代償分割 | アパート経営を継続できるが代償金を支払う必要あり |
| 換価分割 | 公平性を保てるがアパートを手放すことになる |
| 共有分割 | 公平性を保てるがアパート経営で対立しやすい |
一棟所有のアパートの相続では、どの分割方法を選んでも一長一短があるため、兄弟間で合意形成が難しくなりやすいのです。
次章で、それぞれの分割方法の仕組みや特徴について詳しく解説します。
参考:不動産を相続した際の分割方法!遺産分割協議書への書き方や注意点
1-3.争点③アパートの債務は相続登記が終わるまで共有扱い
アパートのローンなどの債務についても、兄弟間で意見がまとまらずトラブルに発展するケースが少なくありません。
法律上、債務は相続開始と同時に、法定相続分に応じて各相続人に承継されます。
つまり、遺産分割協議が成立する前の段階では、アパートローンの返済義務も兄弟全員が負っていることになります。
- ローンの返済義務は兄弟全員が負う(協議成立まで)
- 家賃収入は兄弟全員の共有扱い(協議成立まで)
- 取得者が決まり次第単独で債務を引き継ぐ(金融機関の許可が必要)
この「取得しない財産に関わる債務を負う」という一時的な構造が、兄弟間の不満につながりやすいのです。
アパートの家賃収入がローンの返済額を上回っているか下回っているかによって、不満の方向性が変わってくることもあります。
結果として、アパートの評価額や分割方法をめぐる対立を、さらに悪化させる要因になりかねません。
\\CHECK//
賃貸アパートを兄弟で相続する場合、司法書士・税理士・弁護士・不動産会社など、様々な専門家のサポートが必要となります。
チェスターグループにはこれらの士業がすべて所属しているため、あらゆる相続ニーズにワンストップで対応可能です。
すでに相続が発生しているのであれば、初回面談が無料となりますので、まずはお気軽にご相談ください。
2.アパートの分割方法は4種類!メリットとデメリットを知ろう
アパートは現金のように物理的に分割できないため、相続人全員が合意できる分割方法を選ぶ必要があります。
アパートの分割方法
アパートの分割方法を検討する前提として、「そもそもアパート経営を維持すべきか」「売却すべきか」という判断も重要になります。
維持・売却それぞれの判断基準や手続きについては、下記の記事で詳しく解説していますので、あわせてご参照ください。
参考:【賃貸の相続ガイド】維持・売却等の判断基準と手続きを税理士が解説
2-1.現物分割
現物分割とは、相続財産を現物のまま各相続人に分配する方法のことです。
例えば、相続財産の内容が「賃貸アパート一棟(1億円)」「預貯金(2,000万円)」「自宅不動産(4,000万円)」であるとします。
このケースにおいて、兄が「賃貸アパート(1億円)」を相続し、弟が「預貯金と自宅不動産(合計6,000万円)」を相続するという場合は、現物分割をしていることになります。

現物分割を選択した場合、特定の相続人が単独でアパートを取得するため相続手続きがシンプルになり、アパート経営の意思決定もしやすくなるというメリットがあります。
一方で、アパート以外の相続財産の内容によっては、兄弟間の公平性を保つことが難しくなるというデメリットもあります。
現物分割がおすすめなケース
- アパート以外の相続財産が豊富
- 兄弟間の公平性を保てないことに全員が納得できる
2-2.代償分割
代償分割とは、アパートを取得する相続人が、他の相続人へ代償金を支払うことで公平性を調整する方法のことです。
例えば、相続財産の内容が「賃貸アパート一棟(1億円)」「預貯金(2,000万円)」「自宅不動産(4,000万円)」であるとします。
兄が「賃貸アパート(1億円)」を相続し、弟が「預貯金と自宅不動産(合計6,000万円)」を相続するという場合、兄は4,000万円多く相続していることになります。
そこで、兄が弟に代償金として2,000万円を支払うことで、兄弟間の公平性を保つことができます。

代償分割を選択した場合、特定の相続人がアパート経営を継続できるため、将来的なアパート経営の意思決定もしやすくなるというメリットがあります。
一方で、単独でアパートを取得する相続人には、代償金を支払う資力が必須となります。
代償金を一括で用意できない場合は分割払いや現物での支払いも可能ですが、支払いが滞ると新たなトラブルに発展するリスクがあります。
代償分割がおすすめなケース
- アパート経営を継続したい相続人がいる
- 代償金を支払える資力がある(または金融機関の融資が見込める)
参考:【代償分割とは】代償金の決め方・相続税について税理士が解説
2-3.換価分割
換価分割とは、アパートを売却して現金に換え、その現金を相続人同士で分ける方法のことです。
例えば、相続財産の内容が「賃貸アパート一棟(売却額1億円)」「預貯金(2,000万円)」であるとします。
アパートを売却して現金化することで、遺産分割の対象となるのは現金1億2,000万円となるため、兄弟で6,000万円ずつ1円単位まで公平に分割ができます(実務では売却コストが発生しますがここでは割愛します)。

換価分割を選択した場合、売却して得た現金を1円単位で分割できるため、兄弟間の公平性を保つことができます。
一方で、親から引き継いだアパート経営を手放すことになるため、アパートを残したい相続人にとっては不満が生じやすい点がデメリットです。
また、売却益が出た場合は譲渡所得税がかかる場合があり、税務面の負担が生じる可能性があります。
換価分割がおすすめなケース
- 公平性を重視したい
- アパート経営の継続を希望する相続人がいない
- 早期に現金化したいニーズが強い
参考:【換価分割とは】遺産分割協議書の書き方・税金を税理士が解説
2-4.共有分割
共有分割とは、兄弟がアパートを共同名義で相続し、持分を分け合う方法です。
例えば、「賃貸アパート一棟(1億円)」を、兄の持分1/2・弟の持分1/2等として、共同名義にする場合は共有分割をしていることとなります。

共有分割を選択した場合、兄弟間で公平な分割ができたように見えますし、相続手続き自体は簡単です。
しかし、共有名義は相続後のアパート経営で、兄弟間の意見が対立しやすいのが最大のデメリットです。
修繕や建て替えには持分の過半数、売却には全員の同意が必要になるため、意思決定が難しくなります。
さらに次の相続が発生すると権利関係が複雑化するため、共有名義は安易に選ばないことが重要です。
共有分割がおすすめなケース
- 兄弟間でアパート経営の方針が一致している
- 将来的に共有名義を解消する具体的な計画がある
3.アパートを相続して兄弟で共同名義にした場合の3つの課題
共有分割を選択した場合、一見すると兄弟間の公平性を保ってトラブルを回避したように見えますが、相続後のアパート経営において意見が対立しやすいという特徴があります。
兄弟の共同名義にした場合、将来的な課題となるのは以下の3つです。
これらが影響する兄弟間の対立を避けるためには、収支報告のルールや役割分担を事前に文書化しておくこと、管理会社に委託して兄弟間の負担そのものを軽減することが有効です。
それでも共有名義を解消したくなった場合は、持分売却・持分放棄・共有物分割請求訴訟といった手続きが必要になり、いずれも手間や時間がかかります。
だからこそ、アパートの分割方法は相続の時点でしっかり検討しておくことが、将来的なトラブルを避けるための最善策なのです。
参考:共有持分とは│売却・放棄はできる?解消方法と税金も解説
3-1.課題①アパート経営の方針
共有名義のアパートでは、以下のような重要な決定を行う際、共有者全員の同意が必要になります(修繕など日常の管理行為は持分の過半数で決定可能)。
- アパート売却
- アパート建て替え
- 大規模リフォーム
共有者の中に1人でも反対する人がいれば、経営上必要な判断であってもなかなか実行できません。
空室対策や修繕のタイミングを逃して収益が悪化するケースや、意見の対立が長期化して兄弟関係そのものが悪化するケースも少なくないため、注意が必要です。
3-2.課題②管理業務の負担
アパート経営には、日々さまざまな管理業務が発生します。
- 入居者対応
- 家賃滞納の督促
- 共用部分の清掃
- 設備の修繕手配
共有名義の場合、これらの業務を誰がどこまで担うのかを決めていないと、特定の相続人にばかり負担が偏ってしまいます。
「兄は入居者対応に追われているのに、弟は収益だけを受け取っている」といった状況が続くと、経済的な公平性以前に、労力の公平性をめぐって関係が悪化することもあります。
3-3.課題③家賃分配や経費負担
共有名義のアパートでは、家賃収入や固定資産税・修繕費などの経費についても、持分に応じて分配・負担するのが原則です。
しかし、その具体的なルールを事前に決めていないと、以下のような点で不公平感が生まれやすくなります。
- 誰が固定資産税の支払いを担当するのか
- 誰が修繕費の立て替えを担当するのか
- 誰がどれだけ家賃を受け取るのか
特に固定資産税の納付書は代表者1人に届くため、代表者が他の相続人から費用を回収する手間が発生します。
この回収がスムーズにいかないと、「自分ばかり負担している」という不満につながりかねません。
4.アパート相続における遺産分割や相続手続きの流れ
アパート相続における遺産分割や相続手続きの流れは、以下の通りです。
遺産分割や相続手続きを進めている間も、アパートの家賃収入は振り込まれ続けます。
しかし、被相続人名義の口座は、金融機関が死亡の事実を把握した時点で凍結され、入居者が振り込んだ家賃を誰も引き出せない状態になってしまいます。
そのため、正式な名義変更(相続登記)を待たず、早い段階で「相続人代表者名義の口座」など、振込先を暫定的に変更する対応をとりましょう。
管理会社に委託している場合は、早めに相談しておくことをおすすめします。
4-1.STEP①法定相続人を調査・確定する
まずは、被相続人の戸籍謄本を収集して調査し、法定相続人が誰なのかを確定させます。
法定相続人の確定が不十分なまま遺産分割協議を進めてしまうと、新たな相続人が判明した場合に協議をやり直さなければならず二度手間になってしまいます。

特に注意したいのが、戸籍調査をしたことによって、これまで知らなかった法定相続人が判明するケースです。
被相続人に離婚歴があり前の配偶者との間に子ども(異母兄弟・異父兄弟)がいた場合や、認知した子どもがいた場合も、その子どもは第一順位の法定相続人に含まれます。
これらの相続人を除いたまま行った遺産分割協議は無効となるため、戸籍の収集は面倒でも省略せず、必ず出生から死亡までを漏れなく確認しましょう。
4-2.STEP②相続財産を調査・確定する
次に、遺産分割協議の対象となる、被相続人の相続財産を調査して確定させます。
相続財産にはプラスの財産(アパートなどの不動産・預貯金・有価証券など)のみならず、マイナスの財産(ローンの残債や入居者から預かっている敷金)なども含まれます。

アパートの評価額は、原則として「相続開始時の時価」を用います。
時価を正確に把握するには、複数の不動産会社に査定を依頼したり、不動産鑑定士に鑑定評価を依頼したりする方法がおすすめです。
また、管理会社に委託をしている場合は、契約内容なども漏れなく調べておきましょう。
参考:【相続財産調査とは】誰がするの?かかる費用や調査方法をプロが解説
4-3.STEP③遺産分割協議を行う
相続財産の内容が確定したら、法定相続人全員で遺産分割協議を行い「誰が・何を・どの割合で相続するのか」を話し合って決めます。
前章でご紹介した、アパートの分割方法もこの遺産分割協議において決定することとなります。

遺産分割協議では、固定資産税やローンの返済を、今後誰がどのように負担するのかも決めておくことが重要です。
負担の割合を曖昧にしたまま協議を終えてしまうと、後々のトラブルの火種になりかねません。
遺産分割協議が成立したら遺産分割協議書を作成して、法定相続人全員が合意したことを書面化しておきましょう。
参考:【ひな型付】遺産分割協議書の書き方とは?基礎から応用まで詳しく解説
4-4.STEP④アパートの相続登記を行う
アパートを取得する人が決まれば、法務局でアパートの相続登記を行います。
相続登記とは、アパートの名義を被相続人から相続人に変更する手続きのことです。

相続登記は令和6年4月から義務化されており、不動産の取得を知った日から3年以内に申請する必要があります。
正当な理由なく登記を放置した場合、10万円以下の過料の対象となる可能性があるため注意しましょう。
相続税の申告に比べると時間的な猶予はありますが、登記を後回しにすると、将来的にアパートを売却する際や、次の相続が発生した際に手続きが複雑化するおそれがあります。
参考:相続登記とは?期限・必要書類・費用・手続きの流れを解説
4-5.STEP⑤入居者や管理会社にオーナー変更を通知する
相続登記が完了し、アパートの名義が正式に確定したら、入居者や管理会社に対して正式なオーナー(賃貸人)変更を通知します。
この通知が遅れると、入居者に混乱を与えるだけでなく、家賃の未収や信頼低下につながるおそれもあります。
管理会社に委託している場合は、名義変更の手続きと合わせて、契約内容の引き継ぎも忘れずに行いましょう。
5.相続したアパートの家賃収入は誰のものになる?
相続開始後もアパートに入居者がいる限り、家賃収入が発生し続けます。
そして支払われるタイミングによって家賃収入が「誰のものになるか」が異なり、課される税金も変わってくるので注意が必要です。
| 家賃収入の帰属 | 課税される税金 | |
|---|---|---|
| 相続開始前 | 被相続人 | 相続税 |
| 相続開始日~遺産分割協議成立 | 共同相続人全員 | 所得税 |
| 遺産分割協議後 | アパート取得者 | 所得税 |
相続開始日から遺産分割協議が成立するまでの家賃は、共同相続人全員の財産として扱われ、原則として各相続人が法定相続分に応じて取得するというのが実務上の考え方です(最高裁平成17年9月8日判決/平成16(受)1222)。
一方、遺産分割協議が成立した後は、アパートを取得した相続人にその後の家賃収入がすべて帰属することになります。
参考:家賃収入に相続税はかかる?かかる税金と確定申告を徹底解説
5-1.家賃収入を兄弟で分けた場合は確定申告を
遺産分割協議が成立するまでの間に家賃収入を受け取った場合は、最終的にアパートを取得するかどうかにかかわらず、確定申告を行う必要があります。
不動産所得(家賃収入から必要経費を差し引いた金額)が発生している以上、アパートを取得しない相続人であっても申告義務から逃れることはできません。
確定申告には「青色申告」と「白色申告」があり、青色申告は事前の届出や複式簿記による記帳が必要な一方、最大65万円の特別控除が受けられるなどのメリットがあります。
共有名義の場合は、各相続人が自身の持分割合に応じて収入・経費を按分し、それぞれの申告書に反映させる必要があるため、按分の考え方を誤ると申告内容にずれが生じる点にも注意しましょう。
参考:相続で確定申告は必要?所得税・相続税がかかるケースを解説
5-2.被相続人の準確定申告もお忘れなく
相続人の確定申告とは別に、被相続人が死亡日までに得ていた家賃収入については、準確定申告が必要です。
準確定申告とは、被相続人の生前の所得税等について、相続人が代わりに申告・納付する手続きのことです。
準確定申告の期限は、相続の開始を知った日の翌日から4ヶ月以内です。
相続人が複数いる場合、原則として相続人全員が連署して1通の申告書を提出する必要があるなど、通常の確定申告にはない実務上のルールもあります。
準確定申告は期限が早いうえに手続きも煩雑になりやすいため、相続が発生したら早い段階で税理士に相談しておくと安心です。
参考:準確定申告とは?必要かどうかの判断・期限・申告書の書き方を解説
6.アパートを相続すると相続税申告が必要になる可能性が高い
相続税が課税されるのは、債務控除等をした後の遺産総額が、相続税の基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を超えた場合のみです。
アパートは相続税評価額が高額になりやすく、自宅不動産や預貯金など他の財産もあわせて相続することが多いため、遺産総額が基礎控除を超え、相続税の申告が必要になる可能性が高いです。

相続税の申告期限は「相続の開始を知った日の翌日から10ヶ月以内」で、この期限までに「申告書の提出」と「相続税の納税」の両方を済ませる必要があります。
期限に遅れると、加算税や延滞税が生じる可能性があるため注意しましょう。
また、相続税は原則として現金一括での納付が求められるため、納税資金をどう準備するかも早い段階から考えておくことが重要です。
参考:相続税の申告義務の判断ポイント│誰が申告するのかも解説!
6-1.アパートの相続税評価額の計算方法
賃貸アパートの場合、敷地部分は「貸家建付地」、建物部分は「貸家」として相続税評価額を計算します。
借地権割合・借家権割合・賃貸割合などを適用できるため、評価額を減額できます。

いずれの計算式にも含まれる「賃貸割合」は、アパート全体の床面積のうち実際に賃貸されている部分の割合を示すもので、入居率に連動します。
そのため、空室が多いアパートほど評価減の効果が小さくなり、結果として評価額が高くなりやすい点には注意が必要です。
なお、令和8年度の税制改正により、相続開始前5年以内に取得・新築した賃貸アパートについては、従来の路線価等を用いた評価方法ではなく、取得価額をベースにした新たな評価方法(取得価額の80%相当額)が適用される見込みです(令和9年1月施行予定)。
参考:アパートの相続税評価額は?計算方法や最新5年ルールを徹底解説
6-2.小規模宅地等の特例で敷地の評価額を50%減額できる可能性あり
賃貸アパートの敷地部分は「貸付事業用宅地等」として、小規模宅地等の特例の対象になる可能性があります。
小規模宅地等の特例が適用できれば、上限面積200㎡までの部分について評価額を50%減額できるため、兄弟全体の相続税額を下げることにも繋がります。
引用:国税庁「No.4124 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)」(※赤枠部は筆者による)
小規模宅地等の特例(貸付事業用宅地等)を適用するには、事業的規模での貸付であることなど一定の要件を満たす必要があります。
要件の該当有無や具体的な減額シミュレーションについては個別の状況によって異なるため、詳しくは専門家に相談することをおすすめします。
参考:貸付事業用宅地等とは?小規模宅地等の特例を適用するための生前対策・注意点
7.アパートを兄弟で相続する場合は専門家に相談を
アパートを兄弟で相続する場合、評価額の決め方、分割方法の選択、家賃収入や債務の扱い、相続税申告まで、複数の論点が複雑に絡み合います。
どれか一つでも判断を誤ると、兄弟間の不公平感や負担の偏りが生じ、遺産分割協議が長期化する原因となりかねません。
さらに、賃貸アパート特有の評価方法や税務は専門性が高く、相続人だけで適切に判断することは容易ではありません。
円満な相続とスムーズなアパート経営を実現するためには、早い段階で税理士・司法書士などの専門家に相談し、客観的なアドバイスを受けながら進めることが最善策です。
7-1.チェスターグループにご相談を
チェスターグループは、相続業務に特化した専門家集団です。
チェスターグループには、相続専門の税理士・司法書士・行政書士・弁護士はもちろん、不動産会社も所属しています。
すべての相続手続きをチェスターグループ内で完結でき、相続の相談にかかる時間や労力が最小で済みます。
すでに相続が発生しているお客様でしたら、初回面談が無料となりますのでお気軽にお問合せください。
※この記事は専門家監修のもと慎重に執筆を行っておりますが、万が一記事内容に誤りがあり読者に損害が生じた場合でも当法人は一切責任を負いません。なお、ご指摘がある場合にはお手数おかけ致しますが、「お問合せフォーム→掲載記事に関するご指摘等」よりお問合せ下さい。但し、記事内容に関するご質問にはお答えできませんので予めご了承下さい。
相続対策も相続税申告もチェスターにおまかせ。
「相続税の納税額が大きくなりそう」・「将来相続することになる配偶者や子どもたちが困ることが出てきたらどうしよう」という不安な思いを抱えていませんか?
相続専門の税理士法人だからこそできる相続税の対策があります。
そしてすでに相続が起きてしまい、何から始めていいか分からない方もどうぞご安心ください。
様々な状況をご納得いく形で提案してきた相続のプロフェッショナル集団がお客様にとっての最善策をご提案致します。
DVDとガイドブックの無料資料請求はこちらへ
各種サービスをチェック!
\ご相談をされたい方はこちら!/
今まで見たページ(最大5件)
関連性が高い記事
カテゴリから他の記事を探す
相続法務編
