親子共有名義で親が死亡したら相続税はどうなる?評価額や税額の計算

親子共有名義にしている不動産があり、「親が死亡した場合に相続税はどうなるの?」と不安に感じる方は多いのではないでしょうか。
結論から言うと、親子共有名義の不動産の場合、親の相続時に相続財産として相続税の課税対象となるのは「親の持分」のみです。子の持分に相続税はかかりません。
ただし、親子共有名義の不動産は相続税評価額の計算方法が複雑で、小規模宅地等の特例の適用判定も難易度が高いため、専門家である税理士のサポートが欠かせません。
この記事では、親子共有名義の不動産における、相続税評価額の計算方法や小規模宅地等の特例についてまとめました。
相続税の計算シミュレーションや親が今すぐできる生前対策まで、相続専門の税理士がわかりやすく解説するのでぜひ参考にしてください。
この記事の目次 [表示]
1.親子共有名義で親が死亡!相続税がかかるのは「親の持分」のみ
親子共有名義の不動産に住んでいて親が死亡した場合、相続税の課税対象となるのは「親の持分のみ」です。子の持分は子の固有の財産ですので、親の相続に関わる相続税は課税されません。
親子共有名義の不動産は、土地や建物について「共有者それぞれの持分」が登記されています。
相続税の計算では、この持分割合に応じて土地や建物の評価額を按分し、親が保有していた部分だけを相続財産として扱います。

例えば、土地の評価額が3,000万円、建物の評価額が2,000万円で、親と子が持分1/2ずつの共有名義だったとします。
ここで親の相続が発生した場合、親の持分は1/2ですので、土地1,500万円・建物1,000万円の合計2,500万円が、親の相続財産として相続税の課税対象になります。
不動産全体の5,000万円に、相続税が課税されるわけではないので、誤解されないようご注意ください。
1-1.注意①共有者である子でも「親の持分」を優先的に相続できない
親の相続が発生した場合、親子共有名義の不動産の親の持分は相続財産であるため、法定相続人全員の共有状態になります。
遺言書がない場合は、相続人全員で遺産分割協議を行い、「誰が・どの財産を・どの割合で取得するのか」を決めることではじめて各自の単独財産となります。
ここで誤解しやすいのが、共有者である子だからといって、親の持分を優先的に相続できるわけではないという点です。
親子共有名義の不動産であっても、親の持分は他の相続人にも相続権があるため、共有者である子が「当然に親の持分を引き継げる」と考えていると、遺産分割でトラブルになることがあります。
共有者である子が単独で親の持分を取得するには、法定相続人全員の合意が必須となります。
参考:【遺産分割とは】分割方法・割合・手続きの流れ!トラブル対処法も解説
1-2.注意②親子共有名義の不動産は相続を機に共有関係を見直すことも選択肢
共有者である子に、親の持分を優先的に相続する権利はありません。ただし、遺産分割協議では、今後の不動産の管理や活用を考慮し、共有関係を整理することも選択肢の一つです。
親の持分を複数の相続人が取得すると、共有者が増え、不動産の管理や売却が難しくなる可能性があります。
また、共有者に新たな相続が発生すると、持分がさらに細分化し、権利関係が複雑になることも考えられます。
遺産分割にあたっては、相続人間で話し合い、今後の不動産の利用予定や管理方法も踏まえて、親の持分を誰が取得するか検討しましょう。
参考:共有名義の不動産を相続!デメリット・相続登記・リスクを税理士が解説
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親子共有名義の不動産は、親の相続では「親の持分のみ」が相続税の課税対象となります。
しかし、相続税評価額の計算方法は専門性が高く、小規模宅地等の特例が適用できるかどうかは共有状況によって異なり、判断を誤ると過少申告や過大申告に繋がりかねません。
必ず相続税に強い税理士に相談することをおすすめします。
2.親子共有名義の不動産の相続税評価額の計算方法
親子共有名義の不動産が関わる相続では、まずは相続税評価額を正しく計算することが重要です。
親子共有名義の相続税評価額は、以下の2ステップで計算します。
相続税評価額の計算方法
なお、相続税評価額は相続税額を計算するための価額であり、国税庁「財産評価基本通達」で定められた方法で計算しなくてはなりません。
遺産分割や売却で用いられる評価額は「時価」ですので、混同されないようご注意ください。
参考:相続税評価額とは?土地や株式の調べ方や計算方法をわかりやすく解説
2-1.STEP①不動産全体の相続税評価額を計算する
まずは、親子共有名義の「不動産全体(土地+家屋)」の相続税評価額を計算します。
土地の相続税評価額は、原則として「路線価方式」で計算します(路線価がない地域は倍率方式)。
そして家屋の相続税評価額は、固定資産税評価額をそのまま用いるのが原則です。

不動産の相続税評価額の計算方法は非常に複雑ですので、専門家である税理士に計算してもらうことをおすすめします。
参考:家(住宅)の相続税はいくら?評価額の出し方や特例を解説!
2-2.STEP②「親の持分」に応じた評価額を計算する
不動産全体の評価額が計算できたら、次に「親の持分割合」を乗じて相続税評価額を計算します。
持分割合は、登記事項証明書(登記簿謄本)の「権利部(甲区・乙区)」にある、「権利者その他の事項」に記載されています。
親の持分の相続税評価額
=不動産全体の評価額×親の持分割合
なお、親子共有名義の不動産の場合、土地部分については、後述する小規模宅地等の特例が適用できる可能性があります。
特例を適用できる場合は、土地部分の相続税評価額(親の持分のみ)が最大80%減額されるため、相続税額に大きく影響します。
3.小規模宅地等の特例で土地の評価額が最大80%減額される可能性あり
親子共有名義の不動産が関わる相続では、小規模宅地等の特例が適用できる可能性があります。
小規模宅地等の特例は、被相続人が自宅や事業用として利用していた土地(宅地)を、要件を満たす法定相続人が取得すれば、土地の相続税評価額を最大80%減額できる特例のことです。
| 利用区分 | 上限面積 | 減額割合 |
|---|---|---|
| 特定居住用宅地等(住んでいた土地) | 330㎡ | 80% |
| 特定事業用宅地等(事業をしていた土地) | 400㎡ | 80% |
| 特定同族会社事業用宅地等(同族会社のための土地) | 400㎡ | 80% |
| 貸付事業用宅地等(貸付事業をしていた土地) | 200㎡ | 50% |
親子共有名義の不動産である場合、小規模宅地等の特例の対象となる土地の面積は、土地のうち「被相続人(親)の持分に対応する部分」が上限となり、かつ要件を満たすかどうかは相続人ごとに個別判定されます。
親子共有名義の場合、小規模宅地等の特例の対象となる範囲は、被相続人が所有していた土地の持分や土地・建物の利用状況、取得者などによって異なります。
なお、二世帯住宅で建物が区分所有登記されている場合は、原則として親族が居住する別の専有部分に対応する敷地まで、親の居住用宅地として特例の対象に含めることはできません。建物の登記状況によって取扱いが異なるため、注意が必要です。
取得者(配偶者・同居親族・家なき子など)ごとの適用要件は複雑なため、必ず相続税に強い税理士に適用判定をしてもらいましょう。
この章では、土地と建物の共有状況が異なる3つのケースにおいて、どの部分に対して小規模宅地等の特例を適用できるのかを整理します。
参考:【小規模宅地等の特例】相続税評価額を最大80%減額!適用要件・計算方法を解説
3-1.ケース①土地が親子共有名義+建物は親の単独名義
1つ目のケースは、土地だけが親子共有名義であり、建物は親の単独名義である場合です(親は居住していたとします)。
この場合、小規模宅地等の特例を適用できるのは、土地のうち「親の持分の面積」が上限となります。
特例を適用できるか否かの判断ポイントは、土地(親の持分)を相続する人が、同居や持ち家の有無といった要件を満たしているかどうかです。
つまり、土地(親の持分に対応する面積)のうち、要件を満たす相続人が取得した部分に対してのみ、小規模宅地等の特例による評価減が適用されます。
3-2.ケース②土地は親の単独名義+建物は親子共有名義
2つ目のケースは、土地は親の単独名義で、建物だけが親子共有名義である場合です。
特例の対象になるのは土地であるため、建物が共有名義であることは適用可否に影響しません。
土地を取得する相続人が、同居や持ち家の有無といった要件を満たしていれば、土地全体に対して小規模宅地等の特例を適用できる可能性があります。
3-3.ケース③土地も建物も親子共有名義
3つ目のケースは、土地も建物も親子共有名義である場合です。
この場合、小規模宅地等の特例が適用されるのは、親の持分に対応する土地の面積までという点はケース①と同じです。
複数の子(兄弟)が同じ割合で土地を相続していても、実際の税負担には大きな開きが生まれる可能性があります。
4.親子共有名義の不動産を含む相続税の計算方法
相続税額を計算するためには、「プラスの財産(不動産・預貯金・有価証券など)」の総額から、「マイナスの財産(借金・未払金・葬儀費用など)」を差し引き、一定の範囲の生前贈与財産を持ち戻した「正味の遺産総額」を求めます。
そのうえで、相続税の基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を差し引きます。
相続税の基礎控除を超える場合は、法定相続分で一旦分割したと仮定して税率・控除を適用し、各人の税額を合計します。最後に実際の分割割合に応じて按分し、各人の納税額を計算する流れとなります。

つまり、親子共有名義の不動産の相続税評価額が〇〇万円だから、相続税は〇〇万円と単純な計算はできないということです。
相続税の計算は非常に複雑であるため、相続税に強い税理士に計算してもらうことをおすすめします。
参考:相続税はいくらかかる?自分で計算するための仕組みと手順【税理士監修】
4-1.相続税の計算シミュレーション
親子共有名義の不動産が含まれる場合の相続税計算を、具体的なモデルケースでシミュレーションをしてみましょう。
前提条件として、親と子(長男)が親子共有名義の不動産で同居していて、親の相続が発生したとします。
親子共有名義の不動産の相続税評価額は「土地3,000万円」「建物2,000万円」であり、それぞれ親の持分1/2・長男の持分1/2とします。
法定相続人
- 長男と次男の2名(長男が親と共有名義)
親の相続財産
- 土地の持分1/2:1,500万円
- 建物の持分1/2:1,000万円
- 預貯金:1,500万円
- 有価証券:1,000万円
- 葬儀費用:▲200万円
長男が土地・建物の親の持分を相続し、次男が預貯金と有価証券を取得するとします。
長男は親との同居要件を満たしていたため、親の持分である土地部分には小規模宅地等の特例が適用され、土地の親の持分1,500万円が300万円まで減額できたとします。
正味の遺産総額
土地300万円(親の持分で特例適用)+建物1,000万円(親の持分)+預貯金1,500万円+有価証券1,000万円-葬儀代200万円=3,600万円
相続税の基礎控除
3,000万円+(2人×600万円)=4,200万円
このシミュレーションモデルの場合、「正味の遺産総額3,600万円<基礎控除4,200万円」ですので、相続税はかかりません。
ただし、小規模宅地等の特例を適用した結果、基礎控除以下になっているため相続税申告は必須となります。
逆に特例を適用できなかった場合は、相続税がかかりますので、相続税申告・納付義務があります。
参考:相続税がなし(0円)でも申告が必要なケース・不要なケースを解説
5.親子共有名義の不動産が関わる相続で子同士がもめないための生前対策
親子共有名義の不動産は、親の死亡後に「親の持分」の取扱いを巡り、子同士でトラブルに発展しやすいです。
公平性を重視すると親の持分が複数の相続人に分散されやすく、共有者が増えるほど意思決定が難しくなり、将来的に売却や活用が進まないまま放置されることもあります。
こうしたトラブルを防ぐためには、親が存命のうちに共有名義を整理しておくことが重要です。
この章では、親ができる代表的な生前対策として、「生前贈与」「遺言書」「親子間売買」の3つを紹介するのでぜひ参考にしてください。
5-1.生前対策①共有者である子に持分を生前贈与する
1つ目の生前対策は、親の持分を共有者である子へ生前贈与する方法です。
親の持分を生前に子へ移しておけば、親の死亡時にその持分は遺産分割の対象にならないため、スムーズに共有名義を解消できます(相続開始前3~7年以内の暦年贈与財産は相続財産に持ち戻しする必要があります)。
しかし、生前贈与を受けていない子が「不公平だ」と感じ、遺産分割協議において「特別受益」を主張する可能性があります。
また、不動産の生前贈与は贈与税や不動産取得税などの税負担が重くなりやすく、登録免許税の税率も高くなります。
生前贈与は共有名義を解消する有効な手段ですが、税負担が大きくなる可能性があるため、事前に税理士へ相談することをおすすめします。
参考:土地の生前贈与と相続どちらが得?【プロが解説】生前贈与の注意点
5-2.生前対策②遺言書を作成して持分の取得者を指定する
2つ目の生前対策は、遺言書を作成して、親の持分を取得する相続人を指定する方法です。
遺言書があれば、原則としてその内容に沿って遺産分割が行われるため、共有者である子に確実に持分を相続させることができます。
相続による取得であれば、贈与税や不動産取得税は課税されません。
ただし、土地や建物を取得しない子の遺留分を侵害すると、相続開始後に「遺留分侵害額請求」が発生する可能性があります。
例えば、「土地や建物の持分は共有者である子に相続させる」と指定する場合、他の相続人には預貯金を配分するなど、遺留分に配慮した内容にすることが大切です。
遺言書は、共有名義の整理に非常に有効な手段ですが、内容の作成には専門的な判断が必要です。
参考:遺言書の書き方決定版!プロ直伝の文例・ルールと配慮すべきポイント
5-3.生前対策③親子間で売買して名義を統一しておく
3つ目の生前対策は、親子間で売買を行い、名義を統一しておく方法です。
子が親の持分を買い取れば、特別受益や遺留分の問題が生じにくく、親子共有名義の不動産を確実に単独名義化できます。
売買は対価を支払う取引であるため、他の相続人から不公平と指摘される可能性も低くなります。
ただし、著しく低い価格で売買すると「みなし贈与」と認定されて贈与税が課税されたり、親側に譲渡所得税が課税されたりする可能性があります。
親子間売買は、共有名義を確実に解消できる有効な方法ですが、税務リスクもあるため、事前に税理士へ相談することをおすすめします。
参考:親族間売買は「みなし贈与」に?注意点や適正価格、メリット・デメリットを解説
6.親子共有名義の不動産に関するよくある質問(Q&A)
親子共有名義の不動産は、相続税・遺産分割・名義変更など複数の制度が関わるため、誤解が生じやすい分野です。
この章では、親子共有名義の不動産についてよくある質問を整理します。
6-1.Q1:不動産の共有者である親が死亡したらいつまでに相続登記が必要?
親子共有名義の不動産において、共有者である親の持分を取得した人は、相続登記をする義務があります。
令和6年4月1日から相続登記は義務化されており、不動産の取得を知った日から3年以内に申請手続きをしなくてはなりません。
正当な理由なく、親の持分について相続登記をしないまま放置すると、10万円以下の過料が課される可能性がありますのでご注意ください。
参考:相続登記とは?期限・必要書類・費用・手続きの流れを解説
6-2.Q2:親子共有名義の不動産で遺産分割がまとまらない場合はどうなる?
遺産分割協議がまとまらない場合は、家庭裁判所の遺産分割調停に移行しましょう。
遺産分割調停とは、裁判所の調停機関が相続人らの間に入って、解決のための助言をしてくれる制度のことです。
遺産分割調停でも話が解決しない場合は、書類や調査をもとに裁判官が判断を下す「審判」に移行します。
6-3.Q3:親子共有名義の不動産がマンションの場合は?
親子共有名義の不動産がマンションである場合も、戸建てと同様に、マンションの相続税評価額を計算して親の持分を乗じて評価額を計算します。
しかし、マンションの相続税評価額の計算方法は戸建てとは異なり、さらに令和6年1月1日以降に相続等で取得した場合は、区分所有補正率を乗じなくてはなりません。
評価額の計算方法が非常に複雑になりますので、専門家である税理士に計算してもらうことをおすすめします。
参考:マンションの相続税はいくら?相続税評価額の計算方法と相続手続き
7.親子共有名義で親が死亡…相続税がいくらか知るには税理士に相談を
親子共有名義の不動産について相続財産となるのは、原則として親が所有していた持分です。子がもともと所有していた持分は親の相続財産には含まれないため、不動産全体が相続税の課税対象となるわけではありません。
しかし、不動産の相続税評価額の計算方法は専門性が高く、小規模宅地等の特例が適用できるかどうかは共有状況によって異なり、判断を誤ると過少申告や過大申告に繋がりかねません。
相続財産に親子共有名義の不動産が含まれる方は、特例の適用可否も含め、まずは相続税に強い税理士に相談されることをおすすめします。
7-1.相続専門の税理士法人チェスターにご相談ください
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親子共有名義の不動産の正確な相続税評価額はもちろん、小規模宅地等の特例の適用可否判断もさせていただきます。
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※この記事は専門家監修のもと慎重に執筆を行っておりますが、万が一記事内容に誤りがあり読者に損害が生じた場合でも当法人は一切責任を負いません。なお、ご指摘がある場合にはお手数おかけ致しますが、「お問合せフォーム→掲載記事に関するご指摘等」よりお問合せ下さい。但し、記事内容に関するご質問にはお答えできませんので予めご了承下さい。
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