相続税の申告・相談なら年間申告実績3,000件超の
相続専門集団におまかせ

ロゴ

相続税の税理士法人チェスター

相続税の税理士法人チェスター

年間相続税申告件数 3,006件(令和6年実績) 業界トップクラス
【全国16拠点】
各事務所アクセス»

息子が先に死亡した場合の相続はどうなる?相続人は嫁?それとも孫?

息子が先に死亡した場合の相続はどうなる?相続人は嫁?それとも孫?

息子や娘が親より先に亡くなった場合、相続人は誰になるのでしょうか。「配偶者?」「孫?」「自分たち親が相続することになるのか?」このように疑問に思うこともあるでしょう。

民法では相続の順位が明確に定められており、家族構成によって相続人や相続割合は変わります。

本記事では、息子が先に死亡したケースを中心に、相続人の決まり方や注意すべきポイントをわかりやすく解説します。

この記事の目次 [表示]

1.親より先に息子・娘が亡くなったら相続はどうなる?

相続というと、祖父母や両親、伯父伯母など自分よりも年長の家族が亡くなったときを想定することが多いのではないでしょうか。しかし、自分の子どもが亡くなったときも相続は発生します

ただし、子どもが亡くなった場合、親は必ず相続人になるわけではなく、家族の構成によって相続人は決まるので注意が必要です。

ここでは、親より先に息子・娘が亡くなったときに、誰がどのように相続することになるのかについて解説します。

1-1.相続人と相続の割合は家族の関係性で決まる

誰が相続人になるのかについての優先順位は民法第886条以下で定められています。民法で定められている相続人のことを「法定相続人」といいます。

参考:e-Gov法令検索「民法第886条以下」

民法の規定では、被相続人(故人)に配偶者がいれば配偶者は必ず相続人です。そのほかの家族は以下のような順位と決まっています。

  • 第1順位:被相続人の子(養子も含まれる、子が相続できないときは孫)
  • 第2順位:被相続人の直系尊属(父母、父母がどちらも亡くなっているときは祖父母)
  • 第3順位:被相続人の兄弟姉妹(兄弟姉妹が相続できないときは甥・姪)

また、法定相続人は優先順位に従って、遺産を相続できる割合が決められています。

法定相続人

被相続人の配偶者は、遺産の2分の1以上を相続できます。被相続人に子どもがいなかった場合、父母や祖父母などの直系尊属に、直系尊属もすでに亡くなっている場合は被相続人の兄弟姉妹に相続権が移ります。

このように家族構成で相続人になるかどうか、遺産をどの程度相続できるかは変わってきます。以下の記事ではケース別で詳しく解説しているので、ぜひご参考ください。

参考:法定相続分は相続人の家族構成でこんなに変わる!【ケース別で解説】

2.親が相続人になる可能性も!具体的に誰が相続人になるのかを知る方法

法定相続人確認チャート

上記のフローチャートに「はい」「いいえ」で答えていくと、誰が相続人になるのかがわかります。

息子・娘に先立たれたときに誰が相続人になるのかについては、子どもに配偶者や子ども(つまり孫)がいるのかどうかで変わるというわけです。ここからは、実際に考えられるケース別に解説していきます。

2-1.息子・娘に配偶者はいるが、子ども(孫)はいない

息子・娘に配偶者はいるが子ども(孫)はいない

亡くなった息子・娘に配偶者はいるが、子どもがいない場合、配偶者と直系尊属(父母や祖父母)が相続人になります。

たとえば息子が亡くなった場合、嫁と父母が相続人です。

相続割合は、嫁が遺産の3分の2、父母が3分の1になります。父母がどちらも健在であれば、6分の1ずつ遺産を相続することになります。

2-2.息子・娘が未婚で子ども(孫)はいない

息子・娘が未婚で子ども(孫)はいない

亡くなった息子・娘が未婚、かつ子どももいない場合、直系尊属(父母や祖父母)が相続人です。

父母のどちらも健在であれば遺産を2分の1ずつ相続することになり、父母のどちらかが亡くなっていた場合は健在の親が遺産すべてを相続します。

万が一に父母がどちらも先に亡くなっていた場合は、祖父母に相続権が移ります。

2-3.息子・娘に配偶者がおり子ども(孫)がいる

息子・娘に配偶者がおり子ども(孫)がいる

亡くなったとき息子・娘に婚姻関係にある配偶者がおり、かつ子どももいる場合、配偶者と子どもが相続人です。

この場合、遺産の2分の1を配偶者、残りの2分の1を子どもが相続します。子どもが複数人いる場合はその人数で分けて相続するため、子どもが3人いる場合は6分の1ずつ相続することになります。

2-4.息子・娘に配偶者はいないが、子ども(孫)がいる

息子・娘に配偶者はいないが、子ども(孫)がいる

亡くなった息子・娘が死亡した時点で配偶者はいないが、子どもがいる場合、子どもが相続人になります。このケースで考えられるのは、未婚のまま子どもを出産した場合や離婚・死別などで配偶者と別れた場合などです。

配偶者がおらず子どもがいる場合は、子どもが遺産を全額相続することになります。子どもが複数いれば原則的にはその人数で分けるため、子どもが3人いる場合は3分の1ずつ相続します。

2-5.子ども(孫)がいたが、すでに他界していた場合(代襲相続の可能性あり)

子ども(孫)がいたが、すでに他界していた場合

息子や娘の子どもがいたものの、すでに他界している場合には子ども(孫)の子(ひ孫)が相続人です。このように「子ども→孫→ひ孫」と直系卑属に代々相続人が移ることを「代襲相続」といいます。

30代~40代の息子・娘に孫がいて代襲相続が起きることは稀ですが、被相続人が高齢者だったケースなどでは代襲相続は何代にもわたって起こることがあります。

直系卑属の代襲相続は永久に続きます。また、一般的には代襲相続があると相続人の人数が増えるため、遺産分割協議が複雑になることもあります。代襲相続の意味や注意点に関しては以下の記事で詳しく解説しているので、相続人になりうる方が先に亡くなっている場合はぜひ参考にしてください。

参考:代襲相続とは?死亡した相続人の代わりに相続できる人について解説

2-6.親がすでに他界している場合には、兄弟姉妹が相続人に

親がすでに他界している場合

息子・娘が死亡した時点で子ども(孫)がいない場合は親に相続権が移りますが、両親が先に亡くなっており、祖父母もいない場合には被相続人の兄弟姉妹が相続人になります。兄弟姉妹が先に亡くなっていた場合は甥・姪が相続人です。

被相続人に配偶者がおらず両親ともにいない場合、遺産は兄弟姉妹がすべて相続することになります。

被相続人に両親はおらず配偶者がいる場合は、配偶者と兄弟姉妹が相続人です。

この場合、配偶者が遺産の4分の3を相続し、残り4分の1を兄弟姉妹が相続します。つまり、兄弟姉妹が3人いる場合は12分の1ずつ遺産を相続することになります。

先ほど「子ども→孫→ひ孫」と直系卑属に関しては代襲相続が永久に続くと述べましたが、兄弟姉妹へ相続権が移った場合は甥・姪よりあとの世代に相続権は移転しません。

また、兄弟姉妹が遺産相続する際は「相続税の2割加算」といって、相続税額が一親等の血族や直系卑属よりも割高になります。2割加算の計算方法や注意点は以下の記事で詳しく解説しているので、兄弟姉妹の遺産を相続する可能性がある方はぜひ確認してください。

参考:相続税の2割加算の対象者は?【税理士監修】計算方法をくわしく解説

3.こんなときはどうなる?相続人が誰なのか悩むケースを解説

先述のとおり家族構成によって相続人や相続割合は異なりますが、家族関係が複雑で判断に迷うケースもあります。

ここでは相続人が誰なのか判断が難しいケースについて解説します。

3-1.嫁(息子の配偶者)が妊娠中だった場合

亡くなった息子の配偶者が妊娠中の場合、お腹の中にいる赤ちゃんも相続人になります。

これは民法第886条において「胎児は、相続については、既に生まれたものとみなす」という規定によるためです。ただし、民法第3条に「私権の享有は、出生に始まる」という規定もあるため、遺産分割協議や相続の手続きができるのは胎児が生まれてからとなります。

万が一死産になった場合、お腹にいた胎児は相続人になれません。その際は誰が相続人なのかを確認し直す必要があります。

参考:e-Gov法令検索「民法第3条第886条

相続人のなかにまだ誕生していない胎児が含まれるケースでは、遺産分割協議や相続の手続きが通常とは異なります。

無事に誕生しても赤ちゃんは自分の意思を示すことができないため、特別代理人を選定する必要があります。

以下の記事で申告期限や注意すべきポイントについて詳しく解説しているので、相続人のなかに胎児がいる場合はぜひ確認してください。

参考:胎児も相続できる?胎児の相続権・代襲相続・遺産分割・相続税申告について解説

3-2.連れ子がいる場合

亡くなった息子・娘が連れ子と暮らしていた場合も、相続人が誰になるのか頭を悩ませることがあるでしょう。連れ子とは、配偶者の子で故人と血縁関係がない子どもを指します。

連れ子が相続人になるかどうかは養子縁組しているか否かで変わります

  • 連れ子と養子縁組をしている=実子と同じ扱いとなり、連れ子は相続人になる
  • 連れ子と養子縁組していない=連れ子に相続権はない
連れ子がいる場合

万が一のことがあったときに連れ子に相続をさせたいなら、養子縁組をする必要があります。

子連れで再婚した夫婦が相続で注意すべきポイントは以下の記事で詳しく解説しているので、ぜひご確認ください。

参考:再婚した夫婦が相続で注意すべき点とは?連れ子や前妻の子は相続人になる?

3-3.元配偶者との間に子どもがいる場合

元配偶者との間に子どもがいる場合、その子は相続人になります。その子どもに対して親権があるかどうかに関係なく、血縁のある子どもは必ず相続人です。

息子・娘が亡くなった場合、たとえ生前に子どもと疎遠になっていたとしても、遺産分割協議をするためには必ず連絡を取る必要があります。

子どもがまだ小さい場合は息子・娘の元配偶者を通して連絡をする必要があることを頭に入れておきましょう。

自分の子どもとはいえ、元配偶者の子どもに遺産相続させたくないというケースもあるでしょう。その場合は生前のうちに遺言書を作成するなど対策が必要です。

次の記事では前妻の子どもに相続させない方法を紹介しているので、今からできる相続対策を知りたい方はぜひご確認ください。

参考:前妻の子に相続させない方法6選│相続割合・遺留分も解説

3-4.さらに注意が必要なケース

相続人が誰になるのかを迷うケースを紹介してきましたが、ここからはさらに注意が必要なケースをまとめて解説します。

とくに注意が必要なケースは相続人に以下のような方がいる場合です。

  • 非嫡出子(婚外子で認知されていない子ども)
  • 推定相続人だと思われる人がどこにいるのかわからない
  • 海外在住者や外国籍の人など

「非嫡出子(ひちゃくしゅつし)」とは、婚姻関係にないカップルの間に誕生した子どものことです。

被相続人が生前未婚のまま子どもを授かったものの認知をしていない場合、その子どもは相続人になれません。未婚のまま子どもを授かった場合でも母子は血縁関係が明確です。

このため、非嫡出子が問題になるのは父親との関係です。

もし被相続人に非嫡出子がいる場合は、認知しているかどうかによって相続人になれるかどうかが変わってきます。認知されていれば非嫡出子も実子と同様の相続権を持ちます。

参考:婚外子(非嫡出子)がいる相続│相続割合やトラブル対策を解説

続いて、相続人になりうる方のなかに連絡が取れない人がいる場合も注意が必要です。

遺産分割協議では相続人全員の合意が必要なので、一人でも連絡が取れない相続人がいると相続の手続きが進まなくなってしまいます。戸籍の附票を取得することで現住所を確認することができるため、疎遠な家族がいる方は相続発生後に早めに確認したり専門家に相談したりしましょう。

参考:法定相続人とは?【図解あり】範囲・順位・相続割合まで解説

海外在住者や外国籍の人であっても、相続が発生すれば手続きは必要になります。

相続税の申告には期限がありますが、海外在住者や外国籍の人がいる場合にはスムーズに手続きができないことが予想されます。海外在住者で相続が発生しそうな状況にある方は、ぜひ以下の記事を確認し、実際に相続が発生したあとにどのような手続きが必要になるのかを知っておくとよいでしょう。

参考:相続人が海外にいる場合の相続手続き│相続税申告・必要書類も解説

4.相続手続きの基本とは?必要な書類と準備は何?

息子・娘に先立たれた場合でも、一般的な相続と同じ手続きが必要です。

ここでは、相続手続きの基本や必要な書類、準備について解説します。

4-1.相続税の申告・納付期限は10カ月!期限内に遺産分割を完了させる必要あり

相続税の申告納付期限は被相続人の死亡を知った日の翌日から10カ月以内です。

相続税の申告・納付期限

相続財産が相続税の基礎控除額よりも多い場合には、期限内に遺産分割を完了させて相続税の納付を済ませる必要があります。納税の期限に間に合わない場合は延滞税などが発生することもあるため、注意しましょう。

参考:相続税の申告期限・納税の期限は10ヵ月!間に合わない時の対処法も解説

4-2.息子・娘が残している可能性も?遺言書を探そう!

息子・娘が亡くなったとき、相続関係の作業でまずやるべきなのは遺言書を探すことです。

遺言書があると原則的には遺言書の内容に沿った遺産分割をすることになるため、遺産分割協議をする必要がなくなります。

遺言書には「自筆証書遺言」「公正証書遺言」「秘密証書遺言」の3つがあります。

このうち、公正証書遺言は故人の住所地にある公証役場で照会可能です。

一方、自筆証書遺言と秘密証書遺言は遺言者本人が任意の場所で保管するのが一般的です。自宅の本棚や金庫、デスクまわりに保管されていることも多いので確認しましょう。

自筆証書遺言については法務局で保管する制度もあるため、遺言書を作成したと聞いているものの見つからない場合は法務局で照会するとよいでしょう。

公証役場や法務局ではない場所で遺言書を見つけた場合は本人が作成したものなのかどうかを確認するための「検認」が必要です。遺言書を開封せず、そのまま家庭裁判所へ持っていきましょう。

参考:自筆証書遺言書の作成から使用に至るまで、知っておくべき4つのこと

4-3.相続人を確定するためには戸籍調査が必要!戸籍謄本を取り寄せよう

相続の手続きをするためには、相続人が誰なのかを確定しなければなりません。相続人は家族構成によって変わるので、戸籍謄本を取得して確認する必要があります

息子・娘の家族関係はすべて把握していると思っていても、親に話していない婚外子がいるなどの可能性があります。また、戸籍謄本は相続手続きにも必要なので取得しなければなりません。

参考:相続手続きに必要な戸籍謄本の種類と取り方から申請までを徹底解説!

4-4.遺産分割に備えて、息子・娘の財産をすべて洗い出そう!

遺産分割をする際は故人の財産をすべて洗い出す必要があります

財産のなかには預貯金や有価証券などのプラスの財産だけではなく、借入金や未払い金といったマイナスの財産もあるはずです。プラスの財産もマイナスの財産もすべて洗い出したうえで、誰がどの財産を相続するのかを決める必要があります。

家族であっても家計を共にしていない息子・娘の全財産を把握するのは難しいかもしれません。

最近では通帳がなくオンライン上で残高のチェックができるインターネットバンキングの利用者も増えており、相続財産を発見するのはより難しくなっています。銀行口座や不動産の権利書、生命保険なども含めて、漏れのないように確認しましょう。

参考:相続財産とは?具体例で相続財産に含まれるもの含まれないものを解説

5.相続財産に借金が含まれていた場合の注意点は?

息子・娘の財産のなかに借金があることがわかったときは、借金も含めて相続するのかどうかを考える必要があります。単純相続する場合には借金も引き継ぐことになるからです。

借金があるときに相続するかどうかについて考えるときの7つのポイントを以下の記事で解説しています。息子・娘の財産のなかに思いがけず借金が見つかった場合は、ぜひ参考にしてください。

参考:借金を相続するか?しないか?を決める7つのポイント

5-1.相続放棄・限定承認も要検討!3カ月以内に申告が必要なので注意しよう

相続財産に借金があるときは、相続放棄や限定承認を検討したほうがよいケースもあります。

  • 相続放棄:すべての相続を放棄する
  • 限定承認:相続財産のうちプラスの財産でまかなえる金額までマイナスの財産も引き継ぐ

相続放棄とは、すべての相続を放棄し、何も引き継がないことをいいます。相続放棄をすると、一般的に被相続人が所有する思い出の品や形見も受け取ることができなくなるので注意が必要です。

相続放棄

一方、限定承認とは、プラスの財産で補填できる金額までマイナスの財産を相続する方法です。借金があることはわかっているものの、引き継ぎたい遺産があるときは限定承認を選択するとよいでしょう。

限定承認

相続放棄や限定承認は、相続開始を知ってから3カ月以内に家庭裁判所に申し出る必要があります。一般的な相続税申請の期限よりも短いので気を付けなければなりません。期限内に申し出しなければすべての遺産を相続する「単純承認」することになるため、相続放棄を検討する場合は早めに決めて手続きをしましょう。

参考:【相続放棄とは】費用・流れ・注意点をわかりやすく解説!

5-2.住宅ローンが残っている場合は団信があるかどうか確認しよう

住宅ローンはマイナスの財産の1つですが、一般的な借金とは扱いが異なるケースも多くなっています。住宅ローンの契約者が亡くなったとき、団体信用生命保険(団信)に入っていれば残っているローンを返済する必要がなくなるからです。

つまり、団信に入っていればローンが残っていても相続放棄などを検討する必要はなくなります。団信に入っていたかどうかで対応が異なるので、まずは確認しましょう。

参考:住宅ローンが残っている場合の相続は?団体信用生命保険について解説

6.未成年の孫が相続する場合はどうなる?

息子・娘が亡くなり、18歳未満の子ども(孫)が相続人になるケースもあるでしょう。その場合、未成年者は遺産分割協議に参加できないため「法定代理人」が必要となります。

契約を締結する際など、未成年者の法定代理人は保護者が務めることが一般的です。

しかし、相続では親である保護者と未成年者の双方が相続人になるため、利益相反関係にあるといえます。この場合、相続に関係ない第三者を「特別代理人」に選任し、代理人として遺産分割協議に参加してもらわなければなりません。

たとえば、息子・娘の配偶者と孫が相続人になった場合は、祖父母が特別代理人としてサポートすることもあるでしょう。未成年者の相続人が複数いれば、それぞれに特別代理人が必要となります。

参考:相続人に未成年者がいる場合の相続手続きと特別代理人

7.子どもが先に死亡したとき、自分(親)の遺産相続はどうなる?

自分に万が一のことがあったとき、自分の遺産は我が子に相続してもらおうと考えている方は多いでしょう。

しかし、子どもに先立たれてしまうと、自分の財産を誰が相続することになるのかと心配になるかもしれません。

子どもが先に亡くなった場合の、自分の遺産のゆくえがどのようになるのかについて解説します。

7-1.「代襲相続」するのが原則

自分の子どもが先に亡くなったケースでは、代襲相続するのが原則です。

亡くなった息子・娘が相続する割合の遺産はそのまま息子・娘の子ども(孫)が引き継ぐことになります。息子・娘の子どもが複数いれば、均等に分けるのが一般的です。

ここからは、具体的な相続の事例を用いて解説します。

  • 相続財産:5,000万円
  • 家族関係:配偶者・長男(故人)・長女・長男の子A・長男の子B

上記のケースでは長男がすでに亡くなっているため、相続人は配偶者・長女・長男の子A・長男の子Bの4人です。AとBは長男が受け取る予定だった遺産を代襲相続することになります。

配偶者の法定相続分は2分の1です。子どもの法定相続分も2分の1ですが、被相続人には子どもが2人(長男・長女)いるため、それぞれが4分の1ずつ相続することになります。AとBは長男が受け取るはずだった4分の1の遺産を2人で分けて相続します。

これを踏まえると、相続人それぞれが受け取る遺産の金額は以下のとおりです。

  • 配偶者:5,000万円 × 1/2 = 2,500万円
  • 長女:5,000万円 ×1/2 × 1/2 = 1,250万円
  • 長男の子A・B:5,000万円 × 1/2 × 1/2 × 1/2 = 625万円

以下の記事では代襲相続になるケースや相続割合について詳しく解説しています。被相続人の実子を先に亡くなっている場合は代襲相続になる可能性が高いので、ぜひご確認ください。

参考:【図解】代襲相続とは?孫や甥・姪が代襲相続人になる場合や相続割合を解説

7-2.すでに遺言書を準備していた場合は書き換えが必要

終活の一環で、自分の財産を誰に相続させるのかについて遺言書を作成する方が増えています。

しかし、故人が遺産相続をすることはできないため、「息子(故人)に○○を相続させる」などと書いた遺言書は無効となります。必要に応じて内容を書き換えましょう。

自筆証書遺言は破棄をすれば撤回となり、新しい遺言書を作成すれば古い遺言書が残っていても新しい日付のものが有効となります。法務局で保管している自筆証書遺言は保管の申請の撤回手続きをおこなえます。新しい遺言書を作成したら、再度法務局で保管申請をするとよいでしょう。

公正証書遺言の内容を変更する際は公証役場で撤回の手続きが必要です。そのうえで、必要に応じて新しい遺言書を作成します。

亡くなった息子・娘のほかに子どもがいる場合は、家族でどのように遺産を分けるべきかを再度家族で話し合いましょう。相続人が変わることで遺産分割の方法も変わることがよくあるからです。

7-3.息子・娘の配偶者に財産を渡したいなら遺言書に書くこと

一般的な相続であっても、子どもの配偶者(嫁や婿)は血縁関係にないため相続権を持ちません

しかし、自分に万が一のことがあったときに、亡くなった息子・娘の家族が心配だからと嫁や婿に遺産を渡したいと考える方もいるかもしれません。介護や療養時にお世話になったため、子どもの配偶者に財産を渡したいというケースもよくあります。

息子・娘の配偶者に遺産相続させたい場合は、その旨を書いた遺言書を作成することが必要です

相続人ではない人へ遺産を渡すことを「遺贈」といいます。このため、遺言書には「長男の妻○○に■■を遺贈する」などと、相続ではなく遺贈という言葉を使います。

参考:遺贈とは?相続との違いや注意点、包括遺贈と特定遺贈について解説

8.代襲相続や相続税で注意したいポイント

代襲相続のある相続では、相続税に関して一般的な相続とは異なり注意したいポイントがあります。相続税算出の基本とあわせておさえておきましょう。

8-1.法定相続人の人数が増える代襲相続では、相続税の基礎控除額も増額

相続税には基礎控除額があり、遺産総額が基礎控除額を超えなければ相続税は課されません。相続税の基礎控除額は以下の式で計算できます。

3,000万円+600万円×法定相続人の人数

法定相続人が1人の場合、基礎控除額は3,600万円です。2人では4,200万円、3人では4,800万円となります。つまり、法定相続人が多ければ多いほど基礎控除額も増えるというわけです。以下が早見表なので、参考にしてください。

基礎控除額の計算方法

参考:相続税の基礎控除とは?基礎控除額の計算方法や注意点を解説!

代襲相続があると通常の相続よりも相続人が増えることが多く、その分基礎控除額も増額します

しかし、基礎控除額が増えるからといって、手放しに喜べるわけではありません。相続人が増えることで遺産を細かく分割することになるため、不動産などの分けにくい資産を多く所有している場合は対策が必要です。

特定の資産を相続人の誰かに確実に相続させたいという希望があるなら、遺言書を作成しましょう。遺言書は遺言者の意思を示すもので、遺言書の内容どおりに相続されることが多いからです。

また、生命保険を活用するなど、相続人間で不満が出ないような対策を生前のうちに講じることも有効です。法定相続人が増えたことで遺産分割が難しくなりそうだと感じたら、ぜひ一度税理士などの専門家に相談してみてはいかがでしょうか。

相続税に関する無料相談/お問合せ|相続税の申告相談なら【税理士法人チェスター】

8-2.孫への相続は2割加算って本当?代襲相続は損になるのか?

相続を勉強している方のなかには「孫が相続するときは2割加算」と聞いたことがある方もいるかもしれません。

2割加算とは、被相続人と相続人の関係性によっては相続税が2割加算されて1.2倍になるという制度です。

2割加算にならない人が定められており、そのほかのケースでは2割加算となります。2割加算にならないのは以下の人です。

  • 被相続人の配偶者
  • 一親等の法定血族(被相続人の養子も含む)
  • 代襲相続人になる直系卑属(孫やひ孫)

参考:国税庁「No.4157 相続税額の2割加算

つまり、代襲相続によって相続人になった孫は2割加算の対象外となります。

なお、被相続人の養子も法律上一親等の血族となるため2割加算の対象外です。しかし、孫・ひ孫と養子縁組をして実子と孫・ひ孫の両方を相続人とするケースでは、孫・ひ孫は2割加算が必要となります。

そのほか、被相続人の兄弟姉妹や甥・姪が相続する際も、2割加算の対象となるため注意しましょう。

9.まとめ

息子・娘が先に亡くなったケースでは、遺産を把握できない、相続人に未成年者(孫)がいるなどにより、遺産分割や相続の手続きが複雑になることがあります。

相続財産に借金が含まれる場合は相続放棄や限定承認を検討する必要があるかもしれません。

また、未成年の孫は相続人になった場合は、特別代理人の選任も必要です。相続放棄の申し立てや相続税申告には期限があり、短い期間のなかで手続きを進めなければなりません。

そのほか、自分の遺産を継いでもらう予定だった子どもに先立たれると、将来的な自分の亡き後の相続もイレギュラーな対応が必要になる可能性もあります。

このように、息子・娘に先立たれたケースでは短期・長期にわたって、頭を悩ませる相続問題が増えることがあります。

遺産相続で不安がある場合は、ぜひ相続専門のチェスターへお気軽にご相談ください。税理士法人チェスターではさまざまな相続に対応してきた実績があるため、お悩みや不安な点に寄り添いながらお客様に合わせた解決策をご提示いたします。

まずはお気軽に無料面談をご利用ください

参考:相続税に強い税理士の選び方 – 失敗しない9つのポイント|相続税の申告相談なら【税理士法人チェスター】

※この記事は専門家監修のもと慎重に執筆を行っておりますが、万が一記事内容に誤りがあり読者に損害が生じた場合でも当法人は一切責任を負いません。なお、ご指摘がある場合にはお手数おかけ致しますが、「お問合せフォーム→掲載記事に関するご指摘等」よりお問合せ下さい。但し、記事内容に関するご質問にはお答えできませんので予めご了承下さい。

相続対策も相続税申告もチェスターにおまかせ。

「相続税の納税額が大きくなりそう」・「将来相続することになる配偶者や子どもたちが困ることが出てきたらどうしよう」という不安な思いを抱えていませんか?
相続専門の税理士法人だからこそできる相続税の対策があります。

そしてすでに相続が起きてしまい、何から始めていいか分からない方もどうぞご安心ください。
様々な状況をご納得いく形で提案してきた相続のプロフェッショナル集団がお客様にとっての最善策をご提案致します。

相続の基礎知識と対策がすべて分かる資料請求をご希望の方はこちらをご確認ください。
DVDとガイドブックの無料資料請求はこちらへ
相続税対策
各種サービスをチェック!
無料面談相続税申告
ご相談をされたい方はこちら!/

今まで見たページ(最大5件)

関連性が高い記事

カテゴリから他の記事を探す

お約束いたします

チェスターの相続税申告は、税金をただ計算するだけではありません。
1円でも相続税を低く、そして税務署に指摘を受けないように、
また円滑な相続手続きを親身にサポートします。

アイコン

資料請求

お電話

問合せ

アイコン

0120-888-145

既存のお客様はこちら

受付時間
9:00-20:00

土日祝も
対応可

お電話

【無料面談予約】

全国
共通

0120-888-145

0120-888-145
※ 既存のお客様はコチラから▼
ページトップへ戻る
【予約受付時間】
9時~20時 (土日祝も対応可)

【無料面談予約】

全国
共通

0120-888-145

お電話はこちら
※ 既存のお客様はコチラから▼