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土地と建物の名義が違う状態で所有者死亡!相続はどうなる?税金は?

土地と建物の名義が違う状態で所有者死亡!相続はどうなる?税金は?

土地と建物の名義が違う状態で所有者のどちらかが死亡した場合、その土地や建物は亡くなった所有者の相続財産として遺産分割の対象となります。

しかし、相続が発生したタイミングで名義が違う状態を整理しないと、立ち退き・売却トラブル・固定資産税の負担をめぐる対立など、将来的に様々なトラブルに発展するリスクがあるので注意が必要です。

この記事では、土地と建物の名義が違う原因や、放置した場合に想定されるトラブルについてまとめました。

遺産分割協議や相続登記の進め方、相続税評価額の計算方法まで、相続専門の税理士法人チェスターが分かりやすく解説するのでぜひ参考にしてください。

この記事の目次 [表示]

1.土地と建物の名義が違う状態で所有者死亡…まずは権利関係の確認を

土地と建物の名義が違う状態で所有者が死亡した場合、まずは土地と建物の所有者・相続の対象・契約関係を確認しましょう。

そのうえで、土地と建物の名義の統一・売却・契約関係の整理など、できる対応を検討してください。

土地と建物の名義が違う状態は、法律上ただちに問題になるわけではありません。

しかし、相続後に権利関係を確認・整理しないまま放置すると、立ち退き・解体・固定資産税・売却不可など、様々なトラブルにつながる可能性があります(詳細は後述します)。

なお、生前贈与や売買で土地と建物の名義を統一するという方法もありますが、相続よりも税金の負担が重くなる傾向がありますので、相続のタイミングで可能な限り整理されることをおすすめします。

参考:相続税と贈与税はどちらが安い?違いと税額シミュレーション

1-1.まずは土地と建物の「現状」を正確に把握

土地と建物の名義が違う場合、対応を決める前に、現状を正確に把握することが不可欠です。

まず、登記事項証明書(登記簿謄本)・名寄帳・契約書・地代の支払い実態などから、以下の4点を確認してください。

4つの確認ポイント

【帰属】相続財産は「土地」か「建物」か
【登記】土地と建物の「名義人」と「共有持分」
【契約】土地は「使用貸借(地代なし)」か「賃貸借(地代あり)」か
【担保】抵当権が残っていないか

これらを確認しなければ、名義の統一・売却・契約関係の整理など、どの対応が適切か判断できません。

遺産分割や税務判断をスムーズにするためにも、まずはこの4つのポイントを明白にしましょう。

参考:登記簿謄本などの取得方法【土地や建物を相続した方閲覧必須】

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土地と建物の名義が違う状態を放置すると、将来的に立ち退き・売却できないなどのトラブルが発生する可能性があります。
相続のタイミングで税務・法務の両面から整理するのがベストですので、早い段階で相続に強い専門家に相談されることをおすすめします。

>>【公式】チェスターグループに相談する

2.土地と建物の名義が違う5つの原因!なぜ名義が分かれたのか

土地と建物の名義が違うという背景には、建築時の事情や相続登記の放置など、いくつかの典型パターンがあります。

上記5つのケースのどれに当てはまるかが確認できれば、以下で「親の相続対象となる財産」を確認してください。これが分かれば、相続後にどのような手続きや注意点が必要になるかが明確になります。

土地の名義建物の名義親の相続の対象になる財産
親子土地のみ
親親+子土地+建物(親の持分のみ)
祖父等親建物(土地は権利関係を要確認)
親借主土地(底地)
地主親土地(借地権)+建物

2-1.原因①親名義の土地に子が家を建てた

土地と建物の名義が違う最も典型的な原因は、親名義の土地に、子どもが自費で自宅を建てて住んでいることです(地代を払っていない使用貸借とします)。

つまり、土地は「親の名義」で、建物は「子の名義」という状態になります。

土地と建物の名義が違う原因「親名義の土地に子が家を建てた」

ここで親の相続が発生したら、親名義の土地は相続財産となり、遺産分割が終わるまで法定相続人全員の共有財産になります(建物は子の固有の財産)。

遺言書がない限りは、遺産分割協議を行って「誰が土地を取得するのか」を決める必要がありますが、建物の所有者である子に「土地を優先的に取得できる権利」はありません。

建物の所有者である子以外の相続人が土地を取得すると、地代の請求や立ち退きなどのトラブルに発展する可能性があります。

2-2.原因②親名義の土地に親子共有で家を建てた

土地と建物の名義が違う原因として、親名義の土地に、親子で建築資金を出し合って、出資割合に応じて建物の持分を登記していたケースがあります。

つまり、土地は「親の名義」で、建物の名義は「親と子の共同名義」という状態になります(地代を払っていない使用貸借とします)。

土地と建物の名義が違う原因「親名義の土地に親子共有で家を建てた」

ここで親の相続が発生したら、親名義の土地のみならず、親が有する建物の共有持分も相続財産となり、遺産分割の対象となります。

先述した通り、建物の所有者である子が、土地や建物の共有持ち分を優先的に取得する権利はありません。

建物の共有者である子が土地と建物の持分を取得しない場合、土地のみならず、建物の共有者も増え続けて権利関係がさらに複雑になることが想定されます。

2-3.原因③相続登記をしていない土地に親が家を建てた

土地と建物の名義が違う原因として、相続登記をしていない土地に、親が自費で家を建てて住んでいたケースもあります。

相続登記が任意だった時代は、手間や費用を理由に登記をせず、土地が祖父名義のまま放置され、建物だけ親名義で建てるというケースが多くみられました。

土地と建物の名義が違う原因「相続登記をしていない土地に親が家を建てた」

ここで親の相続が発生したら、親名義の建物が相続財産となりますが、土地の名義の整理もしなくてはなりません。

登記が放置されていた年数が長ければ長いほど共有者が増え、権利関係が複雑化していることが想定されます。

さらに、相続登記の義務化により、未登記の土地も令和9年3月31日までに申請手続きを完了させなくてはなりません。登録免許税の免税措置が使える可能性がありますので、期限までに相続登記を完了させましょう。

2-4.原因④親が貸していた土地に借主が家を建てた(底地)

土地と建物の名義が違う原因として、親が地主として土地を貸し、借主が建物を建てていたケースもあります。

借主は第三者の場合もあれば、地代を払っていた子の場合もあります。

土地と建物の名義が違う原因「親が貸していた土地に借主が家を建てた(底地)」

ここで地主であった親の相続が発生したら、「底地(借地権が設定された土地)」が相続財産となり、地主の地位は相続人に引き継がれます。

底地は借主の借地権が強く保護されているため、相続しても土地を自由に使えない点が特徴です。

2-5.原因⑤親が借りていた土地に家を建てた(借地権)

土地と建物の名義が違う原因として、親が地主から土地を借りて、自宅を建てていたケースも挙げられます。

親は地代を支払っており、建物は親名義となっているとします。

土地と建物の名義が違う原因「親が借りていた土地に家を建てた(借地権)」

ここで親の相続が発生したら、土地の「借地権」と、親所有の「建物」が相続財産となり、遺産分割の対象となります。

相続人は地主の許可なく建物に住み続けることができますが、借地権付き建物を売却する場合は、地主の承諾が必要になります(承諾料が発生する場合もあります)。

参考:借地権を相続したら押さえておくべき基礎知識とポイント

3.土地と建物の名義が違うまま放置した場合に想定される4つのトラブル

土地と建物の名義が違うままでも、法的に問題はありません。しかし、将来的に以下のような、深刻なトラブルにつながる可能性があります。

これらはいずれも、土地と建物の名義が違う状態を放置した場合に想定されるトラブルです。

必ずしも誰もが経験するトラブルではありませんが、このようなデメリットやリスクを抱える可能性があるということは覚えておきましょう。

3-1.土地の所有者(親族)から地代や立ち退きを求められる

親名義の土地に子が家を建てて住んでいた場合、土地は相続財産となり、遺産分割が終わるまで法定相続人全員の共有になります。

このとき、土地を取得した相続人が、建物の所有者に対して「地代の支払い」や「土地の返還(立ち退き)」を求める可能性があります。

これまで「使用貸借(地代なし)」であった場合、借地借家法の保護がないため、建物の所有者は弱い立場になってしまいます。

そのため、土地の所有者から地代や立ち退きを求められたら、話し合いで解決するのが難しくなるかもしれません。

3-2.土地の所有者(第三者)から立ち退き・建物解体・滞納地代を求められる

親が地主(第三者)から土地を借りて家を建てて住んでいた場合、借地権と建物が相続財産となります。

このとき、借地権の種類によって、立ち退き・更新・建物の解体の扱いが以下のように変わる点に注意が必要です。

普通借地権の場合

  • 更新拒絶や立ち退きは認められにくい
  • 建物を解体せずに済む場合がある(建物買取請求権)

定期借地権の場合

  • 契約期間満了で終了
  • 原則として建物を解体して更地にして返還
    ※解体費用は建物所有者負担

借地契約の期間中は、地代滞納などの債務不履行があり、当事者間の信頼関係が破壊されたと認められない限り、地主が一方的に契約を解除することはできません。

ただし、長期間の滞納が続けば、債務不履行を理由とする契約解除が認められる可能性があります。

なお、契約期間満了時の更新拒絶には、借地借家法上の「正当事由(双方の土地使用の必要性や立退料の提供など)」が別途必要になります。

3-3.土地も建物も売却しづらい(価格が下がる)

土地と建物の名義が違う状態では、通常の不動産として売却することが難しくなります。

土地だけ・建物だけの個別売却は法律上可能ですが、買主が他人の権利に制約されるため、買い手は専門の買取業者に限定され、価格は大きく下がる傾向があります。

なお、建物だけを売却する場合、借地権の譲渡となるため地主の承諾が必要となります(名義書換料が必要になる場合があります)。

相続のタイミングで土地と建物の名義を統一するか、土地と建物の名義が違う状態であっても同時売却をすれば、通常の不動産として売りやすくなります。

3-4.固定資産税の負担をめぐって揉める

土地と建物の名義が違う場合、固定資産税の負担が相続人同士のトラブルになりやすい点にも注意が必要です。

固定資産税は、毎年1月1日時点で、土地・建物の所有者として「固定資産課税台帳」に登録されている人に課税されるのが原則です。

しかし、親がまとめて固定資産税を支払っていた場合などは、相続後に「立て替え分をどう精算するか」で意見が分かれることがあります。

共有の場合は共有者全員に納税義務があるため、相続後の精算ルールをあらかじめ書面で残しておくことが有効です。

4.土地と建物の名義・権利関係を整理する3つの方法

土地と建物の名義が違う場合、まずは遺言書の有無を確認し、必要に応じて遺産分割協議で相続財産の取得者を決めます。

遺産分割協議とは、遺言書がない場合に、法定相続人全員で「誰が・どの財産を・どのくらい・どうやって取得するか」を決める話し合いのことです。

この遺産分割協議では、「土地と建物の名義・権利関係をどうやって整理するのか」を明確にすることが重要です。

遺産分割協議が成立したら、遺産分割協議書を作成して、法定相続人全員が合意した内容を書面化します。

なお、遺産分割協議が成立しない場合は、家庭裁判所での遺産分割調停・審判に移行することとなります。

参考:【遺産分割とは】分割方法・割合・手続きの流れ!トラブル対処法も解説

4-1.選択肢①土地と建物の名義を統一する

1つ目の選択肢は、すでに土地や建物を利用している相続人が、被相続人名義の土地や建物を相続して名義を統一する方法です。

土地と建物の名義が統一されるため将来的なトラブルを回避できますが、他の相続人との公平性をどのように保つかが焦点になります。

公平性を保つ方法

  • Ⓐ他の相続財産(預貯金)などで相続分を調整する
  • Ⓑ土地を分筆して建物部分のみ取得する
  • Ⓒ土地や建物の取得者が他の相続人に代償金を支払う

上記のように分割することを、ⒶⒷは「現物分割」、Ⓒは「代償分割」と呼びます。

他の相続財産の内容や取得者が代償金を支払う資力があるかなどを確認し、相続人全員が納得できる形で分割内容を決めることが大切です。

なお、法定相続人全員が合意するのであれば、特定の相続人がすべての財産を相続することも可能です。

参考:相続した不動産はどう分割する?フローチャートでわかる4つの方法

4-2.選択肢②土地や建物を相続後に売却する

2つ目の選択肢は、土地や建物を相続後に売却することです。

相続財産である土地や建物を売却して得た金銭を分割すれば、相続人間の公平性を保つことができます。これを「換価分割」と呼びます。

相続後に売却する方法

  • Ⓐ土地と建物を同時に売却する
  • Ⓑ土地を建物の所有者(第三者)に売却する
  • Ⓒ建物を土地の所有者(第三者)に売却する

Ⓐの場合、土地と建物の名義が違う場合でも、同時売却であれば問題なく売却を進められます(双方の同意が必要です)。ⒷⒸは地主や借主との合意さえあれば売却が成立します。

将来的なトラブルを回避するためには、遺産分割の段階で売却にかかる費用(仲介手数料・確定測量費・建物解体費用など)や税金(譲渡所得税・登録免許税・印紙税など)の取扱いも決めておくことが大切です。

参考:【相続した不動産を売却】手続きや特別控除・相続税も解説

4-3.選択肢③土地と建物の名義は統一しない(できない)

3つ目の選択肢は、土地と建物の名義は統一せずに、土地の所有者と建物の所有者の契約関係を整える方法です。

親族間でも第三者間でも、「使用貸借契約書」や「賃貸借契約書」を作成し、以下の契約内容を書面にしておけば、将来的なトラブルを回避できます。

明確にすべき契約内容

  • 契約の形式(使用貸借か賃貸借か)
  • 不動産の詳細(地番や家屋番号などもすべて)
  • 契約期間と更新ルール
  • 契約の終了事由と死亡時の取扱い
  • 建物の増改築等の取り決め
  • 契約終了時の建物の取扱い
  • 維持管理費や固定資産税の負担

土地と建物の名義を変えられない場合でも、契約内容を整理しておけば、権利関係や費用負担が明確になり、将来的な認識のズレを防ぐことができます。

4-4.【コラム】土地だけ・建物だけの相続放棄はできない

相続放棄は「すべての相続財産」を放棄する制度であるため、「土地だけ」や「建物だけ」を選んで放棄することはできません。

土地と建物の名義が違うケースで相続放棄をすると、権利関係が複雑になり、誰に管理責任があるのかでトラブルに発展しやすいです。

また、相続放棄をした後も、次順位の法定相続人に引き渡すまでは、土地や建物の管理義務が残る可能性がありますのでご注意ください(現に占有している場合に限られます)。

参考:相続放棄の4つのデメリット・5つの注意点を専門家が解説

5.土地や建物を相続したら法務局で「相続登記」の申請を

土地や建物を相続で取得した人は、法務局で「相続登記(名義変更)」の申請を行う義務があります。

相続登記とは、被相続人名義の不動産を、相続等で取得した人の名義に変更する手続きのことです。

相続登記をしないと、名義が変わったことを第三者に証明できないため、売却・担保設定・賃貸借契約の締結などができなくなります。

不動産の相続登記

令和6年4月1日から相続登記は義務化されており、不動産を相続で取得したことを知った日から3年以内に申請しなければなりません。正当な理由なく怠ると、10万円以下の過料の対象となります。

なお、相続登記の義務化は、施行前に発生した相続で取得した不動産も対象となります。該当する場合は令和9年3月31日までに申請する義務がありますので、失念しないようご注意ください。

参考:相続登記とは?期限・必要書類・費用・手続きの流れを解説

5-1.遺産分割が終わらない場合は「相続人申告登記」を

遺産分割協議が難航していて、3年以内に相続登記の申請が難しい場合は、相続人申告登記を利用しましょう。

相続人申告登記とは、登記簿上の所有者の相続人が法務局に「自分は相続人である」と申し出るだけで、相続登記の義務を果たしたとみなされる制度です。

ただし、土地や建物の名義は被相続人のままですので、売却・担保設定はできません。

不動産の売却や抵当権の設定をする場合には、遺産分割協議の成立から3年以内に、分割内容に基づく相続登記が必要になります。

参考:所有者不明土地の解消に向けた民事基本法制の見直し~相続登記の申請義務化へ~

5-2.相続登記の登録免許税の免税措置が使えることも

相続登記の申請時には「登録免許税(固定資産税評価額×0.4%)」が課税されます。

しかし、相続で土地を取得した人が相続登記をしないで死亡した場合、登録免許税の免税措置が適用される可能性があります(適用期限は令和9年3月31日まで)。

相続による土地の所有権の移転登記等に対する登録免許税の免税措置

引用:国税庁「相続による土地の所有権の移転登記等に対する登録免許税の免税措置について」

例えば、Aから土地を相続したBが、相続放棄をしないまま亡くなった場合、Bの相続人であるCは「A→B」と「B→C」への相続登記を2回しなくてはなりません。

ここで登録免許税の免税措置を適用できれば、「A→B」への相続登記に関わる登録免許税が免税となります。

相続登記が長年放置されているのであれば、この機会に申請手続きをすることをおすすめします。

参考:相続した土地の所有権移転登記等の登録免許税の免税が延長

6.土地と建物の名義が違う場合の相続税評価額の注意点

土地と建物の名義が違う場合でも、相続税評価額の計算方法そのものは基本的に同じです。

土地は「路線価方式」または「倍率方式」で、建物は「固定資産税評価額」をもとに評価額を計算します。

土地の相続税評価額の計算方式

ただし、土地と建物の名義が違うケースでは、「土地の契約内容(貸し方)」によって、土地の評価額が大きく変わる点に注意が必要です。

この章では、この3つの土地の評価方法について解説します。基本的な不動産の評価額の計算方法については、以下ページをご覧ください。

参考:不動産の相続税はいくら?計算方法や手続き・相続税対策を解説

6-1.使用貸借の土地の評価方法(自用地評価)

親名義の土地に、子が地代を支払わずに建物を建てて住んでいる場合などは、土地の使用貸借に該当することがあります(民法第593条)。

使用貸借に基づく土地の使用権は、相続税評価上、原則として価額をゼロとして取り扱うため、貸主が所有する土地は自用地として評価します。

なお、地代の支払いがある場合でも、その金額だけで使用貸借か賃貸借かが決まるわけではありません。地代の金額や契約内容、実際の利用状況などを踏まえ、借地権・底地としての評価が必要か個別に判断します。

参考:使用貸借とは?賃貸借との違い|相続トラブルの事例や解消方法を解説

6-2.賃貸借の土地(借地権)の評価方法

親が第三者から土地を借りて建物を建てていた場合、相続人は「建物」のみならず「借地権」を承継します。

借地権とは、他人の土地を借りて建物を所有する、借主の権利のことです。

借主は土地を自由に使えるため、相続税評価でも「価値のある権利」として扱われ、借地権として評価額を計算しなくてはなりません。

借地権の評価方法
=自用地評価額×借地権割合

借地権割合は、国税庁「財産評価基準書 路線価図・評価倍率表」に記載されています。

路線価図や倍率表に記載されているアルファベット記号が借地権割合を示しており、A(90%)・B(80%)・C(70%)・D(60%)・E(50%)・F(40%)・G(30%)と定められています。

例えば、自用地評価額が5,000万円で、借地権割合D(60%)であれば、借地権は3,000万円となります。

参考:【借地権の評価方法】相続税評価額はいくら?計算方法や借地権割合の調べ方

6-3.賃貸借の土地(底地)の評価方法

親が第三者に土地を貸していた場合、その土地は「底地(地主の権利)」として評価します。

底地とは、借地人に貸している土地の所有権(地主側の権利)のことです。借地人の権利が非常に強く、地主は自由に土地を使えなくなるため、評価額は自用地より低くなります。

底地の評価方法
=自用地評価額×(1-借地権割合)

例えば、自用地評価額が5,000万円で、借地権割合D(60%)であれば、底地の評価額は2,000万円となります。

底地は借地人の権利が強く、地主が自由に利用できないため、実際の売却価格は相続税評価額より低くなる傾向があります。

買い手がつきにくいことが多く、売却を検討する場合は注意が必要です。

参考:底地の評価方法とは?底地を相続するメリット・デメリット・よくあるトラブルも解説

6-4.土地と建物の名義が違う場合の小規模宅地等の特例について

小規模宅地等の特例とは、被相続人の自宅や事業用の土地を、一定の要件を満たす法定相続人が取得した場合に、その土地の相続税評価額を最大80%減額できる制度のことです。

被相続人が「相続開始の直前にどのように土地を利用していたのか」によって、適用される上限面積や減額割合が異なります。

利用区分上限面積減額割合
特定居住用宅地等(住んでいた土地)330㎡80%
特定事業用宅地等(事業をしていた土地)400㎡80%
特定同族会社事業用宅地等(同族会社のための土地)400㎡80%
貸付事業用宅地等(貸付事業をしていた土地)200㎡50%

小規模宅地等の特例は、土地が親名義(被相続人名義)なのであれば、建物の名義が違う場合でも適用可能な場合があります。

例1  親名義の土地+子名義の建物で「親子が同居」していた
被相続人名義の土地の上にある建物の名義に関わらず、被相続人の居住の用に供されていた土地(特定居住用宅地等)として特例を適用できる可能性あり

例2  親名義の土地+子名義の建物で「子が居住」していた
被相続人名義の土地の上にある建物の名義に関わらず、生計を一にしていた親族の居住の用に供されていた土地(特定居住用宅地等)として特例を適用できる可能性あり

例3  親名義の土地を地代ありで貸していた(底地)
被相続人名義の土地を、地代を受け取って貸していた場合は、被相続人の貸付事業の用に供されていた土地(貸付事業用宅地等)として特例を適用できる可能性あり

小規模宅地等の特例の適用要件は非常に複雑で、利用状況や取得者によって満たすべき要件が異なります。

自力で適用判断をすると、過少申告や過大申告のリスクが伴いますので、必ず相続税に強い税理士に相談しましょう。

参考:【小規模宅地等の特例】相続税評価額を最大80%減額!適用要件・計算方法を解説

7.土地と建物の名義が違うことが判明したら専門家に相談を

土地と建物の名義が違う状態を放置すると、立ち退きや相続税の負担増、売却できないといったリスクにつながります。

一方で、相続のタイミングで整理すれば、税負担を抑えながら円満に解決しやすくなります。

しかし、土地と建物が関わる相続は専門性が高く、相談内容によって専門家も異なります。

相続登記は司法書士、立ち退きや協議が難航した場合の交渉は弁護士、相続税の申告や特例の適用可否は税理士が専門です。

土地と建物の名義が違う場合は、税務・法務の両面から整理が必要になるため、早い段階で相続に強い専門家に相談することをおすすめします。

7-1.チェスターグループにご相談ください

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チェスターグループには、相続専門の税理士・司法書士・行政書士・弁護士はもちろん、不動産の売却等を取り扱う株式会社が揃っています。

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※この記事は専門家監修のもと慎重に執筆を行っておりますが、万が一記事内容に誤りがあり読者に損害が生じた場合でも当法人は一切責任を負いません。なお、ご指摘がある場合にはお手数おかけ致しますが、「お問合せフォーム→掲載記事に関するご指摘等」よりお問合せ下さい。但し、記事内容に関するご質問にはお答えできませんので予めご了承下さい。

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