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相続登記しないで放置するデメリット6つ!期限がなくてもリスクは大きい

相続登記しないで放置するデメリット6つ!期限がなくてもリスクは大きい

現在、相続登記は不動産の登記名義人が亡くなってからいつまでにしなければならないという法律はなく、また罰則もありません。しかし、亡くなった方の名義のままにしておくと様々な不都合が生じます。その対策として、いよいよ「相続登記義務化」が始まります。

相続登記しないで放置しても期限・罰則はない

不動産登記簿には、不動産の所在や形状などを記載する「表題部」と、権利関係を記載する「権利部」があります。

これらのうち、「表題部」の登記は義務となっており、罰則の対象にもなります。たとえば建物を新築した場合、「表題部」を登記せず放置することは許されません

これに対して、「権利部」の登記は義務となっていませんし、罰則の対象にもなりません。たとえば不動産を相続して所有権を取得した場合、相続による所有権の移転の登記をしていなくても、現行法上は直ちに問題になりません。

権利部の登記に関して、法律は「登記しなくても良いけど、登記しておかないと、対外的にこれが私の不動産です、と主張できないですよ」という考え方だったのです。

相続登記の義務化はいつから

しかし、相続登記については、「登記しなくても良いですよ」というスタンスではいられなくなりました。何世代も前のご先祖の名義のままで、実際の所有者が分からず、相続人が誰かすらも分からない状態になった不動産が増え続けているからです。相続登記は、遺産分割協議ができないとか、登記にかかる費用を負担したくないといった様々な事情で放置されます。

そこで、このような所有者不明土地を解消するため、相続登記を義務化する法改正が行われました。この法改正は、2024年に施行されます

詳しくは下記記事で解説しています。
>>相続登記の義務化はいつから?違反者への罰則/新制度に備える方法も解説

相続登記しないで放置するデメリット6選

2024年より義務化される相続登記ですが、現在でも相続登記をしなければ、様々なデメリットが生じます。ここでは、どのようなデメリットが生じるかをケースごとに見ていきましょう。

①不動産の売却・担保設定が行えない

不動産の登記名義人が亡くなった場合に、相続人が、「その不動産には今後誰も居住する予定がないため売却したい」と考えておられるケースが多くあります。このようなケースでは、亡くなった方の名義のままで、不動産を売却し買主名義に登記手続きをすることはできません

もちろん、亡くなった時点で相続人の権利になっていますから、相続人には、不動産を売却する権限があります。ところが、実際には、買主さんが見つかっても、亡くなった方の名義から直接買主さんの名義に所有権の移転登記をすることができないのです。

不動産屋さんにそのような相談をした場合には、まず相続登記をするように言われます。

ご自分でされるか、司法書士に依頼されるか、いずれにしてもまずは、売却を前提とした相続登記を申請することになります。

また、実家の土地と建物を担保に銀行から融資を受けたいと考えた場合に、まだ亡くなった父親名義であった場合には、やはりそのままでは銀行が抵当権の設定登記をすることができないため、相続登記をしなければ担保設定を行うことができません。したがって、融資を受けることもできません

②相続関係が複雑化する

相続登記を放っておくことで最も厄介なことの一つとして、相続関係が複雑になっていくということが挙げられます。
たとえば、Aさんの子がBCDさんとして、BさんにはEFさん2人の子がおり、CさんにはGHIさん3人の子がおり、DさんにはJKさん2人の子がいた場合、Aさん名義の不動産を放っておくとどうなるでしょう。

いずれBCDさんも亡くなり、それぞれの子EFGHIJKさんにも子供ができると思います。そうなると、いつまでも放っておくと、相続人同士で連絡することさえままならない状態になることはお分かりいただけるかと思います。

Aさんが亡くなった時点でBCDさんが話し合って相続登記を済ませておけば、兄弟間の話し合いで済みますから、比較的スムーズに進むことが多いですね。

これに対して、EFGHIJKさんで話し合いが必要ということになると、スムーズに話し合いが進む可能性は低くなりますし、そもそもどこに住んでいるかも分からず、話し合いができないということにもなりかねません。

このように、相続登記を放置することによって、相続人の範囲が広がり、相続関係が複雑化するというデメリットがあります

③責任・義務を押し付け合うトラブルが発生するおそれ

不動産の所有者には、その不動産を使用する権利だけでなく、管理する責任・義務も生じます
たとえば、建物が老朽化していて外壁が崩壊し、通行人に当たってケガを負わせた場合、建物の所有者は管理責任を問われることがあります。

また、土地にある樹木の枝が隣の土地に侵入している場合、土地の所有者はこれを切除しなければなりません。
さらに、不動産の所有者は、市区町村に固定資産税を納めなければなりません

しかも、これらの責任・義務は、遺産分割前であれば、原則として相続人(不動産の共有者)全員が負うことになります。つまり、遺産分割などをせずに相続登記も放置していれば、自分の知らぬ間に責任を負うことがあり得るのです。

実際に問題が生じてからでは、相続人間で責任を押し付け合うなどして、収拾がつかないケースも考えられます。このようになる前に、不動産の相続人を確定させて相続登記を済ませるべきといえます。

④認知症などを理由に遺産分割が困難化する

高齢化社会になり、平均寿命が延び続けるとともに問題となるのが認知症の問題です。認知症の方は判断能力や意思能力が不十分なため、法律行為を制限されてしまいます。これは、認知症の方が判断能力不十分な状態で取引などをすることによって、不利益を被ることを避けるためです。

このことは、相続が発生した際の遺産分割協議にも当てはまります。
たとえば、父・母・長男・次男の四人家族のケースで、父親が亡くなり父親名義の不動産を長男名義に変更したい場合、長男が不動産を相続する旨の「遺産分割協議書」を作成することになります(遺言書がないケースを想定しています)。

しかし、母が認知症の場合にこれをすると、遺産分割協議は無効になります。母の考えが反映されておらず、長男と次男の2人だけで話した結果に過ぎないと判断されてしまうからです。

このような場合には、家庭裁判所に成年後見人の選任申立てをします。つまり、母の代わりに法律行為をしてくれる人を家庭裁判所に選んでもらうわけです。
ただ、このように成年後見人を選任してもらっても、家族の意図する遺産分割協議に協力してくれることはありません。というのも、成年後見人は、母の財産を維持するという職責を負いますので、法定相続分(民法で決められた相続分割合)に見合う財産を母に取得させなければならないからです。

つまり、仮に父親の財産が不動産のみの場合、不動産の2分の1の持分を母に取得させるか、あるいは不動産評価額の2分の1の現金を用意して母に取得させることになってしまいます。
このように、遺産分割や相続登記を後回しにしてしまうと、一部の相続人が認知症になって、意図した遺産分割が困難になってしまうことがあります。このようになる前に相続登記を済ませておくべきといえます。

⑤他の相続人の債権者から差し押さえられるリスク

不動産の登記名義人が亡くなっており、たとえば相続人が子供3名いる場合に、3名のうちの1人が借金をしていて返済が滞っているとします。債権者(お金を貸している人)としては、回収できないのであれば、その人の財産を差し押さえようとします。

ところが、特にめぼしい財産もないという場合には、相続登記がまだされていない不動産のその相続人の持分(3分の1)を差し押さえるしかありません。この場合、債権者は、相続人に代わって法定相続分で相続登記(代位登記)をし、その債務者である相続人の持分にだけ差し押さえをします。

さて、不動産の持分3分の1だけを差し押さえたとして、それを競売にかけても買受人が見つかるのかが疑問ですが、そういった共有持分だけを買い受ける業者さんがおられます。つまり、買い受けた後は、3分の1だけ赤の他人が共有しているといった奇妙な状態になるわけです。さらに、このような業者さんの方から、共有物の分割を求めて裁判を起こしてくることもあります。

不動産の登記名義人が亡くなってからすぐに遺産分割協議をし、借金のある相続人以外の名義に相続登記をしておけば、この不動産が差し押さえられることはなかったわけです。

⑥登記の必要書類が入手困難になる

相続登記を申請する場合、提出する書類の中には「期限が過ぎたら廃棄しますよ」と規定されているものがあります。戸籍は150年で廃棄され、また住民票の除票や戸籍の附票は令和元年までは5年で廃棄されていました。(現在は150年に改正)

住民票の除票や戸籍の附票は、登記簿上の住所と亡くなられた時の住所のつながりを証明するために提出するのですが、5年で廃棄されるとなると、相続登記を放置していた場合、そのつながりを証明する書類の取得ができなくなっていました。

今は保存期間が延長されていますから、ずいぶん楽にはなりましたが、それでも法改正前の5年経過分は廃棄されていることがあります。廃棄されてしまっている場合には、亡くなった方が不動産の登記名義を取得した際に発行された「登記済権利証」を提出して、「本人に間違いないでしょう」と証明する取扱いになっています

また、相続登記を怠っているうちに次の相続が発生した場合にも書類集めが大変になります。2次相続、3次相続が発生した場合には、その亡くなった方の戸籍を出生から死亡まで揃える必要がありますから、当然時間も費用もかかります。

相続登記を放置しないための基礎知識

いざ相続登記をしよう、と決断したとして、何から始めるの?どのくらい費用がかかるの?といった疑問がまず生じるのではないでしょうか。そこで、これから相続登記をされる方に必要不可欠な知識について説明していきたいと思います。

相続登記の大まかな流れ

相続登記を進めるにあたっては、まず相続人のうちの誰が不動産を取得するかを話し合います。もちろん、民法で規定されている法定相続分で相続人全員が取得してもいいですし、別の持分割合でも構いません。また、誰か1人に単独で取得させることにしてもよいです。

話し合いが整ったら、必要書類の収集に入ります。詳しい書類の内容は後述しますが、まずは、亡くなった方の死亡から出生までの戸籍をすべて集めます。この際に必要となる情報が亡くなった方の最後の本籍地です。

たとえば、鹿児島の本籍地で生まれ、結婚した時に大阪に本籍地を移した場合には、鹿児島の役所で取得できるのは、出生から婚姻までのものとなり、それ以降の分は大阪の役所で取得することになるわけです。これを死亡(大阪)から出生(鹿児島)まで遡るのです。 

司法書士に依頼すれば、職務上請求で戸籍を代わりに職権で取得してくれますから、戸籍を集めるのが手間であれば最初から依頼するのも一つの方法です。しかし、その場合には報酬が追加されることが多いので、費用を節約するために、戸籍をご自身で集めて相談に行くのもよいかと思います。

次に遺産分割協議書を作成します。この書類には、相続人全員が実印で押印します。そして、登記申請の際には、全員の印鑑証明書を添付します。

細かな必要書類は次に説明いたしますが、遺産分割協議書の作成まで終われば、あとは登記申請書を作成し、添付書類をセットして管轄法務局に提出する流れになります。

相続登記の必要書類

相続登記の必要書類は下記のとおりとなります。添付が必要な理由と合わせて説明します。

・亡くなった方の死亡から出生までの戸籍謄本
集め方は上述したとおりですが、これは相続人確定のために必要となります。つまり、たとえ遺産分割協議書を添付しても、この連続した戸籍でほかにも相続人がいることが分かれば相続登記はできません。

・亡くなった方の戸籍の附票または住民票の除票
不動産登記簿に記載されている登記名義人(亡くなった方)の住所がAとして、実際にはAからB、BからCへと住所を移していた場合、A→B→Cのすべての住所の変遷を証明しなければなりません。

本籍地がずっと同じなら、本籍地の管轄の役所で「戸籍の附票」を請求すれば、その本籍地に籍を置いている間の住所の変遷が記載されてきます。
また、住民票の除票であれば、最後の住所と一つ前の住所が記載されますから、住所移転が1回だけなら住民票の除票でもよいでしょう。

・相続人全員の戸籍謄本
亡くなった方の相続人になるためには、亡くなった方より長生きしていなければいけません。ですから、死亡日よりも後に発行された相続人の戸籍謄本がそれぞれ必要となります。

・不動産を取得する相続人の住民票
不動産登記においては、その登記申請で所有権の名義人になる方の住民票を添付することになっています。これは、架空人名義の登記を防止するためです。

・遺産分割協議書+印鑑証明書
上述したとおりですが、相続人全員が遺産分割協議書に実印で押印したものにそれぞれの印鑑証明書を添付します。印鑑証明書の有効期限は規定されていませんから、古いものでも印影と住所氏名が同じであれば問題ありません。法定相続分どおりに登記する場合には遺産分割協議書も印鑑証明書も不要です。

・不動産の固定資産評価証明書
これは、不動産所在地を管轄する役所で取得できます。登録免許税の算定基準となる不動産の価格を証明するために添付します。

相続登記で発生する費用

相続登記をする際に必要となる費用は、主に「登録免許税」「司法書士の報酬」「必要書類を取得するための手数料」が挙げられます。以下これらについて解説します。

登録免許税

登録免許税は、登記する際に課税される税金です。計算方法は、上述した不動産の固定資産評価証明書に記載された「評価額」に1000分の4をかけることによって計算します。たとえば1,000万円の不動産の場合は、4万円が登録免許税の金額となります。

司法書士報酬

司法書士に依頼する場合には、報酬が必要となりますが、平成15年に一律の報酬基準が撤廃され、現在は事務所ごとでそれぞれ報酬を決定することができます。一般的な相続登記の報酬相場としては10万円前後が一つの基準になるかと思います。

ただ、案件内容により異なってきますし、一概には言えませんので、依頼される前に問い合わせをして見積もりをお願いするのも一つの方法です。

必要書類を取得するための手数料

戸籍等の公的書類を取得する際に役所に支払う手数料は、自治体により多少異なる場合がありますが、以下を基準としてお考え下さい。

  • 戸籍謄本(現在戸籍) 1通450円
  • 除籍謄本、改製原戸籍謄本 1通750円
  • 住民票 1通300円
  • 戸籍の附票、住民票の除票 1通300円
  • 印鑑証明書 1通400円
  • 固定資産評価証明書 1通400円

郵送で請求する場合には、郵便局で定額小為替を購入して封入します。定額小為替を購入する際に郵便局で1枚につき200円の手数料がかかります。

亡くなった方の戸籍などは何種類発行されるか分からない場合も多いので、だいたい1つの役所につき3,000円分ぐらいの定額小為替を入れておけばよいです。

定額小為替でおつりが返金されますので、それをまた郵便局に持っていけば現金化することができます。

相続登記を司法書士に依頼すべきケース

相続登記をする場合に、ご自身で申請するか、司法書士に依頼するかは迷うところかもしれません。現在では、法務省が申請書等のひな形をホームページで提供していますし、法務局の登記相談を利用して教えてもらえば、時間はかかるもののご自身でもできなくはないです。

ただ、ご自身でされる場合には、単純な相続関係の場合のみと考えておいたほうが無難かもしれません。たとえば、父が亡くなり、母も健在で子供が2人、仲も悪くなくいつでも印鑑をもらえる、といったケースですね。

2次相続が発生している場合や、配偶者や子供がおらず兄弟姉妹が相続人となる場合、あるいは兄弟姉妹も亡くなっていて甥や姪が相続人となる場合など、多少イレギュラーな要素のあるケースは最初から司法書士に依頼されることをお勧めします。

相続登記はいつまでに申請しておくべき

2024年に相続登記は義務化されますが、義務化される前でも亡くなってから1年ぐらいを目途に早めに相続登記をされることをお勧めします

特に1年という年数に根拠はありませんが、亡くなられてすぐだと心情的に事務的な感じもあります。逆に2~3年経過すると面倒になり、放置されていく原因となったりもします。

ちょうど1回忌あたり、全員が集まった際にそのような話を出してみるのがタイミングとしてはよいかもしれませんね。

まとめ

このように見てきますと、2024年から相続登記の義務化が始まり、積極的に相続登記をする方が増えるとは思いますが、義務化とは関係なしに相続登記を怠ることのデメリットは大きいことがお分かりいただけるでしょう。

相続登記は、登録免許税の税率が低いですし、相続関係が複雑化したり特殊事情が加わる前に早めにされることをお勧めします。

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※この記事は専門家監修のもと慎重に執筆を行っておりますが、万が一記事内容に誤りがあり読者に損害が生じた場合でも当法人は一切責任を負いません。なお、ご指摘がある場合にはお手数おかけ致しますが、「お問合せフォーム→掲載記事に関するご指摘等」よりお問合せ下さい。但し、記事内容に関するご質問にはお答えできませんので予めご了承下さい。

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