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遺産にかかる相続税はいくらから?計算方法や基礎知識をプロが解説

遺産の相続税はいくらから?税額の計算方法や税負担の軽減方法をプロが解説

遺産を相続しても、必ず相続税が課税されるわけではありません。相続税には法定相続人の数に応じて決まる「基礎控除額」があり、遺産総額がこの範囲内であれば非課税とされています。

一方、遺産総額が基礎控除額を超える場合は、期限内に相続税の申告が必要です。

この記事では、いくらの遺産を相続すると相続税が発生するのかを相続税専門の税理士が詳しく解説します。相続税額の計算方法や税額の早見表、税負担を軽減する方法についても解説しますので、ぜひ参考にしてください。

この記事の目次 [表示]

1.遺産にかかる相続税の基礎知識:いつ、誰が支払う税金なのか

まず、相続税がどのような税金で、誰が支払う義務を負うのか、基本的内容を確認していきましょう。

1-1.相続税とは何か?なぜ必要なのか

相続税は、亡くなった人(被相続人)から受け継いだ預貯金や不動産などの相続財産に課税される税金です。遺産が一定金額を超えると課税されます。

相続税の主な役割は「富の再分配」です。経済的に豊かな人が亡くなったときに相続税として納められたお金は、教育・医療・福祉などの財源となり、社会全体に還元されます。

また、遺産が多ければ多いほど相続税額は高くなる仕組みのため、特定の世帯に富が集中し続けて、格差が固定化されることを防ぐ役割もあります。

1-2.誰が相続税を支払う?(法定相続人と受遺者)

相続税を支払うのは、亡くなった人から財産を相続または遺贈(遺言によって財産を譲り受けること)によって取得した人です。

具体的には、民法で定められた相続人(法定相続人)や、遺言によって財産を受け取った人(受遺者)が納税者となります。

法定相続人には優先順位が定められており、被相続人の配偶者は常に法定相続人となります。配偶者以外の法定相続人の順位は以下のとおりです。

  • 第1順位:子(子が亡くなっている場合は孫)
  • 第2順位:父母(父母が亡くなっている場合は祖父母)
  • 第3順位:兄弟姉妹(兄弟姉妹が亡くなっている場合はその子である甥や姪)
法定相続人の順位

上位の順位の人が1人でもいる場合、下位の順位の人は法定相続人にはなれません。

たとえば、第1順位の「子(すでに死亡している場合は孫)」がいる場合、第二順位の「父母」や第三順位の「兄弟姉妹」は法定相続人にはならない仕組みです。

法定相続人について詳しくは、以下の記事で解説していますので、ご一読ください。

(参考)法定相続人とは?【図解あり】範囲・順位・相続割合まで解説

1-3.相続税の対象になる財産・ならない財産

亡くなった人が所有していた財産は、基本的に相続税の課税対象となりますが、一部は対象外となります。

また、亡くなった人が所有していたわけではないものの、相続財産とみなされて課税対象となるものもあります。

1-3-1.相続税がかかる主な財産一覧(預貯金、不動産、株式など)

相続税の課税対象となる財産は、原則として亡くなった人が所有していた、金銭的に見積もることができる財産です。具体的には、以下のようなものが挙げられます。

【相続税の課税対象となる財産】

  • 現金や預貯金
  • 土地や家屋などの不動産
  • 株式や投資信託などの有価証券
  • 自動車、貴金属、骨董品などの動産
  • ゴルフ会員権
  • 特許権、著作権などの権利
  • 貸付金や売掛金などの債権 など

日本国内にある財産だけでなく、海外にある財産も課税対象に含まれます

1-3-2.見落としやすい「みなし相続財産」とは?(生命保険金・死亡退職金)

亡くなった人が所有していた財産ではないものの、死亡を原因として相続人が受け取る財産は「みなし相続財産」として相続税の課税対象となります

代表的なみなし相続財産は「生命保険の死亡保険金」や「死亡退職金」です。

これらは受取人固有の財産ですが「被相続人の死亡をきっかけに残された家族が受け取る」という特徴があるため、相続財産と同様に扱われ、相続税の計算に含められます。

1-3-3.相続税の対象外となる主な財産(墓地、仏壇、弔慰金など)

一部の財産は、性質や社会的な慣習などから、相続税の対象外となる「非課税財産」とされています。主な非課税財産は、以下のとおりです。

  • 墓地、墓石、仏壇、仏具、神棚などの祭祀財産
  • 相続や遺贈によって取得した財産のうち国や地方公共団体、特定の公益法人へ寄付した財産
  • 生命保険金や死亡退職金のうち非課税限度額までの金額
  • 個人で経営している幼稚園の事業に使われていた財産で一定の要件を満たすもの など

生命保険金や死亡退職金には非課税限度額が設けられており、「500万円×法定相続人の数」で求められる金額には相続税が課税されません。

2.遺産相続で相続税(税金)はいくらから発生するの?

遺産に相続税が課税されるのは、遺産総額が「相続税の基礎控除」を上回った場合です。以下で詳しく解説します。

2-1.相続税の基礎控除とは

相続税の基礎控除は、相続財産のうち一定額までは税金がかからないという制度です。

各相続人が取得した遺産の課税価格の合計が、基礎控除の金額を下回っていれば相続税は発生せず、申告や納税は原則として不要です。

相続税申告の要・不要

相続税に基礎控除額があるのは、遺族の生活に支障が生じないようにするためです。遺産を相続したときに、多額の相続税の支払いが必要になると、人によっては住む場所や生活をするための資金などを失ってしまいかねません。

そこで、相続財産のうち一定金額までは非課税とし、税負担が過度にならないように配慮されているのです。

相続税の基礎控除について、詳しくは以下の記事で解説していますので、あわせてご覧ください。

(参考)相続税の基礎控除とは│いくらまで無税?免除の目安も解説
(参考)相続税はいくらから?【基準は3600万円】確認方法を解説!

2-2.【簡単計算】基礎控除額の計算式:「3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数」

相続税の基礎控除は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」をもとに計算します。そのため、故人の家族構成によって基礎控除額が変動します。

法定相続人の数に応じた基礎控除額は以下のとおりです。

相続税に基礎控除額の計算方法

基礎控除額を計算するときは法定相続人の数を正しく数えましょう。この法定相続人には、以下の人物も含まれます。

  • 代襲相続人
  • 相続放棄をした人
  • 被相続人と養子縁組をした人

代襲相続人は、相続の開始時点で本来の相続人が亡くなっている場合、その人の代わりに遺産を相続する人です。具体的には、亡くなった被相続人の子(本来の相続人)の子である孫や、被相続人の兄弟姉妹(本来の相続人)の子である甥・姪が代襲相続人となります。

相続放棄を選択した人は、遺産を相続する一切の権利がなくなりますが、基礎控除額を計算する際の法定相続人の数には含まれます。仮に相続放棄によって相続順位に変動があっても、基礎控除額は変わりません。

第1順位の子が養子である場合、その養子も法定相続人としてカウントしますが、計算に含められる人数には制限があります。

2-3.基礎控除額を超えたら相続税の申告が必要

遺産の総額が基礎控除額を上回る場合、相続税の申告手続きが必要です。申告と納税の期限は、被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10ヶ月以内と定められています。

また、特例や税額控除を適用した結果、納める税額がゼロになる場合でも相続税の申告が必要になる場合があります。

たとえば「配偶者の税額軽減」や「小規模宅地等の特例」を利用して納税額が0円となる場合でも、申告手続き自体は行わなくてはなりません。申告をしなければ、そもそも特例の適用が受けられないためです。

相続税申告を失念したり、申告内容に誤りがあったりなどすると、加算税や延滞税が課せられる可能性があります。相続が発生したときは、相続税の基礎控除額や税額を正しく計算し、申告・納税が必要な場合は、期限内に手続きを済ませることが大切です。

2-4.相続税がかかるかチェック!簡易シミュレーションと早見表の活用

相続税が課税されるかどうかは、インターネットの簡易シミュレーションや早見表を用いて判断するのもよいでしょう。

税理士法人チェスターでは、「相続税額シミュレーションツール」を無料で公開しております。

相続税額シュミレーション

大まかな遺産総額と法定相続人の人数を入力するだけで、概算の相続税額を計算できますので、ぜひご利用ください。

>>【チェスター公式】相続税計算シミュレーション

また、遺産の相続税がいくらなのかを一目でご確認いただける、相続税額の「早見表」を作成しました。なお、この早見表は「法定相続分で遺産分割した」と仮定して、相続税額を計算しています。

まず、法定相続人が亡くなった人の配偶者と子供である場合の早見表をみていきましょう。

【早見表①】配偶者と子が相続人の場合

遺産総額配偶者と子が相続人の場合
配偶者配偶者配偶者配偶者
子供1人子供2人子供3人子供4人
5,000万円40万円10万円0円0円
6,000万円90万円60万円30万円0円
7,000万円160万円113万円80万円50万円
8,000万円235万円175万円138万円100万円
9,000万円310万円240万円200万円163万円
1億円385万円315万円263万円225万円
1.5億円920万円748万円665万円588万円
2億円1,670万円1,350万円1,218万円1,125万円
2.5億円2,460万円1,985万円1,800万円1,688万円
3億円3,460万円2,860万円2,540万円2,350万円
5億円7,605万円6,555万円5,963万円5,500万円
10億円1億9,750万円1億7,810万円1億6,635万円1億5,650万円
20億円4億6,645万円4億3,440万円4億1,183万円3億9,500万円
30億円7億4,145万円7億380万円6億7,433万円6億5,175万円
50億円12億9,145万円12億5,380万円12億1,615万円11億7,850万円

配偶者と子が相続人である場合、配偶者は「配偶者の税額軽減」を適用して最低1億6,000万円または配偶者の法定相続分相当額のいずれか多い金額まで相続財産が非課税となるため、相続税の負担を大幅に軽減することが可能です。

続いて、子だけが相続人である場合、相続人全体の相続税額は以下の早見表のとおりとなります。

【早見表②】子だけが相続人の場合

遺産総額子だけが相続人の場合
子供1人子供2人子供3人子供4人
5,000万円160万円80万円20万円0円
6,000万円310万円180万円120万円60万円
7,000万円480万円320万円220万円160万円
8,000万円680万円470万円330万円260万円
9,000万円920万円620万円480万円360万円
1億円1,220万円770万円630万円490万円
1.5億円2,860万円1,840万円1,440万円1,240万円
2億円4,860万円3,340万円2,460万円2,120万円
2.5億円6,930万円4,920万円3,960万円3,120万円
3億円9,180万円6,920万円5,460万円4,580万円
5億円1億9,000万円1億5,210万円1億2,980万円1億1,040万円
10億円4億5,820万円3億9,500万円3億5,000万円3億1,770万円
20億円10億820万円9億3,290万円8億5,760万円8億500万円
30億円15億5,820万円14億8,290万円14億760万円13億3,230万円
50億円26億5,820万円25億8,290万円25億760万円24億3,230万円

各法定相続人の納税額は、早見表に記載された相続税額を、実際の取得割合で按分して求めます。

「相続税の速算表」で相続税を簡単に計算する方法を税理士が解説」でも解説しておりますので、あわせてご覧ください。

3.遺産に課税される相続税の計算方法

相続税は「5,000万円の不動産を相続したから納税額は○万円」といったように、単純に求めるのではなく、以下の流れで計算をします。

遺産に課税される相続税の計算方法

相続税の計算方法について、詳しくは下記記事でも解説していますので、あわせてご一読ください。

(参考)相続税の算出方法
(参考)相続税の計算方法を解説【シミュレーションソフト付き】

3-1.STEP1:相続財産を評価し課税価格を計算する

まずは被相続人が相続開始時点で所有していた、相続財産(課税財産)を確定します。

相続財産(課税財産)の考え方

具体的には、被相続人のプラスの財産(不動産や預貯金など)から、マイナスの財産(借入金や未払金など)を差し引きます。また、通夜や告別式にかかった葬式費用も控除することが可能です。

一方、相続開始前の3〜7年以内に暦年贈与で贈与された財産の価額や、相続時精算課税が適用された贈与財産の価額は、相続財産の価額に足し戻したうえで相続税を計算します。

土地の評価額については、小規模宅地等の特例を適用した後の価額を用います。

相続財産の考え方については、以下の記事で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。

(参考)相続財産とは?具体例で相続財産に含まれるもの含まれないものを解説

3-1-1.プラスの財産とマイナスの財産(債務・葬式費用)

相続税を計算するときのプラスの財産とマイナスの財産の例は以下のとおりです。

プラスの財産の例マイナスの財産の例
  • 現金や預貯金
  • 土地や家屋などの不動産
  • 株式や投資信託などの有価証券
  • 自動車、貴金属、骨董品などの動産
  • ゴルフ会員権
  • 特許権、著作権などの権利
  • 貸付金や売掛金などの債権
  • 定期金に関する権利(例:個人年金の受取権利)
  • 金融機関や個人などからの借入金
  • 買掛金など事業上の未払金
  • 亡くなったあとに支払う所得税、住民税、固定資産税などの公租公課
  • 未払いの医療費
  • 未払いの公共料金(水道光熱費、電話代など)
  • 未払いの家賃
  • 賃貸不動産の借主から預かっている敷金

3-1-2.要注意!生前贈与加算の新ルール(死亡前7年以内が対象に)

亡くなる前の一定期間内に行われた生前贈与は、相続財産に含めて相続税を計算するルールがあります。これを「生前贈与加算」といいます。

これまで、生前贈与加算の対象となるのは、被相続人が亡くなる前3年以内に贈与された財産でしたが、税制改正により期間が延長されました。

令和6年(2024年)1月1日以降に行われる贈与からは、加算の対象期間が段階的に延長され、令和13年(2031年)1月1日以降は、亡くなる前の7年以内に贈与された財産も相続財産に足し戻されることになります。

生前贈与加算

一方、救済措置も用意されており、延長された4年分の贈与については、合計100万円までは相続財産に加算されません。

相続財産の救済措置

また、贈与時に贈与税を支払っている場合は、その金額を相続税額から控除されます。

生前贈与加算について詳しくは、以下の記事で解説していますので、あわせてご覧ください。

(参考)生前贈与加算とは?対象者・相続税改正内容・生前贈与の注意点を解説

3-2.STEP2:課税遺産総額を計算(基礎控除を控除する)

相続財産の総額(正味の遺産総額)から相続税の基礎控除を控除して「課税遺産総額」を計算します。

課税遺産総額を計算(基礎控除を差し引く)

3-3.STEP3:法定相続分で各人の取得金額を計算する

課税遺産総額が計算できたら、一旦法定相続分で按分します。

法定相続分とは、民法で定められた「法定相続人が有する相続分の割合」のことです。

課税遺産総額を法定相続分で按分する

法定相続分について、詳しくは以下の記事で解説していますので、あわせてご覧ください。

(参考)法定相続分とは何か?計算方法や遺留分との違いを解説!

3-4.STEP4:仮の相続税額を計算する

課税遺産総額を各法定相続人が民法に定める法定相続分に従って取得したものと仮定して、各法定相続人ごとの法定相続分に応ずる取得金額を計算します。各法定相続人ごとの法定相続分に応ずる取得金額に法定相続分で按分した後に、相続税の税率と控除額を用いて各人の仮の相続税額を計算します。

相続税の税率は「法定相続分に応ずる取得金額」に応じて、以下のとおり10~55%まで段階的に定められています。

▼相続税の速算表(税率表)

法定相続分に応ずる取得金額税率控除額
1,000万円以下10%
1,000万円超から3,000万円以下15%50万円
3,000万円超から5,000万円以下20%200万円
5,000万円超から1億円以下30%700万円
1億円超から2億円以下40%1,700万円
2億円超から3億円以下45%2,700万円
3億円超から6億円以下50%4,200万円
6億円超55%7,200万円

参考:国税庁「No.4155 相続税の税率

たとえば、相続人Aの法定相続分に応ずる取得金額が4,000万円、相続人Bの法定相続分に応ずる取得金額が2,000万円とした場合、以下のように計算します。

  • 相続人A:4,000万円×税率20%-控除額200万円=600万円
  • 相続人B:2,000万円×税率15%-控除額50万円=250万円

各法定相続人の法定相続分に応じた相続税額が計算できたら、これらを合計して相続人全体の「相続税の総額」を計算します。

上記例であれば、相続人A(600万円)+相続人B(250万円)で、相続税の総額は850万円となります。

3-5.STEP5:各相続人の実際の納税額を計算する

相続人全体の相続税の総額を、実際の取得割合(遺産分割協議で合意した割合等)に応じて按分し、各相続人の納税額を計算します。

仮に相続税総額が850万円、相続人Aが遺産の80%を取得し、残り20%を相続人Bが取得する場合、各人の相続税額は以下のとおりです。

  • 相続人A:850万円×80%=680万円
  • 相続人B:850万円×20%=170万円

各相続人の納税額が計算できたら、相続人毎に「税額控除」を適用します。

税額控除は以下の6種類あります。

各種控除

3-5-1.配偶者の税額軽減(配偶者控除)とは?

配偶者の税額軽減は、残された配偶者の生活を保障する目的で設けられた制度です。配偶者が相続した財産のうち、以下のどちらか高い金額まで相続税が非課税となります。

  • 1億6,000万円
  • 配偶者の法定相続分相当額

最低でも1億6,000万円の相続財産が非課税となるため、多くの場合、配偶者の税額軽減を利用することで配偶者の相続税はゼロになります。

ただし、配偶者の税額軽減の対象になるのは法律上の配偶者のみであり、事実婚(内縁関係)にあるパートナーは対象外です。

配偶者の税額軽減について詳しくは以下の記事で解説していますので、あわせてご覧ください。

(参考)【相続税の配偶者控除】1.6億円が無税に!条件・注意点・計算方法を解説

3-5-2.その他の税額控除(未成年者控除、障害者控除、相次相続控除など)

配偶者の税額軽減のほかにも、相続人の状況に応じて利用できる税額控除があります。主な税額控除は以下のとおりです。

控除の名称内容
未成年者控除相続人が未成年の場合、満18歳※になるまでの年数1年につき10万円を控除
障害者控除相続人が障害者の場合、85歳になるまでの年数1年につき10万円(特別障害者は20万円)を控除
相次相続控除10年以内に続けて相続が発生した際、前回の相続で支払った相続税の一部を控除
贈与税額控除相続財産に加算された贈与財産に課せられた贈与税額を控除
外国税額控除外国の財産に対しその国で課税された相続税に相当する税額を日本での相続税額から控除

※各項目をクリックすると、詳細をご確認いただけます

各税額控除には要件があり、相続税の申告が必須なものとそうではないものもあります。詳細は下記記事でご確認ください。

(参考)相続税の控除・特例を一覧で解説|知らないと損する節税制度とは

4.相続税の申告と納付:期限・手続き・必要書類

遺産に相続税が課税される場合は、定められた期限までに、相続税の申告・納税をする義務があります。

以下は、相続開始から相続税申告までの手続きの流れです。

相続開始から相続税申告までの手続き

相続税の申告期限までに法定相続人全員で遺産分割協議を行い、誰が・何を・どれだけ相続するのかを決める必要があります(遺言書がある場合は不要)。

遺産分割協議で合意した割合をもとに相続税の計算を行い、相続税の申告・納付を行うこととなります。

相続税の申告・納税の流れについて詳しくは以下の記事もご確認ください。

(参考)相続が発生したら…期限までに行うべき手続きと流れ

4-1.相続税の申告・納付期限はいつまで?

相続税の申告・納付期限は、被相続人が死亡したことを知った日(通常は死亡日)の翌日から10ヶ月以内です。

相続税の申告期限

たとえば、被相続人が1月15日に亡くなった場合、申告期限は同じ年の11月15日です。申告期限の日が土曜日、日曜日、祝日の場合、休み明けの平日が期限となります。

相続税の申告期限について、詳しくは「相続税の申告期限・納税の期限は10ヵ月!間に合わない時の対処法も解説」をご覧ください。

4-2.申告先はどこ?被相続人の住所地の税務署

相続税の申告書の提出先は「被相続人の最後の住所地を管轄する税務署」です。相続人の住所地を管轄する税務署ではないので、間違えないようにしましょう。

管轄の税務署がわからない場合は以下から検索が可能です。

申告書の提出方法は以下のいずれかです。

【相続税申告書の提出方法】

  • 税務署の窓口に直接持参する
  • 管轄の税務署に申告書を郵送する
  • e-Taxを用いてオンラインで申告書を提出する

4-3.相続税申告に必要な主な書類一覧

相続税の申告書を作成する際は、相続人全員の確定や身元確認などのために以下の書類が必要となります。

【相続税申告の際に必須な書類】

相続人全員のマイナンバー資料マイナンバーカード(裏面)
住民票(マイナンバー記載のもの)
通知カード など
相続人全員の身元確認書類マイナンバーカード(表面)
運転免許証
健康保険証
パスポート など
亡くなった方の戸籍謄本出生から死亡まで連続したもの
相続人全員の戸籍謄本相続人であることが証明できるもの
亡くなった方の住民票または戸籍の附表基本的にはどちらでも可(一定の場合には戸籍の附表)
相続人全員の住民票または戸籍の附表基本的にはどちらでも可(一定の場合には戸籍の附表)
法定相続情報一覧図必須ではないがあると便利
遺産分割協議書または遺言書どちらかの写し遺産分割協議書は法定相続人が作成
自筆証書遺言がある場合は検認が必要
印鑑証明書(相続人全員分)遺産分割協議書を作成する必要がない場合は不要
相続財産に関する書類不動産:登記事項証明書、固定資産評価証明書、名寄帳
預貯金:残高証明書、通帳の写し
株式(上場・非上場):残高証明書、取引報告書、会社の決算書 など

遺産相続の際に必要となる書類は多岐にわたり、収集に時間がかかる場合もあるため、相続が開始した後、速やかにかつ計画的に準備を始めましょう。

相続税申告に必要な書類について詳しくは、以下の記事で解説していますので、あわせてご覧ください。

(参考)相続税を申告するための必要書類をプロが解説!【一覧表付】

4-4.相続税の納付方法(現金・クレジットカード・延納・物納)

相続税が発生する場合、申告期限までに納付も済ませる必要があります。相続税の主な納付方法は以下のとおりです。

【相続税の主な納税方法】

  • 現金納付:金融機関の窓口や所轄の税務署で納付書を添えて現金で納める方法
  • クレジットカード納付:「国税クレジットカードお支払サイト」からクレジットカードで納付する方法
  • 電子納税:自宅などからインターネットを利用して納付する方法

クレジットカード納付は、納税額に応じた決済手数料がかかります。

相続税額が10万円を超えており、現金での一括納付が難しい場合は「延納」という分割払いが可能です。

ただし、延納するためには担保の提供が必要※になるほか、延納期間中は利子税がかかります。
※延納税額が50万円未満(平成27年4月1日以後に提出する申請書により延納の許可を受ける場合は、100万円以下)で、かつ、その延納期間が3年以内であるときには不要

延納でも納付が困難な場合は「物納」により、不動産や株式といった相続財産そのもので税金を納めることもできます。

4-5.申告漏れ・遅延のペナルティ(加算税・延滞税)に注意

期限までに相続税の申告・納付をしない場合や税額の計算を誤った場合は、本来の税額に加えて以下の延滞税や加算税が課せられる可能性があります。

  • 延滞税:納付期限に遅れた場合に、遅れた日数に応じて課される利息に相当する税金
  • 無申告加算税:正当な理由なく申告期限までに申告しなかった場合に課される税金
  • 過少申告加算税:申告した税額が本来納めるべき額より少なかった場合に課せられる税金
  • 重加算税:財産を隠したり、書類を偽造したりするなど、意図的に税金を免れようとした場合に課される最も重いペナルティ

意図的でなくても、税額の計算ミスや申告遅れなどに対しては加算税が課せられることがあるため、相続が発生したときは、正しく相続税を申告・納税することが大切です。

相続税の延滞税や加算税について詳しくは、以下の記事で解説していますので、あわせてご覧ください。

(参考)相続税の延滞税・加算税はいくら?税率・計算方法・免除特例も解説

5.【実践編】相続税の負担を軽減する方法

将来、遺産に相続税が課税されると見込まれる場合は、生前贈与や生命保険の加入などの方法で対策するとよいでしょう。ここでは、相続税の負担を軽減するための対策方法を解説します。

相続税の負担を軽減する方法については、以下の記事にも詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。

(参考)相続発生後・死亡後からできる相続税の節税対策はある?具体例で解説
(参考)【相続税の節税事例】相続発生後でも節税はできる!

5-1.生前贈与の活用(暦年贈与・相続時精算課税制度・各種非課税特例)

生前に財産を贈与すると、相続が発生したときに相続税の対象となる財産が減少し、税負担を軽減する効果が期待できます

生前贈与には以下のようにさまざまな方法があるため、それぞれの特徴を理解して活用することが重要です。

制度名概要
暦年課税贈与
  • 贈与税の基礎控除額110万円の範囲内で毎年贈与を繰り返すこと
  • 相続開始前3〜7年以内に暦年贈与で相続人や受遺者に贈与された財産は相続財産に加算される
相続時精算課税制度
  • 特別控除額2,500万円を超えるまで何度でも無税で贈与できる制度
  • この制度で贈与された財産は相続財産に足し戻される
教育資金の一括贈与に係る非課税措置
  • 30歳未満の子や孫などへ教育資金を一括で贈与する場合、最大1,500万円までが非課税になる制度
住宅取得等資金の贈与に係る非課税措置
  • 18歳以上の子や孫などが住宅を新築・取得・増改築するための資金の贈与を受けた場合、最大1,000万円まで贈与税が非課税になる制度
結婚・子育て資金の一括贈与に係る非課税措置
  • 子や孫などが結婚・妊娠・出産・育児に必要な資金を一括で贈与された場合、最大1,000万円までが非課税となる制度
贈与税の配偶者控除
  • 婚姻期間が20年以上の夫婦間で、居住用不動産またはその取得資金を贈与する場合、最大2,000万円までの贈与が非課税となる制度

※各項目をクリックすると、詳細をご確認いただけます

ただし、生前贈与において「相続時精算課税制度を選択した場合、暦年課税には戻せない」などさまざまな注意点があります。

また、各制度には要件が定められており、所定の手続きが必要な場合もあるため、生前贈与による相続対策を検討する際は、相続税専門の税理士に相談することをおすすめします。

生前贈与について詳しくは、以下の記事で解説していますので、あわせてご覧ください。

(参考)生前贈与とは?相続との違い・メリット・デメリット・注意点・非課税枠を解説

5-2.生命保険の非課税枠を利用する

被相続人が契約者(保険料を負担する人)と被保険者(保険の対象になる人)である生命保険の死亡保険金は、「みなし相続財産」として相続税の課税対象になります。

一方、その死亡保険金を相続人が受け取った場合、以下の非課税限度額まで相続税がかからなくなります

生命保険の非課税限度額:500万円 × 法定相続人の数

たとえば、法定相続人が配偶者と子供2人の合計3人であり、死亡保険金が3,000万円の場合、非課税限度額と課税対象額は以下のとおりです。

  • 生命保険の非課税限度額:500万円×3人=1,500万円
  • 相続税の課税対象額:3,000万円−1,500万円=1,500万円

死亡保険金3,000万円のうち1,500万円が相続税の課税対象外となるため、現金や預金で同じ金額を相続する場合と比べて税負担を軽減できる可能性があります。

また「遺産分割協議の終了を待たずに保険金を受け取れる」「財産を渡したい人を受取人に指定することで確実に渡せる」などのメリットもあるため、相続対策をする際は生命保険の加入を検討してみましょう。

生命保険を活用した相続対策については、以下の記事で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。

(参考)生命保険(死亡保険金)に相続税がかかるケースとは│計算方法も解説

5-3.不動産評価額を下げる方法

都心では土地の評価額が高くなりやすいため、このような地域に自宅がある場合、相続税の負担が重くなることがあります。

一方「小規模宅地等の特例」を適用することで、土地部分の評価額を大幅に減額することが可能です(5-3-1参照)。

また、土地の形状や間口の広さなどによっては減額補正をして土地の評価額を引き下げられる可能性があります。

5-3-1.小規模宅地等の特例の適用を検討する

小規模宅地等の特例とは、被相続人が自宅や事業用として利用していた土地の評価額を、最大80%まで減額できる特例のことです。

減額される割合とそれが適用される面積の上限(限度面積)は、以下のとおりです。

小規模宅地等の特例の適用

引用:国税庁「No.4124 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)

たとえば、被相続人の自宅がある土地の敷地面積が300㎡、評価額が5,000万円の場合、小規模宅地等の特例を適用できると相続税評価額は1,000万円となり、4,000万円も圧縮されます。

特例を適用するためには、所定の要件を満たしたうえで相続税の申告が必要です。要件には複雑な部分があるため、小規模宅地等の特例を適用しようとする場合は、相続税専門の税理士や最寄りの税務署などに相談することをおすすめします。

小規模宅地等の特例について、詳しくは以下の記事をご一読ください。

(参考)小規模宅地等の特例を完全解説!対象条件や手続きを知って相続税を節税しよう
(参考)【小規模宅地等の特例】相続税評価額を最大80%減額!適用要件・計算方法を解説

5-3-2.土地の評価方法と減額要素の確認

一般的に土地の相続税評価額は、国税庁が定める路線価を用いて求めます。路線価は、道路に面する土地1㎡あたりの価額です。

路線価方式で土地の相続税評価額を求める際の基本的な計算式は、以下のとおりです。

1㎡あたりの路線価×土地の面積(㎡)

上記の計算式は、土地が正方形や長方形などの整形地である場合の評価方法です。相続した土地が整形地ではない場合、相続税評価額を計算する際は以下のような減額補正をします

画地調整の種類土地の形状や条件
奥行価格補正標準的な宅地に比べて奥行きが長い・短い土地
奥行長大補正道路からの奥行が間口の2倍以上ある土地
間口狭小補正道路に面している間口の幅が狭い土地
不整形地補正形状が四角ではないいびつな土地
がけ地補正一部が傾斜(崖)になっている土地
無道路地公道に接していない土地

奥行きが長すぎる、あるいは短すぎる土地や形がいびつな土地などは、整形地に比べて利用価値が低いと判断されるため、その分、評価額も減額補正により引き下げることが可能です。

各減額補正には要件があり、適切に用いて正しく評価するためには専門的な知識が必要なため、相続税専門の税理士に相談することをおすすめします。

路線価について、詳しくは以下の記事で解説していますので、あわせてご覧ください。

(参考)【相続税路線価とは】調べ方・計算方法をわかりやすく解説!

5-4.養子縁組をする

養子を1人迎えると、相続が発生したときに法定相続人が1人増え、相続税の基礎控除額が600万円増加するため、税負担を軽減する効果が期待できます

たとえば、本来の法定相続人が3人であり、養子を1人迎えた場合の基礎控除額は以下のとおりです。

  • 本来の基礎控除額:3,000万円+600万円×3人=4,800万円
  • 養子を1人迎えたあとの基礎控除額:3,000万円+600万円×4人=5,400万円

また、養子縁組をすると生命保険金や死亡退職金の非課税枠(500万円×法定相続人の数)も増えるため、さらなる節税効果が期待できます。

ただし、相続税法では基礎控除や生命保険の非課税限度額などの計算に含めることができる養子の数に以下のような制限が設けられています

  • 被相続人に実子がいる場合:1人まで
  • 被相続人に実子がいない場合:2人まで

上記のような制限があるのは、相続税の課税を逃れるためだけに養子縁組を繰り返す不適切な行為を防ぐためです。

養子縁組の種類や相続対策におけるポイントは、以下の記事をご確認ください。

(参考)【相続税対策】養子縁組は得?節税シミュレーションと失敗しないための全知識

5-5.二次相続を見据えた遺産分割をする

二次相続を見越した遺産分割をすれば、一次相続と二次相続の両方の相続人となる子の相続税額を軽減することができます。

二次相続は、1つ前の相続(一次相続)における被相続人の配偶者が亡くなったときに生じる相続を指すのが一般的です。

たとえば、一次相続の被相続人が「父親」である場合、二次相続は「母親(配偶者)」が亡くなったときに発生する相続を指します。

二次相続を見据えた遺産分割をする

一次相続(父親の相続)において、配偶者(母親)が全財産を相続した場合、配偶者の税額軽減を適用することで、配偶者も子供も相続税を無税にできる可能性が高いです。

しかし、二次相続(母親の相続)が発生した場合、以下の理由により相続税額が高くなる場合があります。

【二次相続の税額が高くなる可能性がある理由】

  • 「一次相続(父親)の財産」と「二次相続(母親)の財産」の合計額に対して相続税が課税される
  • 二次相続では配偶者の税額軽減が適用できない
  • 法定相続人が1人少なくなるため、相続税の基礎控除額が600万円減る

配偶者の税額軽減があるからといって、一次相続で遺産のほとんど、あるいはすべてを配偶者に承継すると、二次相続で子に多額の相続税が課せられるケースもあります。

そこで、一次相続の時点で二次相続を見据えて、子にも一定金額の遺産を承継することで、子供に課税されるトータルの相続税額が軽減することができます。

二次相続やそれを見据えた遺産相続について詳しくは、以下の記事で解説していますので、あわせてご覧ください。

(参考)二次相続とは?【税理士監修】一次相続との違い・相続税対策のポイントを解説
(参考)「二次相続対策」とは?知らないと損をする。将来を見据えた節税対策

6.相続税に関する相談は誰に?専門家(税理士)の選び方

遺産相続については、弁護士や司法書士、税理士などの専門家に相談できます。一方、相続税額の計算や相続財産の評価など、個別具体的な税務については、税理士にしか相談できません。

そのため、相続が開始されたときは相続税専門の税理士に相談するとよいでしょう。

ここでは、税理士に相談するメリットや、相続税に強い税理士の見分け方を解説します。

6-1.税理士に相談するメリット

相続税申告の実績が豊富な税理士に相談する主なメリットは、以下のとおりです。

【相続税専門の税理士に相談するメリット】

  • 相続税額の計算や相続財産の評価、申告書の作成などを適切に行ってくれる
  • 申告期限内に適切に申告してもらえるため、延滞税や加算税などが課せられにくくなる
  • 生前贈与や不動産の活用など相続対策のアドバイスも受けられる
  • 弁護士や司法書士と連携しており、必要に応じて紹介してもらうことも可能

相続税の計算は複雑であり、とくに土地や非上場株式といった財産の評価には専門的な知識が求められます。

相続税専門の税理士であれば、財産を正しく評価し、税額控除や特例が適切に反映された正確な申告書を作成してくれるでしょう。

また、生前に将来の相続に備えた対策方法を相談することも可能です。遺産分割で親族間トラブルが起きたときや相続登記をするときなどは、提携する弁護士や司法書士を案内してもらえる場合があります。

6-2.相続税に強い税理士の見分け方

弁護士や医者などと同様に、税理士にも専門分野があります。相続税に関する手続きを安心して任せるためには、相続税に強い税理士を選ぶことが大切です。

依頼する税理士を探す際は、税理士事務所や税理士法人のWebサイトなどで以下の点を確認しましょう。

【相続税に強い税理士を選ぶときに確認すべきポイント】

  • 年間の相続税申告の実績が豊富か
  • 相続税申告を本当に専門としているか
  • 相続関連の書籍を出版しているか
  • 税務調査が実施される確率が低いか など

税理士を選ぶ際は、単なる相談件数ではなく、年間に何件の「申告」を手がけたのかという実績を必ず確認しましょう。

申告実績が豊富な税理士法人であれば、さまざまなケースに対応できるノウハウが蓄積されているため、安心して相続税申告を依頼できます

また「相続税専門」と謳っていても、実際には法人や医療など他の分野を得意としている場合もあります。税理士事務所の名称やWebサイトなどで本当に相続税を専門としているかもよく確認することが大切です。

相続税に強い税理士の選び方は、以下のサイトもご確認ください。

(参考)相続税に強い税理士の選び方

7.遺産相続税Q&A:よくある質問

最後に遺産の相続税に関するよくある質問に回答します。

7-1.Q. 相続放棄したら相続税は?

相続放棄をした人は、最初から相続人ではないものとして扱われ、財産を一切相続しないため、相続税を支払う必要もありません

一方、生命保険の死亡保険金や死亡退職金などのみなし相続財産は、相続放棄をしていても受け取ることが可能です。そのため、みなし相続財産を受け取ったことで相続税が課税される場合があります。

なお、相続税の基礎控除額や生命保険金・死亡退職金の非課税限度額を計算する際は、相続放棄をした人も法定相続人の数に含めます。

ただし、相続放棄をした人が生命保険金や死亡退職金を受け取る場合、非課税限度額は適用されません。

7-2.Q.海外財産に相続税はかかる?

海外にある財産も日本の相続税の課税対象に含まれます

ただし、海外の財産に対して現地の国で相続税に相当する税金をすでに支払っている場合「外国税額控除」を適用して、納めた税額分を日本の相続税額から差し引くことが可能です。

7-3.Q.税務調査はどんな場合に来る?

税務調査が行われるのは、以下のようなケースに該当する場合です。

  • 相続税の申告に含まれていない財産があった
  • 相続税の申告義務があるにもかかわらず申告しなかった
  • 相続財産の金額が2億〜3億円程度と大きい
  • 国外に相続財産がある
  • 税理士に依頼せず相続人自身で申告した

申告書に虚偽の内容を記載したり、財産の評価額や税額の計算を誤ったりするなど、さまざまな理由で税務調査に選ばれる可能性があります。

家族が亡くなったときは、遺産を漏れなく調査してそれぞれの金銭的な価値や相続税額を適切に求めることが大切です。申告漏れや計算ミスなどが不安な場合は、早めに相続税専門の税理士に依頼をしましょう。

8.まとめ:相続税の正しい知識と早めの準備が大切

遺産に相続税がかかるのは、相続財産の総額が相続税の基礎控除である「3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数」を上回る場合です。相続が開始されたときは、遺産の内容や法定相続人となる人を漏れなく調査し、相続税が課税されるかどうか適切に判断することが大切です。

とはいえ、財産の評価や特例・税額控除の活用などには相続税に関する専門知識が必要となるため、一般の方が独力で対応するのは困難でしょう。

そこで、遺産相続が発生したら、まずは相続税に強い税理士に相談されることをおすすめします。

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※この記事は専門家監修のもと慎重に執筆を行っておりますが、万が一記事内容に誤りがあり読者に損害が生じた場合でも当法人は一切責任を負いません。なお、ご指摘がある場合にはお手数おかけ致しますが、「お問合せフォーム→掲載記事に関するご指摘等」よりお問合せ下さい。但し、記事内容に関するご質問にはお答えできませんので予めご了承下さい。

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