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遺産相続(財産相続)の手続きの流れ、よくあるトラブルについて解説

ご家族が亡くなれば遺産相続が発生します。

多くの人にとって、遺産相続は人生の中で何度も繰り返し経験するものではないため、遺産相続にどんな手続きが必要で、いつまでに、なにをするべきなのかなど、わからないことがたくさん出てくると思われます。

そこで本記事では、主にはじめて遺産相続を経験する、まったく知識のない方に向けて、そもそも遺産相続とはどんなものなのか、遺産相続に必要な手続きやよくあるトラブルなどについて、くわしく解説します。

遺産相続の手続きには、法律により期限が定められているものも多いので、本記事を参考に、迅速かつ、正確に手続きを進めてください。

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1.そもそも遺産相続(財産相続)とは?

遺産相続とは、亡くなった人が持っていた財産や、権利・義務などを、残されたご家族などが引き継ぐことです。亡くなった人を「被相続人」、財産を引き継ぐ人を「相続人」といいます。似ている言葉なので、間違えないよう注意してください。また、亡くなった人が持っていた財産を「遺産」または「相続財産」と呼びます。

遺産相続は人が死亡したことによって始まりますが、行方不明で生死がわからず失踪宣告を受けた場合も、死亡したとみなして遺産相続が始まります。

遺産相続の手続きを正しく進めていくためには、最初に次の2点を理解しておく必要があります。

(1)誰が遺産を相続する人(=相続人)になるのか
(2)どのようなものが遺産(=相続財産)になるのか

1-1.誰が遺産を相続する人となるのか(相続人の確定)

被相続人に複数の家族がいる場合、誰が遺産を引き継げる相続人になるのだろうと、疑問が生じるでしょう。

誰が遺産を相続するのかは、まず遺言の有無によって、次の2通りにより定められます。

(1)誰に遺産を分割するのかが遺言で指定されている場合は、遺言内容に従う
(2)遺言での指定がない場合は、民法の「法定相続人」の定めに従う

1-1-1.誰に遺産を分割するのが遺言で指定されている場合

遺産は、そもそも被相続人の財産です。したがって、被相続人が遺言で「自分の財産は、この人に、このように与えたい」という意思を示しているのなら、原則的に、その通りに遺産は分割されます(例外に「遺留分」があります、これはあとで説明します)。

【事例】

被相続人の遺産が1億円、被相続人の家族に、配偶者、子、孫、父、弟がいる場合。

以下のような分割割合で遺産を相続させるという遺言が残されていたとすると、その通りに遺産は分割されます。

妻:4,000万円

子:3,000万円

孫:1,000万円(遺贈)

父:1,000万円(遺贈)

弟:500万円(遺贈)

被相続人が関係していたNPO団体:500万円(遺贈)

ちなみに、民法に定められた法定相続人となる人以外の人や団体などに遺産を分割する場合は、相続ではなく「遺贈」と呼ばれます。

1-1-2.遺言での遺産分割の指定がない場合

遺言で誰に遺産を分割するのかが指定されていない場合には、民法に定められている一定の人が相続人になります。これを「法定相続人」といいます。法定相続人には、優先順位が定められており、上の順位の人がいない場合にのみ、下の順位の人が相続人になります。上の順位の人がいる場合は、下の順位の人は相続人とはなれません。

必ず相続人:配偶者(夫・妻。法律上の婚姻関係が必要。事実婚は不可)
第1順位:子(※1)
第2順位:父母(※2)
第3順位:兄弟姉妹(※3)

(※1)相続発生前に子が死亡しており、子の子(孫)などの直系卑属(下の世代)がいる場合、その直系卑属の人が、子に代わって第1順位の相続人となります。これを「代襲相続」と呼びます。代襲相続をする直系卑属の人を「代襲相続人」と呼びます。

(※2)相続発生前に父母が両方死亡しており、祖父母などの直系尊属(上の世代)がいる場合、その直系卑属の人が第2順位の相続人となります。これは代襲相続ではなく、単に相続の順番が移るだけです。

(※3)相続発生前に兄弟姉妹が死亡しており、その子(被相続人の甥・姪)がいる場合、その甥・姪が3順位の代襲相続人になります。ただし、甥・姪が死亡している場合は、その下に直系卑属がいても、代襲はされません。

【事例】

被相続人の遺産が1億円、家族に配偶者と子、孫、父、弟がいる場合。遺言が残されていなければ、法定相続人および法定相続割合は、以下のようになります。

妻:5,000万円(法定相続割合1/2)

子:5,000万円(法定相続割合1/2)

孫:子がいるため、代襲相続人になりません。

父、弟:上位の順位の相続人(子)がいるため、相続人になりません。

相続人の決まり方についてのより詳しい内容は、下記の記事も参照してください。

(参考)相続人は誰?相続人の優先順位と相続分をケース別に詳しく解説!

1-2.どのようなものが遺産(=相続財産)になるのか

遺産相続の対象となるのは、相続の発生時点(被相続人の死亡時)で、被相続人が所有していた財産や権利・義務などのすべてです。

民法第896条

相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。ただし、被相続人の一身に専属したものは、この限りでない。

引用:民法第896条|e-Gov法令検索

上の条文にある「被相続人の財産に属した一切の権利義務」は、プラスの財産(預金、不動産、有価証券など)とマイナスの財産(借金など)にわけられます。

以下で、相続財産となるものの具体例をご説明します。

1-2-1.現金・預貯金

被相続人が銀行に預けていた預金、自宅金庫などで保管していた現金、財布に入っていたお金など、すべて含まれます。銀行預金の残高などを正確に知るには、相続時点の残高証明書を銀行に発行してもらう必要があります。

1-2-2.有価証券

上場株式、国債、社債、投資信託、ゴルフ会員権などの有価証券です。これらは、通常自宅で保管されていることは少なく、証券会社などの口座で保管されていることが多いでしょう。預金と同様、証券会社などに残高証明書を発行してもらう必要があります。

なお、被相続人が会社経営者の場合は、経営していた会社の株式(自社株式)も相続財産になります。

1-2-3.不動産・不動産上の権利

自宅、店舗、投資用賃貸マンション・アパート、貸駐車場、別荘などの、土地、家屋(建物)といった不動産は相続財産になります。また、借地権、借家権、抵当権など不動産上の権利も相続財産になります。

1-2-4.一般動産

自動車、貴金属、骨董品などを「一般動産」と呼び、これらも相続財産になります。家財道具や衣服などで、高い価値がないと思われるものでも、原則として相続財産になります。

1-2-5.その他財産権など

形がない権利も遺産相続の対象になります。たとえば、被相続人が小説家などであれば著作権(※)、特許を取得していれば特許権などの、知的財産権も相続財産です。また、損害賠償請求権、被相続人が受取人になっている生命保険金なども相続財産になります。

(※ここでいう著作権は、財産権としての著作権です。著作者人格権は被相続人の一身に専属するため相続の対象となりません。)

1-2-6.債務(マイナスの遺産)

被相続人に借金や、ローンの未返済残高、未払いのクレジットの利用残高、滞納している税金などがあった場合は、それらも相続財産に含まれます。つまり、相続人が被相続人に代わってこれらを返済、支払いする義務を負います。これらは、「マイナスの相続財産」とも呼ばれます。

なお、住宅ローンは、通常は契約の際に団体信用生命保険(団信)に加入しており、契約者が死亡すると保険によりローンが完済されるので、ローン残高は相続されないことが一般的です。

1-2-7.保証債務(マイナスの遺産)

マイナスの相続財産の中でも、特に注意しなければならないのが、保証債務です。たとえば、被相続人が自分で借金をしたものではなく、他人の借金の連帯保証人となっている場合、その連帯保証債務は、自動的に相続人に承継されます。つまり相続人が他人の借金の連帯保証人になります。保証債務は、被相続人の手もとに記録などが残っておらず、わかりにくい場合もあるので十分な注意が必要です。

ただし、例外として、具体的な債務額が確定していない基本的な身元保証や、債務の責任限度額および保証期間を定めないでした保証については、相続されません。

1-3.遺産(相続財産)にならない財産とは?

被相続人が持っていた財産や権利・義務でも、例外的に相続財産にならないものもあります。

1-3-1.一身専属の権利・義務

一身専属の権利・義務」とは、法律上、「本人だけ」に与えられている権利や義務のことです。相続人は、本人ではないので、これらの権利・義務は相続できません。

  • 年金受給権、生活保護受給権(被相続人が年金や生活保護を受給していた場合、死亡により終了する)。
  • 親権者の地位、雇用契約における被用者の地位
  • 国家資格(税理士、弁護士など)
  • 被相続人にしか履行できない義務(歌手の歌唱契約など)
  • 著作物の著作者人格権

など

1-3-2.祭祀財産など

祭祀財産とは、祖先や神をまつるための祭祀、儀式などに必要とされる財産のことです。民法897条では、「系譜、祭具、墳墓」が挙げられています。これらは「慣習に従って祖先の祭祀を主宰すべき者が承継する」されており、相続財産には含まれません。

  • 系譜:家系図などのことです。
  • 祭具:位牌、仏壇、仏像、神棚、神体などの仏具、神具です。
  • 墳墓:墓地、墓碑、棺などのことです。ただし、あまりにも広大な土地を「墓地」とした場合は認められない場合などもあります。

また、葬儀に際して受け取る香典弔慰金などは、遺族に直接渡されるものであり、被相続人の財産ではないため、相続財産にはなりません。

詳しくは下記記事もご参照ください。

(参考)祭祀財産の承継-お墓等の承継者の決め方や非課税となるための注意点

 

1-3-3.相続後に発生した賃貸物件の家賃や株式の配当金

被相続人が賃貸不動産や株式などを保有していた場合、相続後に、賃貸不動産から家賃収入が発生したり、株式などから配当金などが発生したりする場合があります。

相続後に発生した家賃や配当金は、被相続人の財産ではなく、その賃貸不動産や株式を相続した相続人の財産となります。したがって、相続財産にはなりません。

1-4.死亡保険金、死亡退職金は、そもそも被相続人の財産ではないが注意点も

被相続人(たとえば父)が契約者(保険料の支払い者)かつ保険の対象者であって、その人が死亡した場合に、相続人(たとえば子)に死亡保険金が支給される保険契約は、一般的によく利用されています。

また、被相続人の死亡を理由として、被相続人が勤めていた会社などから、「死亡退職金」が相続人に直接支払われる場合もあります。

このような死亡保険金や死亡退職金は、相続後(被相続人の死亡後)に発生し、相続人(子)に直接支払われているものなので、当然ながら、民法上は遺産ではなく、受け取った相続人固有の財産とされます。

1-3-4-1.死亡保険金、死亡退職金の相続税法上の「みなし」規定に注意

民法では死亡保険金や死亡退職金は相続財産とはされません。しかし、相続税法では、相続財産と同じような性格をもつものと「みなす」こととされ、相続税の課税計算の対象となります。

このような、本来は相続財産ではないのに、相続税法上は、相続税の課税対象とされる財産を「みなし相続財産」と呼びます。

民法と相続税法で考え方が異なる部分なので、十分注意が必要です

相続税法上、なぜこのような「みなし」がおこなわれるのかといえば、被相続人が多額の保険に加入することによって相続税の課税逃れをすることなどを防ぐためです。

また、みなし相続財産には、相続税計算上の控除措置(法定相続人1人につき500万円まで非課税)も用意されています。

2.遺産(相続財産)は必ず相続しなくてはいけないのか?

遺産(相続財産)は必ず相続しなければならないわけではありません。普通に相続をする単純承認、一部だけを相続する限定承認、そして、一切の相続をしない相続放棄の3つの選択肢から選ぶことができます。

たとえば、遺産内容が、預金6,000万(プラスの財産)と借金1億円(マイナスの財産)であったとすれば、この遺産を相続すると、相続人は4,000万円の借金を自分で返済していかなければなりません。このような場合、通常は相続を放棄したほうがいいでしょう。

また、相続した遺産の範囲内で借金の返済義務を負うのが「限定承認」です。それぞれを以下で説明します。

2-1.単純承認

被相続人の権利・義務をすべて承継する、普通の相続のことです。相続があったことを知った時から3か月以内に、限定承認や相続放棄の手続きを取らなければ、自動的に単純承認をしたことになります。後からの変更はできません。

また、相続人が遺産を処分していたり、限定承認や相続放棄をした後で財産を隠していたことがわかったりした場合なども、単純承認をしたことになります。

そのため、もし相続放棄や限定承認を検討する可能性がある場合は、3か月の期限内に手続きをすることと、勝手に遺産の処分や移動などをしないことに、十分に注意をしてください。

2-2.相続放棄

被相続人に多額の借金がある場合など、遺産内容がトータルでマイナスになる場合、相続放棄が検討されます。相続放棄が認められると、その人は最初から相続人ではなかったことされます。当然、財産も債務も一切承継しません。

相続放棄をしたい場合は、相続を知った日から3か月以内に家庭裁判所に申し出て、承認を受ける必要があります。複数の相続人いる場合でも、個人単位で申し出ることができます。

相続放棄の手続きについては、下記の記事を参照してください。

(参考)相続放棄とは?メリット・デメリットから手続き方法・期限など基礎知識を解説

2-3.限定承認

限定承認は、プラスの財産の範囲内でのみマイナスの財産も相続する方法です。

たとえば、遺産の内容が、先祖代々受け継いできた土地(評価額5,000万円)と、借金8,000万円だったとします。

この場合、単純承認すると、8,000万円を返済しなければなりません。一方、相続放棄をすれば、借金返済の必要はなくなりますが、先祖代々受け継いできた土地も手放さなければなりません。こういうときに限定承認をすれば、プラスの財産の範囲内、つまり5,000万円だけの借金を引き継げばいい、ということになります。

また、プラスの財産額ははっきりしているけれども、マイナスの財産額がはっきりしない、といった場合にも限定承認を利用するメリットがあります。

ただし、限定承認は手続きが難しく、実際に利用されることはまれです。

限定承認をする場合は、相続を知った時から3か月以内に、「相続人の全員が共同で」家庭裁判所に申し出る必要があります。相続放棄と違って相続人全員の同意が必要となるところがポイントです。

3.遺産相続の手続きに期限はある? 期限があるものと無いものがあるので注意!

3-1.期限の定め、または目安があるのもの

一般的な遺産相続の手続きは、大きくわけると以下のような流れで進みますが、それぞれに期限の定め、もしくは目安があります。

(1)死亡届を提出(7日以内)、葬儀など

(2)遺言書の有無を確認する(速やかに)

(3)相続人がだれなのかを確定する(相続放棄申立ての期限まで(3か月以内)が目安)

(4)遺産(相続財産)の内容を調査して確定する(相続放棄申立ての期限まで(3か月以内)が目安)

(5)単純承認、限定承認、相続放棄のいずれを選ぶかを決定する(3か月以内)
被相続人の所得税の確定申告が必要な場合は、その申告をする(4か月以内)

(6)遺言書がない場合、原則的に、相続税の申告期限までに遺産分割協議を終了させ、遺産分割協議書を作成する(相続発生の翌日から10か月以内。ただし、延長も可能)

(7)相続税の申告・納税が必要な場合、申告・納税をする(相続発生の翌日から10か月以内)

(8)遺産の名義変更をする(遺産分割確定後速やかに)

(9)遺産分割において遺留分の侵害などがあった場合、遺留分侵害額請求をする(遺留分の侵害を知ってから1年以内、もしくは相続開始日から10年以内)

3-2.特に期限の定めはない手続き

以下の手続きは、法令上とくに期限は定められていませんが、忘れないうちに早めに済ませておいたほうがいいでしょう。

不動産の名義変更(相続登記)期限なし(2024年4月1日から、3年以内の登記が義務化)
預貯金・株式などの解約・名義変更期限なし
自動車の相続手続き期限なし

(参考)遺産分割協議は相続税申告期限までに!手続き期限リストで漏れを防ぐ

4.遺産(相続財産)を相続する手続きの流れとは?

被相続人の死亡後からの手続きの流れを説明します。遺産額、相続人の数、遺産分割の内容などによって、多少異なる場合もありますが、一般的な流れを示します。

4-1.(1)死亡届、火葬、葬儀などの手続き

現在、一般的には、人は病院で亡くなり、遺族は葬儀社に葬儀(通夜、告別式、初七日法要など)の執りおこないを依頼します。葬儀社に依頼している場合は、この(1)の項目で述べる届出や手続きは、通常、葬儀社が代理しておこなってくれるものです。

4-1-1.死亡届、火葬許可申請書の提出

被相続人が死亡した日から7日以内(国外で死亡したときは3か月以内)に、被相続人の死亡地などの市区町村役場に、「死亡届」を提出します。

死亡届は、死亡診断書・死体検案書とセットになった用紙で、病院に備え付けられています。死亡診断書・死体検案書は病院の医師が記入してくれます。

また、死亡届を提出する際に、「火葬許可申請書」もあわせて役場に提出します。引き換えに「火葬許可証」が交付されます。

4-1-2.火葬、葬儀

火葬がおこなわれると、火葬許可証に「火葬執行済」の印が押されます。これが後に納骨する際の「遺骨埋葬許可証」になります。火葬の後は、葬儀、納骨がおこなわれます。火葬や葬儀の実務は、通常、葬儀社にまかせます。

4-2.(2)被相続人がおこなっていた契約の停止、変更などの手続き

被相続人が受けていた公的サービス、民間サービスの停止、契約の解除などをおこないます。これらは、被相続人の状況や年齢によって内容は様々です。

内容手続きの場所期日(相続開始から)
国民年金受給停止の手続き(国民年金のみを受給していた場合)年金事務所14日以内
厚生年金受給停止の手続き(厚生年金を受給していた場合)年金事務所10日以内
介護保険資格喪失届(介護保険被保険者であった場合)市区町村役場14日以内
国民健康保険(加入していた場合)市区町村役場14日以内
後期高齢者医療保険(加入していた場合)市区町村役場14日以内
健康保険・厚生年金保険の資格喪失(被雇用者の場合)使用者がおこなう 
電気、ガス、水道、NHK受信料などの公共料金各社のサービスセンターなど速やかに
クレジットカード各社のサービスセンターなど速やかに
パスポート(ある場合)旅券事務所等速やかに
運転免許証返納義務はなし 

4-3.(3)住民票、世帯主などの届出に関する手続き

被相続人の住民票は、死亡届を出せば自動的に抹消されます。

一方、被相続人が世帯主だった場合、世帯主に関する手続きは家族構成によって以下のように異なります。

4-3-1.被相続人が1人世帯の世帯主だった場合

世帯が消滅するので、世帯主に関する手続きは不要です。

4-3-2.被相続人が2人世帯の世帯主だった場合

残されたもう1人が自動的に世帯主になるので世帯主に関する手続きは不要です。

4-3-3.被相続人が3人以上の世帯の世帯主だった場合

新しい世帯主を定めて、世帯主変更届けを市区町村役場に提出します。期日は亡くなった日から14日以内です。

4-4.(4)遺言書の有無を確認する

葬儀が終わって一段落したころから、遺産相続の手続きを始めます。まず、遺言書があるかどうかを確認します。

遺言書には、公正証書遺言、自筆証書遺言、秘密証書遺言の3つの種類があり、種類ごとにおおむね次に掲げる場所で保管されます。

公正証書遺言(公証人が作成する遺言)原本は公証役場。正本・謄本(写し)は本人が管理(自宅、貸金庫など)。
自筆証書遺言(自筆で書く遺言。法務局保管制度を利用していない場合)本人が管理(自宅、貸金庫など)
自筆証書遺言(法務局保管制度を利用している場合)住所地の管轄の法務局
秘密証書遺言(内容は秘密にして遺言の存在のみ公証人が証明する遺言)本人が管理(自宅、貸金庫など)。遺言の存在の記録は役場に残されている。

遺言書は、まず、公証役場、法務局に有無を問い合わせましょう。あわせて、被相続人の自宅や貸金庫などに保管されていないかを確認します。

4-4-1.遺言書が発見された場合

遺言書が見つかった場合は、以下の手続きをおこないます。

4-4-1-1.自筆証書遺言と秘密証書遺言は、裁判所の検認により開封する

自宅等で見つかった自筆証書遺言(法務局保管ではない場合)秘密証書遺言は、家庭裁判所による検認の手続きを受ける必要があります。

検認とは、相続人に対し遺言の存在や内容を知らせ、遺言書の状態や内容を明確にして、開封後の偽造や変造を防止するための手続きです。検認は遺言書の内容の正しさを証明する手続きではありません。

検認の手続きは法律で義務づけられており、検認前に遺言書を開封すると、過料に処せられる可能性があります。

もし、誤って検認前に遺言書を開封してしまった場合でも、それだけで遺言書が無効になるようなことはありません。ただし、他の相続人から「偽造がされたのではないか」と疑われ、トラブルの元になりうるので、検認前には開封しないように気をつけましょう。

また、公正証書遺言と法務局で保管されていた自筆証書遺言は、検認手続きの必要はありません

4-4-1-2.形式が正しい有効な遺言書かを確認する

遺言書が有効になるためには、法律で定められた一定の形式を満たしている必要があります。たとえば、日付がきちんと記されていることなどです。形式を満たしてない遺言書は、無効になるので、その点を確認します。

4-4-1-3.遺言執行者が指定されている場合、執行者が手続きをおこなう

遺言書の中で、遺言執行者が指定されている場合、その指定された人が承諾すれば、以後の遺産分割の手続きは遺言執行者がおこないます。

4-4-1-4.原則的に遺言書通りに遺産を分割するが、そうしなくてもいい

遺言書が有効なものであれば、原則的に遺言書に書かれている通りに遺産分割をおこないます。ただし、相続人と受遺者全員の合意があれば、遺言書の内容とは異なる遺産分割をしても構いません

遺言書がなかった場合

遺言が残されていない場合は、法定相続人全員が参加して、どのように遺産を分割するのかを話しあう「遺産分割協議」をおこないます。

4-5.(5)相続人を確定する

遺産分割協議は、法定相続人全員の参加が必要となるため、遺産分割協議に先立って、誰が法定相続人なのかを確定しなければなりません。

また、遺言書が残されており、遺産分割協議をする必要がない場合でも、兄弟姉妹以外の法定相続人には、遺留分が認められているため、やはり法定相続人の確定が必要になります。

民法で定められている法定相続人は、「1.そもそも遺産相続(財産相続)とは?」で説明した通りです。

4-5-1.被相続人の全戸籍は早めに取得する

相続人を調べるときは、被相続人の出生から死亡までの全戸籍謄本を確認することが原則です。前妻の子、隠し子、養子など、知らない相続人がいる可能性もありますが、全戸籍謄本を調べれば、それらの事実がわかります。

また、被相続人の全戸籍は、後の銀行口座解約、相続税申告・納税、不動産名義変更など、遺産相続手続のさまざまな場面で必要になるため、いずれにして取得します。被相続人の全戸籍の取得には、大変な手間と時間がかかるので、早めの取得準備をしましょう。

4-5-2.法定相続情報証明書を活用

被相続人の全戸籍の取得にかかる手間を大きく軽減してくれるのが、「法定相続情報証明書」です。これは、法務省が発行してくれる公的な証明書で、全戸籍の代わりに利用することができます。

法定相続情報証明書の発行自体は無料ですが、その発行には、被相続人の戸籍謄本や住民票除票などをもとに「法定相続情報一覧図」作成する必要があります。

(参考)相続に必要な書類を1週間で集めよう!書類一覧や提出先をご紹介

4-6.(6)相続を承認するか放棄するかを決める

「2.遺産(相続財産)は必ず相続しなくてはいけないの?」の項目で説明したように、遺産内容に借金などが多く、トータルでマイナスになっている場合などは、相続放棄を選択することもできます。

相続放棄をするためには、自身が相続人であることを知った日(通常は被相続人の死亡日)から3か月以内に家庭裁判所に申し立てる必要があります。申立てには、相続放棄申述書や戸籍謄本などが必要です。

その後家庭裁判所から、間違いなく自分の意思で相続放棄をするのかなどを確認する「照会書」が届くので、これに回答します。相続放棄が認められると「相続放棄申述受理通知書」が送付され、相続放棄が正式に認められます。

(参考)相続放棄とは?メリット・デメリットから手続き方法・期限など基礎知識を解説

4-7.(7)被相続人の所得税申告と納付をする(準確定申告)

被相続人に、生前一定の所得があって「もし生きていれば、所得税の確定申告をしなければならない人」であった場合は、死亡した年の1月1日から死亡日までの所得税を、被相続人の代わりに、相続人が申告・納付をしなければなりません。この申告を「準確定申告」といいます。

準確定申告は、被相続人の生前の所得に関する申告なので、相続財産や相続税と直接は関係ありません。ただし、おこなう必要がある場合は、相続人の義務であり、申告の必要があるのに申告をしないと、相続人に加算税などが課せられる恐れがあります。

準確定申告・納付の期限は、死亡日の翌日から4か月以内です。

なお、被相続人が仮に存命であった場合に確定申告をする必要がない人だった場合は、準確定申告をする必要はありません。たとえば被相続人が下記のような人だった場合は、確定申告は不要です。

  • 被相続人が年金受給者で、公的年金収入が400万円以下でかつ他の所得が20万円以下の場合
  • 被相続人が1か所からのみ給与をもらっている給与所得者で、かつ他の所得が20万円以下の場合

一方、確定申告をする必要はない場合でも、準確定申告をすることで生前に払い過ぎていた税金の還付金を受けられる場合があります。

準確定申告が必要なのか、あるいは還付が受けられるのかなどよくわからない場合は、税理士あるいは税務署に問い合わせてみましょう。

準確定申告については、下記の記事も参照してください。

(参考)相続があったら所得税の申告もお忘れなく!【所得税の申告を忘れると罰則の可能性も…】

4-8.(8)相続財産の調査と評価

遺産相続を進めるには、遺産(相続財産)としてどのようなものがいくらぐらいあるのかを、正確に把握する必要があります。相続財産を調べるには、被相続人の自宅に以下のようなものがないか探すのが一般的な方法です。

  • 預金通帳
  • 生命保険証券
  • 証券会社の取引報告書
  • 不動産の権利証(登記済証・登記識別情報)、固定資産税納税通知書
  • 借用書、金銭消費貸借契約書(お金を借りたのか貸したのかも確認)
  • 貸金庫の鍵

など

なお、相続財産の価額は、原則として死亡日の時価となります。

相続財産には、不動産や自社株式など、その価額の評価が難しい種類の財産もあります。また小規模宅地等の特例などの特例制度が利用できるのか、できないのかといった問題もあります。

誤って、必要以上に高い価額で評価してしまうと、無駄に相続税を支払うことにもつながりますので、相続財産にこれらの財産があり、かつ、相続税の納付が必要になりそうならば、専門の税理士に相談することをおすすめします。

4-9.(9)遺産分割協議の実施と遺産分割協議書の作成

複数の相続人がいて、かつ遺言で相続分が定められていない場合は、誰がどれくらい財産を承継するかを話し合う「遺産分割協議」を相続人全員でおこないます。遺産分割協議は参加している相続人全員の合意があれば成立します。

なお、相続人が1人しかいなければ、原則として遺産分割協議も遺産分割協議書の作成も必要ありません。

また、遺産分割協議でどのように遺産を分割するのかは、相続人の話し合いにより決まりますが、一般的には、民法に記載されている「法定相続割合」に従って分割されることが多くなります。

4-9-1.遺産分割協議の成立後、遺産分割協議書を作成する

遺産分割協議が成立した場合は、その内容を「遺産分割協議書」に記録します。遺産分割協議書は、いわば遺産分割の契約書あるいは証明書とも呼べるもので、相続税の申告・納付をはじめ、相続のあらゆる手続きで必要になる、非常に重要な書類です。

遺産分割協議書に決まった様式はありませんが、作成するときは以下の点に注意しましょう。

  • 「全相続人で協議した」という趣旨の文言を入れる。
  • 不動産の内容は登記事項証明書の通りに記載する。
  • 遺産の記載漏れがないようにする。記載されていない遺産は、誰が相続するかを指定します。
  • 相続人の全員が、自署で署名し、実印を押印する。

4-9-2.どうしてもまとまらない場合は家庭裁判所で調停・審判を受ける

遺産分割協議の成立には全員一致が必要なので、相続人が1人でも反対していると、まとめることができません。しかし、いつまでも協議がまとまらないと、いつまでも遺産が分割できません。そこで、どうしてもまとまらない場合は、家庭裁判所の調停・審判を受けるという方法があります。

4-9-3.相続税の申告期限までに遺産分割協議がまとまらなかった場合は?

遺産分割協議が成立しないと、相続税の税額計算はおこなえません。しかし、協議が成立していなくても、相続税の申告・納税期限は延ばしてもらえません。そこで、申告期限になったら、いったん法定相続分で分割したと仮定して、相続税を申告・納税します

ただし、その場合は「配偶者の税額軽減」や「小規模宅地等の評価減特例」などの、有利な特例制度が適用できません。

そういう場合は、「申告期限後3年以内の分割見込書」をあわせて提出しておきましょう。そうすれば、将来(3年以内)に遺産分割協議が成立したときに、改めて、特例を適用して税額を計算し直して修正申告をすることができます。

4-10.(10)相続税申告書の作成

遺言書または遺産分割協議の成立により、遺産分割割合が決まれば、それに従って、各相続人の相続税額を計算します。

なお、相続財産の総額が、相続税の基礎控除額(3,000万円+(600万円×法定相続人の数))を超えていない場合は、相続税の申告は必要ありません

相続税の申告が必要な場合は、相続税申告書を作成し、期限までに申告・納付をします。

なお、相続税の申告期限は、相続の開始を知った日(通常は被相続人の死亡日)の翌日から10か月以内です。納税の期限も同じであり、それまでに納税資金も準備しなければなりません。

相続税額の計算、相続税申告書の作成は、特に不動産や自社株式などがある場合は複雑であり、専門知識が求められる部分が多いため、相続税に詳しい税理士に依頼することをおすすめします。

(参考)【相続税申告を自分でする方へ】手続きに必要な準備や書類を徹底解説

4-11.(11)相続税の納付

相続税の納付は、期限までに現金で一括納付をしなければなりません。

4-11-1.相続税はどこで納付するのか

相続税の納付場所(方法)は、次の4つがあります。

  • 銀行などの金融機関の窓口での納付
  • 税務署の窓口での納付
  • コンビニエンスストアでの支払い(納付額30万円以下)
  • クレジットカードでの支払い(「国税クレジットカードお支払サイト」を通じてのインターネットを利用した納付。利用できるのは、納付額1,000万円未満、かつ、クレジットカードの利用限度額以下。また、金額に応じた手数料が必要)

納付額が高額の場合は、預金口座のある銀行の窓口で預金から納付額分の現金を引き出し、そのまま窓口で納付するのが一般的で安全な方法です。

納付額が比較的少額の場合は、コンビニや、クレジットカード利用でもいいでしょう。

4-11-2.相続税の納付の注意点

相続税は、相続人各個人に課されるものです。そのため、納付は相続人各人がそれぞれおこないます。もし、相続人のうちの1人が他の相続人の分もまとめて納付すると(被相続人の配偶者である相続人が、子の相続人の分もまとめて納付する、など)贈与とみなされて贈与税が課税される恐れもあるので、十分に注意してください。

また、申告期限に遅れると、加算税などのペナルティが課される場合があります。期限までに納付する点にも注意しましょう。

4-11-3.相続税の「延納」と「物納」とは

相続税は、現金により一括で納付することが原則です。しかし、たとえば高額な不動産を相続し、高額な相続税が課せられたものの、現金をあまり保有しておらず、納付期限までにまとまった現金が用意できないという場合もあるでしょう。そういう場合には「延納」または「物納」という方法での納付も可能です。

4-11-3-1.延納とは

相続税の延納とは、相続税額が10万円を超え、金銭での納付が困難な理由がある場合には、税務署に申請し、担保を提供することで、分割払いでの納付ができるようになる手続きです。なお、延納期間中は利子税の納付が必要です。

延納の申請は、相続税の申告期限までにおこなわなければなりません。

延納は申請すれば必ず認められるわけではなく、担保となる財産などの審査があります。

4-11-3-2.物納とは

延納をしてもなお、相続税を現金で納付することが難しい理由がある場合に、現金の代わりに、モノで納税することが認められる場合があります。これを物納といいます。

物納できる財産は、相続税の対象となった財産に限られ、国債、地方債、不動産、株式等や動産などです。

物納の申請は、原則として相続税の申告期限までにおこなわなければなりません。

物納は申請すれば必ず認められるわけではなく、納める財産などの審査があります。

4-12.(12)遺産の名義変更

遺産分割の確定後、遺産の名義を変更します。

預金の引き出し、名義変更、証券口座の相続手続きは、銀行、証券会社などの金融機関に届け出ます。手続きには被相続人と相続人の戸籍謄本のほか、遺言書または遺産分割協議書が必要です。

不動産の名義変更(相続登記)は、法務局(登記所)でおこないます。手続きには登記申請書のほか、被相続人と相続人の戸籍謄本、遺言書または遺産分割協議書などさまざまな書類が必要です。また、不動産の固定資産税評価額の0.4%にあたる登録免許税がかかります。

相続登記について詳しい内容は、下記の記事をご覧ください。

(参考)不動産の相続に必要な「相続登記」についての基本知識を徹底解説

5.遺産相続(財産相続)でよくあるトラブル

遺産相続をめぐるトラブルは、遺産額の多寡にかかわらず発生します。遺産額が基礎控除以下で、相続税がかからない相続でも、家族同士で訴訟となるようなトラブルは頻繁に発生しています。

遺産相続をめぐるトラブルの原因としてよくあるのは、下記の4パターンです。

(1)遺産の多くが不動産

(2)遺言書がなく誰に何を分配するか

(3)意外な相続人が現れる

(4)遺言内容に遺留分侵害がある

5-1.遺産の多くが不動産

遺産の多くが現金であれば、相続人間で公平に分割することは簡単なので、その点でのトラブルは生じにくくなります。

一方、遺産の多くが不動産の場合は、簡単にわけることができません。特に、自宅不動産で、相続人の誰かが住み続ける場合は、トラブルが起こりやすくなります。

【事例】

被相続人:父

相続財産:自宅(土地・建物、評価額1億円)、現金2,000万円

相続人:母、長男、次男。長男が父母と同居していた。

次男の法定相続分は、遺産総額1億2,000万円の4分の1にあたる3,000万円ですが、現金は2,000万円しかありません。

次男が法定相続分どおりの遺産分割を要求した場合、母または長男が、自分たちの財産から、1,000万円を支払う必要があります。しかし、母または長男にその現金がないとしたら、自宅を売却して現金化して分割するか、自宅を担保に借金をするなどして、現金を用意しなければなりません。場合によっては母と長男が住まいを失うことになりかねないので、トラブル必至です。

5-1-1.代償分割という方法

遺産分割で誤解されやすいのは、相続人が受け取った死亡保険金や死亡退職金です。

1-4.死亡保険金、死亡退職金は、そもそも被相続人の財産ではないが注意点も」の項目で説明したように、死亡保険金や死亡退職金は受け取った人固有の財産であり、遺産分割の対象ではありません。

上の事例で、長男は、父が契約していた生命保険契約の死亡保険金1,000万円の受取人になっていたとします。この1,000万円は相続財産には含まれないので、相続財産は1億2,000万円(自宅1億円、現金2,000万円)のままであり、次男の法定相続分は3,000万円のままです。

そこで、長男は、死亡保険金の1,000万円をいったん受け取り、それを次男に支払うことが可能になります。すると、次男は3,000万円を受け取れるので納得し、母と長男は自宅を相続できます。このように、分割が難しい財産を取得した相続人が、他の相続人に代わりに現金を支払うことを「代償分割」といいます。生命保険は、代償分割資金の準備のためによく使われます。

5-2.遺言書がなく、遺産分割協議がまとまらない

遺言書がない場合は、遺産分割協議がおこなわれますが、なかなか協議がまとまらない場合があります。

たとえば、相続人の中に1人だけ生前贈与を受けていた(あるいは受けられなかった)人がいる場合や、長年、被相続人の介護をしていた人がいる場合など、感情のもつれから、主張を譲らず、協議がまとまりにくくなることがあります。

このほか、子供がいない夫婦の遺産相続では、残された配偶者と故人の兄弟姉妹が相続人になる場合があります。その関係が悪い場合などは、遺産分割協議の成立が困難になります。

自分の死後に遺産相続のトラブルが予想される人は、生前に遺言書を作成しておくことが重要です。また遺言書では誤解を招かないように、どうしてそういう分割にしたのか、その理由を手紙に残したり、付言事項として遺言書に記載したりするとなおよいでしょう。

(参考)子供なし夫婦の財産は配偶者のみが相続?ケースや注意点を解説

5-3.意外な相続人が現れる

家族関係が複雑な場合も、相続のトラブルが起こりやすくなります。たとえば、相続の発生後に、被相続人の戸籍を取り寄せたところ、次のような相続人が存在していることが明らかになることがあります。

  • 被相続人の前の妻との間に生まれた子
  • 愛人との間に生まれた非嫡出子(隠し子)で、認知されている子
  • 家族に内緒で養子縁組をした養子

前妻の子や、非嫡出子、養子はすべて実の子と同じ権利を持つ相続人になります。実の子でないからとか、それまで会ったことがないからといった理由で、これらの人を相続人から除くことはできません。

こういった人がいる場合も、やはり可能であれば遺言を残し、遺産分割割合を記載しておくことがベターでしょう。

5-4.遺言内容に遺留分侵害がある

遺言書があれば、トラブルはすべて防げるわけでもありません。民法では、兄弟姉妹以外の相続人について、「遺産額のうち、最低限これだけの割合はもらうことができる」という権利を定めています。その権利を「遺留分」と呼びます。

遺留分が侵害されるような内容(相続人が2名いるのに、1名に全財産を相続させる、など)の遺言が残されていた場合でも、その遺言自体は有効です。

しかし、遺留分を侵害された相続人は、侵害している相続人に対して、遺留分額の支払いを求める遺留分侵害額請求をおこなえます。もし、侵害している相続人がそれに応じなければ、訴訟などの深刻なトラブルに発展するでしょう。

これはそもそも、遺留分侵害のあるような内容の遺言を残してしまったことが原因です。遺言を残す場合は、トラブル防止のためにも、遺留分に配慮した遺言内容としましょう。

6.遺産相続の手続きを円滑に進めるには、専門家の助けを借りる

本記事では、遺産相続で確認すべき事項や遺産相続手続きの流れをご紹介しました。

遺産の内容や相続人の数などにもよりますが、多種多様な手続きがあり、やることが多いと感じられたのではないでしょうか。相続財産の評価、相続税額の計算など、専門知識がないと、正しく実施できないこともあります。

自分で対応することが難しい場合は、専門家の力を借りることをおすすめします。遺産相続にはさまざまな資格の専門家が関与しますが、おおむね次のような基準で選ぶとよいでしょう。

不動産の名義変更(相続登記)は司法書士法人チェスター

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